妖怪解析官・神代宇路子の追跡 人魚は嘘を云うものだ



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初公開日(参考)2019年03月
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長編小説

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妖怪解析官・神代宇路子の追跡 人魚は嘘を云うものだ (メディアワークス文庫)

2019年03月23日 妖怪解析官・神代宇路子の追跡 人魚は嘘を云うものだ (メディアワークス文庫)

鷹橋川で発見されたミイラ化した遺体の上半身と、それに合致する巨大な魚の下半身。 怪事件に悩まされていた新米刑事の御堂陸は、手がかりを求め、美貌の科学者・神代宇路子の許へ押しかけることに。私生活はちょっぴりだらしないが、妖怪、特に人魚について語り出すと止まらない彼女は、陸が追う事件についても何か知っている様子で──。 生真面目な刑事と妖艶な解析官が人魚の秘密を解き明かす! ……ただし、人魚は嘘をつくことがあるのでご注意を。(「BOOK」データベースより)




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No.1:
(4pt)

著者には珍しい女性の妖怪専門家と「可愛い系」の刑事が主役。どちらかと言えば社会派サスペンス?

ライト文芸で「妖怪もの」といえばこの人というぐらいに毎度お馴染みとなった感もある峰守ひろかずの新作。

物語は関東某県の太平洋に面した町・豆井戸市が舞台。市内を流れる川の橋桁に死体が引っ掛かっていると報せを受けた豆井戸警察署の刑事・御堂陸が現場で目にしたのは死後大分経っていると思われる上半身だけの死体だった。署に戻った陸は一時間も経たないうちに上司である刑事課課長の小諸から「自殺として処理しろ」という不可解な指示を受けて反発する。

刑事課の先輩である伊出に宥めすかされる陸だったが、その際に伊出が課長に確認した「この件はA案件」という言葉が耳に引っ掛かる。誰も触れてはならないというA案件が気になる陸だったが、その場に現れたのは豆井戸署から科学分析を任されている神代解析センターの神代宇路子。件の遺体を見たという宇路子は真相は分からないと言いながら何故か陸に耳打ちする様に死体が切断されたのは上流でつい最近だと明かす。宇路子のまるで「下半身を探してみろ」とでも言う様な言葉に導かれる様にして下流を漁った陸が発見したのは遺体の上半身に残された切断面とぴったり合致する巨大な魚の下半身だった。

その夜寮に戻る道すがら陸は複数の男に追われている女性に遭遇するが追っていた男たちは「女が自分たちの持ち物を奪った」と主張。一瞬の隙を突いて反撃に転じた女性は男たちを圧倒的な格闘能力で叩きのめすや奪ったトランクごと川に飛び込む。地元育ちの陸は先回りをして女性の上がってくる場所で待ち構えるがその場に現れたのは先程男たちを叩きのめした女性、神代宇路子だった……

峰守ひろかず作品はそれなりに読んできたけど、本作の最大の特徴は峰守作品にはお馴染みの「妖怪の専門家」が女性である点かと。そして専門家に振り回される側が「可愛い系男子」で更に刑事というサスペンスドラマに出てきそうな職業というのも珍しい。これまでは大学生や市役所職員、編集者といった職業の人物は見てきたけど刑事というのは無かったような……そういう意味で登場人物的にも作風的にも新機軸に挑戦した作品という事になるだろうか?

とはいえ話の軸になっているのは作者お得意の「妖怪もの」である事は間違いないかと。ただし、一冊で複数の妖怪を登場させる事が多かった既存の峰守作品と比べて本作は「人魚」に特化しているのも特徴的。人魚の遺体を発見しながら「A案件」という壁に阻まれ、まともに捜査させてもらえない刑事の陸が思い切って警察の職を辞し、謎めいた科学分析官・神代宇路子の研究所の世話になりながら舞台となっている豆井戸市の特権階級層が絡む人魚の謎に迫る、という展開に。

作品のタッチ自体も「特権的権力層に支配され機能しない司法」、「外国人労働者の増大とそれに伴う排外主義の蔓延」みたいな社会派のノリを大いに導入しているのも既存の峰守作品からするとかなり特徴的と言えるかも。序盤から「A案件」という一刑事が触れようとしても上司の判断一つで不自然な処理を主人公である陸が強要される展開から始まって、その結果義憤から陸が「こんな腐った警察辞めてやる」と実際に警察を退職してしまったりと社会構造に対する疑念みたいな物を真正面から描いた作品はライト文芸では珍しいんじゃないだろうか?

話の方はそんな義憤で刑事を辞めた陸と宇路子が「A案件」として秘匿され、豆井戸市の特権層に流通する「人魚の肉」を追う内容なのだけど、専門家役の宇路子はルパン三世に出てくる女怪盗・峰不二子っぽい。これまでも「絶対城先輩」の礼音みたいな荒事専門なヒロインはいたけど、もっと色っぽいと言うか大人の色香を纏った活劇ヒロインというこれまでに無かったタイプとなっている。その一方で陸は家庭的でお料理男子的な部分が描かれたりと峰守ひろかずファンにしてみればこれまた目新しいタイプではある。

妖怪ものとしては上にも書いたように「人魚」一本で勝負しているのだけど、相変わらず資料の鬼というか世界中に伝説が残り、日本でも地方によっては様々な伝説が残り果てはネットロアみたいな物まである人魚にまつわる話をよくここまで集めてみせたな、と改めてネタに対する執着を見せ付けられた感じに。特に文化二年に富山湾に現れた人魚の話なんかは大いに興味をそそられた次第。

まあ、中核にあるのは高橋留美子の「人魚の森」とかの「不老不死の妙薬」としての人魚の存在なのだけど終盤でこの人魚の肉を食べた人間が中心となった展開が些か駆け足気味になったかな、というのがちょっと気になった。特にヒロインである宇路子の正体に関する部分がかなりあっさりだったというか……(ていうか明治初期の日本陸軍に「女医」っていたのかなあ?)

最近はレーベルを問わずに執筆する事が増えた峰守ひろかずだけど、今回はえらく冒険して見せたなあ、というのが読み終えての印象。続きがでるかどうかはよく分からない。何しろ話の展開も舞台設定もヒロインの造形も「人魚」に絡め過ぎてて話を膨らませるのはちょっと難しそうだし。峰守作品を読み続けてきて「たまには毛色が違う物を」というファンには良いかもしれない。

追記
「絶対城先輩」の最終巻は一体いつになったら……?あと「帝都フォークロアシリーズ」は続きでないんだろうか……?なんか今度はメゾン文庫から新シリーズ出すっていうし……
妖怪解析官・神代宇路子の追跡 人魚は嘘を云うものだ (メディアワークス文庫)Amazon書評・レビュー:妖怪解析官・神代宇路子の追跡 人魚は嘘を云うものだ (メディアワークス文庫)より
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