■スポンサードリンク


厭世フレーバー



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
厭世フレーバー
厭世フレーバー (文春文庫)

厭世フレーバーの評価: 4.06/5点 レビュー 16件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.06pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全13件 1~13 1/1ページ
No.13:
(4pt)

ドラマ性は少ないかもしれない

作者の『イレギュラー』を読んでよかったので、読んでみたが、比べると少し落ちるかなといった感じがする。
 
 本作は、父親が疾走してしまった5人の家族の、それぞれの視点で描かれた5篇の話で構成されている。
 
 このような話だと、家族が不満をぶつけあって、何かを見出し、絆を深めていくものが多いが、この『厭世フレーバー』ではそのようなことが一切ない。
 それぞれが疾走した父や他の家族、周りの人間や社会に対する不満を持っていることは同じだが、それを他人にぶつけるでもなく、自分の中で答えを出し、それで一遍は終わってしまう。

 自分は物語にはそれほどドラマ性を期待しないほうだけど、読んでいて「少し盛り上がりに欠けるかな」と思ってしまった。
 しかし、よくよく考えると日常にそうゴロゴロとドラマが落ちているわけでもなく、まぁ「これはこれでアリなのかな」と思い返した。

 物語にドラマ性を多く求める人には、たぶんつまらないだろうからお勧めしない。
 だが、物語に「教え」を求める人が読めばきっと気付くことも多いと思うので、そのような人には是非読んでほしい。
厭世フレーバーAmazon書評・レビュー:厭世フレーバーより
4163242007
No.12:
(4pt)

家族をつなぐ希望の輪

ちぐはぐな家族の成長を、章ごとに語り手を決めて年齢順に構成していく家族小説なのですが、一見バラバラに見えていた家族の間に、最後の最後で一つの「輪」がぼんやり浮かび上がるのがいいです。

最初の語り手、14歳の中学生「ケイ」が、最後の語り手、73歳の祖父「新造」の物語の最後に登場し、そこに物語全体をつなぐ希望の「輪」ができる、というか。

一番下っ端で、一番人生経験のないはずの「ケイ」の未熟なひたむきさが、戦争を生き抜き、波乱に満ちた人生を歩んだ「新造」の厭世観の中に、小さいけれど前向きな灯をともします。最後、「手綱なんて関係ない」と走り出すケイの姿で終わるのが、この物語の希望なのでしょう。

なかなかいい小説です。
厭世フレーバーAmazon書評・レビュー:厭世フレーバーより
4163242007
No.11:
(4pt)

父親失踪後の家族それぞれの様子

父親失踪後の家族それぞれの様子を描いています。「14歳(次男)」「17歳(長女)」「27歳(長男)」「42歳(妻)」「73歳(祖父)」の5章です。5章ありますが、それぞれにつながりがあります。14歳(次男)は、陸上部をやめて、新聞配達をする。17歳(長女)は、おでん屋でアルバイトに励む。27歳(長男)は、失業しているが何とか家族に金を入れようと苦心する。42歳(妻)は、酒びたりになって、一切の家事を放棄する。73歳(祖父)は、ますますボケがひどくなる。

父親のことは、特に「42歳」の章にかかれています。とにかく変わった人だなという印象があります。

一見するとそれぞれにがんばっているんだけど、バラバラなため、なかなか相手に認めてもらえない。結局、父親は帰ってこないし、どこにいるのかわからないのであるが、あることで家族が団結するのである。最後はハッピーエンドで終わるのがいいかな。全体的にはあまり悲壮感なく読めるかなと思う。
厭世フレーバーAmazon書評・レビュー:厭世フレーバーより
4163242007
No.10:
(4pt)

面白い展開の中に見る家族の意味!

父親が会社をリストラされ失踪。残された家族の再生の物語。章ごとに語り手が変わり,物語も年齢相応に深くなっていきます。長男の章の後半あたりから,家族の秘密が徐々に明らかに。

回想でしか出てこない父親のキャラ設定が,ぶっ飛んでて面白い。「世界を救う」という彼の目標が,どういう形で実現したのか。その内容が個人的にはツボでした。「人生を賭ける」という言葉を安易に使ってはいけないな,と思わされます。

父親のリストラをトリガーにして「時代に負けず,前を向こう」というメッセージを込めているところが,この作者らしいと感じます。
厭世フレーバーAmazon書評・レビュー:厭世フレーバーより
4163242007
No.9:
(4pt)

家族それぞれの想い

リストラされた父が失踪 14歳の次男は陸上部を辞め、新聞配達を始める 17歳の長女は優等生を辞め、深夜までバイト 27歳の長男は実家に戻り、家族に内緒で肉体労働 42歳の母は家事を放棄し、酒浸り 72歳の祖父はボケが進行し、何度も食事を求める 1章ごとにそれぞれの秘めた想いや過去が明らかにされていき・・・

現状だけを見て、嘆いていても仕方がないのです。過去があって、現在があり、未来へ繋がるのです。何かのきっかけで、これに気づいたとき、軌道を外れた人生が、修正されるのです。

かなり深刻な状況に思える一家ですが、テンポのよい文章と、アクのないキャラクターのお陰で、楽しく読める小説です。
厭世フレーバーAmazon書評・レビュー:厭世フレーバーより
4163242007
No.8:
(4pt)

家族一人一人しっかり考えて生きてるんだ

人の褌でレビューですが、以下のPod Catsingで聞けます。
[...]

ある日突然父親が蒸発。
家族一人一人の一人称で各章が語られていく作風は斬新。
厭世フレーバーAmazon書評・レビュー:厭世フレーバーより
4163242007
No.7:
(5pt)

新作を激しく希望

本書は、家族五人のそれぞれの視点で話が進められてゆく。正直ケイとカナの第一章、二章を読んでる時点では、おもしろいのだが前作ほどではないかなと思っていた。だが転機は第三章のリュウが語り手になったときに訪れた。ここで話は大きくうねる。作者の本領発揮という感じだった。アイドル状態だったのが、いよいよ始動開始という感じだ。第一章で棚上げだった事柄もここで思わぬ方向から解明され、章の終わりではささやかで笑ってしまうサプライズもおきる。続く第四章の薫のパートでは、失踪した父親との馴れ初めが綴られる。ここは笑ってしまった。おおいに笑ってしまった。そしてラスト、ボケ老人の新造がトリを務めるのだが、ここへきて物語は一挙に深く深く心に食い込むことになる。ここで語られる新造の生い立ちがホント読ませる。トーンまでがガラリと変わってしまう。この家族はほんとワケありなのだ。普通じゃない。こんな家族にはそうそうお目にかかれない。ゆっくりと明かされる新事実には、悲劇の匂いが付きまとっている。にも関わらず、やはりこの作者の手にかかればそういう物語も一転して暗さの欠片もない明るい世界になってしまうのだ。

本書はハッピーエンドで幕を閉じる。いいね、いいね。これだから好きなんだ。卓越したユーモア、悲しいはずなのに明るい世界、ポジティブな波がどんどん押し寄せてくる。

三羽さん、読み終わった瞬間に次の作品が待ち遠しくなってしまいました。はやく新作書いてください。
厭世フレーバーAmazon書評・レビュー:厭世フレーバーより
4163242007
No.6:
(4pt)

この感じ分かる

正直第一章は読みにくく感じた。

しかし、ユーモアのセンスが抜群。

作者の視点は、いわゆるひとつの「ニート」にはきついかもしれないけど、まあ励ましだと思えば。

最後の爺さん、いいなあ。
厭世フレーバーAmazon書評・レビュー:厭世フレーバーより
4163242007
No.5:
(4pt)

パワフルの期待の新人

とても力のある文章だった。特に第一章。うざくて、めんどくて、何もしたくない、という投げやりでネガティヴな勢いが、どこかでポジティヴなものに変わる。しかもそれを単純に明るいストーリーに持っていかない粘り強さがいい。そうしたエネルギーをつつむ家族全体の構図、歴史が章を追うごとにだんだん明らかにされていくのだが、ちょっと小さくわかりやすくまとめすぎた感があったのが残念と言えば残念だけど、放り出していないだけ、これからの可能性を感じさせる作家だった。
厭世フレーバーAmazon書評・レビュー:厭世フレーバーより
4163242007
No.4:
(5pt)

厭世フレーバー

ラジオで紹介されてたので早速購入しました。

かなり面白いです。14歳17歳27歳42歳73歳の心の中のもどかしさや葛藤の日々をその年齢に応じて描かれてます。かなりはまりました。
厭世フレーバーAmazon書評・レビュー:厭世フレーバーより
4163242007
No.3:
(5pt)

新しくもあり古典的な小説!!

あー面白かった!!
聞いたことない作者だったけれども、人間、名前じゃないね。中身でナンボです。
 突然、失踪した父親。残された家族4人。
14歳の次男、17歳の長女、27歳の長男、42歳の妻、73歳の祖父、それぞれが語るという構成。だんだん家族の歴史が明らかになる――。
 重くなりそうなテーマだけど「フレーバー」というタイトルから、うかがえるようにとってもポップ。明るい。「蛇にピアス」ばりの現代口語文体なんだけど、中身が違う。「厭世(えんせい)」というタイトルどおりに、古さが漂う。「家族とは?」という古典的なテーマを扱っている。
 毎日生きてると、あっそうだったのかって思うことあるじゃないですか。他の家族から見たらガキでしかない14歳。生意気盛りの17歳。年相応に悩みは、悟りはある訳で。その悟りがとーっても素晴らしい。面白い。途中、何度も笑い声をあげてしまった。電車の中で読まなくってよかった。
 年齢が近い27歳の長男の語りで親近感が湧き、酒びたりの42歳の母親あたりで加速。最後、家族の中でボケた爺という扱いでしかなかった73歳が語る過去。ええー!!みたいな展開。ポロリ。
 作者の伝えたいこと、テーマがしっかりあって、現代的でありながらも、実はとっても古風な小説。個人としては孤独。一歩近づくと親密。家族という集合体の中では、その一歩の差がベルリンの壁なわけで。
うーん。すごい!!
さてと、もう一回読んでみよ。
厭世フレーバーAmazon書評・レビュー:厭世フレーバーより
4163242007
No.2:
(4pt)

本当の秘密は大人が隠し持っている

一家の主である父親がリストラされ、退職金の一部を持って失踪。
残された家族は73歳年金の祖父、専業主婦の母親42歳、独り暮し中の長男27才、高校生の長女17歳、次男中学生14歳。
生活費が入って来なくなった家族に、長男が戻り家族が動き出す。
この本が面白いのは、家族の年齢順にバトンリレーされて進む所。
14歳が感じる家族の現状から始まり、ラスト73歳までの全5章で、年齢を重ねるほど秘密が大きく、隠し方も巧妙だ。
14歳が背負える問題はやはり14歳レベルで、73歳が背負ってきたものは、今ボケが進行してきても、かなり深刻な秘密を背負ってる。
一緒に暮らしてるのに、バラバラでケンカもしてる家族が、少しづつ父親無しの生活に折り合いをつけてゆく。
過剰に悩むときも10代ならあるかもしれないけど、ちっとは適当でも、家族って旨くいく。
他所の家もこんな感じかも・・・と思わせる普通っぽい家族話。
表紙のキリ絵が恐すぎて、そのギャップはあるかも。
厭世フレーバーAmazon書評・レビュー:厭世フレーバーより
4163242007
No.1:
(5pt)

父親の失踪を機に、家族の混乱を描いた作品

物語は、日常が崩壊した家族の、ふたたび現実に向き合うまでの混乱の日々を描いた家族物語。豪快で型破りな父親がリストラを機に失踪。残された家族たちの生活も一転し、中学2年生のケイは、中学卒業とともに家を出ようと陸上部を辞めて新聞配達を始め、17歳のカナは、おでん屋で深夜までバイトをし、27歳の長男のリュウは、家長の意識に目覚め、家族の生活費を稼ぎだすように。そして42歳の母の薫は家事を放棄し酒浸りに……。
 父親の失踪を機に、家族がバラバラになり、その混乱を描いた作品ですが、14歳の少年の苛立つ日常を皮切りに、家族の秘密が少しずつ語られていき、家族の絆とは何かという重いテーマを軽快に描いた作品です。
厭世フレーバーAmazon書評・レビュー:厭世フレーバーより
4163242007

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!