輝ける闇

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輝ける闇の評価:

4.67/5点 レビュー 46件。 A ランク

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平均点4.67pt

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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全61件 21〜40 2/4ページ
No.41
(5pt)

ベトナム戦争のまさに戦時下での体験をベースにした迫真の書き下ろし長編

ベトナム戦争のまさに戦時下での体験をベースにした迫真の書き下ろし長編。ほんの50年前の出来事であるが、戦場に赴いた者でなければ描けない戦争の不条理をルポルタージュした貴重な記録・小説となっており、まさに読後は言葉も出ない。
輝ける闇 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 輝ける闇 (新潮文庫)より
410112809X
No.40
(5pt)

致死率91.5%の戦場で見たこと 開高健のターニングポイントとなった名作を含む 全集第6巻

本書は
開高健(1930-1989)全集第6巻です。
次の2つの長編小説が収められています。

『輝ける闇』
『新しい天体』

司馬遼太郎(1923-1996)も
谷沢永一(1929-2011)も
開高の最高傑作を『夏の闇』としています。
フィンランド文部大臣賞を受賞し
ノーベル文学賞の候補だったと言われる
『夏の闇』の評価は揺るがぬものがあります。

ではナンバー2の作品はどれでしょうか?
白鳥の歌である『珠玉』でしょうか?
自伝的な『耳の物語』でしょうか?
(日本文学大賞受賞)
それとも開高にとってターニング・ポイントとなった
『輝ける闇』でしょうか?

『パニック』でデビューした開高健は
『裸の王様』で芥川賞を受賞。
『日本三文オペラ』
『ロビンソンの末裔』など
いわゆる「遠心力」で小説を書いていきます。
遠心力とは自己の内側に向かわず
外側に対象を求める手法のことです。
従ってそういう小説のテーマは
完全なフィクションであるか
あるいは
緻密な取材または資料の精査にもとづいた
事実をベースにした創作作品
になることでしょう。
『流亡記』
『屋根裏の告白』
はひとつの頂点を示しています。
開高自身いちばん好きな作品は
『流亡記』
と答えている時期があります。

しかし
谷沢永一が最初から見抜いていたように
開高は生まれ持った気質として
実は「内側に向いた」作家でありました。
やがて開高は小説の筆が進まなくなります。
E.H.カーの翻訳なども考えたようですが
そんなことをしたら小説が書けなくなる
と先輩に止められ
ジャーナリスティックな方向へ転換を図ります。

『ずばり東京』として後に単行本になった
ルポルタージュは好評でした。
視点の鋭さ、文体・様式の多様さが印象的です。
その延長として
ヴェトナム戦争の取材が実現しました。
それが開高健の人生および文学を
決定的に劇的に変えることになるとは
出発前には想像もしていなかったことでしょう。

最初の自伝的な小説『青い月曜日』を
途中まで執筆していたのを中断し
ヴェトナムに出かけます。
法的には
「南ヴェトナム政府軍
および軍事顧問団としての米軍」
実質的には
「米軍」に記者として従軍します。
いわば銃後である首都サイゴンから
最前線に従軍したとき。
VC(ヴェトコン)にDゾーンで包囲され
激しい銃撃を受けます。
200名いた部隊は17人になっていました。
単純計算すると
致死率91.7%という地獄以上の戦闘です。
奇跡的に
開高健と
秋元啓一カメラマン(1930-1979)は生き残りました。

の死を覚悟した開高と秋元は
遺影として互いの写真を撮りあいます。
その写真(モノクローム)が
本巻の巻頭に載っています。
開高は
(階級章のない)軍服(のような服)に
ヘルメットをかぶり
武器を持たずバッグ(水筒?)のストラップを
指で軽く握っています。
無表情です。
死を覚悟した人間はこうなるのか
と思います。

致死率91%つまり文字通り
九死に一生を得て
開高は帰国します。
そして結実したのが
『輝ける闇』
でした。
戦争取材という
一見ジャーナリスティックな仕事のように見えて
開高が書いた『輝ける闇』は
私は「内側を向いた」作品であると思います。
「遠心力」の標語を使うならば
「中心力」「求心力」で書いた作品であると思います。

『輝ける闇』は遠心力で
『夏の闇』は中心力・求心力で書いた
と評する方もいらっしゃるでしょうが
そうではなくて両方とも
「中心力」「求心力」「内心力」で書いた作品でしょう。
たとえば
大岡昇平『レイテ戦記』(中公文庫)と比較すると
ジャーナリズムと文学
記録と小説
の違いがはっきりします。
むしろ私は『輝ける闇』は
ロータル=ギュンタ-・ブーフハイムの
世界的ベストセラーで映画化・TVドラマ化された
『Uボート』(早川書房)
に通じるものがあると思います。
あるいは
開高自身、愛読書であり
いちばん好きな映画であった
レマルク『西部戦線異状なし』(新潮文庫)
を意識していたのかもしれません。

『輝ける闇』というタイトルは
マルティン・ハイデッガーからとったものです。
具体的な内容については
みなさんご自分で読まれるのが
いちばん良いと思います。

一点だけ注意を喚起するならば
素娥(トーガ)という女性の存在です。
ヒロイン登場、と言ってもよいでしょう。
開高健が
内側に向かって小説を書き始めたとき
「恋愛」
を描くことを条件のひとつに挙げていました。
言い換えると
「女」
を描くことです。
開高健の作品に
最初に、くっきりと
女性が登場するのは
素娥(トーガ)であり
細川布久子氏の表現によれば
「開高さんのヴェトナム時代のミューズ」
です。
量的にあまり多くは登場しませんが
Chez moi?
Chez toi?
という会話だけで
互いの感情を推し量ることは容易です。

私は
『輝ける闇』をはじめとし
『怪物と爪楊枝』
『飽満の種子』
『兵士の報酬』
『岸辺の祭り』
『洗面器の唄』
など一連のヴェトナムものが好きで
繰り返し読みました。
『フロリダに帰る』の舞台は東京ですし
『玉、砕ける』は香港での話ですが
広義のヴェトナムものと言えるでしょう。
残念ながらこの全集で
いわゆるヴェトナムものの短編は
8巻と9巻に分断されています。
1巻にまとまっていると便利だったように思います。

また私は
開高健を読んでから
『プラトーン』
『フルメタルジャケット』
『ハンバーガーヒル』
というヴェトナムものの映画を見ました。
イメージを補うという意味では
開高健を読むと同時に
映画もいいかもしれません。

なお本巻のもう1篇は上記の通り
『新しい天体』
です。
おいしい食べ物を発見することは
あたかも新しい天体を見つけるがごとし
というテーマの作品です。
グルメ小説のはしりです。
ヴェトナムもののお口なおしには
ちょうどいい配置となっています。
輝ける闇・新しい天体 (開高健全集) Amazon書評・レビュー: 輝ける闇・新しい天体 (開高健全集)より
4106452065
No.39
(5pt)

ベトナム戦争の匂いが今ここに伝わってくる

小説というジャンルなのか???読んでいて、正直、小説というものを読んでいる気には一度もなれなかったが・・・・

いい本なのですからジャンルに拘る必要は一切ないでしょう

文中で主人公である著者は米軍の大尉にこう語る

「いろいろな物のまわりの匂いを書きたい。匂いのなかに本質があるんですから。(中略)匂いは消えないし、変わらない。そういう匂いがある。消えないような匂い書きたいんです。」

読者に必ずやベトナム戦争の匂いが伝わってくる・・・・

まさに「匂い」を書いた素晴らしい傑作だと思います
輝ける闇 (1968年) Amazon書評・レビュー: 輝ける闇 (1968年)より
B000JA5MNQ
No.38
(5pt)

ベトナム戦争の匂いが今ここに伝わってくる

小説というジャンルなのか???読んでいて、正直、小説というものを読んでいる気には一度もなれなかったが・・・・

いい本なのですからジャンルに拘る必要は一切ないでしょう

文中で主人公である著者は米軍の大尉にこう語る

「いろいろな物のまわりの匂いを書きたい。匂いのなかに本質があるんですから。(中略)匂いは消えないし、変わらない。そういう匂いがある。消えないような匂い書きたいんです。」

読者に必ずやベトナム戦争の匂いが伝わってくる・・・・

まさに「匂い」を書いた素晴らしい傑作だと思います
輝ける闇 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 輝ける闇 (新潮文庫)より
410112809X
No.37
(1pt)

何度もチャレンジしたけれど、

非常に読み難い文体。。。
教科書に載っている短編二作は素晴らしかったので、晩年の「珠玉」を買ってみたら、そっちは読みやすいが力がない。
教科書にあった開高健を楽しむにはどの本が良いのだろうか。。。
輝ける闇 (1968年) Amazon書評・レビュー: 輝ける闇 (1968年)より
B000JA5MNQ
No.36
(1pt)

何度もチャレンジしたけれど、

非常に読み難い文体。。。
教科書に載っている短編二作は素晴らしかったので、晩年の「珠玉」を買ってみたら、そっちは読みやすいが力がない。
教科書にあった開高健を楽しむにはどの本が良いのだろうか。。。
輝ける闇 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 輝ける闇 (新潮文庫)より
410112809X
No.35
(5pt)

濃厚でねっとりとした何かが纏わりつく。

汗、汚物、妄執、倦怠、肉欲、食欲、人間の臭気が物凄く濃い。

戦後間もない混沌とした日本、戦地のベトナム、
革命に高揚する騒乱の地を駆け廻り、転び、泣き叫び、
人は達観し、やがて「無」となるのか?

開高健の小説には常に「濃い臭い」がある。
だから、有る程度は腰を据えて挑まないといけない。
生半可な気分で相対すると、「濃い臭い」に気倒されてしまいます。

「闇」の中には「輝ける人々」が居るのですね。
輝ける闇 (1968年) Amazon書評・レビュー: 輝ける闇 (1968年)より
B000JA5MNQ
No.34
(5pt)

濃厚でねっとりとした何かが纏わりつく。

汗、汚物、妄執、倦怠、肉欲、食欲、人間の臭気が物凄く濃い。

戦後間もない混沌とした日本、戦地のベトナム、
革命に高揚する騒乱の地を駆け廻り、転び、泣き叫び、
人は達観し、やがて「無」となるのか?

開高健の小説には常に「濃い臭い」がある。
だから、有る程度は腰を据えて挑まないといけない。
生半可な気分で相対すると、「濃い臭い」に気倒されてしまいます。

「闇」の中には「輝ける人々」が居るのですね。
輝ける闇 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 輝ける闇 (新潮文庫)より
410112809X
No.33
(5pt)

すばらしい文です

もう引き込まれてしまいます。素晴らしいという言葉しか語彙がないのですが、とっても良い本です。
輝ける闇 (1968年) Amazon書評・レビュー: 輝ける闇 (1968年)より
B000JA5MNQ
No.32
(5pt)

すばらしい文です

もう引き込まれてしまいます。素晴らしいという言葉しか語彙がないのですが、とっても良い本です。
輝ける闇 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 輝ける闇 (新潮文庫)より
410112809X
No.31
(4pt)

戦争とは...

戦争の怖さ・愚かさ、平和の大事さ、日常生活の幸せを考えされられる本です。
輝ける闇 (1968年) Amazon書評・レビュー: 輝ける闇 (1968年)より
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No.30
(4pt)

戦争とは...

戦争の怖さ・愚かさ、平和の大事さ、日常生活の幸せを考えされられる本です。
輝ける闇 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 輝ける闇 (新潮文庫)より
410112809X
No.29
(5pt)

代表作ですね。

正に、開高さんの文学を代表する本の1冊。何度読んでも飽きません。
輝ける闇 (1968年) Amazon書評・レビュー: 輝ける闇 (1968年)より
B000JA5MNQ
No.28
(5pt)

発掘。

開口氏の作風と人柄が「輝ける闇」に満載だと思って読んでいます。
輝ける闇 (1968年) Amazon書評・レビュー: 輝ける闇 (1968年)より
B000JA5MNQ
No.27
(5pt)

傑作です

二十歳前後の頃に氏の小説を夢中になって読みました。開高健の作品を読んで小説家になることを諦めた文学好きも多くいたと思います。これだけ凄い物があるのなら、書くよりも読む側でいた方が幸せだと・・・・・僕もその一人です。行間から滲み出る作家の溜息や呻吟まで味わって欲しい日本文学の傑作です。
輝ける闇 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 輝ける闇 (新潮文庫)より
410112809X
No.26
(5pt)

評価

筆者の名作を評価する立場にありません。素晴らしい文体に傾倒しています。
輝ける闇 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 輝ける闇 (新潮文庫)より
410112809X
No.25
(5pt)

死以上に恐ろしい死

従軍記者であり小説家である「私」は、戦場となったベトナムの森や村を、兵士の死を、庶民の暮らしを、知識人の屈折を、観察します。
「いろいろな物のまわりにある匂いを書きたい。匂いのなかに本質があるんですから」
「眼もなく耳もない一頭の巨大な軟体動物がうごめいているのである。それはふくれあがって小屋いっぱいになり、壁を這いまわり、夜空までみたしている」
全編が、爽やかさとは対極にある熱帯の戦場の息苦しさと、生の匂いにあふれています。虐殺と言うべき最後の戦闘の場面では、死以上に恐ろしい死があるということを知りました。
輝ける闇 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 輝ける闇 (新潮文庫)より
410112809X
No.24
(3pt)

アメリカ帝国ベトナム侵略従軍記

1802年に現在のベトナムとほぼ同一の領域を最初に支配した統一政権の阮朝(越南国)は、清国に朝貢して形式上従属しながら自国を「中国」と呼んで世界の中心に位置すると称し、自国と清は兄弟で対等であると見なして国家を存続させていた。1858年にナポレオン3世がフランス遠征軍を派遣してコーチシナ(ベトナム南部)を植民地にした事を起源として、1882年にトンキン(ベトナム北部)占領、それを基にした宗主国清の介入による清仏戦争(1884〜1885年)での清の敗北の結果の天津条約(1885年)で清が宗主権を放棄した事を経て、1887年にインドシナ連邦としてフランス領インドシナ(仏印)が成立し植民地とされた。阮朝自体は1945年まで続いた。
 第二次大戦中の1940年にナチス・ドイツがフランスを占領した事から、ドイツの同盟国日本は同年に仏印北部に、翌年に仏印南部に進駐して在来の仏印政府との共同統治体制を布いた。其の年に、ホー・チ・ミンは「ベトナム独立同盟会(ベトミン)」を組織してその主席に就任した。
 1945年に日本が敗北してベトミンが北部のハノイで蜂起して8月革命を始め、南部のサイゴンでの民衆蜂起等を経て同年に「ベトナム独立宣言」を発表し、ホーは「ベトナム民主共和国」を建国して国家主席兼首相に就任した。しかし、旧宗主国仏や米英中ソ等の連合国側諸国が承認しなかった。ポツダム協定により南北に分割されて、北部に中華民国軍、南部に英軍が進駐した。その直後に仏国が南部の支配権を奪取して、インドシナ一帯の再支配を目論んだ。ホーは北部の国民党軍(中国)の進駐が長引く事を恐れて仏国を受け入れたが、仏国とのベトナム独立についての交渉を重ね、1946年に一旦は独立が承認されかけたものを仏のコーチシナ共和国樹立という分離工作によって破談し、同年末に仏がベトナム民主共和国に攻撃して第一次インドシナ戦争が始まった。1954年に仏国が敗北してジュネーヴ協定が締結され、北緯17度線で南北に分割され、北部はベトナム民主共和国、南部はベトナム国が統治する事となり2年後に再統一の全国選挙が予定された。
 しかし翌年、ジュネーヴ協定に調印しなかった米国が名目上ドミノ理論(ある一国が共産化すれば、周辺諸国も共産化される)を唱えて、共産主義を嫌悪する資本家や宗教家、自由主義者等と図って、南部に「ベトナム共和国」の政権を発足させた、経済的・軍事的支援を行った。ジュネーヴ協定で定められた再統一の全国選挙を南部のベトナム共和国がボイコットし、反対勢力を弾圧する独裁政治を行った為、それに抵抗する形で1960年にベトナム労働党の支援のもと、「南ベトナム解放民族戦線(ベトコン)」が結成された。其れによってベトナム戦争が始まり、ベトコンは介入を始めた米国と激しく戦った。ベトコンは主要都市と幹線道路を除く農村地帯をほぼ完全に勢力下に置いた。
 1965年に米軍がベトナム民主共和国へ北爆を開始し、50万人の大軍を投入して本格的となった。米軍は軍事関連施設のみを爆撃の対象と言いながら、実際には病院・学校・民家・キリスト教会・農業施設等、枯葉剤やナパーム弾を用いて「皆殺し作戦」を行なった。枯葉剤は戦後に健康被害や出産異常を引き起こし、焼夷兵器のナパーム弾は広範囲を無差別に焼き尽くした。又、米軍やその他の同盟国軍による一般村民への戦争犯罪として、無差別機銃掃討や大量殺戮、女性に対する強姦殺害、家屋の放火等があった。後に、ベトナム女性との混血児(ライタイハン)が確認されている。又、其の米国に対抗する為に、前線へ出た男性の民衆に代わって後方では婦人部隊が組織され、農作業の際にも銃を所持し、町の警備に当たる等をして、民衆全体が米国に対して抵抗し独立に向かって戦った。
 又、南部のベトナム共和国の第2代・3代大統領グエン・バン・チューは強烈な反共主義者であったが、南ベトナム国内での麻薬の不正取引の元締めであり、しばしばベトコンからも麻薬を入手していた。更に南部の政府は不正や汚職が蔓延し、軍も堕落し士気が下がって規律の維持も難しくなり、一般市民は米軍に媚び諂って売春等が流行り、全てが腐敗していた。
 次第に国際世論が反戦・反米となり、且つ米国がベトナム戦争に莫大な戦費を費やした事から、退陣に追い込まれたリンドン・ジョンソンに代わったリチャード・ニクソンが1969年に大統領に就任して撤収を模索し始めた。借金国に転落した米国は、1971年にドルの金本位制を撤廃して紙幣と金の兌換を停止してドルが「紙切れ」となり、以降、民間銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)によって憲法や議会に拠らずに、民間人が自由に幾らでも輪転機でドル紙幣を発行出来る様になってしまった。1973年には泥沼化した戦争を終わらそうとして、1月27日にパリ協定(ベトナム和平協定)がベトナム民主共和国(北ベトナム)、ベトナム共和国(南ベトナム)、南ベトナム共和国臨時革命政府、アメリカ合衆国の間で調印されてベトナム戦争終結を約した協定を結んだ。又、第一次オイルショックでの景気停滞や不況で打撃を受け、ニクソン政権が残したウォーターゲート事件やジョン・F・ケネディー政権が進めたアポロ計画の月面探査への膨大な出費もあった事等もあって、ジェラルド・フォード大統領は軍の派遣や軍事援助を拒否し、1975年にサイゴンが陥落して戦争が終結して南部のベトナム共和国は崩壊した。北のベトナム民主共和国が主導して南北統一を実現し、翌年に「ベトナム社会主義共和国」が成立した。そして、米国は其れ以降、世界一の借金大国である。日本のお金は米国へ流れ、貸したお金が返ってくる事は無い。
 ホー・チ・ミンはベトナム戦争中の1969年に亡くなられたが、共産主義の実現よりも民族解放・ベトナム独立が生涯の主要課題であった。又、腐敗や汚職、粛清に無縁で、禁欲的で無私な指導者であった。更に、自らが個人崇拝の対象になる事を嫌っていた。自伝の類を残さずに亡くなられた為に、自己の業績について殆ど語らないという伝統がベトナムに生まれた。現在存在する霊廟や墓所、銅像、エンバーミングした遺骸は、ベトナム労働党政治局がホーの遺言を無視して作ってしまった物で、ホーはそれらの物は個人崇拝に繋がる為に望んでおらず、遺書には火葬後の遺骨を北部・中部・南部に分骨して埋葬する事と、戦争勝利後の農業合作社の税金を1年間免除することが書かれていた。その高潔な人柄から民衆から尊崇を集めて愛され、慈愛に満ちた風貌から「ホーおじさん」と民衆に親しまれた。(参考文献:ウィキペディア)
 本書の著者は、1964年に南ベトナムの米軍に同行して取材を行なった。現地での直接取材でベトコンからいつ襲われて殺されるかもしれない状況にて米軍側からの視点に立って取材した。米軍の北爆が開始されて前記のような米軍の残虐行為が問題となって、国際世論の米国批判が高まる前であったことや、米国との同盟国としての日本の立場、本書の中に出てくる病院での奉仕に来ていた米人のクェーカー教徒の言う「…堕落…傲慢、無知、侮蔑、恐怖、無神論…」が米国とその他南側の同盟国軍に存在する事、米国追従国家日本の特にメディアの姿勢等も影響にあった様な内容であるように感じる。南部の腐敗は伺えたが、米国帝国主義による北側への無差別爆撃等の虐殺、侵略行為については、本書からは全く解らない。ベトナム側の視点に立ち、その様な米軍の悪の「真実」が解る様な内容の方が私にとっては良かった様に思い、残念である。知識の余り無い人にとっては、視点を持つ、或いは主人公の側が正義の様に勘違いされ、相手の敵が悪者と勘違いされかねない。
 参考動画:「NDN(株)日本電波ニュース社」のホームページ([・・・])や、YouTubeチャンネル・「NihonDenpaNewsTV」にて1960年代に撮影されたドキュメント映画(のダイジェスト版?)が公開されている。其の中にはホー・チ・ミン主席への単独インタビューも在る。こちらの方から真実が伝わって来る。
 
輝ける闇 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 輝ける闇 (新潮文庫)より
410112809X
No.23
(4pt)

実存の輝きを求めた開高健の力作

まず結論から言ってしまうと、久々に純文学らしい純文学を読んだ、の一言に尽きる。開高健は戦後の荒廃の中で、自分を見つける事から作家として出発した。だが、その後日本は急速に近代化・資本主義の爛熟へと進み著者はそこで、自らの極限状況を見出すためにベトナムの赴いたのだろう。だが、そこでの著者はあくまでも部外者である事から逃れられない自意識に苛まれる。初めてみた処刑に全身がおぞけるほどの感覚を覚えながら、二度目には不感症のようになってしまう自分。最前線を離れれば、フランス統治下の影響にあった食文化を残したカフェでカフェ・オレやクロワッサンで朝食を取る自分。それらの虚しさから逃れるように若いベトナム女性とのまぐわいに耽溺する自分。
ここには、戦場にありながらそこに参画することができす、しかし最後は最前線で死の極限に接する場面を求める開高健のあがきが描かれる。
ラストの戦場の場面でベトナム側の壮絶な銃撃を受け、その中であがく主人公の姿には素っ裸の人間が迫力ある文章でリアリティをもって描かれた圧巻の場面で小説は終わる。開高健の作品は夏の闇 (新潮文庫)の凄さに昔圧倒された覚えがあり、久々に著者の作品を読んだのだが期待を裏切らない充実した読書体験になり、満足している。
輝ける闇 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 輝ける闇 (新潮文庫)より
410112809X
No.22
(5pt)

40年以上前の話ですが、まったく色褪せた感じがしません

1964年末から65年初頭にかけての著者ベトナム
取材で経験した事を元に書かれた小説。

1965年に出版された著者のベトナム戦争のルポである
ベトナム戦記が事実ベースで、それを読めばもう少し
理解が深まり、どこまでが現実かわかるかもしれない。
いや、ひょっとすると本小説のほうが現実に近かったかも
しれないと感じさせる精細な描写です。

現地で空いた時間に読んだ"マーク・トウェイン"の小説
「アーサー王宮廷のヤンキー」がベトナム戦争の本質を
はるか前から言い当てたものであると気付く場面が印象的です。

日本のかつての戦争を体験し、まだそれをひきずった
世代の著者が、終わったのは自分が生まれる前の戦争
体験を語っているわけなんだけど、まったく色褪せた感じがしなく
目の前に著者が座って語っているが如くリアルな感じがします。

ディティールは過去を感じさせるのに、人々の心の機微は
恐らくあまり変わりなくて、戦争で命を落とす理不尽さを
本著を通して感じさせられます。
輝ける闇 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 輝ける闇 (新潮文庫)より
410112809X