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妖怪大戦争ガーディアンズ外伝 平安百鬼譚
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妖怪大戦争ガーディアンズ外伝 平安百鬼譚の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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映画の外伝として面白い物語だった。 | ||||
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峰守節全開! ほうかご百物語以来のファンです。クライマックスでの数多くの妖怪の中から、見知った名前を見つけるのが、楽しかったです。 | ||||
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正直な事を言えばタイトル見た瞬間に「うわぁ」となった。「60~70年代東宝あたりが作った特撮映画かよ」とも思った。……ダサい、ダサすぎる。見た側がこっ恥ずかしくなるレベルである。 なんでこんなタイトルを冠した作品を何で峰守ひろかずが書いてんねん、遂にヤキが回ったか……と唖然としたがどうもこれ本当に東宝が配給する特撮映画のノベライズというかスピンオフみたいな位置付けにある作品らしい。製作総指揮に角川歴彦と並んで荒俣宏の名前があるので、繋がりはあるのだな(詳しくは「荒俣宏妖怪探偵団 ニッポン見聞録」を参照) 原作となる映画の方は現代劇で、ノベライズも荒俣宏が担当したのだが、主人公の少年が渡辺綱の子孫という設定なのでこっちは実際に先祖である渡辺綱の生きた平安時代を舞台にした作品。 物語は山の民(つまりある種の「サンカ」)として暮らしていた少女・トキが自分の身内を猩々の化け物・猿神に皆殺しにされて一人逃げた場面から。人間離れした身体能力を持つ猿神に追いつかれ絶体絶命となったトキを助けたのは若き武者・渡辺綱とその仲間である卜部季武、碓井貞光。 猿神退治の際に妖怪の気配を察知する「見鬼」の能力を発揮した事からトキは都にある渡辺綱の屋敷へと連れて行かれるが、その力を貸してもらうべく普段は東国からやってきた姫君として過ごし、妖怪が現れれば渡辺綱の仲間の一人として「坂田金時」を名乗る事になるが…… ……うん、なんというかノベライズというかスピンオフ作品を書いても峰守ひろかずは「峰守ひろかず味」になってしまうのだな。百科事典で読者を一方的にシバき倒すストロングスタイルとでも称するべきか。 ストーリーの方はひょんな事から頼光四天王の一人となった山の民の娘・トキが昼間はまったく馴染めない姫君役を時には清少納言に絡まれながら四苦八苦しつつこなし、夜はある時期から急に平安京に現れる「縄張りを外れて人を襲う妖怪」と対峙しながら、妖怪が急に人を襲う様になった現象の裏にある平安京を支配する人物の陰謀に迫っていく連作短編形式。 峰守ひろかずの古今に渡る妖怪伝への博覧強記ぶりは師匠格である荒俣宏に負けず劣らずの部分があるのだけど、その膨大な知識を読者にも分かり易く伝えられる能力も併せ持っているので嫌味は無い。メインは妖怪変化との対決シーンの方なのかもしれないが、昼間に姫君として過ごすトキの目を通じて時代背景となる平安京の支配構造などがサラッと書いてあるあたり中々勉強になる。 地方土着の「国司」による支配から朝廷が派遣した「受領」による支配への移行なんかをストーリーの邪魔にならないよう10行程度で説明し、地方の平安京に対する反感みたいなものを読者に理解させるとかそうそう簡単に出来る事では無いし。雅楽の種類が卜部季武の口からサラサラと語られる辺り知らん事ばかりで、こういう作家が持つ膨大な知識を嫌味なく教えてくれる作品を読んでいると贅沢な気分になれるので読み応えは十分である……というかこういう贅沢感を得る為に峰守ひろかず作品を読んでいる訳なのだが。 人物造形も真面目と言うか朴訥に武士の使命に尽くそうとする(そしてそれ故に対峙するべき妖怪を前に悩む)渡辺綱、大人として仲間を引っ張り、時に窘める卜部季武、年少で思慮より行動な碓井貞光とやや定番な感じもするがバランスは取れている。渡辺家に女房として仕える化け狐の紺みたいなコメディリリーフも用意してあるので堅苦しさも無い。絶対城先輩みたいな強烈なキャラはいないけど、これはこれで安心して読めるというか。 全体を俯瞰して見れば既存の峰守ひろかず作品がお好みの方であれば「いつもの味」が楽しめる一冊である、と保証できる内容かと……終盤を除けばね。 終盤ではトキや綱が急に人間を襲い始めた妖怪たちを操り続けた黒幕と対峙する場面が描かれるのだが……「オール妖怪大進撃」みたいな場面で妖怪の名前がズラズラ登場してはワンシーンだけで舞台袖に下がっていくあたりはまだ良い(アマビエがちゃっかり登場するあたりは流行に乗っかっている気もするけど) 水木しげる御大ネタも最初の「戦争はいけません、腹が減るだけです」あたりだけならニヤリともさせられるんだけど、その後の鬼太郎OPネタの羅列はちょっとクドい。「こりゃ、悪ノリだろ」と言わざるを得ない。そしてその悪ノリの最たるものが平安京を守るべく配置された四神の一角である玄武登場シーンである……いや、たしかに平成期に入ってからは角川傘下で作られたよ、あのシリーズ。けどこれまたテーマ曲ネタまで使って分かり易く書くか……おかげで終盤というかクライマックスシーンがギャグというかコメディになってしまってるやん。 ……色々言いたい事はあるがスピンオフではあるけれども間違いなく「峰守ひろかずの味」がする一冊である事は保証する。終盤の悪ノリを「たまには作家も息抜きで阿呆な事をやりたくなるよね」と笑って済ませられる心の広い方であれば読んでも良かろうと、そんな一冊。 | ||||
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