王国
評判
王国の評価:
3.68/5点 レビュー 47件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1〜10 1/1ページ
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王国の評価:
3.68/5点 レビュー 47件。 B ランク
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
評者は、この二部作を、権力者たちのために働く庶民の知らない闇の組織があり、その組織のなかに殺人なども行う反社会性下部組織があるという物語として読んできました。
『掏摸』では、ストイックな青年の特殊技能「スリのテクニュク」がメインテーマとしてストーリーテリングされていて、その青年が闇の組織と対峙する緊迫感が面白く読ませてくれました。
が、続篇ともいえる本書『王国』では、スパイ小説でいうところの「ハニートラップ」を仕事とする養護施設出身の二十代の美人女性が主人公である。
「スリ」という特殊な才能と比べると、やはり「容姿」を駆使して行動する「ハニートラップ」のほうが見劣りする物語になってしまいます。
木崎という反社会組織のリーダーが度々宗教やギリシャ哲学などを語らせることにもなんだか違和感を覚えてしまいました。
たとえこの木崎という男が大学出のインテだったとしても、教養もないこの養護施設出身の女性に、こんな難しい話を長々と語りかけることが不自然に思えてしまったのです。
“われわれの空想の物語は現実のなかから生み出される”というハンス・アンデルセンの言葉もあるから、評者は、このような闇の世界の存在を否定はしません(事実それに似たような組織があると思います)。
が、デティールにもリアリティを感じさせない物語には「あざとさ」を感じてしまうのです。
たとえそれが文学性豊かな文章で描写(この物語では月にたいして)で彩られとしていてもです。
まぁ、作り物の小説なのだから、読んだひとそれぞれ楽しめればいいのですが・・・。
残念ながら評者にとって本作『王国』は、『掏摸』と比べて見劣りする作品でした。
<追記>
評者が先に読んだフレデリック・フォーサイスの『アウトサイダー』の「はじめに」でフォーサイスが述べていた言葉を地でいくような中村文則さんだから、『自由思考』のようなページ数の多いものでなくてもよいから辛口のエッセイ集の二冊目を出してほしいとお願いします。
フォーサイスは、下の「」内のように述べていました。
「七十六歳になったわたしは、いまでも自分は部分的にはジャーナリストだと思っている。ジャーナリストであるために必要不可欠の二つの資質を持っているからだ。それはあくなき好奇心と、徹底的な懐疑的態度だ。何かの理由など別に知りたくもないというジャーナリストや、人の話をなんでも鵜呑みにするジャーナリストがいるとしたら、それは無能なジャーナリストだ。
ジャーナリストは絶対支配階級(エスタブリッシュメント)の一員になるべきではない。誘惑がどれほど強くてもだ。われわれの仕事は権力を監視することであり、そこに加わることではない。人々がますます権力と金と名誉の神に取り憑かれたように仕えるようになっている世界において、ジャーナリストや作家はそこから距離をとらなければならない。手すりにとまっている鳥のように、世界で起きていることを見つめ、心にとめ、精査し、解説する。けっして当事者の仲間になってはいけない。アウトサイダーでいなければならないのだ。(『アウトサイダー』P11~12)」