ギンイロノウタ

【この小説が収録されている参考書籍】

【この小説が載っている参考書籍】

評判

ギンイロノウタの評価:

3.93/5点 レビュー 15件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点3.93pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全30件 21〜30 2/2ページ
No.10
(5pt)

「膨張する憎しみによって壊れていく少女と女子大生の姿」

『しろいろの街の、その骨の体温の』で第26回三島由紀夫賞を受賞した小説家・村田沙耶香の『ギンイロノウタ』(第31回野間文芸新人賞)が文庫化された。

彼女の作品は、子どもの頃に抱き、そしていつのまにか薄れていたどことない違和感や欲望、そして絶望を思い出させる。懐かしい胸のざわつきに苦しみ、戸惑いを覚えながらページを進めていけばいくほど、強烈で生々しくドロドロとした性描写のように、それらがまとわりついてくる。そこにはなぜか罪悪感も混じっている。

学校で繰り広げられる残酷な駆け引き、家庭での疎外感に覚えのない人は少ないのではないだろうか。収録されている二編の作品(『ひかりのあしおと』、『ギンイロノウタ』)は、それらの中で、膨張する憎しみによって壊れていく少女と女子大生の姿を描く。読む人を選ぶ作品だろう。しかし一度は手に取ってみて欲しい。

【Reviewed By Synodos/シノドス】
ギンイロノウタ (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ギンイロノウタ (新潮文庫)より
4101257116
No.9
(5pt)

「膨張する憎しみによって壊れていく少女と女子大生の姿」

『しろいろの街の、その骨の体温の』で第26回三島由紀夫賞を受賞した小説家・村田沙耶香の『ギンイロノウタ』(第31回野間文芸新人賞)が文庫化された。

彼女の作品は、子どもの頃に抱き、そしていつのまにか薄れていたどことない違和感や欲望、そして絶望を思い出させる。懐かしい胸のざわつきに苦しみ、戸惑いを覚えながらページを進めていけばいくほど、強烈で生々しくドロドロとした性描写のように、それらがまとわりついてくる。そこにはなぜか罪悪感も混じっている。

学校で繰り広げられる残酷な駆け引き、家庭での疎外感に覚えのない人は少ないのではないだろうか。収録されている二編の作品(『ひかりのあしおと』、『ギンイロノウタ』)は、それらの中で、膨張する憎しみによって壊れていく少女と女子大生の姿を描く。読む人を選ぶ作品だろう。しかし一度は手に取ってみて欲しい。

【Reviewed By Synodos/シノドス】
ギンイロノウタ Amazon書評・レビュー: ギンイロノウタより
4103100710
No.8
(3pt)

誰が読むのだろう?

文庫化して再読。「新潮」2008年7月号に初出なので5年ぶりくらいになる。村田は、野間新だけでなく三島賞まで取っているのに、芥川賞は候補にすらなっていないのだから、出世したのかしてないのかよくわからない作家だ。この作品については、発表当初から少し古いと感じていたが、最近起こった慶應大生の自殺教唆の事件(2014.02)から、まぁ被害者が読むような作品になれなかったのだろうと、残念に思った。(それでレビューを書いている。)

 まあつまり、インターネットが登場して、内向的で文章能力のある人間はだいたいネットカルチャーに触れるようになって、というのが90年代末からで、南条あや(1980-1999)はかなり先駆者だったとしても、そこに触れないと同時代のフィクションとして説得力を持たないんじゃないか、ということだ。
(補足するなら、佐世保の女児殺害事件(2004.6)の加害者の少女は、小説「バトル・ロワイヤル」を元にした同人小説をネット上に公開していた。)

 説得力、つまり、希求力がないなら、それは読まれない、誰のための作品なのか? 誰が読むのか、ということになる。別に普通の人が娯楽としてフィクションを手に取るのも一つの形だと思うが、切羽詰ってる人が手に取る作品として、この小説のような「純文学」が選ばれててくるのでなければ、その表現は一部の物好きのためのものでしかなくなる。

 現にそうなのだが、1979年生まれの村田も、出てくるのが2000年代後半からでなければ、また違った評価だったかもしれない。もしくは生まれてくるのが遅ければ、か。高校の先輩に誘われてセックスするも、うまくいかず、というだけでなく、ネット経由で不特定多数の相手とつながるのが、90年代後半からの光景(落とし穴)なのだ。そういう経歴を持つ「メンヘラ」ーそれこそ経験人数が数十人、はいくらでもいる。そういったネットカルチャーの暗部に主人公が触れることなく終わるのは、やっぱり一昔前の作品という印象になる。

 作品自体の完成度は高いとは思う。ただ、作者が何を期待して書いたのかは分からないが、この作品はあまり「届かなかった」し、これからもそうだろう。特に若い世代には、と僕は思うのだが、それは結構致命的なものだと思う。(文庫の帯や解説で、それなりの年齢の人が賞賛しているのを見ると、そのあたりの感覚の差がとても残念に思う)
ギンイロノウタ (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ギンイロノウタ (新潮文庫)より
4101257116
No.7
(3pt)

誰が読むのだろう?

文庫化して再読。「新潮」2008年7月号に初出なので5年ぶりくらいになる。村田は、野間新だけでなく三島賞まで取っているのに、芥川賞は候補にすらなっていないのだから、出世したのかしてないのかよくわからない作家だ。この作品については、発表当初から少し古いと感じていたが、最近起こった慶應大生の自殺教唆の事件(2014.02)から、まぁ被害者が読むような作品になれなかったのだろうと、残念に思った。(それでレビューを書いている。)

 まあつまり、インターネットが登場して、内向的で文章能力のある人間はだいたいネットカルチャーに触れるようになって、というのが90年代末からで、南条あや(1980-1999)はかなり先駆者だったとしても、そこに触れないと同時代のフィクションとして説得力を持たないんじゃないか、ということだ。
(補足するなら、佐世保の女児殺害事件(2004.6)の加害者の少女は、小説「バトル・ロワイヤル」を元にした同人小説をネット上に公開していた。)

 説得力、つまり、希求力がないなら、それは読まれない、誰のための作品なのか? 誰が読むのか、ということになる。別に普通の人が娯楽としてフィクションを手に取るのも一つの形だと思うが、切羽詰ってる人が手に取る作品として、この小説のような「純文学」が選ばれててくるのでなければ、その表現は一部の物好きのためのものでしかなくなる。

 現にそうなのだが、1979年生まれの村田も、出てくるのが2000年代後半からでなければ、また違った評価だったかもしれない。もしくは生まれてくるのが遅ければ、か。高校の先輩に誘われてセックスするも、うまくいかず、というだけでなく、ネット経由で不特定多数の相手とつながるのが、90年代後半からの光景(落とし穴)なのだ。そういう経歴を持つ「メンヘラ」ーそれこそ経験人数が数十人、はいくらでもいる。そういったネットカルチャーの暗部に主人公が触れることなく終わるのは、やっぱり一昔前の作品という印象になる。

 作品自体の完成度は高いとは思う。ただ、作者が何を期待して書いたのかは分からないが、この作品はあまり「届かなかった」し、これからもそうだろう。特に若い世代には、と僕は思うのだが、それは結構致命的なものだと思う。(文庫の帯や解説で、それなりの年齢の人が賞賛しているのを見ると、そのあたりの感覚の差がとても残念に思う)
ギンイロノウタ Amazon書評・レビュー: ギンイロノウタより
4103100710
No.6
(5pt)

‘いま’をとらえた意欲作

表題作は、2009年度野間文芸三賞受賞作のひとつ。衝撃的な書き出しからセンスの高さが伺えた。秋葉原での事件から通り魔殺人が頻発し、「誰でもよかった」という供述が報道されてきた。閉塞感漂ういまを表現する試みに挑んだ意欲作である。
ギンイロノウタ (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ギンイロノウタ (新潮文庫)より
4101257116
No.5
(5pt)

‘いま’をとらえた意欲作

表題作は、2009年度野間文芸三賞受賞作のひとつ。衝撃的な書き出しからセンスの高さが伺えた。秋葉原での事件から通り魔殺人が頻発し、「誰でもよかった」という供述が報道されてきた。閉塞感漂ういまを表現する試みに挑んだ意欲作である。
ギンイロノウタ Amazon書評・レビュー: ギンイロノウタより
4103100710
No.4
(4pt)

のどの奥にひりつく不快感・・

公衆トイレに押し込められた孤独と恐怖の中で見たピンクの人影と謎の呪文が印象的な「ひかりのあしおと」、押し入れの中にこもって広告から切り抜いた男の視線のなかで耽る自慰行為が印象的な表題作。他者と自分との間の距離感を正確に認識し、折り合いをつけていくことが思春期のテーマであるとすれば、まさに稀代の思春期小説である(そしていずれの主人公も全力で間違った方向へ行こうとする)。
決して長編でもなく複雑な構成でもないのに読み終わった後の徒労感、ひりつくような不快感がとれないのは本作が第一級であることの証明である。
ギンイロノウタ (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ギンイロノウタ (新潮文庫)より
4101257116
No.3
(4pt)

のどの奥にひりつく不快感・・

公衆トイレに押し込められた孤独と恐怖の中で見たピンクの人影と謎の呪文が印象的な「ひかりのあしおと」、押し入れの中にこもって広告から切り抜いた男の視線のなかで耽る自慰行為が印象的な表題作。他者と自分との間の距離感を正確に認識し、折り合いをつけていくことが思春期のテーマであるとすれば、まさに稀代の思春期小説である(そしていずれの主人公も全力で間違った方向へ行こうとする)。
決して長編でもなく複雑な構成でもないのに読み終わった後の徒労感、ひりつくような不快感がとれないのは本作が第一級であることの証明である。
ギンイロノウタ Amazon書評・レビュー: ギンイロノウタより
4103100710
No.2
(4pt)

裏返しの特別意識

自閉症傾向を強めていく少女の自己否定感が、粘つくような確かさで描かれている。母も同傾向を持っているように読み取れる。
 小中時代にシカトされるのは、卵が先か鶏が先か。家庭に真の安らぎがないとほのめかされてもいるが、それも言い訳にはしない。そういったところに自己正当化の理由を求めず、自らを化け物と認識するところが新しい。だが、そうやって裏返しにせよ自分が特別な存在であると思うのは、実際そうなのかもしれないと思わされる。
 池田小事件以来、自分内部だけの理由で殺人を犯す者達の心理の一つを言い当てているような気がする。…私は人を殺しても良い。私は特別な存在だからだ。あなた達がそれを認めないならどうぞ死刑にしてください。…
 私たちはこの挑戦に、冷笑や無視ではなく答えなくてはならないのだろう。
ギンイロノウタ (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ギンイロノウタ (新潮文庫)より
4101257116
No.1
(4pt)

裏返しの特別意識

自閉症傾向を強めていく少女の自己否定感が、粘つくような確かさで描かれている。母も同傾向を持っているように読み取れる。
 小中時代にシカトされるのは、卵が先か鶏が先か。家庭に真の安らぎがないとほのめかされてもいるが、それも言い訳にはしない。そういったところに自己正当化の理由を求めず、自らを化け物と認識するところが新しい。だが、そうやって裏返しにせよ自分が特別な存在であると思うのは、実際そうなのかもしれないと思わされる。
 池田小事件以来、自分内部だけの理由で殺人を犯す者達の心理の一つを言い当てているような気がする。…私は人を殺しても良い。私は特別な存在だからだ。あなた達がそれを認めないならどうぞ死刑にしてください。…
 私たちはこの挑戦に、冷笑や無視ではなく答えなくてはならないのだろう。
ギンイロノウタ Amazon書評・レビュー: ギンイロノウタより
4103100710