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消えてください
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消えてくださいの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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一作目を読ませていただきましたが、最後の終わり方に疑問というべきか、ストンと胸に落ちない何かを抱えてしまいました。 しかし、心理描写と情景描写の言葉の美しさ、そして登場人物たちのやり取りからグッとくるものがあり、印象的な作品だったと記憶に残りました。 そして、ナツ先生の二作として、今作を期待と不安を抱きながら最後まで読ませていただきましたが、やはり手にとって良かったと心から思えます。 主人公とヒロイン、それぞれが決定的なある日を境に、立っている地点から止まっていたものの、二人が出会うことで、あらゆることものが動き出していく。 生きるということは、つまるところ動いているわけですが、人は某かの出来事やきっかけで、生きているのに止まってしまうこともあるのだと思います。 抜け殻のように、体の中にあるべき大切な何かを失いながらも、命を動かしている日々が、ノスタルジックに包まれた夏の風景と空気感と共に終わり、抜け殻に動き出すきっかけが入り込んでいく。 この物語は、主人公とヒロインが、止まってしまった自分自身を再び動かしていくまでを、優しくもセンチメンタルに描いていて、同じ心境にある人に深く共感できる作品だと思いました。 ある意味、前作の延長線上にある物語なのかもしれません。 | ||||
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デビュー作「引きこもりの弟だった」が強烈な苦味を残した葦舟ナツの二作目。 物語は高校生・泉春人が母親の命日に欠かさない墓参りからの途上で自分を幽霊だと名乗る同年代らしき少女と出会った場面から始まる。サキと名乗るその自称・幽霊は「自分を消してくれないか」と更に奇妙な事を春人に頼んでくる。母の死後、周りから浮いてしまう様な生き方しか出来なくなった孤独な春人はサキと毎日待ち合わせをして歩きながら語らう不思議な夏を送る事に…… 劇的な展開は無いが妙に心に沁みる作品、というのがたまにあるけど本作もその系譜に連なるタイプかと。明確なストーリーラインみたいな物は無い。主役である二人を除けば個々の登場人物をそれほど深く掘り下げるわけではない。どう考えても印象に残る要素があるとも思えないのに、読み終えると妙に心に焼き付いている。デビュー作に引き続き万人にお勧めできるタイプでは無いが独特の存在感を放つ作家さんだなと改めて思い知らされた。 こう書くと雲をつかむ様な作品であるという印象が伝わってしまうかも知れないが、それは概ね間違っていない。たぶん、読んだ方の半分ぐらいは「結局、何について語ろうとした作品だったんだろう?」とポカンとなると思う。そしてその差は大切な人、それも身近な存在だった人を喪った経験があるかどうかの差では無いだろうか? 核家族化で祖父・祖母と暮らしを共にする機会も少なくなった今、それまで傍にいた人間が突然いなくなり、ぽっかりと空いた空白を抱えたまま生きるという経験を若い頃に経験する機会も同時に減ったかと。その意味で本作の主人公・春人は小学生時代に母親を亡くしたという意味で貴重な経験の持ち主であると言える。その空白を抱えた人生がどんな形で表現されるかと言えば「休み時間には周りにバカにされながら寝たふりをして過ごす」という生きているのか死んでいるのか分からない様な生き方として表される。 この春人の在り方と対比されるのが幼馴染の少女・関谷の在り方なのだろう。祖父であるシゲさんが今にも逝こうとしている中で、そして実際に喪った後で春人に対して「自分の今後の生き方」を力強く語って聞かせる姿は母親の死を何年も受け入れられず死んだように生きる春人とまさに好対照。冒頭で関谷が春人に対し語って聞かせる「考えない方が生きやすい事がたくさんあって、それをどのくらい考えてしまうかはその人の持つ性質に寄るんだと思う」という言葉には喪失というものに対する個人差みたいな物は間違いなくあるのだな、と思い知らされた。 「大切な人がいなくなってしまった」という欠落を受け入れて残された者としての自分の人生を力強く歩めるかどうかは個人差が非常に大きいのだろうけど、回想シーンにおいては「まさに小学生男子」という感じで活き活きと過ごしていた春人が虫も殺せない優しい性格故に母親の死から時間が停まった様な生き方をする様になった変化を見ると問題としては他人事では無いな、とも思わされる。 読みながら思い出したのは宮川サトシ氏の「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った」だった。何でもない日常と思っていた物が身近な人によってどれだけ満たされた者であったかを喪った後で思い知らされる……その経験があるかどうかで本作に対する印象もガラッと変わるかと。 それまで「そこに在って当たり前」と思いながら生きてきた物を失った後で劇的に変わってしまった世界を生きる人間がどうやって自分が生きていかねばならない世界を受容するか、この作品で主人公である春人が突き付けられた問題はまさにそこに尽きる。誰しもが親の逝去などを通じて通過しなければならない経験なのではあるのだけど、「まだずっと先の話だろ」と思って呑気に構えていたその日が来た時に、そしてその後の日常を過ごさねばならなくなった時に自分がどう振る舞えるのかを考えさせられる部分もある。 繰り返しになってしまうが本作は「身近にいた筈の大切な人」を失った事があるかどうかで、本当に受ける印象がガラリと変わる作品かと。それでも想像力を働かせる意味は間違いなくある訳で、春人の姿を通じて大きな空白を抱えながら生きる事の意味を考えるにあたっては大きな意味を持つ一作。 | ||||
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前作の『ひきこもりの弟だった』が衝撃的で面白かったので期待して読みました。 透明感のある文章と登場人物達が醸し出す生活感は流石でした。しかし、いまいち起承転結が理解しづらく、話の流れを汲めないまま読了してしまったのが正直なところです。あとがきを読むに、作者は自分の気持ちに折り合いをつけるために、この話を書いたのかもしれません。 内面的なお話のように感じましたが、前作よりも読後感は爽やかなものでした。 | ||||
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読んで良かったね | ||||
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