チャリオンの影
評判
チャリオンの影の評価:
4.54/5点 レビュー 13件。 A ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1〜12 1/1ページ
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チャリオンの影の評価:
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1年以上にも渡って死と隣り合わせの日々を送った挙句、カザリルはチャリオンと親交のあるイブラ国の艦隊に救われるのだが、心身ともに傷付いた彼には帰るところもなく、小姓時代に仕えていたバオシア藩の太后の元に身を寄せる。
バオシア藩太后の宮廷には彼女の孫であるテイデス国子とイセーレ国姫が滞在しており、皿洗いでもさせてもらえればと伺候したつもりのカザリルは、地理や語学などの学識と豊かな経験を買われてイセーレの教育係家令に任じられる。
しかし平穏な日々は長くは続かず、国主オリコは国妃との間に子供をもうけることを諦めたらしく、義理の弟で第一継承権を持つテイデスとその姉イセーレは共に首都カルテゴスの宮廷へ出仕を命じられた。
カルテゴスで権力を縦にしているジロナルこそは、かつてカザリルを奴隷の境遇に陥れた張本人であり、彼が生きていることを知れば再び手を打ってくるかも知れない。
カザリルは不安を抱えたままイセーレの家臣としてカルテゴスを訪れるのだが・・・
中世のイベリア半島におけるキリスト教勢力とイスラム教勢力の争いをモチーフにした異世界ファンタジー三部作の開幕。
かつては壮健であったと思われる主人公カザリルは、ガレー船の漕ぎ手としての心身ともにボロボロとなっており、次第に回復しつつはあるものの、特に精神面が脆くなってしまったようで、やたらに涙腺が緩むという体たらく。
未だ三十代半ばながら自分の残りの人生を余生のように思っているカザリルではあるが、主人イセーレ国姫の窮地に際して一命を賭すのは天晴れな家令根性だろう。
前半は殆ど宮廷陰謀劇としての展開に終始するのだが、イセーレが厭う相手との政略結婚を阻止するために命を賭けた呪術を用いたことから神と魔と霊を一つ身体の中に抱えることとなったカザリルを襲う深い苦悩が後半の見所になる。
「依代」を使ってではあるが神々が比較的簡単に顕現したり、ご都合主義的な複線など軽々しい面は異世界ファンタジーとしてはマイナスだと思うが、スピーディな展開と登場人物の元気の良さが気持ちよい。
「スピリット・リング」もそうたが、ビジョルドのファンタジーの中に少女漫画的な部分を感じる。
性別は逆転しているものの、コンプレックスを抱いているがために恋愛に積極的になれない主人公という設定は少女漫画の中ではありふれたものだろう。
三十代半ばのカザリルでは「晩熟」と表現することはできないけれども。
ところで、奴隷船に売られた後は仕方ないとして、それ以前にもカザリルに女の影がないのは極めて怪しいので、ベトリスには国主となったイセーレの力も借りるなどして根堀り葉堀り問いただして欲しいところだ。