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日輪の遺産
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日輪の遺産の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.06pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全68件 41~60 3/4ページ
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2011年8月、ロードショーを目前に、再注目を浴びている。出版は1993年。著者が「鉄道員」で直木賞を受賞する4年前、「地下鉄メトロに乗って」の1年前に書かれた作品。これほどの力作を18年間もスルーして読まずに来てしまったのが不思議だ。 「地下鉄メトロに乗って」では、現代と戦争の時代を繋ぐ役割を地下鉄が果たすが、本作品では元少佐であった老人が残した2冊の黒い手帳に書かれた詳細な記録がその役割を果たす。 戦後日本の復興資金として、二百兆円の財宝を隠匿する特命を受け、実行したまだ若かった3人の軍人の人生と、知らずに健気に任務を果たした女学生たちの人生が重たく、切ない。作中ダグラス・マッカーサー始め、すでに歴史上の人物となった軍人も登場し、歴史的事実であるような錯覚に陥る。 著者41歳のときの作品で、本人も「若書き」と自認しつつも、文庫化に際し、ほとんど直しをせずに出版したとのこと。そのため、やや分かりづらい点もあるが、パワフルな取材と筆力に支えられた壮大な作品であることは間違いない。 大震災後、隠匿された復興資金の財宝が本当にあれば、と思ってしまうのは私だけだろうか。 | ||||
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過去の話だけで十分読み応えはあるので、現代の話は丸々無くしても成立してしまう話では? 財宝に纏わるエピソードに漂う緊張感や悲壮感に、現代の家族再生の話がどうも馴染まない。 多分、丹羽や海老沢が手帳を手にしてから物語の核心は進展していない、つまり、渡されたこと をきっかけとして彼ら自身の家族関係に変化はあったが、肝心な財宝に関しては何の干渉も していない(できない)からだと思う。現代でイガラシと金原、久枝の邂逅というシーンがあるが、 全体的には別々の話を読んでいる感じがした。 あと エキセントリックに描かれ、且つメンタリティへの理解も含め日本人への洞察が深く描かれている マッカーサーが、何故眼にした少女達の「姿」に怯え逃げ出したのかがよく分からない。あれだけ リアリスティックなキャラクターであれば、眠っている250億ドルという資金への執着に一時の感傷 が勝るとは考えられない。少女達の髑髏が果たして歴戦のアメリカ兵士達が恐れを成して逃げ出す程 のものかと思った。自ら死を選んだ少女達も、元々各人物は丹念に描かれていない為、最後に代表者 の台詞があるものの、全員が躊躇いなく決行に至るのはやや強引かなと感じた。 | ||||
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出てくる日本人は、いずれも悲しい程真摯に物事に向き合っており、 その真摯さ、一途さが多くの感動を呼ぶのだと思う。 自分を含めた現在の日本人とは、あまりにもかけ離れつつも、 心のどこかでこのような日本人に憧れます。 そんな彼らを襲う不条理さ、対向する強さに涙がつい誘われました。 多くの人にぜひ読んでもらいたいと思った本である。 映画化されるようですが、楽しみな反面、自分の中に描いた物語像が 壊されてしまう気もして不安な気持ちもあります。 | ||||
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著者本人が文庫版後書きで記しているように、「若書き」の感は否めない。 今の浅田次郎だったら、同じ題材でもっと面白い完璧な物語を紡いだことだろう。本作の欠点は誰より著者本人が十分分かっているはず。それでも題材の面白さで一気に読ませる。 歴史を材に小説を書く場合、「現実はこんなに甘くはないよ」と読者に思われたら失敗だろう。 中原の虹 (1) (講談社文庫) に登場する張作霖など、 これはあくまで浅田次郎の創り上げた人物像だと分かっていても、こんな張作霖もあっていいじゃない、と思わせるほど、人物造形が魅力的だ。(私は読みながらほとんど恋していました) しかし本作のマッカーサーは、ま、こんなマッカーサーもあっていいか、とはならない。 恐らく現実のマッカーサーなら、財宝を前にして屍を蹴散らさないまでも、 適当に避けて崩して、目的のものをゲットしそうな気がする。 人情家の浅田氏は、なんとなく甘いんだよね、きっと。 乙女たちが最後に選択した行為も、ことさら美化したりするのはよくないと思う。 ただ私が感嘆するのは、全力投球の腕試しといった本作から、そう時を経ずして あの 蒼穹の昴(1) (講談社文庫) をモノしてしまう 作者の天稟である。 最後に、北上次郎の解説はいただけない。 ある程度評価の定まった単行本が、時を経て文庫版になるせいか、 文庫版の解説というのは、ときどき読み応えのある大変いいものがある。 たまに語られる作品より面白かったりする。 文庫を読む楽しみのひとつだ。 プロの書評家というのは、ただ書物に淫してます、ってだけじゃ駄目だと思う。 よくトレーニングされた知性と、表現力が不可欠。 厳しい言い方かもしれないが、北上氏の書評って、それがない。 | ||||
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「戦争により、数奇な運命を辿った人々の物語」と、一言では語れないほどの 戦争が人々の人生を決定付けてしまう重さ、悲しさ、を考えさせらる一冊。 時代の雰囲気や言葉のもつ見えない力に、時として、抗えずに流されてしまう 恐ろしさ、出来事(本書の場合は、惨事)は断絶的なものではなく、どこかで 面々と繋がっているという歴史の暗い色調を帯びている。 と同時に、莫大な財宝の行方を知りたいと思う、宝探し的要素もあり、戦後 生まれの登場人物と一緒に、わくわくしつつも、財宝に秘められた悲しい歴史を 紐解く重層的な展開は、読み出したら止まらない面白さがある。 | ||||
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舞台となった稲城市、および米軍多摩サービス施設の近くに住んでいるのと、 映画化されるということなので読んでみた。 最後まで興味を持続できた。素直に良作といいたい。 私は40代後半だが、この本を読んで、第二次大戦、終戦前後の事件に関しては 無知であったことを恥ずかしくさえ思った。 学校で習ったことはないし。 近衛師団クーデター未遂事件やマッカーサー統治時代のことを知らない日本人は意外に多いのではないか。 あの戦争前後のことを勉強したいと思わせられる小説である。 ただ作者初期の作品であり、本人の後書きにもあるようにやや粗もあるようだ。 私が気になったのは、 1.丹羽と海老沢が物語上あまり必要でないように思われること 2.金原の描写が下品で好きになれない 3.最後のマッカーサーの挙動はちょっと疑問 といったところ。 | ||||
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終戦直前、帝国陸軍が隠した莫大な財宝を巡る、人間の優しさと切なさを描いた物語。 浅田次郎らしい作品だが、ストーリー展開と終盤の心の描写が少し荒い気が。。 僕がまだまだ青いだけですか? でも、やはりこの作風とストーリー展開は好き。 そして、「あのシーン」は鳥肌無しで読めなかった・・・。 作品の来歴としては、この作品が、彼のデビューから続く初期の作品群、いわゆる「ユーモア・ピカレスク」(オレ読んだことない。。)からかなり作風を異にしたものであり、後の高名な「地下鉄に乗って」「蒼穹の昴」「鉄道員」に続く原点となった作品である。 そして、(個人的には)超名作「シェエラザード」で一つの完成をみる。 蒼穹の昴が益々楽しみになりますな。 | ||||
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時はポツダム宣言受諾発表前の緊迫した時期。 特命を受ける真柴少佐ら数名と、何も知らされていない女学生35人と教師。 マッカーサーの財宝はどこへゆくのか。 当時と現代が同時進行で進んで行き、物語中盤でつながります。 あとがきによると、ピカレスクばかり立て続けに発表してしまったため、「軌道修正」しようとしたが、結果的にこの作品で新たな軌道を“創った”とのこと。 この軌道上にかの名作『蒼穹の昴』があります。 そう考えれば構成は似ているが、『蒼穹の昴』に比べてぼけてしまっているところが多いような気がする。 しかし、あたかもその場に居合わせているかのような錯覚に陥る氏の描写力はさすがである。 読みながら緊迫感が走る場面がいくつかあります。 物語が終わった後の『終章』は切なすぎる。 心の中で「そうじゃない、そうじゃないんだ」と叫びながら、やり場のない感情が浮かんできました。 余韻に浸る間もなく、どん底に突き落とされます。 | ||||
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競馬場で知り合った老人から死の間際に渡された手帳。そこには驚くべき できごとが書かれていた。終戦直前に、時価200兆円という途方もない 財宝が隠された!丹羽は、50年前の真相を見極めようとするが・・・。 死んだ老人の名は真柴司郎といった。終戦直前の1945年8月10日、 26歳の彼は極秘の命令を受ける。 「900億(今の金額にして200兆円)の金とプラチナのインゴットを 祖国再興のために隠す。」 それは、おのれの命を懸けてでもやり抜かなければならない任務だった。 終戦直前の混乱期、人々の思惑が渦巻く中、彼は任務を黙々と遂行する。 だが、財宝の秘密を守るため、作業に当たった10代半ばの少女たちの 始末を命ぜられたとき、彼は激しく苦悩する。そして、50年前の真柴の 苦悩を手帳から知る丹羽。少女たちの運命は?隠された財宝はどうなった のか?過去と現在が織り成す物語は、構成力が抜群だった。国家の再建を ひたすら願った真柴らに、救いはあったのだろうか?考えれば考えるほど、 切なさが増すばかりだった。 | ||||
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大変面白く読み終えました。 マッカーサーの遺産の行方に対しての書き方がさすが 「浅田次郎」 グイグイ読ませてくれます。 遺産にまつわる悲劇の話などは、涙なくては読めませんでした。 ただ、現代 側の主人公の書き方が どうも 物語としっくりあってないと感じるのは私だけでしょうか? 特に倒産しかけている不動産業の社長の方は、物語最初の方はとてもいい味だと思っていましたが、物語最後の方では、もてあそんでしまっていると感じました・・・・。 しかしながら、ストーりーとしてはとても面白く、本当にあったかのような話となっており、 その話の展開の仕方にさすが「浅田ワールド」と感じました。 浅田次郎作品を今後もますます読んでいきたいと思いました。 | ||||
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私は浅田氏の作品が大好きで、蒼穹の昴〜中原の虹、プリズンホテル、天国への百マイル、メトロに乗って、王妃の館、天切り松、壬生義士伝…片っ端から読みました。 読むたびに感動し、それぞれ大好きなのですが…、私は、この「日輪の遺産」こそが浅田氏の最高傑作だと思います。 心の底から泣きました。私の中にも流れている日本人のDNAが、この作品に揺さぶられているようでした。 日本という平和な国に生まれ、現代を生きる私たちにとって忘れてはいけないものが、ここにあります。 過去があっての今であり、先人たちが、未来の日本の繁栄と平和を、どれほど祈って死んで行ったのか。 深く考えさせられました。 ミステリーとして読むのも面白いと思いますが、日本人として読むべき作品だと思います。 本当におすすめです! | ||||
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マッカーサーの財宝をめぐるバブル崩壊の時代と終戦の時代が交差する物語。 現代と終戦時で生きることの重さを対比させながら、歴史小説、そして、ミステリー小説としても非常に面白い作品です。 終戦時の陸軍将校と大蔵官僚たちがどのように終戦をどのようにとらえていたという描写が自分には勉強になりました。 そして、少女たちの最後は、それが一つの日本らしさの理想なのかなあとも感じました。 「チャンスってのはいつだって頭上を通り過ぎすぎるもんで、それをつかまえるのは人間の勇気と決断だ」 マッカーサーのセリフ 「君もまた多くの日本人と同様に、自分のうちに眠るおそるべき力に気づいていない。日本人の不幸は、この現実ではない。この現実を作り出したエネルギーに気づいていないことこそが不幸なのだ。良く考えてみたまえ、この東洋の、何一つ資源もない島国が、世界を敵に回して四年間も戦ったのだぞ。」 | ||||
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知らなかったが、この本は「とられてたまるか!」から「プリズンホテル」に至るまでの本を出した後、「蒼穹の昴」に連なる過程に出した本。ご本人の弁によると、プリズンホテルまでの間に「極道作家」とのレッテルが貼られつつあり、このままいくと自分の路線が決まってしまうことを懸念して大幅な軌道修正を図ったそうだ。 時は現代。会社が何とかなってしまいそうな心配を抱き、年越しに従業員に出す給料を稼ぐために競馬場に来た、ちょっといかがわしげな不動産屋。彼が馬券を買うために窓口に並んでいて、前にいたじいさんに「○−△」がいいよ、というとそのじいさん、考えあぐねたあげく不動産屋の言う通りの番号に買い換え。そういうことをしているうちに窓口が閉まってしまい、当の不動産屋は馬券を買えずじまい。そして、そして「○−△」で倍率300倍が当たってしまう。不動産屋はじいさんに思いっきり文句を言うが、最後は気っ風良くじいさんに別れを告げる。ところがじいさん、この恩返しをせにゃならんというので二人して居酒屋に行き・・・・ このじいさん、終戦直前に軍の密命を帯びて大役を実行している。しかし、いろいろな混乱があって、この不動産屋と知り合った時点ではまだ全てが完結していない。この人にとっては戦争はまだ終わっていなかったのだ。いかがわしい不動産屋の気っ風のよさに惚れて、終戦直前に日記を詳細に書き付けていた手帳を渡す・・・。 最後の最後には慟哭を禁じ得なかった。この本に描かれている日本人、誰もが自分の天命を全うすべく、一所懸命、不器用に生きている。大人から子供まで、軍人から新聞記者から不動産屋からボランティアから官僚まで真剣に生きている。これらの人たちが全部繋がっていくことが素晴らしい。浅田次郎ならではの筆力を存分に味わわせてくれる。 | ||||
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帝国陸軍が奪ったマッカーサーの財宝を、終戦直前に隠すという使命をえた身分も年も違う人達の運命と、50年経った現在を生きる者のなんともいえない一体感のような・・・そんな話・・・かな? 戦時の歴史をよく知らないし、人物も名前は聞いたことあるかな〜程度だったのでうまく説明は出来ませんが、その当時の人達の気持ちとか考えると胸が詰まるような感じがしました。 かなり日本人が読んで気持ちのいいものになっていたとは思いますが、本当の人の気持ちは誰にも分からないので、そうだったらいいなと思いました。 今回は、姉が面白かったというので貸してもらって読みました。 私は浅田さんというと「鉄道員」しか知らなかったもので、この本は新刊なんだと思ってたら1993年に刊行されたものの文庫でした。 どうりで読んでいて年齢がおかしいな・・・と(^^;) 私はひねくれてるので、ベストセラーでも「感動した」とか言われるものは『ケッ!』っていう感じで読む気にならなくて、浅田さんもそんな作品ばっかり書いてるのかな、とか思ってました。 「鉄道員」の印象しか無かったから・・・読んでないけど。 なかなか読みづらい所もあった作品ですが、読後感は爽やかな気持ちとやりきれない切なさでいっぱいになりました。 | ||||
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さすが浅田次郎と言う感じで、ドラマチックであり人間味あふれ、面白い作品でした。 第二次世界大戦末期の混乱の様子が非情に興味深い。 意外に、マッカーサの事なんかでも知らない事が多く、更に話題になるA級戦犯や、終戦時の自刃した閣僚や軍のトップの印象がずいぶん変わりました。彼らもやはり一個の人間であり、時代と社会の大きなうねりに翻弄され、それぞれは各人なりの誠実さで生きて死んで行ったんだなぁ、と。このあたり、改めてきちんと勉強しないとずいぶん(学校の歴史では)知れない事が一杯ありそうです。 そんな昭和史のドラマ中のドラマの出来事、終戦、を境にした大金探しの謎解きと矜恃を持った人たちの生き様が描かれている。 ただ、浅田作品としては、普通と言うか少し劣るか。 終戦時の出来事と現在の出来事が交互に描かれているが、終戦の頃の方は非常に生き生きしているのに比べ現代の部分は、何と言うか饒舌に過ぎ軽い。斬新さを狙った構成かも知れないけど、現代の部分が足を引っ張っている。そんな印象です。 また、マッカーサが出てきてからも微妙に、何と言うかな日本人が米国人の心の内面を書くからか、ちょっと違和感があります。 あれかしら、浅田作品は、泣かせないとあかんのかなぁ。 | ||||
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展開は強引だし。 私は実際の戦争を知らないから 現実っぽさを感じて読むことは出来なかったけど それでも引き込まれた。 いつのまにか夢中で最後まで 読みきってしまっていた。 すごい。 | ||||
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話がどうもご都合主義。スケールは大きいと思うし、話は面白いんだけどなんだかなぁって感じなのですが・・・。でもやっぱり泣いてしまいました(笑) 物語にいつの間にかハマってしまい、まんまといつもの浅田マジックにかかってしまいました。このマジックが癖になって、他作品を読む・・・といったことを繰り返してしまう。 余談ですが、以前バイトしてた本屋で「何とかタロウだかジロウだか言う人の書いてる泣ける本おいてる?」と客に聞かれた際に、何も調べずに浅田本を進めたことがありました。その客はマジックにかかったらしく後日、他の浅田本をまとめてご注文いただきました★ | ||||
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浅田次郎は、こういった「人」を描き出す作品に長けていると思う。 これは、初期の作品だが、そうした部分を感じさせぬ表現力だ。太平洋戦争について語るとき、いろいろな側面がありすぎて多分に難しいだろう。しかし、この作品は、旧軍がマッカーサーから奪取し、隠匿した金品に纏わる話だけで、戦争を端的に表現できていると思う。 戦争で、日米がこうむった損失とそれで得た教訓。そんな、将来を見据えた著者の前向きな姿勢を物語の中から感じた。 それから、あとがきに加え文庫のためのあとがきが後述されているが、この作品を書くきっかけと作中に込めた想いが端的にまとめられている。 | ||||
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小説だけに限らないと思いますが、凄くメジャーになった作品が出た作者の”それ以前の作品”には少々荒っぽくても何か読んでいて勢いが感じられることがあります。浅田次郎の「日輪の遺産」は、このような作品があることを全く知りませんでした。 「蒼穹の昴」のように確信をもって手に取ったわけでなく、当サイトのおすすめで、期待半分で読み始めただけに大変得をした気がします。 確かにストーリーは強引です。途中からいきなりマッカサーはないでしょう、フィリピンの宮殿?現代の主人公2人の家族??? でもいいんです。過去と現在、各々の最後である洞窟と花見の場面だけで十分過ぎる価値があります。本当にこういう抜き打ちのような一冊は大好きです。 | ||||
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女学生達の「清さ」には身がつまされる思いです。 エピソードは別にして、 同種の清さを自身の幸せに 反映させられなかった若者達は 当時無数にいるはずです。 それが同じ日本人として無念でしかありません。 そして人間マッカーサー。 どういう人柄だったのか事実を知らないけれど、 素晴らしく人情味溢れるキャラクターに描かれていました。 彼に対する歴史学的評価はさておき、 「あの地位まで行く人には、人間的な魅力が必要だよな」 と納得してしまうリアルさでした。 | ||||
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