(短編集)
ばにらさま
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5つの短編のこの本でやはり表題にもなっている”ばにらさま”が秀逸。 私がOLだった遠い昔にもこういう女の子いたな~。 当時はまだ派遣が一般的ではなくて大企業でも高卒や短卒の女の子を営業のアシスタントとして大量に採用していたから(男女雇用機会均等法以前だし)社内結婚を狙っての駆け引きがすごかった。 二股をかけられた挙句捨てられて退職する女の子もいたもの。 いつの時代にもそういう打算的な子っているんだよな~。 当時の母の口癖 ”会社に誰か良い人いないの?” がすごく嫌だったなぁ・・・。 はい。いなかったから婚期が遅れました(苦笑) | ||||
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ばにらさま、なんだかとても気持ちがわかる、彼の気持ちも。みんなから雑誌から抜け出たスタイルと結婚して逃げてホッとしたい疲れた30歳の彼女の気持ちも痛いほどわかる。、山本文緒さんは末期でこの本を出版してくれてありがとうございます。今の人世代昔、私たちは何かに焦り見失い途方に暮れた、そんな葛藤が素晴らしくて大好きなばにらさまでした。 | ||||
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山本文緒さんらしく、心がチクンとする作品が揃っています。 日常は、逆三角形の上にある、ということ、その不安定さに気づかされます。登場人物と比べて自分のことを考えてみれば、不安になったり、幸せだと思ったり。 6つの短編、それぞれで感情が揺さぶられました。良い本でした。 亡くなられて本当に惜しいです… | ||||
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何がしかの小説を読み続ける生活は相変わらずなのだけども、最近は若い頃に憧れたスターの様な主人公像という物がめっきり苦手になった。能力や才能に、何なら血統に恵まれて巨大な運命と試練に立ち向かうヒーロー……みたいな登場人物のツヤツヤ・スベスベした存在感がどうにも嘘臭く感じて仕方が無い。 むしろ気に入るのは人生のままならなさや浮世の不条理に苦々しさを感じながら、生活の垢にまみれてそれでもなお続く人生を生きる雑草の様なざらついた存在を描く物語ばかりである。 そんな自分自身の読者としての変化を感じる日々の中で出会ったのがこの山本文緒の短編集。 構成の方は60頁ほどの中編が1作、40頁ほどの短編が3作、20頁ほどの掌編が2作。 ちょっと意外だがトップバッターを飾る表題作「ばにらさま」だけがこの中では割と異色。一人称で語られるという部分では他の作品と同じなのだが、この作品だけが男性視点で語られている。この一人称で綴られる、という部分がキモで基本的には「バニラさま」と名付けた彼女との関係が語られるのだけども中途中途で正体不明の女性視点と思われる独白めいた文章が挿入される。 この独白がまた何というかひどくザラついた経済的不満や身内との付き合いを巡る女性の「本音」の垂れ流しというか、Twitterで素性の分からない人の私生活についての呟きを覗き見している様な気分にさせられる。主人公がなかなか距離が埋まらない彼女の本音を聞き出そうとした事でこのざらついた呟きの正体と同時に彼女の素性も明かされるのだけど、そこに救いみたいな物はなくただ一つの関係が終わった事だけを読者はゴロッと投げつけられて物語は幕を閉じるのである。 表題作を読み終えて二作目の「わたしは大丈夫」を読み始めるとこれがまたザラついている。今度は女性の一人称なのだけど、子育てをしていると思しきこの女性はえらく倹約家というか締まり屋で無駄にして良いお金など一円たりとも存在しないという確固たる意志の持ち主らしい。義母との関係もその性格であまり上手くいって無い事が伝わってくるので読み始めてすぐに再び「なんなんだこの女性は……」と引っ掛かりを覚える方も多いかも。 しかし同時にかつての主人公がバリバリと働く野心的なキャリアウーマンとして生きていた頃の様子が挿入されるので「こんな女性がなんでまた」と思って読み進めていくと話が妻子ある男との関係へと発展してゆき何やら不穏な雰囲気を醸し出し始めるのである。 クライマックスで男性との不確かな関係にしびれを切らした女性が踏み切った決定的な行動とその結果として起きた不可逆的変化には読者にも「ああ……」と頭を抱える人が多いのでは無いだろうか? これ以外の4作も基本的には「人生が思ったようには上手くいかない(もしくは上手く行かなかった)」という悔いを抱えた女性ばかりが主役を務めるし、その人生も全ては彼女たちの愚かさや狭量さ、無責任さが原因で厳しく言えば同情される様な立場で無い事が描かれる。 が、なんというかその愚かさみたいなものが愛おしい。最近は「主人公の仲間に足を引っ張る様な愚か者や無能が混じっているのは我慢ならん」というえらく狭量な読者が血気盛んな若い層に増えているとは聞くけども50歳も間近になった自分の様な中年にはこういった愚かさを抱え、過ちを犯し、悔いを抱えたままで、それでもなお生きていこうとする姿を見せる人物の方が好ましく想えるのである。 その意味において収録作である「菓子苑」や「子供おばさん」の様な中年期に差し掛かって一人ぼっちの人生を送る主人公を描いた作品は何というか救われた様な気持ちにさせてくれるものがあった。特に「子供おばさん」の主人公なんかは40代で夭逝したかつての友人の思わぬ遺産を受け取る事で新しい人生が開かれるというラストは「もうこの道を行ける所まで行くしかない」という想いに囚われている中年にとってはそれで十分救いになり得るのである。 いい歳こいても愚かで逃げ腰で後悔ばかり抱えて生きている様な人間は否定されてしかるべきだと思われるかもしれないが、そんな人生でもなお生きていこうとする主人公の姿に「ダメでも良いじゃん」と呟きたくなる、そんな一冊であった。 追記 本作の作者である山本文緒さんが既に物故された方であり、本作が遺作であると知って愕然となった。これだけの作家を読まないままここまで来た自分の読者としての愚かさが恨めしい。 | ||||
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以前NHKのドキュメントで作者の日々の生活を拝見し、自分とあまりに違う幸せそうな暮らしぶりに作品を手にすることなく過ごしてきたのですが、まだ亡くなるには早い年齢で行ってしまった事を知り最後の短編の本書を手に取りました。 短編ならばどこで止めてもと思ったのですが、読み始めてページをめくる手を止められず最後まで読んでしまいました。 どの話も自分の中にずしんと重く辛い気持ちにさせるのですが、それでも読み進む事を止められませんでした。 もっと早く読んでいれば・・・と後悔しつつレビューを書いています。 | ||||
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