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黒き微睡みの囚人



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【この小説が収録されている参考書籍】
黒き微睡みの囚人 (竹書房文庫)

黒き微睡みの囚人の評価: 4.25/5点 レビュー 8件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.25pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全8件 1~8 1/1ページ
No.8:
(3pt)

評価出来るのは設定とインパクトのみ…作者の力量不足☆

夏季休暇中にふと思い出してレビューした一冊。
独裁者の代名詞たるアドルフ・ヒトラーが、権力獲得直前で「大転落」と呼ばれるアクシデントでドイツを追われ、亡命先のロンドンで何故か私立探偵で糊口を凌ぐといった小説作品。
請け負った失踪事件やその捜査中で出会した殺人事件などを追うといったハードボイルド調でありながら、孤高の騎士を気取る反面、SМに興じる(ヒトラーこと“ウルフ”はМ!)姿には、思わず吹き出さざるを得なかった(#^.^#)
ただ謎解きとしては物足りなさを感じました…どうせなら、史実を大胆に改変したこの作品世界の深層ー大転落の原因等ーに迫るような血と暴力と謀略が渦巻くスリリングなモノにしてほしかったですね。
また、中盤以降はアウシュヴィッツで刻々と死の時を迎えつつあるとある作家の日々ー現実世界ーとの交差で、この作品世界がその作家の想像(妄想)であることが示唆されているのですが、そのアイディアには面白みを感じるものの、二つの世界を上手く捌ききれているかと言えば、これまた不十分に感じました。
それでも、イギリス・ファシスト党の支援でヒトラーの権力復帰への光明が見えたと思いきや、ゲーリングでもゲッペルスでもはたまたハイドリヒでもない“ダークホース”の登場により、エルサレムへと追放される“オチ”を評価しまして、☆3つと致します♪
黒き微睡みの囚人 (竹書房文庫)Amazon書評・レビュー:黒き微睡みの囚人 (竹書房文庫)より
4801917496
No.7:
(5pt)

キャラクターとしてのヒトラー

何を言ってもネタバレになりそうですが少しだけ

キャラクタとしてのヒトラーを魅力的に生き生きと描かれていますね。

また、普段小説を読む習慣の無い方にもオススメ出来る頭に入りやすいストーリーと語り口です。

ひと月以上かけてゆっくりと読みましたが、ストーリーを忘れることもなく、遡ることもなく読み終えることができました。

内容については...触れない方が面白いですが

ヒトラー氏...その...
開発されすぎでは?

そういう描写はなかなかアダルトな内容だとは思います。

ともあれ
肩の力を抜いて読める作品です。

弄られまくる宿命の悪役としての歴史上の人物を魅力的なキャラクターとして描いている名作だとおもいます。
黒き微睡みの囚人 (竹書房文庫)Amazon書評・レビュー:黒き微睡みの囚人 (竹書房文庫)より
4801917496
No.6:
(5pt)

歴史改変ものとして良作。

ドイツで共産主義が勝利し、ナチスが政権掌握に失敗した世界のロンドン。イギリスに流れ込んだドイツ人は排斥される立場となり、かつて総統であったヒトラーは『ウルフ』と名乗り冴えない探偵として燻る日々を送っていたが、ある時ユダヤ人の美女が持ち込んだ依頼によって転機が訪れる。
地位も後ろ盾もないヒトラーは時に虐げられ、時に蔑まれながらも孤独に戦い、ナチス勃興に寄与したであろうその激しいルサンチマンと根性を武器に事件を追っていく…という歴史改変ハードボイルド小説。
いちばんの見所は、全てを失ったヒトラーと事件を追う先々で出会う元ナチ幹部との邂逅。現実ではありえない情勢と立ち位置でかつての『総統』と対峙する彼らは、虚構でありながらもどことなく本物らしさを感じさせる。
史実で彼の周囲を彩っていたレニ・リーフェンシュタールやユニティ・ミットフォード等の女性達もまた物語を彩ってくれるが、個人的に最も歴史の妙を感じさせてくれたのは、史実ではドイツとイギリスの開戦に絶望し拳銃自殺を図ったユニティがこの世界ではヒトラーに同情する立場となっていることだった。
現実と比べるとあまりにも皮肉の効いた世界で探偵である『ウルフ』がどのような結末を辿るのか、最後まで目が離せないのはやはりヒトラーだけでなく他の歴史上の人物達までもが生き生きと描写されているためだろう。
ちなみに肝心の探偵部分だが、これはこれで楽しめる水準であるものの、やはり第三帝国とその中心にいた幹部達についての知識があるのと無いのとでは大分面白さが変わってくると思う。あくまで歴史改変モノとして前提としている史実情報を知っている方が楽しめるだろう。
他のレビューでも指摘されているように、アウシュビッツの作家視点で時折差し込まれるパートが、この物語が『枠構造』であるということを示す以外に大きな役割はないように思えるので印象が薄いのが唯一惜しいところだろうか。
黒き微睡みの囚人 (竹書房文庫)Amazon書評・レビュー:黒き微睡みの囚人 (竹書房文庫)より
4801917496
No.5:
(5pt)

私立探偵ヒトラー

もし、ヒトラーが私立探偵だったら・・・という歴史改変もの
史実ではナチスが政権を握り、国会議事堂の放火をきっかけにして共産主義者や左翼勢力は大弾圧をうけることになったわけですが、この世界では共産主義者が政権を握り、ナチスは徹底的に弾圧されてしまいます
辛くも弾圧から逃れたヒトラーは難民としてイギリスに亡命しますが、かつての栄光を完全に失い、しがない私立探偵として、毎日の生活をなんとか送る日々
そんなうらぶれたヒトラーのもとにあるユダヤ人女性から依頼がきて・・・というところから物語は展開していきます
ドイツから大勢の難民を受け入れたイギリスでしたが、そのせいで難民排斥をとなえる極右勢力が台頭してしまうというところも現代の世相を取り入れて皮肉が効いてます
この小説は安っぽいパルプフィクションという形式をとっているせいか、エログロ描写が多く、その辺はかなり好みが別れそう
ヒトラーが主人公だから、当然といえば、当然ですが、ユダヤ人に対する差別描写もわんさか出てきて、これは著者がユダヤ人だからこそ書けたんでしょう
ナチスに詳しくなくとも楽しめますが、ルドルフヘスやゲッペルスなどナチスに詳しい人ならだれもが知ってる人物も大勢出てきますので、ナチスについて詳しいとより楽しめると思います
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4801917496
No.4:
(2pt)

余りの暴力描写に、胸の悪くなる様な「パルプフィクション」

翻訳者も「訳者あとがき」で書いているように、これは正しく「パルプフィクション」です。
過大な暴力描写、性描写に、読んでいて「胸が悪くなり」ます。
折角1200円も払って買った本なので、我慢して読みましたが、「文学的」に「美しい描写」は、「レニ・リーフェンシュタール」との「再会」の場面だけ。読もうか読むまいか思案している方には、「読まない方が良いですよ」と言いたいです。
細かい事ですが、プロの翻訳者なのだから、カトリック教会の「牧師」という「誤訳」に気づいて欲しいと思います。
昔、「カストリ雑誌」という代物があったそうですが、この本は、それに相当すると言えるでしょう。
お勧め出来ない一冊です。
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4801917496
No.3:
(4pt)

あまりにも有名な"あの男"を主役にした異形の「正当」ハードボイルドの佳作

時は1939年、ロンドン。うらぶれた探偵事務所を一人の美しい女が訪ねてくる。ユダヤ人である女が訪ねた探偵の名前はアドルフ・ヒトラーという・・・。作中では『大転落』と呼ばれる、33年の政権掌握の失敗から分岐した改変世界を舞台にした「探偵」アドルフ・ヒトラーの探索行。
 スピレインは言うに及ばず、ハメット、チャンドラーから先行するサパ―の『ブルドッグ・ドラモンド』シリーズまで、『ハードボイルド/クライムフィクション』ジャンルが差別と偏見のデパートが如き表現(もちろん、『ユダ公』と並んで『チビのイエロー』も槍玉に挙げられていた)に満ちていたのはつとに有名だが、それをヘイトの王様が如き男を主役に展開して見せるあたりに作者の悪意が光る。類似作として『SF作家』アドルフ・ヒトラーの著作が作中作として全編に展開されるノーマン スピンラッドの「鉄の夢」があるが、同作の陳腐で醜悪な三文小説に対して、本作は中々どうしてちゃんと『ハードボイルド』しており、我らが主人公の、排他主義と女性蔑視に猜疑心と、あらゆる負の感情から成るルサンチマンが結果的にあらゆる権威・権力におもねらない反骨心に見える様は何と「卑しき街を行く誇り高き騎士(本作の表現なら『渾沌と戦う戦士』)」に似ていることか。この逆説的構図こそ本作最大の魅力であり、その頂点に達するクライマックスの展開は某有名テレビシリーズのオマージュと思われるが、この「オチ」なら故ロッド・サーリングもきっと満足することだろう。

 惜しむくらいは外枠部分の『アウシュビッツの囚人』パートがあまり機能しているように見えないこと。本筋とあまり絡まない上に、この時代の、しかも長らくゲットーにぶち込まれていたユダヤ人が知るはずがない情報を知ってたりするがゆえに、その悲惨さにも関わらずその存在は何やら嘘くさく、ともすれば 悪名高き「指導者原理」ゆえにナチの残党にもアメリカ人のナチの再利用にも距離を取るヒトラーが時々「ヒーロー」に見えてしまうことへの言い訳に見えてしまうのはとても残念
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4801917496
No.2:
(5pt)

面白かった!

突飛な設定が一見B級映画のような印象を受けるが、実に面白かった。数々の賞を受賞したのも頷ける。一読の価値ありです。
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4801917496
No.1:
(5pt)

【ネタばれあり】アイヒマン登場は予想外すぎた

あのヒトラーが「ウルフ」と名乗って探偵をやっている。それも、一度はドイツで権力を手にした後、政変によって祖国を追われて亡命した先のロンドンで、である。

 もうこの設定で勝ちである。ナチが出てくる物語にありがちな、設定だけ面白くて物語としては退屈なものであってもすべて受け入れられるレベルである。
 だが、本書は設定だけではない。ちゃんと、最後まで物語として面白い。奇跡と言っていい。
 探偵小説としては、いくつかの事件が入り乱れて一本になるかと思いきや、各々の事件は結局個別に雲散霧消するという問題はある。けれど、あくまでウルフの物語として見れば、すべての事件に関連して発生した事象が最後にうまく合致して、一つの結末に至る爽快感がきちんと存在している。しかも、ウルフが置かれた英国の情勢が実にうまい。ウルフの世界では、1933年にドイツで「大転落」と呼ばれる政変が起きた結果、元ナチを含む大量のドイツ人が英国に難民として流入しているのである。結果として、英国内ではオズワルド・モズレーの政党が人気をあつめ、ウルフはかつの自分の似姿によって排斥される側に回る。安直と言えば安直な筋書きだが、何しろ焦点を当てられている主人公がかつてのアドルフ・ヒトラーであるので、それだけであまりにも面白い。
 さらに、探偵ウルフが直面する事件にかかわる人物も素晴らしい。事件にまつわる重要人物として次から次に元ナチたちがさまざまに変化した立場で現れては、かつての彼らのボスに対して以前とは異なっていたり、同じようでも逆にウルフの変化が浮き彫りになるような態度で接するのである。本書の見どころはこの、歴史改変世界の実在人物オンパレード部分と言っていいはずだ。ほかに見どころがあるとすればことあるごとにウルフを襲い来る災難だろうが、それも中盤以降はやや鳴りを潜めてしまう。その点、個性豊かな実在人物たちは終盤まで実にそれぞれの人物らしい描写とともに現れてくれるので、実にナチス趣味者にやさしい仕様だ。この本を出版してくれてありがとう竹書房、フォーエバー竹書房。

 なお、物語の仕掛けとしてこちらの世界で収容所に入れられているSF作家の見た幻想という形はとっているものの、分量としてはほぼ探偵ウルフの物語がメイン扱いとなっている。お互いに相手の状況を垣間見ることはあれど、双方の行動が相手方に影響を与えることもなく、最終的にSF的なギミックで話をまとめられてしまう心配も全くない。しかも、収容所内のSF作家が知るはずのない、戦後有名になった親衛隊員たちやイアン・フレミングなどといった名前が出てくるあたり、ウルフの世界は作中的には幻覚ではなく、あくまでどこかの平行世界という設定だと思われる。そういうことも含め、ウルフの物語をちゃんと最後まで読むことができるので安心していただきたい。
黒き微睡みの囚人 (竹書房文庫)Amazon書評・レビュー:黒き微睡みの囚人 (竹書房文庫)より
4801917496

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