後妻業
評判
後妻業の評価:
4.17/5点 レビュー 143件。 A ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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本書の後妻業を生業とする女は本名が黒澤小夜子、昭和18年1月15日に北河内郡門真町生まれ、 今年なら満72歳だ。 この女の遍歴が物凄い。 先ず結婚、離婚を繰り返す。 黒澤から、星野、岸上、西山、中尾、末永、元木、名城、津村、武内という名で、入籍・除籍の謄本が忙しい。 元木氏は徳島で事故死、 名城氏は和歌山で溺死、 津村氏は特養ホームで死亡、 末永氏は比叡山でひき逃げされるという具合だ。 最後の名前は武内小夜子で、その後の中瀬耕造氏とは籍を入れていない。 91歳の中瀬氏は脳梗塞で倒れ、病院入院中に急に死亡した。
結婚紹介所の経営者で、「ブライダル微祥」の代表者、柏木享が、小夜子と結託し、めぼしい相手の爺さんがいれば小夜子に連絡する。 首尾良く財産をせしめれば、小夜子と柏木が折半するという後妻業だ。 二人の間は対等ながら、常に喧嘩腰のような関西弁の速いテンポで台詞は続く。 そこに関わってくるのが、南栄総合興信所の探偵、本多だ。 元大阪府警のマル暴担当であった。 大阪府警データ照合センターには、今里署暴対係の同僚だった橋口がいるから、僅かなカネで情報は取れる。 そういう関係で本書は展開し、大変面白く出来上がっている。
一方で、後妻業を実行役で実践するのは武内小夜子だが、全て柏木の指示で動くのが少々気になった。 小夜子の単独での各爺さんとの関係を読みたかったからだ。 また後半は、探偵の本多があたかも主役の座を奪ったように存在感を増して登場する。 その相手はブライダル微祥の柏木となる。 特に最後はこの二人の間で展開するかのようだ。 これも少々嫌気がさした。
本書の最後の犠牲者となる中瀬耕造氏には二人の娘(法定相続人)がいるが、小夜子が公正証書遺言書を持っていた。 1か所の土地・建物を除いて、他の全ての不動産、定期預金、投資信託は内縁の妻の武内小夜子が受け取るという内容だ。 娘2人の遺留分など当然に侵害している。 本書で気になった点は、大成銀行古市支店に小夜子と柏木が訪れる場面だ。 中瀬耕造氏名義の総合口座通帳、銀行取引印を持参し、中瀬が倒れたので 「定期預金2,300万円」 と 「投資信託1,600万円」を解約したいという申し出だ。 一応別の日に支店次長と担当女子行員が病院で、中瀬耕造氏が入院しているベッドで意識不明の状態を確認した。 そして週明けに現金で全額を払い出している。 通常これは絶対に払出すことは出来ない。 本人ではない人に、ましてや内縁の妻に対しての払出などは絶対にしない。 また約4,000万円近くの現金を当日朝に銀行宛に電話して、午後1時に用意させているが、当日では用意出来ない。 小説を参考にして現役の後妻業の女達が真似をするだろうから、現実に不可能なことは書かない方が無難だ。