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泥の銃弾
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泥の銃弾の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.44pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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「テロ」「難民」「メディア」を軸に、近々未来の日本を描いた野心作。面白かった。 | ||||
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元新聞記者を主人公に、サスペンス的な展開だった上巻に対し、話が大きくなった分、「おや?」と思う流れがちらほらと。しかし、大作であり労作であることは間違いなく、一気読みでした。 | ||||
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上下巻を一気読み!!!!めちゃくちゃ面白かった!!!!!!!!!! まさに超弩級のハードボイルド・アクション・ミステリー・エンターテインメントの傑作! 舞台は2020年の東京オリンピックを間近にした、ごくごく近未来の東京。移民・難民受け入れを決定した日本は、移民大国としての道を進むが、そこに冷や水をぶっかけるような事件が発生する。 クルド人難民が東京都知事を狙撃したのだ。幸い、東京都知事は一命を取り留め、犯人も早急に逮捕される。取材で狙撃現場に居合わせた大手新聞社の記者天宮理宇は、犯人がクルド人難民であることに違和感を覚え、調査を開始するが、上層部から圧力がかかり、新聞社を去ることになる。 天宮はフリージャーナリストとなり、独自に都知事狙撃事件の調査を継続する。天宮は、調査を進めるうち、逮捕された犯人が真犯人でないことを確信する。そこへ「アル・ブラク」と名乗る謎のクルド人から真犯人の手がかりがもたらされる。天宮が事件の核心に近づけば近づくほど、この狙撃事件の裏にはさら大きな事実が隠されていることに突き当たるのだった。 警視庁公安部の暗躍、絶大な権力を握る大手新聞社の社主、狙撃されたことで不死身の英雄として担ぎ出された若き政治家・火神東京都知事、そしてクルド人で元傭兵のアル・ブラク、そして在日難民組織「シリア、トウキョウ」。 いくつもの大きな渦に巻き込まれながら天宮は「本当の真実」にたどり着けるのか? ストーリーもラストも完璧。登場人物達もみなキャラクターが立っていて非常に魅力的だ。特に天宮の行動をつかず離れず監視する警視庁公安部の謎の女性刑事・刈谷。彼女の存在が、このハードボイルド小説の中で、ふと気持ちを緩ませてくれ、良い味を出している。 そしてなんと言ってもド迫力なのが、クルド人で元傭兵のアル・ブラクの回想シーンで描かれるシリア内戦でのエピソード。あまりに壮絶かつリアリティ溢れており、この回想シーンだけでハリウッド映画一本作れるんじゃないかというくらいの迫力がある。 著者・吉上亮の作品はアニメ『PSYCHO-PASS(サイコパス)』のスピンオフ小説『PSYCHO-PASS ASYLUM』と『PSYCHO-PASS GENESIS』シリーズは全部読んだが、本書のようなSFではない本格的エンターテインメントミステリーを読むのは初めてだ。 「ユートピアに最も近いディストピア」な近未来・日本を描いたPSYCHO-PASSシリーズも無骨で読み応えあったが、現実世界を描いた本作は、難民問題というテーマにもしっかり切り込んでおり、単なるエンターテインメントだけに止まらない社会派小説という一面も持っている。 巻末の参考文献の数からも著者がシリア情勢やクルド人の状況、最近の難民問題を相当研究したことを伺うことができる。 一点だけ、ちょっと気になったのは、著者は日本の司法手続きや警察の取調べのことをもうちょっとだけ勉強してもらったら良いのかなとは思う。 例えば警視庁の刑事による取調べのシーンで、被疑者が取調室の机に鎖で固定されている手錠をかけられて取調べを受けていたり、警察が被疑者を起訴する・起訴しないを判断するような描写があるのだが(実際は、逮捕・送致された被疑者の起訴・不起訴の判断は検察官がする。この小説では検察官の存在がすっぽり抜けてしまっている)このあたりは現実とかけ離れている。 目の肥えた多くのミステリー・ファンは、こういった方面の知識を豊富に持っているので、このような描写を読まされてしまうと一気に興ざめしてしまうことが往々にしてある。筆者の得意なSFだったら「未来の警察はこうなっているんだ!」と逃げることができるが、本書はあくまで2019年から2020年というリアルに現在の話なので、そこはもう少し慎重に書いていただければ幸い。 ただ、筆者がこの作品を書くためにシリアの状況や難民問題について相当の研究をされて、これだけの作品を完成させることができる能力をお持ちなので、日本の司法手続きなどは、その方面のモノの本を2、3冊読んでいただければ、すぐにご自分のものにしてしまうだろうから全く心配はしていない。次回作は本格的な警察ものを読んでみたい。 最後につまらないことを書いてしまったが、こういった点でこの本の価値が下がるということは1ミリも無いので安心して欲しい。 最初にも書いたが本書はハードボイルド・アクション・ミステリー・エンターテインメント小説の傑作になることは間違いない。 | ||||
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難民の受け入れ開始から数年,二〇二〇年の日本,東京が舞台となっていますが, パラレル世界とはいえ,現在と近すぎる時代設定にまるで別の国のような第一印象. ただ,それも序盤のわずかだけで,とある事件を追い続ける記者の孤独な戦いと苦悩, そこへミステリの雰囲気を交えていく展開に,静かですがスッと引き込まれていきます. また,重要な意味合いを占める難民について,ニュースなどで聞いた覚えはあっても, 存在や歴史への知識はあやふやで,自分が全く理解をしていなかったことに気付きます. 反面,地の文が何かにつけて説明的に映ることがあり,そのあたりは好き嫌いが割れそう. とはいえ,待望の真実にたどり着いたはずが,まるで底を見せそうにない中盤以降, 一方で実は何もわかっていないのではと,大きな見落としの不安すら抱かせる終盤は, 記者の男だけではない,前に進めない者たちの『次の一歩』を見届ける流れを予感させ, 事件の真相ももちろんですが,彼らが何を探し求め,見つけ,踏み出すのかが楽しみです. | ||||
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著者は化けたと思う。 著者の著作は幾つか拝読してきたが、本作が一番切れている作品だと感じた。 導入のあらすじは以下のとおりだ。 近未来、難民を受け入れた日本、東京――。 だが、都知事が狙撃され、犯人と目されたのは難民の男だった。 勾留中の容疑者が獄死した後で、この物語は始まる。 主人公・天宮はフリーのジャーナリストであり、事件の真相を追っている。 ここに難民の――おそらくはテロリストと思われる男が絡んでくる。 男は己の正体を明かさず、断片的な情報を提示し、天宮に事件を捜査させる。 その中で天宮は狙撃され一命を取り留めた都知事や、難民たちの地下組織と接触することになり、それぞれの立場を理解していく。 やがて都知事狙撃に使われた銃が自衛隊の装備品だという事実が判明し――。 ――と、序盤からかなり展開が早い。 難民受け入れと、それに伴う軋轢など、正直な話、誰も見たくはない現実なのかもしれない。 現実がそうであるように、そこには明確な答えなどないのかもしれない。 だが本作は、その泥濘のような現実の中を、ただ前にと足掻き続ける者たちの生き様を描き、それを見事にエンタメとして昇華している。 素晴らしい。 著者の次の作品も期待している。 | ||||
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