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(短編集)

思考機械の事件簿Ⅱ



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【この小説が収録されている参考書籍】
思考機械の事件簿〈2〉 (1979年) (創元推理文庫)

思考機械の事件簿Ⅱの評価: 4.50/5点 レビュー 2件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.50pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(5pt)

時折の強引な力技を含めトリッキーな謎解きが思う存分に味わえる「思考機械」第2弾。

その強烈な個性と圧倒的な実力でミステリー史に永遠に名を残す偉大な名探偵「思考機械」の事件簿の第2弾です。常に難解な謎と怪奇趣味を追求し続けるという姿勢がジョン・ディクスン・カーを髣髴とさせる著者フットレル氏の作風は本格ミステリーの愛好家にとって堪らない魅力がありますよね。時折は強引な力技の不自然なこじつけめいた作品も見受けられますが、そこはご愛嬌で著者がもがきながらも決してありきたりの謎で妥協せずに読者を楽しませようと考えてトリッキーな謎解きの数々をこれでもかと書き続けたサービス精神満点の姿勢は大いに讃えられるべきだと思いますね。
『呪われた鉦』辣腕実業家の男が妻から贈られた日本製の鉦が夜突然に鳴り出す怪現象に悩まされ次第に神経を病んで行く。思考機械の推理自体は単純明快ですので殺人事件と怪奇な雰囲気で重厚に仕上げられていますね。やはり最後の滅多にない超自然的なオチは日頃から論理や常識ばかりを扱う作家が偶には気分を変えて書きたい誘惑に駆られるのでしょうね。『幽霊自動車』速度違反取締りの二人の係官が両側で見張る区間を走り抜けた自動車が途中で消失する怪事件が起きる。単純ながらインパクトのある見事なトリックで犯行の経緯を考える著者のご苦労が偲ばれますね。『復讐の暗号』自殺した老人が遺した手紙は暗号文の疑いが強く思考機械が文章の解読と隠された企みに挑む。惜しくも不完全な暗号とは言え巧みな出来栄えには感心させられましたし更なる意外な真相に大満足しました。『消える男』先代社長の孫にあたる青年が新社長に抜擢され嫉妬が渦巻く中で実力を発揮するが、彼には時々不可解にも社長室から姿を消す奇癖があった。今回は単純なトリックで思考機械はほんのチョイ役の企業小説風でしたね。『途絶えた無電』航海中の船で通信士が刺殺され発見者の一等航海士が疑われるのだが・・・・。本編では著者の仕掛けた叙述トリックにまんまと騙され意外な真犯人の正体に愕然としましたね。『ラジウム盗難』ラジウム研究者の若手教授が大学で女性の訪問に応対した後に部屋から貴重なラジウムが盗まれた事に気づく。女性は何故に部屋にトランクを持って来たのか?思い切った奇抜なトリックに完全にやられましたね。『三着のコート』ホテルで寝ていた男が夜盗にコートから金を奪われるが、奇妙にも別の場所にある二着のコートも裏地が切り取られているのを知る。本編は真実味に欠けますが捻りの効いた知的パズルの趣でしたね。『百万長者ベイビー・ブレイク誘拐』赤ん坊ながらも百万長者のベイビー・ブレイクが、大人が目を離した隙に家の外の雪に足跡を残していなくなり、後刻身代金を要求する手紙が届く。思考機械でさえも頭を悩ます難事件はあの名作のトリックをアレンジした物でしたが、強引ながら珍しい新鮮さも感じましたし、かなり無理があるとは言え絶対に起こらないとは言い切れませんから、まあこういう趣向も偶にはあって良いと思いますね。『モーターボート』暴走するモーターボートが遂に停止すると何と運転者は死者だった。相変わらず普通でない特異な殺人方法には唸らされますが、この犯人像はある事情からあんまり嬉しくないですね。『百万ドルの在処』精神がおかしくなった男が息子夫婦や孫を憎み隠した金百万ドルを渡さないと言い残し在処を告げずに亡くなる。洒落たトリックと共に最後のジョークが面白くて笑えますね。『幻の家』前半の「嗤う神像 《問題編》」を同じく作家のメイ夫人が書いて後半の「家ありき 《解決編》」を夫フットレル氏がまとめるという夫婦合作の面白い趣向ですね。車で旅をする男が地図にない道で幻の家を見つけ奇怪な老人と遭遇し命からがら逃げ出して遂に気が狂ってしまうという怪事件の謎を思考機械が理路整然と解き明かします。結局は「幽霊の正体見たり枯尾花」という教訓めいたかなり異常な設定でオチを結ばざるを得ませんでしたが、途中で思考機械が狂人に襲われそうになるピンチが生むサスペンスや不気味な嗤う神像の小道具で盛り上げる事によって緊張感を持続し大いに満足させてくれましたね。
思考機械の事件簿〈2〉 (1979年) (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:思考機械の事件簿〈2〉 (1979年) (創元推理文庫)より
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No.1:
(4pt)

いいのかこの表紙

なぜか表紙が収録されていない「13号独房の問題」のイラストになっている
フットレルの東京創元社版第二短編集
フットレルの奥様も小説家でして
奥様に解決できないような怪奇ななぞを書かせて
その合理的な解決編をフットレルが書くという
魅力的な中篇も載せられています
思考機械の事件簿〈2〉 (1979年) (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:思考機械の事件簿〈2〉 (1979年) (創元推理文庫)より
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