ファイアスターター
評判
ファイアスターターの評価:
4.53/5点 レビュー 36件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全38件 21〜38 2/2ページ
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ファイアスターターの評価:
4.53/5点 レビュー 36件。 B ランク
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今読んでみると、色んな作品に本書が影響を与えているなと思う(宮部みゆき「クロスファイア」荒木飛呂彦「バオー来訪者」柴田昌弘「紅い牙シリーズ」等)。
女の子が発火能力を持っているという設定は宮部みゆきの「クロスファイア」と共通項。
「クロスファイア」の青木淳子は妙齢の女子だったが、こちらは10歳にならないくらい(だったと思う)の少女チャーリー。
彼女の父母はある秘密の人体実験に関わった為に超能力者となってしまう。そのふたりの間に生まれたのがチャーリー。彼女は生まれた時からその能力を持っていた。
やがて秘密実験を行った組織「ザ・ショップ」が彼らの能力を嗅ぎ付け、捕らえようとするのだが…。
上巻は父子の絶望的な逃避行が展開。絶体絶命ぶりに心臓がギュウギュウ締め付けられる。クロスファイアのように派手な戦闘シーンもあって、読み応えタップリ。
淳子の能力を解き放つ事への渇望、能力と生理現象を結びつけたような表現はこの作品に原典を見たような気がする。(前例がもしかしてあるかもしれないが)
私が特に感嘆を覚えたのは、超能力者の頭の中で起こっている異変を読者の脳内へ直接叩き込んでくるようなキングの筆致。
超能力の表現はこれ以前に宮部みゆきの作品を読んで「凄い」と思っていたが、これはまさにキングの真骨頂。
物理的に存在しないものをまざまざと読者の脳内に再構築させる力技。それだけでも私的殿堂入り作品。
超能力の派手で目を惹く出来ごとのかたわらに、そっと添えられたキングが繰り返し描くテーマがある。
親子の関係を描いた部分だ。
子どもを愛しいと思い、父親をいたわり頼りにする…普遍のテーマに混じって低く不協和音のように響いているのが「しつけ」。
幼い娘に「衝動」をコントロールするよう教えねばならないと父親は気づいてゆく。
父は「力」を使うと激しく消耗し肉体も精神も損なわれてゆく。対する娘の「力」は開放を待ちかねているように強大だ。
強大な力は恍惚とした境地へ彼女を誘い、開放には快感がともなう。
彼女の様子を見て取った父親はその衝動を統べるよう導こうとするのだが、幼い娘がそれを理解するのは難しいのだった。
理性が肉体や本能の叫びをまだ上回らない子どもを教え導こうと心痛める親の姿に共感する。
そしてその本能が非常に危険な結果に直結しているジリジリ・ヒヤヒヤする感覚に引きずっていかれる。
感覚や感情の根っこをガッチリ押さえ込まれて、物語世界に引込まれる。
キング作品のおそろしいところだ。