万延元年のフットボール

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評判

万延元年のフットボールの評価:

4.17/5点 レビュー 64件。 A ランク

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平均点4.17pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全145件 61〜80 4/8ページ
No.85
(5pt)

暗く重いが、何か解き放たれる。

題名にある「フットボール」という語句の印象で、軽い感じのエッセイ的な内容を思い浮かべてしまうと
打ちのめされてしまうかもしれない。

今でこそ表向き自由な印象を持たれるようになった日本人だが、その根底には暗く湿って閉ざされた、
何か別の得体の知れない、そして断ち切れない何かが脈々と受け継がれているようにこの本を読んで思う。

この作品の舞台は大江の生まれ育った故郷の「谷」だ。
大江が、一連の作品に故郷を思わせる場面や息子の光氏との関係を思わせる場面を描く事に、
自分を売り物にしている私小説作家と批判する方もいる。

だが、私は違うと思う。

うまく言えないが、私たちも皆、日々「自分」というものを描いている私小説作家であると思う。
この世に生を受けた苦しみや羞かしさの中に少しでも喜びを見い出そうとしながら、いつか、
何か得体の知れないものに褒められることを期待しつつ…

大江が、彼の作品を通じてそれらをさらけ出し、考えさせてくれることに、私は心が解き放たれる気がする。
私にとってはそんな作品である。
万延元年のフットボール (講談社文芸文庫) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)より
4061960148
No.84
(5pt)

暗く重いが、何か解き放たれる。

題名にある「フットボール」という語句の印象で、軽い感じのエッセイ的な内容を思い浮かべてしまうと
打ちのめされてしまうかもしれない。

今でこそ表向き自由な印象を持たれるようになった日本人だが、その根底には暗く湿って閉ざされた、
何か別の得体の知れない、そして断ち切れない何かが脈々と受け継がれているようにこの本を読んで思う。

この作品の舞台は大江の生まれ育った故郷の「谷」だ。
大江が、一連の作品に故郷を思わせる場面や息子の光氏との関係を思わせる場面を描く事に、
自分を売り物にしている私小説作家と批判する方もいる。
だが、私は違うと思う。

うまく言えないが、私たちも皆、日々「自分」というものを描いている私小説作家であると思う。
この世に生を受けた苦しみや羞かしさの中に少しでも喜びを見い出そうとしながら、いつか、
何か得体の知れないものに褒められることを期待しつつ…

大江が、彼の作品を通じてそれらをさらけ出し、考えさせてくれることに、私は心が解き放たれる気がする。
私にとってはそんな作品である。
万延元年のフットボール Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボールより
4061121820
No.83
(5pt)

大江健三郎を知るための作品

近年、大江健三郎という単語から彼の作品群を連想する人は多くはなく、政治的思想に関する意見が殆どを占めるであろうが、それは実に勿体無い事である。
「万延元年のフットボール」は、”故郷”という文学の世界で古来から幾度も追究されてきた人類永遠のテーマを基盤とし、障害を持った子供を産んだという彼自身の生涯に重大な体験を織り交ぜ、さらには万延元年の一揆と現代の個人店と巨大市場における社会的問題を重ね、純文学らしく芸術的かつ、娯楽性に富んで書かれた、近年稀に見る傑作であると言えよう。
万延元年のフットボール (講談社文芸文庫) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)より
4061960148
No.82
(5pt)

大江健三郎を知るための作品

近年、大江健三郎という単語から彼の作品群を連想する人は多くはなく、政治的思想に関する意見が殆どを占めるであろうが、それは実に勿体無い事である。
「万延元年のフットボール」は、”故郷”という文学の世界で古来から幾度も追究されてきた人類永遠のテーマを基盤とし、障害を持った子供を産んだという彼自身の生涯に重大な体験を織り交ぜ、さらには万延元年の一揆と現代の個人店と巨大市場における社会的問題を重ね、純文学らしく芸術的かつ、娯楽性に富んで書かれた、近年稀に見る傑作であると言えよう。
万延元年のフットボール (講談社文庫 お 2-1) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (講談社文庫 お 2-1)より
4061310275
No.81
(5pt)

大江健三郎を知るための作品

近年、大江健三郎という単語から彼の作品群を連想する人は多くはなく、政治的思想に関する意見が殆どを占めるであろうが、それは実に勿体無い事である。
「万延元年のフットボール」は、”故郷”という文学の世界で古来から幾度も追究されてきた人類永遠のテーマを基盤とし、障害を持った子供を産んだという彼自身の生涯に重大な体験を織り交ぜ、さらには万延元年の一揆と現代の個人店と巨大市場における社会的問題を重ね、純文学らしく芸術的かつ、娯楽性に富んで書かれた、近年稀に見る傑作であると言えよう。
万延元年のフットボール Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボールより
4061121820
No.80
(5pt)

第一章ではなかなか読み進めることができなかったが

ノーベル文学賞の対象作品と知った上で読み始めたが、第一章の自閉的とさえ言える文章に躓いた。 わざと難解にした文章がそれぞれ効果を持つものだと納得するにしても、違和感を感じる。 何歳で書いた作品なのか調べると、発表時32歳だとわかって納得した。 読む内にだんだんと物語に引き込まれていき、興味深い体験をすることができた。
万延元年のフットボール (講談社文庫 お 2-1) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (講談社文庫 お 2-1)より
4061310275
No.79
(5pt)

第一章ではなかなか読み進めることができなかったが

ノーベル文学賞の対象作品と知った上で読み始めたが、第一章の自閉的とさえ言える文章に躓いた。 わざと難解にした文章がそれぞれ効果を持つものだと納得するにしても、違和感を感じる。 何歳で書いた作品なのか調べると、発表時32歳だとわかって納得した。 読む内にだんだんと物語に引き込まれていき、興味深い体験をすることができた。
万延元年のフットボール Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボールより
4061121820
No.78
(5pt)

第一章ではなかなか読み進めることができなかったが

ノーベル文学賞の対象作品と知った上で読み始めたが、第一章の自閉的とさえ言える文章に躓いた。 わざと難解にした文章がそれぞれ効果を持つものだと納得するにしても、違和感を感じる。 何歳で書いた作品なのか調べると、発表時32歳だとわかって納得した。 読む内にだんだんと物語に引き込まれていき、興味深い体験をすることができた。
万延元年のフットボール (講談社文芸文庫) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)より
4061960148
No.77
(5pt)

圧倒的筆力!

きっかけがなければ、一生読まなかったかもしれないー。
読書会仲間のおじさまが、「読書会で読むことによって理解の幅が広がるかもしれない、
今読んでおかないと心残りになる。」とまでおっしゃるので、読んでみた。

実は、10代で大江氏の他の本に挑戦したのだが、独特の文体に馴染めずに
放り出してしまい、氏の本はそれまでに1冊も読んだことがなかったのだ。
今回も、冒頭の一文を見た途端に、読書心がひるんでしまったのだが、
今回は我慢に我慢を重ねて、意味が頭に入ってくるまで何度も同じ文章を目で追った。
するとふしぎなことに、頭(脳?!)が慣れてきて、外国語の直訳体のような氏の文章の言い回しが
気にならなくなり、かえって一定のリズムを伴いながら迫力を持って迫ってくるようになってきた。

一旦このリズムに引き込まれると、止まらない。読むスピードは加速していき、ページを繰るのももどかしい。
話の展開に自分の理解がついていかなくなって、慌てて前のページに戻ったりする。
ミステリー本ではよくあることだが、純文学然とした本書でも起こるとは、正直思わなかった。
登場人物は皆心に何かを抱えている人たちで、ギリギリのところで保っている状態。
舞台となる土地柄は、閉塞感も曰くもあるところ。
一筋縄ではいかない癖のある人物たちが集まったために起こる絡み合い、揉み合い。
何かが動き始めている、何かが起こりそうだという緊張感、緊迫感。
ザワザワ、ピリピリといった擬音語が、氏の独特のリズムを持つ文章の行間から聞こえてくる。
読み手の私は、何か分からない不安と緊張を感じながら、一気に読み進む。

するとそのうち、あれほど鬱屈していた登場人物たちに変化が起こる。
迷いの森にいた人々が、何かと決別し、周囲に流されず、意志を持って、潔く行動を起こし始める。
主人公はといえば、混沌からまだ抜け出せず、ひとり取り残された様子。
そのような主人公の側に立って、変わっていく周囲を驚きの目で眺めていると。
ー 聞こえてくるのだ。他の登場人物たちの声が。
「私たちは自分が何者であるかを知った。何をするために生まれ、
 今まで何をしてきたかを理解し、これから何をすべきかもわかった。」
そして、最後につきつけられる。
「次はおまえだ。おまえは自分を知り得たか。」

氏のスピード感についていくのが精いっぱいだった私には、内容よりも先に、
このような本書からの強烈な問いかけを感じ取ってしまった。
他の方々のレビューのような事柄は、読み返した時にようやく考えることができるようになった。
以前の日本人作家とは画期的に違う作風。読む者を惹き付け圧倒する筆力。
まだ読んだことのない人には、ぜひとも勧めたい1冊となった。
万延元年のフットボール (講談社文庫 お 2-1) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (講談社文庫 お 2-1)より
4061310275
No.76
(5pt)

圧倒的筆力!

きっかけがなければ、一生読まなかったかもしれないー。
読書会仲間のおじさまが、「読書会で読むことによって理解の幅が広がるかもしれない、
今読んでおかないと心残りになる。」とまでおっしゃるので、読んでみた。

実は、10代で大江氏の他の本に挑戦したのだが、独特の文体に馴染めずに
放り出してしまい、氏の本はそれまでに1冊も読んだことがなかったのだ。
今回も、冒頭の一文を見た途端に、読書心がひるんでしまったのだが、
今回は我慢に我慢を重ねて、意味が頭に入ってくるまで何度も同じ文章を目で追った。
するとふしぎなことに、頭(脳?!)が慣れてきて、外国語の直訳体のような氏の文章の言い回しが
気にならなくなり、かえって一定のリズムを伴いながら迫力を持って迫ってくるようになってきた。

一旦このリズムに引き込まれると、止まらない。読むスピードは加速していき、ページを繰るのももどかしい。
話の展開に自分の理解がついていかなくなって、慌てて前のページに戻ったりする。
ミステリー本ではよくあることだが、純文学然とした本書でも起こるとは、正直思わなかった。
登場人物は皆心に何かを抱えている人たちで、ギリギリのところで保っている状態。
舞台となる土地柄は、閉塞感も曰くもあるところ。
一筋縄ではいかない癖のある人物たちが集まったために起こる絡み合い、揉み合い。
何かが動き始めている、何かが起こりそうだという緊張感、緊迫感。
ザワザワ、ピリピリといった擬音語が、氏の独特のリズムを持つ文章の行間から聞こえてくる。
読み手の私は、何か分からない不安と緊張を感じながら、一気に読み進む。

するとそのうち、あれほど鬱屈していた登場人物たちに変化が起こる。
迷いの森にいた人々が、何かと決別し、周囲に流されず、意志を持って、潔く行動を起こし始める。
主人公はといえば、混沌からまだ抜け出せず、ひとり取り残された様子。
そのような主人公の側に立って、変わっていく周囲を驚きの目で眺めていると。
ー 聞こえてくるのだ。他の登場人物たちの声が。
「私たちは自分が何者であるかを知った。何をするために生まれ、
 今まで何をしてきたかを理解し、これから何をすべきかもわかった。」
そして、最後につきつけられる。
「次はおまえだ。おまえは自分を知り得たか。」

氏のスピード感についていくのが精いっぱいだった私には、内容よりも先に、
このような本書からの強烈な問いかけを感じ取ってしまった。
他の方々のレビューのような事柄は、読み返した時にようやく考えることができるようになった。
以前の日本人作家とは画期的に違う作風。読む者を惹き付け圧倒する筆力。
まだ読んだことのない人には、ぜひとも勧めたい1冊となった。
万延元年のフットボール Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボールより
4061121820
No.75
(5pt)

圧倒的筆力!

きっかけがなければ、一生読まなかったかもしれないー。
読書会仲間のおじさまが、「読書会で読むことによって理解の幅が広がるかもしれない、
今読んでおかないと心残りになる。」とまでおっしゃるので、読んでみた。

実は、10代で大江氏の他の本に挑戦したのだが、独特の文体に馴染めずに
放り出してしまい、氏の本はそれまでに1冊も読んだことがなかったのだ。
今回も、冒頭の一文を見た途端に、読書心がひるんでしまったのだが、
今回は我慢に我慢を重ねて、意味が頭に入ってくるまで何度も同じ文章を目で追った。
するとふしぎなことに、頭(脳?!)が慣れてきて、外国語の直訳体のような氏の文章の言い回しが
気にならなくなり、かえって一定のリズムを伴いながら迫力を持って迫ってくるようになってきた。

一旦このリズムに引き込まれると、止まらない。読むスピードは加速していき、ページを繰るのももどかしい。
話の展開に自分の理解がついていかなくなって、慌てて前のページに戻ったりする。
ミステリー本ではよくあることだが、純文学然とした本書でも起こるとは、正直思わなかった。
登場人物は皆心に何かを抱えている人たちで、ギリギリのところで保っている状態。
舞台となる土地柄は、閉塞感も曰くもあるところ。
一筋縄ではいかない癖のある人物たちが集まったために起こる絡み合い、揉み合い。
何かが動き始めている、何かが起こりそうだという緊張感、緊迫感。
ザワザワ、ピリピリといった擬音語が、氏の独特のリズムを持つ文章の行間から聞こえてくる。
読み手の私は、何か分からない不安と緊張を感じながら、一気に読み進む。

するとそのうち、あれほど鬱屈していた登場人物たちに変化が起こる。
迷いの森にいた人々が、何かと決別し、周囲に流されず、意志を持って、潔く行動を起こし始める。
主人公はといえば、混沌からまだ抜け出せず、ひとり取り残された様子。
そのような主人公の側に立って、変わっていく周囲を驚きの目で眺めていると。
ー 聞こえてくるのだ。他の登場人物たちの声が。
「私たちは自分が何者であるかを知った。何をするために生まれ、
 今まで何をしてきたかを理解し、これから何をすべきかもわかった。」
そして、最後につきつけられる。
「次はおまえだ。おまえは自分を知り得たか。」

氏のスピード感についていくのが精いっぱいだった私には、内容よりも先に、
このような本書からの強烈な問いかけを感じ取ってしまった。
他の方々のレビューのような事柄は、読み返した時にようやく考えることができるようになった。
以前の日本人作家とは画期的に違う作風。読む者を惹き付け圧倒する筆力。
まだ読んだことのない人には、ぜひとも勧めたい1冊となった。
万延元年のフットボール (講談社文芸文庫) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)より
4061960148
No.74
(5pt)

現代日本文学屈指の傑作

近年、大江氏といえば憲法九条の護憲派として活動なさっていて、ネット上では激しく賛否のわかれることが多い作家ですが、たとえ彼と思想が真反対であってもこの小説は手に取るべきです。
劇的な方法で縊死した友人、アメリカで変わってしまった弟、その弟に憧れる親衛隊、障害を持った子供の父親である主人公、などなど全ての要素が絡み合って、万延元年に起こった一揆に繋がり、それを再現しようとする弟や、最後にはミステリ的な結末も用意されている本作は、現代日本文学における屈指の傑作であると思います。
確かに初めの数ページは難解であり、長々と続く主人公の精神描写が読み辛いと感じる人も多いと思いますが、気づいてみれば惹き込まれます。
ネタバレはなるべく避けたいので内容への言及は避けますが、神話を絡めた話の構想で彼の持ち味が最大限に活かされています。
講談社文芸文庫さんは少しお高い気もしますが、一読する価値のある小説だと思います。
万延元年のフットボール (講談社文庫 お 2-1) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (講談社文庫 お 2-1)より
4061310275
No.73
(5pt)

現代日本文学屈指の傑作

近年、大江氏といえば憲法九条の護憲派として活動なさっていて、ネット上では激しく賛否のわかれることが多い作家ですが、たとえ彼と思想が真反対であってもこの小説は手に取るべきです。
劇的な方法で縊死した友人、アメリカで変わってしまった弟、その弟に憧れる親衛隊、障害を持った子供の父親である主人公、などなど全ての要素が絡み合って、万延元年に起こった一揆に繋がり、それを再現しようとする弟や、最後にはミステリ的な結末も用意されている本作は、現代日本文学における屈指の傑作であると思います。
確かに初めの数ページは難解であり、長々と続く主人公の精神描写が読み辛いと感じる人も多いと思いますが、気づいてみれば惹き込まれます。
ネタバレはなるべく避けたいので内容への言及は避けますが、神話を絡めた話の構想で彼の持ち味が最大限に活かされています。
講談社文芸文庫さんは少しお高い気もしますが、一読する価値のある小説だと思います。
万延元年のフットボール Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボールより
4061121820
No.72
(5pt)

現代日本文学屈指の傑作

近年、大江氏といえば憲法九条の護憲派として活動なさっていて、ネット上では激しく賛否のわかれることが多い作家ですが、たとえ彼と思想が真反対であってもこの小説は手に取るべきです。
劇的な方法で縊死した友人、アメリカで変わってしまった弟、その弟に憧れる親衛隊、障害を持った子供の父親である主人公、などなど全ての要素が絡み合って、万延元年に起こった一揆に繋がり、それを再現しようとする弟や、最後にはミステリ的な結末も用意されている本作は、現代日本文学における屈指の傑作であると思います。
確かに初めの数ページは難解であり、長々と続く主人公の精神描写が読み辛いと感じる人も多いと思いますが、気づいてみれば惹き込まれます。
ネタバレはなるべく避けたいので内容への言及は避けますが、神話を絡めた話の構想で彼の持ち味が最大限に活かされています。
講談社文芸文庫さんは少しお高い気もしますが、一読する価値のある小説だと思います。
万延元年のフットボール (講談社文芸文庫) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)より
4061960148
No.71
(4pt)

菜採子への嫌悪感

大江健三郎の文学に勃起したレビュアーの多くが、傑作と語る本作品。

私が、大江作品の枕詞として語られる、
独特で強い感染力を伴う文体に身構えて頁を捲ったのは、
彼がノーベル文学賞を受賞した後のことだった。

私は菜採子への嫌悪感がどうしても拭えず、
結果、苦痛を伴う読書となった。

これはもう、文体云々ではない。
緊張感に溢れる人間関係、
万延元年の引用の妙、
大江作品に流れる主題も朧気にも理解しているつもりだし、
興味深いとも思う。

それでも尚、彼女らの話を知りたくないのだ。

私は、半ば義務感から、
どうにか物語の結末までたどり着いたが、
ラストの菜採子の提案が理解出来ず、
最後の最後まで、私は彼女に読書する気力を吸われた。

本作への多くの激賞を目にする度に、
私の読解力が不足しているのだろうか?と思ってしまう。

最終的に、蜜が菜採子と子供達を引き受けたように、
私がこの作品を引き受ける日が来るだろうか?

多くの読者が激賞する本作を、再び、みたびと観照したい。
万延元年のフットボール (講談社文庫 お 2-1) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (講談社文庫 お 2-1)より
4061310275
No.70
(4pt)

菜採子への嫌悪感

大江健三郎の文学に勃起したレビュアーの多くが、傑作と語る本作品。

私が、大江作品の枕詞として語られる、
独特で強い感染力を伴う文体に身構えて頁を捲ったのは、
彼がノーベル文学賞を受賞した後のことだった。

私は菜採子への嫌悪感がどうしても拭えず、
結果、苦痛を伴う読書となった。

これはもう、文体云々ではない。
緊張感に溢れる人間関係、
万延元年の引用の妙、
大江作品に流れる主題も朧気にも理解しているつもりだし、
興味深いとも思う。

それでも尚、彼女らの話を知りたくないのだ。

私は、半ば義務感から、
どうにか物語の結末までたどり着いたが、
ラストの菜採子の提案が理解出来ず、
最後の最後まで、私は彼女に読書する気力を吸われた。

本作への多くの激賞を目にする度に、
私の読解力が不足しているのだろうか?と思ってしまう。

最終的に、蜜が菜採子と子供達を引き受けたように、
私がこの作品を引き受ける日が来るだろうか?

多くの読者が激賞する本作を、再び、みたびと観照したい。
万延元年のフットボール Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボールより
4061121820
No.69
(4pt)

菜採子への嫌悪感

大江健三郎の文学に勃起したレビュアーの多くが、傑作と語る本作品。

私が、大江作品の枕詞として語られる、
独特で強い感染力を伴う文体に身構えて頁を捲ったのは、
彼がノーベル文学賞を受賞した後のことだった。

私は菜採子への嫌悪感がどうしても拭えず、
結果、苦痛を伴う読書となった。

これはもう、文体云々ではない。
緊張感に溢れる人間関係、
万延元年の引用の妙、
大江作品に流れる主題も朧気にも理解しているつもりだし、
興味深いとも思う。

それでも尚、彼女らの話を知りたくないのだ。

私は、半ば義務感から、
どうにか物語の結末までたどり着いたが、
ラストの菜採子の提案が理解出来ず、
最後の最後まで、私は彼女に読書する気力を吸われた。

本作への多くの激賞を目にする度に、
私の読解力が不足しているのだろうか?と思ってしまう。

最終的に、蜜が菜採子と子供達を引き受けたように、
私がこの作品を引き受ける日が来るだろうか?

多くの読者が激賞する本作を、再び、みたびと観照したい。
万延元年のフットボール (講談社文芸文庫) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)より
4061960148
No.68
(5pt)

大江文学の最高作品

本の内容のついてはみなさんそれぞれ意見はあると思いますが、私には大変すばらしい傑作だと感じる書籍です。大江文学の集大成とか代表作と誉れの高いものですので難解ではありますが、素晴らしい作品であることは万人が認めるところです。
万延元年のフットボール (1967年) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (1967年)より
B000JA7MU2
No.67
(5pt)

大江文学の最高作品

本の内容のついてはみなさんそれぞれ意見はあると思いますが、私には大変すばらしい傑作だと感じる書籍です。 大江文学の集大成とか代表作と誉れの高いものですので難解ではありますが、素晴らしい作品であることは万人が認めるところです。
万延元年のフットボール (1967年) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (1967年)より
B000JA7MU2
No.66
(5pt)

故郷のないものの故郷

大江健三郎の代表作である。
 故郷をもたないものの聖典である。
 冒頭から、異様な雰囲気と、異常な文章の連続で、読者は混乱するであろうが、全体的な文學的構造は、さほど、複雑ではない。主人公たちの名前が、翻訳家の《根所蜜三郎》、蜜三郎の愛妻でアルコール中毒の《根所菜採子》、蜜三郎の実弟であり、左翼運動に蹉跌して右翼に転向した《根所鷹四》、というように、三人とも《根所》という苗字であることからも、三者三様に、《根っこの場所》=《故郷》を冀求する物語であることが察知される。
 冒頭で、主人公である蜜三郎は、自宅界隈に穿鑿された、貯水装置用の空洞に蟄居して、《世界は存在しない》という《期待》に裏切られる。本作の主題が、《アイデンティティの喪失》および《アイデンティティの根源である故郷の喪失》であることが予告されることになる。蜜三郎が空洞に逼塞していたのは、精神に障碍をきたして療養していた翻訳家の友人が、暗澹たる自殺をしたことかららしい。蜜三郎が、翻訳を生業としていたのも、主題にかんがみれば、《世界を自分なりに解釈=翻訳する》という、《現実の世界の否定》と《自分の世界の渇望》という、故郷の問題に帰着するのかもしれない。本作が、現代の日本を舞台としながらも、摩訶不思議なる異国の風景を描破しているような雰囲気に囲繞されているのも、《蜜三郎の翻訳した日本像》とみれば納得がゆく。斯様なる挑戦が、おなじく、翻訳家の友人の自殺で頓挫したわけだ。世界が消滅しないことを認識した蜜三郎は、アルコール中毒の愛妻菜採子のもとへゆく。ふたりのあいだには、脳髄に障碍をもった子供がいて、養育施設にあずけているらしいことがわかる。《根所》を喪失して、みずからが、あらたな生命の《根所》にならんとした挑戦も破綻して、夫婦生活は崩壊せんとしている。
 軈て、亜米利加で左翼劇団に所属していた鷹四が帰国し、三人は、鷹四の友人達とともに、物理的な故郷である四国へ邁進する。根所兄弟の故郷では、《天皇》とよばれる在日朝鮮人によるスーパーマーケットが支配的な雰囲気となり、根所家の生家を隴断せんとしている。右翼に転向した鷹四は反撥し、《フットボール・チーム》を結成して、江戸時代後期の《万延元年の百姓一揆》を髣髴とさせるような、《天皇》への叛逆を蹶起する。
 同時に、鷹四と《妹》の関係の謎や、在日朝鮮人に殺戮された《S兄さん》をめぐる謎がひもとかれてゆき、クライマックスでは、推理小説的仕掛けによるカタルシスに到達する。つぎなる生命のための《根所》となる決心をした菜採子、作中に登場する寺院の《地獄絵図》を《根所》としたともいえる鷹四、日本に《根所》を発見できず、阿弗利加への羈旅を決断する蜜三郎。此処で重要なのは、一人称の主人公である蜜三郎が最後に《根所》をもとめたのが、《人類の起源の大地》といえる阿弗利加である、ということである。斯様な挑戦が、成功するのか、失敗するのかはわからない。菜採子が本当に《根所》になれるのか、鷹四の闘争は無意味だったのか。大江健三郎の筆致は、戦後日本人の自我同一性の危機をとおして、根源にある現代人類の悲劇を爬羅剔抉している。
《小説は、彷徨者たちの家郷である》といった評論家がいた。
 本作は、大江健三郎が大江自身の故郷をもとめた軌跡なのかもしれない。
万延元年のフットボール (講談社文庫 お 2-1) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (講談社文庫 お 2-1)より
4061310275