(短編集)

プラナリア

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評判

プラナリアの評価:

3.86/5点 レビュー 97件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点3.86pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全213件 81〜100 5/11ページ
No.133
(4pt)

想像以上にひねくれていた

この本の題名である「プラナリア」という作品は、受験生だった時に、センター試験の現代文対策の授業で読んだことがあり、興味を持ち購入しました。
その時読んだ文はかなり省略されており、気にならなかったのですが、今回全文を読んでみると、いたるところで主人公のひねくれた性格が表れており、気分が悪くなるほどでした。
よって、読み終わった時の印象も全く違っており、当時読んだときは主人公の苦しみや悩みが感じられたのですが、今回は主人公の状態や起こることよりも、主人公の内面が気になり、この人はどうしようもないタイプの人間なんだという印象を受けました。作者の方が、主人公に対して同情の目を向けさせないようにそうしているのかもしれません。

この短編集の作品はどれも陰湿な性格の人が出てき、そういう雰囲気が嫌いな人には向かない作品かもしれません。
ただ途中からは、、「またか(笑)ひねくれすぎでしょ(笑)」と、笑ってしまうこともありました。

私が一番好きだった作品は「ネイキッド」で、この作品が一番自分の状態に当てはめることができました。
本文から一部抜粋しますと、「子供の頃から三十代に至るまでの長い時間、私はそうして充実してきた。その充実が間違いだったとは今でも思わないが、自分の立っていた固いはずの地面が、こんなにも簡単に割れてしまう薄い氷だとは知らなかった。氷が割れて沈んだ水の底で凍え死ぬのかと思っていたら、以外にもそこは暇という名のぬるま湯で満ちていた。そこに横たわっているのは想像以上に楽で、しかも私にはそこから浮上しようという動機や目的が見つけられなかった。」という部分がとても見事な表現で自分の心情を表してくれていて、そのことは私が小説を読む目的の一つなので、一番好きな部分です。
プラナリア (文春文庫) Amazon書評・レビュー: プラナリア (文春文庫)より
4167708019
No.132
(4pt)

ごく普通の人の暮らしの物語で共感する

直木賞を受賞した「プラナリア」を含む短編、五作品が収められている

プラナリアは乳癌で片側の胸を切除した女性が、いつまでもそこから立ち直れないでいる姿を描き、どこか遠くに出口を見つけようとしたところで終わる・・

確かに病気を言い訳にせず、むしろそれをバネにして飛躍的に自分を高めた人もいるだろうが・・・

再発の恐れの中に大部分の人はそういったわけにはいかないだろうし、本書はそういった人間の弱さを克服できない、ごくごく普通の人間を物語として、いい感じで仕上げていると思う・・・

他の短編も力作揃いで、どれも直木賞を受賞してもおかしくないような作品だった
プラナリア Amazon書評・レビュー: プラナリアより
4163196307
No.131
(4pt)

ごく普通の人の暮らしの物語で共感する

直木賞を受賞した「プラナリア」を含む短編、五作品が収められている

プラナリアは乳癌で片側の胸を切除した女性が、いつまでもそこから立ち直れないでいる姿を描き、どこか遠くに出口を見つけようとしたところで終わる・・

確かに病気を言い訳にせず、むしろそれをバネにして飛躍的に自分を高めた人もいるだろうが・・・

再発の恐れの中に大部分の人はそういったわけにはいかないだろうし、本書はそういった人間の弱さを克服できない、ごくごく普通の人間を物語として、いい感じで仕上げていると思う・・・

他の短編も力作揃いで、どれも直木賞を受賞してもおかしくないような作品だった
プラナリア (文春文庫) Amazon書評・レビュー: プラナリア (文春文庫)より
B009DED92U
No.130
(4pt)

ごく普通の人の暮らしの物語で共感する

直木賞を受賞した「プラナリア」を含む短編、五作品が収められている

プラナリアは乳癌で片側の胸を切除した女性が、いつまでもそこから立ち直れないでいる姿を描き、どこか遠くに出口を見つけようとしたところで終わる・・

確かに病気を言い訳にせず、むしろそれをバネにして飛躍的に自分を高めた人もいるだろうが・・・

再発の恐れの中に大部分の人はそういったわけにはいかないだろうし、本書はそういった人間の弱さを克服できない、ごくごく普通の人間を物語として、いい感じで仕上げていると思う・・・

他の短編も力作揃いで、どれも直木賞を受賞してもおかしくないような作品だった
プラナリア (文春文庫) Amazon書評・レビュー: プラナリア (文春文庫)より
4167708019
No.129
(5pt)

どこか屈折した主人公たちをえがいた、直木賞を受賞した短編5編を収録した文庫

本書は、2001年に第124回直木賞を受賞した、表題作の「プラナリア」を含む
全部で5編の短編を収録したものである。それぞれの初出は1999年〜2000年の
間に『小説現代』や『小説新潮』や『オール讀物』で発表されたもので、本書
は、2000年に刊行された単行本を2005年に文庫化したものである。

本書に収録されているのは、「プラナリア」「ネイキッド」「どこかではない
ここ」「囚われ人のジレンマ」「あいあるあした」の5編であり、いずれも、
どこか屈折した主人公をえがき、その主人公から語られる屈折した世界観が
特徴的な作品である。

表題作の「プラナリア」は、若くして乳がんになり、片方の胸を切除した女性
の一人称で語られている。体をいくつも分裂し再生できるプラナリアに生まれ
変わりたいという思いを抱えた彼女には、恋人がいるのだが、彼女自身は人生
に投げやりになっている。周囲の人の立ち直ってほしいという温かい支えがあ
るのだが、その思いとは裏腹にどんどん頑なに心を閉ざしていく。そんな彼女
が唯一心を開ける、入院中に知り合った女性から仕事の話をもらい、心の中に
ある「正しさ」が芽生え始めるが、いとも簡単に崩れてしまうもろさを、この
女性の屈折さを通して見事に表現している。

その他に、夫の会社で辣腕をふるっていた女性が、夫から離婚を突きつけられ、
仕事も家庭も同時に失ってしまった後の虚脱状態から話が始まる「ネイキッド」、
夫が子会社への出向を受け、ローンや2人の子どもへの費用を捻出するために
深夜のディスカウントショップでパートに出て、母親や義父の面倒まで見るが、
「ここではないどこか」の生活を夢見たりしない中年女性を主人公にえがく
「どこかではいここ」、心理学を専攻する大学院生から求婚された女性を主人
公にえがく「囚われの人のジレンマ」(この意味は小説の中で書かれている)、
サラリーマンとして働いていた頃に妻の浮気から離婚を求められ、一人娘とと
もに引き離され、それ以来一人で生きていくことを決め、地方で居酒屋を開い
た店主を主人公にえがいた「あいあるあした」が収録されている。

こういった主人公たちの心の変化、気づきと呼応して、ストーリーが進展、
変化していく。その変化のタイミングや、その後の異なる世界観の描き方は、
見事である。ただ、このような屈折した主人公たちなので、読了感は爽やかで
はないかもしれない。
プラナリア Amazon書評・レビュー: プラナリアより
4163196307
No.128
(5pt)

どこか屈折した主人公たちをえがいた、直木賞を受賞した短編5編を収録した文庫

本書は、2001年に第124回直木賞を受賞した、表題作の「プラナリア」を含む
全部で5編の短編を収録したものである。それぞれの初出は1999年〜2000年の
間に『小説現代』や『小説新潮』や『オール讀物』で発表されたもので、本書
は、2000年に刊行された単行本を2005年に文庫化したものである。

本書に収録されているのは、「プラナリア」「ネイキッド」「どこかではない
ここ」「囚われ人のジレンマ」「あいあるあした」の5編であり、いずれも、
どこか屈折した主人公をえがき、その主人公から語られる屈折した世界観が
特徴的な作品である。

表題作の「プラナリア」は、若くして乳がんになり、片方の胸を切除した女性
の一人称で語られている。体をいくつも分裂し再生できるプラナリアに生まれ
変わりたいという思いを抱えた彼女には、恋人がいるのだが、彼女自身は人生
に投げやりになっている。周囲の人の立ち直ってほしいという温かい支えがあ
るのだが、その思いとは裏腹にどんどん頑なに心を閉ざしていく。そんな彼女
が唯一心を開ける、入院中に知り合った女性から仕事の話をもらい、心の中に
ある「正しさ」が芽生え始めるが、いとも簡単に崩れてしまうもろさを、この
女性の屈折さを通して見事に表現している。

その他に、夫の会社で辣腕をふるっていた女性が、夫から離婚を突きつけられ、
仕事も家庭も同時に失ってしまった後の虚脱状態から話が始まる「ネイキッド」、
夫が子会社への出向を受け、ローンや2人の子どもへの費用を捻出するために
深夜のディスカウントショップでパートに出て、母親や義父の面倒まで見るが、
「ここではないどこか」の生活を夢見たりしない中年女性を主人公にえがく
「どこかではいここ」、心理学を専攻する大学院生から求婚された女性を主人
公にえがく「囚われの人のジレンマ」(この意味は小説の中で書かれている)、
サラリーマンとして働いていた頃に妻の浮気から離婚を求められ、一人娘とと
もに引き離され、それ以来一人で生きていくことを決め、地方で居酒屋を開い
た店主を主人公にえがいた「あいあるあした」が収録されている。

こういった主人公たちの心の変化、気づきと呼応して、ストーリーが進展、
変化していく。その変化のタイミングや、その後の異なる世界観の描き方は、
見事である。ただ、このような屈折した主人公たちなので、読了感は爽やかで
はないかもしれない。
プラナリア (文春文庫) Amazon書評・レビュー: プラナリア (文春文庫)より
B009DED92U
No.127
(5pt)

どこか屈折した主人公たちをえがいた、直木賞を受賞した短編5編を収録した文庫

本書は、2001年に第124回直木賞を受賞した、表題作の「プラナリア」を含む
全部で5編の短編を収録したものである。それぞれの初出は1999年〜2000年の
間に『小説現代』や『小説新潮』や『オール讀物』で発表されたもので、本書
は、2000年に刊行された単行本を2005年に文庫化したものである。

本書に収録されているのは、「プラナリア」「ネイキッド」「どこかではない
ここ」「囚われ人のジレンマ」「あいあるあした」の5編であり、いずれも、
どこか屈折した主人公をえがき、その主人公から語られる屈折した世界観が
特徴的な作品である。

表題作の「プラナリア」は、若くして乳がんになり、片方の胸を切除した女性
の一人称で語られている。体をいくつも分裂し再生できるプラナリアに生まれ
変わりたいという思いを抱えた彼女には、恋人がいるのだが、彼女自身は人生
に投げやりになっている。周囲の人の立ち直ってほしいという温かい支えがあ
るのだが、その思いとは裏腹にどんどん頑なに心を閉ざしていく。そんな彼女
が唯一心を開ける、入院中に知り合った女性から仕事の話をもらい、心の中に
ある「正しさ」が芽生え始めるが、いとも簡単に崩れてしまうもろさを、この
女性の屈折さを通して見事に表現している。

その他に、夫の会社で辣腕をふるっていた女性が、夫から離婚を突きつけられ、
仕事も家庭も同時に失ってしまった後の虚脱状態から話が始まる「ネイキッド」、
夫が子会社への出向を受け、ローンや2人の子どもへの費用を捻出するために
深夜のディスカウントショップでパートに出て、母親や義父の面倒まで見るが、
「ここではないどこか」の生活を夢見たりしない中年女性を主人公にえがく
「どこかではいここ」、心理学を専攻する大学院生から求婚された女性を主人
公にえがく「囚われの人のジレンマ」(この意味は小説の中で書かれている)、
サラリーマンとして働いていた頃に妻の浮気から離婚を求められ、一人娘とと
もに引き離され、それ以来一人で生きていくことを決め、地方で居酒屋を開い
た店主を主人公にえがいた「あいあるあした」が収録されている。

こういった主人公たちの心の変化、気づきと呼応して、ストーリーが進展、
変化していく。その変化のタイミングや、その後の異なる世界観の描き方は、
見事である。ただ、このような屈折した主人公たちなので、読了感は爽やかで
はないかもしれない。
プラナリア (文春文庫) Amazon書評・レビュー: プラナリア (文春文庫)より
4167708019
No.126
(4pt)

うっとおしさにやられた

山本文緒さんの『プラナリア』は、明るくも、楽しくも、元気よくもない女性 春香が主役である。一言で表すと、うっとおしい。それもイライラするぐらい。明日へ向かっての一歩手前で、うじうじと硬直している状態。

このうっとおしさが、私にもあるから、いっそう顔を背けたくなってしまうのだ。近親憎悪にさも似たり。好き嫌いは別として、読者をうっとおしくさせるのは、山本文緒さんの筆力の高さによるのだろう。

春香は、乳がんで乳房を切除してから、どうにもひねくれている。飲み会の席でプラナリアの話題をふって、

「ほら私、乳がんでしょ。だからそういうもんに生まれたら取った乳も勝手に盛り上がってきて、再建手術の手間とお金が省けたなーと思ってさ」

などと放言し、周りを気まずくしたりする。自ら社会不適応者を任じて、乳がんを唯一の持ちネタと公言してはばからない。私は、この世の中を斜めに見た春香の態度が、どうにも癪に障る。

彼氏の豹介や、仕事の世話をしてくれた永瀬さんら、春香を取り巻く人々は、良い人たちである。なのに、春香は、彼らを失望させることばかりする。私は、どうしても春香より、春香を持て余す人々に共感してしまう。

だが、私が春香と同じ立場ならどうだろう。同情的な雰囲気を嫌って、先に自嘲気味な笑いを取ろうとするだろうか。それとも春香のように、周りを不快にする態度を取り続けるだろうか。変なプライドが邪魔しない分、乳がんをアイデンティティを言い切ってしまう春香は、潔いのかもしれないとも思う。

同時収録の『ネイキッド』は離婚して無職になった女性を、『どこかではないここ』は夫がリストラされたため働き始めた主婦を、『囚われ人のジレンマ』は恋人がいながら不倫をする女性を描いている。どの作品も明るい未来が見えてこない。『プラナリア』と同様、主人公たちは、一歩が踏み出せず うじうじしているのだ。いまだ出口なし というところでとどまっている。彼女らの鬱屈した思いがひしひしと伝わって、読んでいるうちに一緒にヘコんでしまう。

男性読者から見たときは、彼女らの行動は不可解に映るかもしれない。『あいあるあした』は、居酒屋の店主の元へ転がり込んできた女性を、男性目線で描いているのだが、女性の行動に対する男性の戸惑いが良くあらわれている。こういう女性心理の深堀りができるのは、女性作家ならではなんだろうな。
プラナリア Amazon書評・レビュー: プラナリアより
4163196307
No.125
(4pt)

うっとおしさにやられた

山本文緒さんの『プラナリア』は、明るくも、楽しくも、元気よくもない女性 春香が主役である。一言で表すと、うっとおしい。それもイライラするぐらい。明日へ向かっての一歩手前で、うじうじと硬直している状態。

このうっとおしさが、私にもあるから、いっそう顔を背けたくなってしまうのだ。近親憎悪にさも似たり。好き嫌いは別として、読者をうっとおしくさせるのは、山本文緒さんの筆力の高さによるのだろう。

春香は、乳がんで乳房を切除してから、どうにもひねくれている。飲み会の席でプラナリアの話題をふって、

「ほら私、乳がんでしょ。だからそういうもんに生まれたら取った乳も勝手に盛り上がってきて、再建手術の手間とお金が省けたなーと思ってさ」

などと放言し、周りを気まずくしたりする。自ら社会不適応者を任じて、乳がんを唯一の持ちネタと公言してはばからない。私は、この世の中を斜めに見た春香の態度が、どうにも癪に障る。

彼氏の豹介や、仕事の世話をしてくれた永瀬さんら、春香を取り巻く人々は、良い人たちである。なのに、春香は、彼らを失望させることばかりする。私は、どうしても春香より、春香を持て余す人々に共感してしまう。

だが、私が春香と同じ立場ならどうだろう。同情的な雰囲気を嫌って、先に自嘲気味な笑いを取ろうとするだろうか。それとも春香のように、周りを不快にする態度を取り続けるだろうか。変なプライドが邪魔しない分、乳がんをアイデンティティを言い切ってしまう春香は、潔いのかもしれないとも思う。

同時収録の『ネイキッド』は離婚して無職になった女性を、『どこかではないここ』は夫がリストラされたため働き始めた主婦を、『囚われ人のジレンマ』は恋人がいながら不倫をする女性を描いている。どの作品も明るい未来が見えてこない。『プラナリア』と同様、主人公たちは、一歩が踏み出せず うじうじしているのだ。いまだ出口なし というところでとどまっている。彼女らの鬱屈した思いがひしひしと伝わって、読んでいるうちに一緒にヘコんでしまう。

男性読者から見たときは、彼女らの行動は不可解に映るかもしれない。『あいあるあした』は、居酒屋の店主の元へ転がり込んできた女性を、男性目線で描いているのだが、女性の行動に対する男性の戸惑いが良くあらわれている。こういう女性心理の深堀りができるのは、女性作家ならではなんだろうな。
プラナリア (文春文庫) Amazon書評・レビュー: プラナリア (文春文庫)より
B009DED92U
No.124
(4pt)

うっとおしさにやられた

山本文緒さんの『プラナリア』は、明るくも、楽しくも、元気よくもない女性 春香が主役である。一言で表すと、うっとおしい。それもイライラするぐらい。明日へ向かっての一歩手前で、うじうじと硬直している状態。

このうっとおしさが、私にもあるから、いっそう顔を背けたくなってしまうのだ。近親憎悪にさも似たり。好き嫌いは別として、読者をうっとおしくさせるのは、山本文緒さんの筆力の高さによるのだろう。

春香は、乳がんで乳房を切除してから、どうにもひねくれている。飲み会の席でプラナリアの話題をふって、

「ほら私、乳がんでしょ。だからそういうもんに生まれたら取った乳も勝手に盛り上がってきて、再建手術の手間とお金が省けたなーと思ってさ」

などと放言し、周りを気まずくしたりする。自ら社会不適応者を任じて、乳がんを唯一の持ちネタと公言してはばからない。私は、この世の中を斜めに見た春香の態度が、どうにも癪に障る。

彼氏の豹介や、仕事の世話をしてくれた永瀬さんら、春香を取り巻く人々は、良い人たちである。なのに、春香は、彼らを失望させることばかりする。私は、どうしても春香より、春香を持て余す人々に共感してしまう。

だが、私が春香と同じ立場ならどうだろう。同情的な雰囲気を嫌って、先に自嘲気味な笑いを取ろうとするだろうか。それとも春香のように、周りを不快にする態度を取り続けるだろうか。変なプライドが邪魔しない分、乳がんをアイデンティティを言い切ってしまう春香は、潔いのかもしれないとも思う。

同時収録の『ネイキッド』は離婚して無職になった女性を、『どこかではないここ』は夫がリストラされたため働き始めた主婦を、『囚われ人のジレンマ』は恋人がいながら不倫をする女性を描いている。どの作品も明るい未来が見えてこない。『プラナリア』と同様、主人公たちは、一歩が踏み出せず うじうじしているのだ。いまだ出口なし というところでとどまっている。彼女らの鬱屈した思いがひしひしと伝わって、読んでいるうちに一緒にヘコんでしまう。

男性読者から見たときは、彼女らの行動は不可解に映るかもしれない。『あいあるあした』は、居酒屋の店主の元へ転がり込んできた女性を、男性目線で描いているのだが、女性の行動に対する男性の戸惑いが良くあらわれている。こういう女性心理の深堀りができるのは、女性作家ならではなんだろうな。
プラナリア (文春文庫) Amazon書評・レビュー: プラナリア (文春文庫)より
4167708019
No.123
(5pt)

現代の「無職」をめぐる心模様

短編5編がすべて「無職」をテーマにした作品です。そのなかで「ネイキッド」に注目しました。
2年前夫から一方的に離婚言い渡され、夫の会社で働いてた34歳の無職の女性が主人公で、その
彼女を心配する親友、社会にでてからずっと毎日忙しく、少しでも暇ができたらやりたいと思った
ことがたくさんあったのに、あんなに時間がほしかったはずなのに、今はその貴重な時間を無駄に
してる自分、最後は親友と過ごした夏休みのことを思い出し涙することで終結する小説です。
現代の無職をめぐる心模様を巧みに描いており、こんな一節がります。「いざ本当に暇になって
みると、その全てを失っていた。私に会いたがってくれていた人たちは、私個人にではなく、成功
している雑貨店のオーナーとしての私に会いたかっただけでようで、仕事を辞めたらばったり連絡
がなくなった。」
プラナリア Amazon書評・レビュー: プラナリアより
4163196307
No.122
(5pt)

現代の「無職」をめぐる心模様

短編5編がすべて「無職」をテーマにした作品です。そのなかで「ネイキッド」に注目しました。
2年前夫から一方的に離婚言い渡され、夫の会社で働いてた34歳の無職の女性が主人公で、その
彼女を心配する親友、社会にでてからずっと毎日忙しく、少しでも暇ができたらやりたいと思った
ことがたくさんあったのに、あんなに時間がほしかったはずなのに、今はその貴重な時間を無駄に
してる自分、最後は親友と過ごした夏休みのことを思い出し涙することで終結する小説です。
現代の無職をめぐる心模様を巧みに描いており、こんな一節がります。「いざ本当に暇になって
みると、その全てを失っていた。私に会いたがってくれていた人たちは、私個人にではなく、成功
している雑貨店のオーナーとしての私に会いたかっただけでようで、仕事を辞めたらばったり連絡
がなくなった。」
プラナリア (文春文庫) Amazon書評・レビュー: プラナリア (文春文庫)より
B009DED92U
No.121
(5pt)

現代の「無職」をめぐる心模様

短編5編がすべて「無職」をテーマにした作品です。そのなかで「ネイキッド」に注目しました。
2年前夫から一方的に離婚言い渡され、夫の会社で働いてた34歳の無職の女性が主人公で、その
彼女を心配する親友、社会にでてからずっと毎日忙しく、少しでも暇ができたらやりたいと思った
ことがたくさんあったのに、あんなに時間がほしかったはずなのに、今はその貴重な時間を無駄に
してる自分、最後は親友と過ごした夏休みのことを思い出し涙することで終結する小説です。
現代の無職をめぐる心模様を巧みに描いており、こんな一節がります。「いざ本当に暇になって
みると、その全てを失っていた。私に会いたがってくれていた人たちは、私個人にではなく、成功
している雑貨店のオーナーとしての私に会いたかっただけでようで、仕事を辞めたらばったり連絡
がなくなった。」
プラナリア (文春文庫) Amazon書評・レビュー: プラナリア (文春文庫)より
4167708019
No.120
(4pt)

怖さと痛みを覚える読み応え充分の作品

タイトル作の他、「ネイキッド」、「どこかではないここ」、「囚われ人のジレンマ」、「あいあるあした」の全5編を収めた中編集。私は「恋愛中毒」に続いて本作を手に取った。作者は通常恋愛小説家と見做されている様だが、両作からは主に他者との係わり合いの中で泥沼化した人間心理を執拗に追求している印象を受けた。

本作中の各編も陰惨で救い様がない物語(「あいあるあした」だけ毛色が少し異なっている)だが、作者がヒロイン達に対して、同情でも共感でも批判でもなく、淡々と言っても良い程の客観性を持っている点に怖さと痛みを覚えた。サイコ・ホラーと呼んでも不自然でない内容である。執筆時期の関係で、「恋愛中毒」より若書きの感は否めない(ヒロイン達の年齢も若い)が、それにしては物語の構成が非常に巧みで読み応えがある。私のような男にとっては、女性心理の一端を垣間見られるという恩恵(?)もあり(それが、怖さを増しているのだが...)、一読の価値がある作品だと思う。
プラナリア Amazon書評・レビュー: プラナリアより
4163196307
No.119
(4pt)

怖さと痛みを覚える読み応え充分の作品

タイトル作の他、「ネイキッド」、「どこかではないここ」、「囚われ人のジレンマ」、「あいあるあした」の全5編を収めた中編集。私は「恋愛中毒」に続いて本作を手に取った。作者は通常恋愛小説家と見做されている様だが、両作からは主に他者との係わり合いの中で泥沼化した人間心理を執拗に追求している印象を受けた。

本作中の各編も陰惨で救い様がない物語(「あいあるあした」だけ毛色が少し異なっている)だが、作者がヒロイン達に対して、同情でも共感でも批判でもなく、淡々と言っても良い程の客観性を持っている点に怖さと痛みを覚えた。サイコ・ホラーと呼んでも不自然でない内容である。執筆時期の関係で、「恋愛中毒」より若書きの感は否めない(ヒロイン達の年齢も若い)が、それにしては物語の構成が非常に巧みで読み応えがある。私のような男にとっては、女性心理の一端を垣間見られるという恩恵(?)もあり(それが、怖さを増しているのだが...)、一読の価値がある作品だと思う。
プラナリア (文春文庫) Amazon書評・レビュー: プラナリア (文春文庫)より
B009DED92U
No.118
(4pt)

怖さと痛みを覚える読み応え充分の作品

タイトル作の他、「ネイキッド」、「どこかではないここ」、「囚われ人のジレンマ」、「あいあるあした」の全5編を収めた中編集。私は「恋愛中毒」に続いて本作を手に取った。作者は通常恋愛小説家と見做されている様だが、両作からは主に他者との係わり合いの中で泥沼化した人間心理を執拗に追求している印象を受けた。

本作中の各編も陰惨で救い様がない物語(「あいあるあした」だけ毛色が少し異なっている)だが、作者がヒロイン達に対して、同情でも共感でも批判でもなく、淡々と言っても良い程の客観性を持っている点に怖さと痛みを覚えた。サイコ・ホラーと呼んでも不自然でない内容である。執筆時期の関係で、「恋愛中毒」より若書きの感は否めない(ヒロイン達の年齢も若い)が、それにしては物語の構成が非常に巧みで読み応えがある。私のような男にとっては、女性心理の一端を垣間見られるという恩恵(?)もあり(それが、怖さを増しているのだが...)、一読の価値がある作品だと思う。
プラナリア (文春文庫) Amazon書評・レビュー: プラナリア (文春文庫)より
4167708019
No.117
(5pt)

元?病人の機微

プラナリアの主人公ルンちゃんは乳ガンで乳房を切除した女性だ。

 重い病気から甦った元病人が、他人に病気の話を切り出すには色んな感情を伴うと思う。
 やっぱり、同情して欲しいと思う人もいるだろう。逆に、"病気で心を入れ替えるほど単純じゃない"と露悪的に病気を強調する人もいるだろう。いずれドン引きされるのだから、最初に話しておくという考えは合理的かも知れない。

 元病人が病気を口に出す理由は様々だが、周囲の人は"同情されたいのだ"としか考えないものだ。

 そんな元病人の気持ちを全てすくい上げて、その機微を表現したこの作品は、乳ガンに限らずあらゆる病人の気持ちを代弁している気がする。

 ルンちゃんは自我が強い。社会性が無いとも言う。しかし、元病人に求められるのは何よりも社会性である。
 ルンちゃんは"乳ガンは自分のアイデンティティーだ"とまで言う。永遠に傷跡の残る病歴を持つ人が、病気のない自分など考えられる分けもない。

 それでも、恋人の豹介や、尊敬できる女性の永瀬さんや、その他の周囲の人が元病人に求めるのはその社会性だ。多分、元病人に最も求められる能力は、ほんの少し周りに合わせ病気を黙っている自制心なのだろう。
 でも、ルンちゃんは自我を選ぶ。

 私が最初に読んだ山本氏の著作は再婚生活だ。山本氏のうつ病の闘病記である。山本氏の代表作であるこのプラナリアが、うつ発症前に執筆された物で良かったと思う。でなければ、"患者体験をもとにした"とか陳腐な評価をされたかも知れない。

 重い病気を経験する前に、これほど病人の心を汲み取った小説を書いた山本氏は、月並みな言い方だが、人の気持ちを汲み取る能力が優れてるのだと思う。

 プラナリアを読んだ後で、再婚生活を思い出すと、あのふてぶてしい病人像を示した作品は、当然、世間の反発が有ることを理解した上で書いたように思える。山本氏の心意気を感じて涙が出た。
プラナリア Amazon書評・レビュー: プラナリアより
4163196307
No.116
(5pt)

元?病人の機微

プラナリアの主人公ルンちゃんは乳ガンで乳房を切除した女性だ。

 重い病気から甦った元病人が、他人に病気の話を切り出すには色んな感情を伴うと思う。
 やっぱり、同情して欲しいと思う人もいるだろう。逆に、"病気で心を入れ替えるほど単純じゃない"と露悪的に病気を強調する人もいるだろう。いずれドン引きされるのだから、最初に話しておくという考えは合理的かも知れない。

 元病人が病気を口に出す理由は様々だが、周囲の人は"同情されたいのだ"としか考えないものだ。

 そんな元病人の気持ちを全てすくい上げて、その機微を表現したこの作品は、乳ガンに限らずあらゆる病人の気持ちを代弁している気がする。

 ルンちゃんは自我が強い。社会性が無いとも言う。しかし、元病人に求められるのは何よりも社会性である。
 ルンちゃんは"乳ガンは自分のアイデンティティーだ"とまで言う。永遠に傷跡の残る病歴を持つ人が、病気のない自分など考えられる分けもない。

 それでも、恋人の豹介や、尊敬できる女性の永瀬さんや、その他の周囲の人が元病人に求めるのはその社会性だ。多分、元病人に最も求められる能力は、ほんの少し周りに合わせ病気を黙っている自制心なのだろう。
 でも、ルンちゃんは自我を選ぶ。

 私が最初に読んだ山本氏の著作は再婚生活だ。山本氏のうつ病の闘病記である。山本氏の代表作であるこのプラナリアが、うつ発症前に執筆された物で良かったと思う。でなければ、"患者体験をもとにした"とか陳腐な評価をされたかも知れない。

 重い病気を経験する前に、これほど病人の心を汲み取った小説を書いた山本氏は、月並みな言い方だが、人の気持ちを汲み取る能力が優れてるのだと思う。

 プラナリアを読んだ後で、再婚生活を思い出すと、あのふてぶてしい病人像を示した作品は、当然、世間の反発が有ることを理解した上で書いたように思える。山本氏の心意気を感じて涙が出た。
プラナリア (文春文庫) Amazon書評・レビュー: プラナリア (文春文庫)より
B009DED92U
No.115
(5pt)

元?病人の機微

プラナリアの主人公ルンちゃんは乳ガンで乳房を切除した女性だ。

 重い病気から甦った元病人が、他人に病気の話を切り出すには色んな感情を伴うと思う。
 やっぱり、同情して欲しいと思う人もいるだろう。逆に、"病気で心を入れ替えるほど単純じゃない"と露悪的に病気を強調する人もいるだろう。いずれドン引きされるのだから、最初に話しておくという考えは合理的かも知れない。

 元病人が病気を口に出す理由は様々だが、周囲の人は"同情されたいのだ"としか考えないものだ。

 そんな元病人の気持ちを全てすくい上げて、その機微を表現したこの作品は、乳ガンに限らずあらゆる病人の気持ちを代弁している気がする。

 ルンちゃんは自我が強い。社会性が無いとも言う。しかし、元病人に求められるのは何よりも社会性である。
 ルンちゃんは"乳ガンは自分のアイデンティティーだ"とまで言う。永遠に傷跡の残る病歴を持つ人が、病気のない自分など考えられる分けもない。

 それでも、恋人の豹介や、尊敬できる女性の永瀬さんや、その他の周囲の人が元病人に求めるのはその社会性だ。多分、元病人に最も求められる能力は、ほんの少し周りに合わせ病気を黙っている自制心なのだろう。
 でも、ルンちゃんは自我を選ぶ。

 私が最初に読んだ山本氏の著作は再婚生活だ。山本氏のうつ病の闘病記である。山本氏の代表作であるこのプラナリアが、うつ発症前に執筆された物で良かったと思う。でなければ、"患者体験をもとにした"とか陳腐な評価をされたかも知れない。

 重い病気を経験する前に、これほど病人の心を汲み取った小説を書いた山本氏は、月並みな言い方だが、人の気持ちを汲み取る能力が優れてるのだと思う。

 プラナリアを読んだ後で、再婚生活を思い出すと、あのふてぶてしい病人像を示した作品は、当然、世間の反発が有ることを理解した上で書いたように思える。山本氏の心意気を感じて涙が出た。
プラナリア (文春文庫) Amazon書評・レビュー: プラナリア (文春文庫)より
4167708019
No.114
(4pt)

捻くれている女性の典型例が満載!

本小説は、どこにでもいそうな女性の、捻くれた一面がよく分かる短編集である。
「プラナリア」は、乳癌になったことで自暴自棄になり、周りに迷惑を掛けていることを自覚しているが、それが制御できないでいる、所謂、かまってちゃんの話。人間は病気を持つと傲慢になるというのが何となく伝わった。
「どこかではないここ」は、リストラで収入の減った夫、大学生の息子、高校生の娘という家庭環境に囲まれた生活を営むパート主婦の、どこかこのカテゴリーの人間独特の醜さが伝わる話。ラストに現代的な悲劇があり、ちょっと可哀想にも見えるが、こういう展開も分からないではないと思えてしまう。
「囚われ人のジレンマ」は、心理学を専攻する大学院生の彼氏と愛のない付き合いを続けるOLが、自分勝手な振る舞い続ける話。この別れる理由も無く付き合い続ける関係を囚人のジレンマ状態に例えているのが面白い。

これらの短編にでてくる女性は、決して特別ではないと思う。女性なら、こういった捻くれた一面は必ず持っているはずだ。
プラナリア Amazon書評・レビュー: プラナリアより
4163196307