刺青の男
評判
刺青の男の評価:
4.39/5点 レビュー 18件。 A ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全37件 21〜37 2/2ページ
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刺青の男の評価:
4.39/5点 レビュー 18件。 A ランク
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ときに妖しくときに恐ろしくうごめきながら・・。
ハヤカワ文庫(1976年旧版。kindle版の表紙のもの)のレビューですが、
2013年のこの「新装版」と変わっていないと思われるのでここにレビューします。
64年前に100年以上先の未来を描いた18の短編集。干し草や土の匂いを感じる、
懐かしい未来。不信や恐怖に彩られた暗澹たる未来。
田舎を放浪する主人公が出会う不思議な老人。
この老人が語り部と思いきや、語り部は全身にわたる18の刺青。
ひとつひとつに繋がりはありませんが、卓越したアイデアのプロローグとエピローグに
挟まれることにより、人類の未来の幻視という背骨が1本通りました。
1つ1つの短編は素晴らしくそれぞれ忘れがたいですが、年月が経て再読したところ、
この刺青の男そのものの存在が焼き付いていることに気づかされました。
この男は何十年もアメリカの片隅をさ迷い、彫った老婆を探し、
そして秘密の共犯者を増やしながらこの後もさすらっていくのでしょう。
その時々に違う妖し世の未来を背負って・・。
美しくて儚くてそして悪夢的な短編に若干の出来の差があるのはしかたないですが、
いずれもしたたる詩情、ワンダー、少しの甘酸っぱい涙、厭世観、
時に愚かで時に優しい人間像が溢れています。英語不如意ですが、
小笠原豊樹さんの翻訳は読みやすくこなれている印象です。
身もだえするほどの心細さと儚さに満ちた語り継がれる傑作「万華鏡」。
夕空を見上げる度に思い出します。
そして、未来にあっても人間の絆と営みのいじらしさを描く「今夜限り世界が」。
なぜかgood old Americaを感じさせる優しき父親像の「ロケット」「ロケット・マン」。
我々への警句「その男」「火の玉」「訪問者」「コンクリート・ミキサー」。
ホラーともいえる「街」「ゼロ・アワー」・・。
本作は1968年に映画になっています。劇場公開されたきりのようで、
ディスクは現在オンデマンドのDVD-R(リージョン1となっているサイトもあれば
オールとなっているサイトもあります)importのみの発売です。
本作から3篇を選んだオムニバス映画です(「長雨」「草原」「今夜限り世界が」)。
ロッド・スタイガーがOP, EDで刺青の男(および各編の主役)に扮しています。
邦盤の発売が待たれます(ワーナー映画)。
冒頭のみ観たことがありますが雰囲気は出ていて音楽が不穏で良さげでした。
また別に米のTVシリーズ、Ray Bradbury Theaterでは「長雨」「草原」は映像化されているようです。
こちらも邦盤化が待たれます。
ブラッドベリには「火星年代記」という傑作があり、本作は星4つとしますが限りなく5つに近いです。
SFという体裁にとらわれず、多くの方に幻想抒情詩人、今は亡きレイ・ブラッドベリを
楽しんでいただきたいです。まずは本作を含め、
早川文庫、創元推理文庫のものでしたら間違いはありません。
宇宙時代をすでに迎えている我々ですが、どのようにそんな未来に向き合うべきかを、
詩人の眼と心を持ったブラッドベリはこれからもその著作を通して提示し続けます。
The Illustrated Man by Ray Bradburry. , 1951
日本版、ハヤカワ文庫、1976年初版