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七人目の陪審員



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【この小説が収録されている参考書籍】
七人目の陪審員 (論創海外ミステリ)

七人目の陪審員の評価: 3.50/5点 レビュー 2件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.50pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(4pt)

震えるべきか、笑うべきか、主人公の独善と狂気の言動

主人公の独善的で、想像もつかない行動に、愕然としながら読み進めました。
タイトル、そして、帯書きから本作は「法廷ミステリ」と示されています。ただ、法廷シーンは本作の大切な部分ではあるものの、弁護側、検察側の攻防よりも、ただひたすら、主人公の思考、言動を軸に展開されていきます。
 
本作の主人公グレゴワールは、フランスのある街で薬局を経営しています。妻との間にちょっとした諍いはあったりするものの、おおむね順調な生活を送っています。
それにもかかわらず、グレゴワールは一時の気の迷いで、若い女性を殺めてしまいます。あまりに突然の展開に、グレゴワールが何故このような事件を起こしたか、ということよりも、彼の恐ろしいまでの短絡さと、衝動を抑えられない性分に驚かされました。
 
グレゴワールは、自ら起こした事件の疑いをかけられることなく、被害者の恋人の男性が捕らえられます。
本作の発表は1958年ですが、おそらく作品の時代背景も、発表と同時期かと思われます(実際、作品冒頭の街の様子の説明にテレビ、洗濯機、イルミネーションといった言葉が出てきます)。ですので、現在のレベルには至らないにしても、それなりの捜査手法があってもおかしくないとは思いますが、真犯人のグレゴワールは全く捜査の対象とならず、いともあっさりと別人が逮捕されてしまうわけです。

さらには、この事件の陪審員にグレゴワールが選任されます。別人の逮捕や、グレゴワールの陪審員の選任といったあたり、ロジックもなにもあったものではありませんが、本作のストーリーの主軸はグレゴワールの独りよがりで、錯乱したともいえる思考、言動そのものと思うにつれて、ロジックどうこうは、あまり気にならなくなってしまいました。それよりも、グレゴワールが、この先に一体どのような言動をとり、彼自身の行く末がどうなるのか、まったく想定がつかず、ストーリの展開にどんどんと引き込まれていきました。
 
ラストシーンでは、グレゴワールの狂気が行くところまでいってしまった、そんな思いになりました。非常に印象的な、さらには恐怖をかきたてる「落とし方」だったと思います。
七人目の陪審員 (論創海外ミステリ)Amazon書評・レビュー:七人目の陪審員 (論創海外ミステリ)より
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