ハーモニー

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評判

ハーモニーの評価:

4.16/5点 レビュー 253件。 A ランク

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平均点4.16pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全394件 121〜140 7/20ページ
No.274
(4pt)

SFをあまり見ないのですが、これは比較的難解すぎず、すんなり読めましたのでお勧めです

ヒトの健康すら完全に管理された世界、その世界の仕組みを作った一端を担った父親、そしてその世界の憎しみかたを教えてくれた友の間で、ゆれる女性の話です。

近未来の描写は初めはイメージするのが難しいですが、そこまで難しい用語は多くなく、読み進めるうちに問題なくなります。
また結末に向けての展開はスピード感もあり一気読み、さらにその結末には裏をかかれました。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.273
(4pt)

SFをあまり見ないのですが、これは比較的難解すぎず、すんなり読めましたのでお勧めです

ヒトの健康すら完全に管理された世界、その世界の仕組みを作った一端を担った父親、そしてその世界の憎しみかたを教えてくれた友の間で、ゆれる女性の話です。

近未来の描写は初めはイメージするのが難しいですが、そこまで難しい用語は多くなく、読み進めるうちに問題なくなります。
また結末に向けての展開はスピード感もあり一気読み、さらにその結末には裏をかかれました。
ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)より
415208992X
No.272
(4pt)

良い

個人的には『虐殺器官』と比べて物語に説得力があると感じたが
意識についてなど、やはり物事を単純化しすぎなところがある。
問題意識とアイデアは良いと思った。投げかけている問いが大事だと思う。
色々なことについて考えるきっかけになり、
そこが伊藤氏の作品が影響力を持つ理由の一つなのかもしれない。
個人的には、物語の説得力は星三つ、アイデアとメッセージ性は五つ。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.271
(4pt)

良い

個人的には『虐殺器官』と比べて物語に説得力があると感じたが
意識についてなど、やはり物事を単純化しすぎなところがある。
問題意識とアイデアは良いと思った。投げかけている問いが大事だと思う。
色々なことについて考えるきっかけになり、
そこが伊藤氏の作品が影響力を持つ理由の一つなのかもしれない。
個人的には、物語の説得力は星三つ、アイデアとメッセージ性は五つ。
ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)より
415208992X
No.270
(5pt)

満足です。

ずっと読みたかったので、購入しました。中古本なのに、綺麗でした。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.269
(5pt)

満足です。

ずっと読みたかったので、購入しました。中古本なのに、綺麗でした。
ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)より
415208992X
No.268
(4pt)

ほかの2作より読みやすい

『虐殺器官』『屍者の帝国』と比べるとだいぶ読みやすいし、話の展開が理解しやすい。世界観的には『虐殺器官』と同じ世界の、時系列的には後の話に位置づけられるのだろうか。ストーリー的には大したことはないが、ほかの作品同様、テーマとそれに対する深い洞察がおもしろい。ただし、後味は何とも悪い作品ではある。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.267
(4pt)

ほかの2作より読みやすい

『虐殺器官』『屍者の帝国』と比べるとだいぶ読みやすいし、話の展開が理解しやすい。世界観的には『虐殺器官』と同じ世界の、時系列的には後の話に位置づけられるのだろうか。ストーリー的には大したことはないが、ほかの作品同様、テーマとそれに対する深い洞察がおもしろい。ただし、後味は何とも悪い作品ではある。
ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)より
415208992X
No.266
(4pt)

良作

ここ最近になって人気が出てきた伊藤計劃作品だが、かくゆう私も大衆につられて読んだには違いない。話としては虐殺器官の後の世界軸だ。虐殺器官とは対極の世界観があり、ユートピアを謳っているところが逆にエグくサイコパスを感じた。
結果的に良作だとは思うのだが、ただ一つだけ惜しいのがラストのくだりがあまり好きではない。トァンがミァハを殺す動機が"父親とキアンの復讐"というのには少し落胆してしまった。
トァンは高校生の頃に圧倒的カリスマ性を持つ御冷ミァハという少女に惹かれていた。インテリジェンスで危うい美しさを秘めていたミァハに対し、恋愛感情のような尊敬のような、あやふやな想いを確かに抱いていたはずだ。それなのにここまで来て掌を返したような殺す動機。ミァハに対するトァンの想いやトァンとミァハの関係が希薄に感じられてしまった。話の筋的にも、ここにきてキアンと父親のことを出すのか………という感じだ。
話の繋ぎの文章があまり巧みに感じられなかったが、とりあえず良い作品ということは間違いない。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.265
(4pt)

良作

ここ最近になって人気が出てきた伊藤計劃作品だが、かくゆう私も大衆につられて読んだには違いない。話としては虐殺器官の後の世界軸だ。虐殺器官とは対極の世界観があり、ユートピアを謳っているところが逆にエグくサイコパスを感じた。
結果的に良作だとは思うのだが、ただ一つだけ惜しいのがラストのくだりがあまり好きではない。トァンがミァハを殺す動機が"父親とキアンの復讐"というのには少し落胆してしまった。
トァンは高校生の頃に圧倒的カリスマ性を持つ御冷ミァハという少女に惹かれていた。インテリジェンスで危うい美しさを秘めていたミァハに対し、恋愛感情のような尊敬のような、あやふやな想いを確かに抱いていたはずだ。それなのにここまで来て掌を返したような殺す動機。ミァハに対するトァンの想いやトァンとミァハの関係が希薄に感じられてしまった。話の筋的にも、ここにきてキアンと父親のことを出すのか………という感じだ。
話の繋ぎの文章があまり巧みに感じられなかったが、とりあえず良い作品ということは間違いない。
ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)より
415208992X
No.264
(5pt)

「挟間」に生きる人間

「人類は試されている。幸福を追求するのか,真実を追究するのか」という長老たちの言葉(DVDのセリフ)が全編を貫いています。
 
 もし病やストレスから解放され長寿が保障されるなら,たとえ自らが社会の資源として国会に管理されることに,あえて異を唱える人は少ないかもしれません。身の引き裂かれるような痛みや悩みに苦しんだ経験のある人にすれば,こんな苦しみはないに越したことはありません。そのために自らの自由を手放したとしても,それを誰が責めることができるでしょうか。
 しかし,この小説に登場する主人公の霧慧トゥアンやその父親の霧江ヌァザは,彼らが暮らす社会で実現された過剰に他者を慈しみあう諍いのない健康社会にさえ,息苦しさや不安を感じ,あえてその社会から抜け出そうとする感受性をもっています。 
 自ら危険に飛び込み,タバコやアルコールなどの不健康な嗜好品をたしなみながら,痛みや苦しみを自ら受け止めることに生きがいさえ感じているようです。どちらが幸せなのかを決めつける権利は,おそらく誰にもないでしょう。小説では,主人公を取り巻く情勢は,個人のそうした選択の自由さえ許しません。かつて死んだと思い,生き残ったことに負い目を抱いていた幼ななじみが,健康の究極の形ともいうべき意識のない世界(ハーモニー・プログラムが起動した社会)を急がせるべく,罪のない多くの人の命を奪っていきます。
 主人公の行動原理には,どんな大義名分もありません。ただ身近で親しい人間の死について,痛みや苦しみを抱えた人間への共感から,その真実を見極めるために行動を起こしていきます。幸福は押し付けるものではないというテーマとしてのディストピア小説ともいえそうですが,人間の本質の一面について考えさせられる内容を含んでいる気がしました。
 主人公の父親は研究者で,極端な健康社会を作るきっかけとなった「Watch Me」の開発にも携わり,やがて家族からも姿を消し,人間の意識すら消滅させ,葛藤や精神的不安をも取り除く「ハーモニー・プログラム」を開発します。しかしその起動方法をめぐって,対立する組織の「挟間」で,国際的な医療センターのあるメソポタミア地方に隠れ家を持つようになり, 主人公の娘と13年ぶりの再会を果たします。

  「なぜ,この一帯をメソポタミアと言うか知っているかね」「メソポタミアとは,二つの河の挟間という意味だ」まるで「挟間」で生きることが本来の人間であるかのようにして,主人公霧慧トゥアンに問いかける父親の霧慧ヌァザの言葉が印象的です。
  
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.263
(5pt)

「挟間」に生きる人間

「人類は試されている。幸福を追求するのか,真実を追究するのか」という長老たちの言葉(DVDのセリフ)が全編を貫いています。
 
 もし病やストレスから解放され長寿が保障されるなら,たとえ自らが社会の資源として国会に管理されることに,あえて異を唱える人は少ないかもしれません。身の引き裂かれるような痛みや悩みに苦しんだ経験のある人にすれば,こんな苦しみはないに越したことはありません。そのために自らの自由を手放したとしても,それを誰が責めることができるでしょうか。
 しかし,この小説に登場する主人公の霧慧トゥアンやその父親の霧江ヌァザは,彼らが暮らす社会で実現された過剰に他者を慈しみあう諍いのない健康社会にさえ,息苦しさや不安を感じ,あえてその社会から抜け出そうとする感受性をもっています。 
 自ら危険に飛び込み,タバコやアルコールなどの不健康な嗜好品をたしなみながら,痛みや苦しみを自ら受け止めることに生きがいさえ感じているようです。どちらが幸せなのかを決めつける権利は,おそらく誰にもないでしょう。小説では,主人公を取り巻く情勢は,個人のそうした選択の自由さえ許しません。かつて死んだと思い,生き残ったことに負い目を抱いていた幼ななじみが,健康の究極の形ともいうべき意識のない世界(ハーモニー・プログラムが起動した社会)を急がせるべく,罪のない多くの人の命を奪っていきます。
 主人公の行動原理には,どんな大義名分もありません。ただ身近で親しい人間の死について,痛みや苦しみを抱えた人間への共感から,その真実を見極めるために行動を起こしていきます。幸福は押し付けるものではないというテーマとしてのディストピア小説ともいえそうですが,人間の本質の一面について考えさせられる内容を含んでいる気がしました。
 主人公の父親は研究者で,極端な健康社会を作るきっかけとなった「Watch Me」の開発にも携わり,やがて家族からも姿を消し,人間の意識すら消滅させ,葛藤や精神的不安をも取り除く「ハーモニー・プログラム」を開発します。しかしその起動方法をめぐって,対立する組織の「挟間」で,国際的な医療センターのあるメソポタミア地方に隠れ家を持つようになり, 主人公の娘と13年ぶりの再会を果たします。

  「なぜ,この一帯をメソポタミアと言うか知っているかね」「メソポタミアとは,二つの河の挟間という意味だ」まるで「挟間」で生きることが本来の人間であるかのようにして,主人公霧慧トゥアンに問いかける父親の霧慧ヌァザの言葉が印象的です。
  
ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)より
415208992X
No.262
(5pt)

夭折した天才作家の描くディストピア

ラノベ風に書かれた本格SFと言う感じで、意外と読者を選びそう。JK3人組の会話で始まる軽さや中二病みたいな登場人物の名前だけで読む気をなくす人もいるだろうし、逆にラノベ的に気軽に読もうと思ったら内容のハードさに耐えられないかも知れない。個人的にほぼ冒頭の場面で「涼宮ハルヒの憂鬱」と同じようなセリフがあって(パクったに違いない)ニヤリとしてしまったのだが、あのアニメの世界観とかやたら小難しそうな長門有希の設定とかを面白いと思える人なら大いに楽しめる作品だと思う。問題の場面は次の通り。

 ミァハはそんな社会を憎悪していた。親は子を選べないかもしれないけど、それを言うなら幼子は何ひとつだって選べやしないわけで、せめてセカイひとつぐらいはどうにかならなかったのか、とミァハは口癖のように言っていた。だからそうやって親切に近づいてくる男子女子に対し、最初は丁重に断りを入れ、あまりにしつこいと最後は、「ただの人間には興味がないの」とあっさり言い放つ。まるで、宇宙人や超能力者でも持ってこなければ話にならん、と求婚者に理不尽を告げるかぐや姫のよう。

 舞台は多発するテロや核兵器使用により汚染された地球に生き残った人類の暮らす、病気が一掃されたユートピア社会。ある年齢まで成長した人は皆医療監視装置を埋め込まれ、健康を害するような行動は予防の段階から忌避されるため、事故や老衰以外で死ぬ人はいない。さらに幼時から人は一人ひとりが大成な社会の中のリソースであると徹底的に教育され、お互い同士を優しく気に掛けてやるのが体に叩き込まれているため、諍いも争いも起きようのない文字通りの理想的社会。
 が、そんな社会に息苦しさを感じた女子校生3人組が一緒に自殺を試みるのがストーリーの始まり。首謀者のミァハは目的を達成するが、主人公を含めた後の二人は生き残ってしまう。それから10年以上経った世界に未知の存在から恐怖の宣告が。これから定められた期間内に誰かを殺せ、さもないと自殺することになる、と。この宣告がただの脅しでない事を示すかのように、これを全世界にTVで伝えたニュースキャスターは突然ペンを眼球に突き立て脳内をかき乱して自殺してしまう。ここはエロゲ創世期の怪作「雫」で毒電波にやられた女子高生が自分の喉にハサミを突き立てて死ぬバッドエンドを想起した。

 この辺りから物語は大きく動き、死んだはずのミァハと主人公がチェチェンの山奥で再会して衝撃的なエンディングを迎えるまで息も付かせぬ面白さ。変な先入観を持たず読んで欲しいもの。
 この完璧医療ユートピア社会が行き着く果ての恐怖を描いた伊藤計劃が、自身余命いくばくもないガンとの闘病生活の病室で執筆していた、と言うのは嘘のような事実。完成後間もなく亡くなってしまうのだが、自分の病魔も治してくれるはずの未来社会がユートピアでなくより深い絶望に繋がるディストピアだと喝破した彼こそ本物のSF作家と言えるのではなかろうか。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.261
(5pt)

夭折した天才作家の描くディストピア

ラノベ風に書かれた本格SFと言う感じで、意外と読者を選びそう。JK3人組の会話で始まる軽さや中二病みたいな登場人物の名前だけで読む気をなくす人もいるだろうし、逆にラノベ的に気軽に読もうと思ったら内容のハードさに耐えられないかも知れない。個人的にほぼ冒頭の場面で「涼宮ハルヒの憂鬱」と同じようなセリフがあって(パクったに違いない)ニヤリとしてしまったのだが、あのアニメの世界観とかやたら小難しそうな長門有希の設定とかを面白いと思える人なら大いに楽しめる作品だと思う。問題の場面は次の通り。

 ミァハはそんな社会を憎悪していた。親は子を選べないかもしれないけど、それを言うなら幼子は何ひとつだって選べやしないわけで、せめてセカイひとつぐらいはどうにかならなかったのか、とミァハは口癖のように言っていた。だからそうやって親切に近づいてくる男子女子に対し、最初は丁重に断りを入れ、あまりにしつこいと最後は、「ただの人間には興味がないの」とあっさり言い放つ。まるで、宇宙人や超能力者でも持ってこなければ話にならん、と求婚者に理不尽を告げるかぐや姫のよう。

 舞台は多発するテロや核兵器使用により汚染された地球に生き残った人類の暮らす、病気が一掃されたユートピア社会。ある年齢まで成長した人は皆医療監視装置を埋め込まれ、健康を害するような行動は予防の段階から忌避されるため、事故や老衰以外で死ぬ人はいない。さらに幼時から人は一人ひとりが大成な社会の中のリソースであると徹底的に教育され、お互い同士を優しく気に掛けてやるのが体に叩き込まれているため、諍いも争いも起きようのない文字通りの理想的社会。
 が、そんな社会に息苦しさを感じた女子校生3人組が一緒に自殺を試みるのがストーリーの始まり。首謀者のミァハは目的を達成するが、主人公を含めた後の二人は生き残ってしまう。それから10年以上経った世界に未知の存在から恐怖の宣告が。これから定められた期間内に誰かを殺せ、さもないと自殺することになる、と。この宣告がただの脅しでない事を示すかのように、これを全世界にTVで伝えたニュースキャスターは突然ペンを眼球に突き立て脳内をかき乱して自殺してしまう。ここはエロゲ創世期の怪作「雫」で毒電波にやられた女子高生が自分の喉にハサミを突き立てて死ぬバッドエンドを想起した。

 この辺りから物語は大きく動き、死んだはずのミァハと主人公がチェチェンの山奥で再会して衝撃的なエンディングを迎えるまで息も付かせぬ面白さ。変な先入観を持たず読んで欲しいもの。
 この完璧医療ユートピア社会が行き着く果ての恐怖を描いた伊藤計劃が、自身余命いくばくもないガンとの闘病生活の病室で執筆していた、と言うのは嘘のような事実。完成後間もなく亡くなってしまうのだが、自分の病魔も治してくれるはずの未来社会がユートピアでなくより深い絶望に繋がるディストピアだと喝破した彼こそ本物のSF作家と言えるのではなかろうか。
ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)より
415208992X
No.260
(5pt)

■禅的世界感で、果たして破滅は救えるのだろうか?

■エヴァンゲリオンの「人類補完計画」は、個人の自我境界を破壊することで、魂の同化を、対立軸の無い理想世界と置いた。差別化/交配による環境適応ミッションが必要のない世界として、環境変化の適応のためのシステムとしての「寿命」すらないような世界感が、「シン/エヴァンゲリオン」では、展開されている。環境変化もない世界が前提だ。そもそも「変化する環境に適応する」ということが、常識ではなく、ヒトによって創作されたドグマのような、もの言いである。
■確かに、ヒトが、どれだけ環境適応しても、宇宙レベルの物理的な崩壊に適応できるほど、タフでもなく、高速に進化を遂げることは、難しいだろうことは、誰にでもわかる。彗星が衝突する前に、彗星に核爆弾をしかけに行くほどのカウボーイが、ヒトの代表として、ぞくぞくとあらわれ、世界のヒトの税金を使って、宇宙ミッションに地球資源の多くを結集すれば、そのような奇跡の物語も、「変化する環境に適応する」という文脈を守りつつ、つづることができるかもしれない。
■しかし、いかんせん、宇宙とヒトとでは、スケールが違いすぎる。ヒトにとって、宇宙と呼ばれる「何か」は、とてつもなく大きく、深い。「POWERS OF TEN」の途中途中にある空白地帯のように、宇宙とヒトは、交わることのできないほどスケールが違うようにみえる。だか、核分裂に成功したヒトのこと。高速/光速で、宇宙の果てに飛び出すことができるかもしれない。そんな意志が、必要なのか。必要ないのか。この「ハーモニー」という物語は、ヒトに問うている。
■個人の意志/自我があるばかりに、ヒトは、お互いを傷つけ、信頼性の下に築かれたシステムを破壊することで、社会を破滅させる衝動/カタルシスを望んだりする。格差、ねたみ、恨み、不安、欲望、怠惰・・・・・。これらは、ヒトの重要な感情表現の一側面である。その反対側には、平等、自由、平和、博愛、エコロジー、美学、合理的な洗練がある。この二つの面は、同じものの表裏である。愛するものを守るために、何かを敵として規定し憎むのである。そのようなヒトの社会で、核兵器が散逸し、権力の集中が起きている社会。
■「ハーモニー」の世界は、すべて、今ここの、ほんの少しだけ先の世界に揃っている。伊藤計劃が、われわれよりも、少しだけ早く死んだ。というだけだ。死の不安を感じながら、すでにこの世にいない伊藤計劃の紡いだ物語/今語りを楽しむ恍惚。これは「小説」ではない。という事実が、ここ数年で、ニュースのヘッドラインとして、次々とリスト化されるだろう。ノストラダムスの予言詩よりも、洗練された巧緻な言語として。私たちも、準備をはじめなければならない。「自らの意志」と、どう折り合いをつけながら、社会を、環境を、生きていくのか。と。
■伊藤計劃。素晴らしい物語を、今、ここに、残してくれて、ありがとう。今、必要なのは、あなたのように世界に問いかけるカウボーイだ。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.259
(5pt)

■禅的世界感で、果たして破滅は救えるのだろうか?

■エヴァンゲリオンの「人類補完計画」は、個人の自我境界を破壊することで、魂の同化を、対立軸の無い理想世界と置いた。差別化/交配による環境適応ミッションが必要のない世界として、環境変化の適応のためのシステムとしての「寿命」すらないような世界感が、「シン/エヴァンゲリオン」では、展開されている。環境変化もない世界が前提だ。そもそも「変化する環境に適応する」ということが、常識ではなく、ヒトによって創作されたドグマのような、もの言いである。
■確かに、ヒトが、どれだけ環境適応しても、宇宙レベルの物理的な崩壊に適応できるほど、タフでもなく、高速に進化を遂げることは、難しいだろうことは、誰にでもわかる。彗星が衝突する前に、彗星に核爆弾をしかけに行くほどのカウボーイが、ヒトの代表として、ぞくぞくとあらわれ、世界のヒトの税金を使って、宇宙ミッションに地球資源の多くを結集すれば、そのような奇跡の物語も、「変化する環境に適応する」という文脈を守りつつ、つづることができるかもしれない。
■しかし、いかんせん、宇宙とヒトとでは、スケールが違いすぎる。ヒトにとって、宇宙と呼ばれる「何か」は、とてつもなく大きく、深い。「POWERS OF TEN」の途中途中にある空白地帯のように、宇宙とヒトは、交わることのできないほどスケールが違うようにみえる。だか、核分裂に成功したヒトのこと。高速/光速で、宇宙の果てに飛び出すことができるかもしれない。そんな意志が、必要なのか。必要ないのか。この「ハーモニー」という物語は、ヒトに問うている。
■個人の意志/自我があるばかりに、ヒトは、お互いを傷つけ、信頼性の下に築かれたシステムを破壊することで、社会を破滅させる衝動/カタルシスを望んだりする。格差、ねたみ、恨み、不安、欲望、怠惰・・・・・。これらは、ヒトの重要な感情表現の一側面である。その反対側には、平等、自由、平和、博愛、エコロジー、美学、合理的な洗練がある。この二つの面は、同じものの表裏である。愛するものを守るために、何かを敵として規定し憎むのである。そのようなヒトの社会で、核兵器が散逸し、権力の集中が起きている社会。
■「ハーモニー」の世界は、すべて、今ここの、ほんの少しだけ先の世界に揃っている。伊藤計劃が、われわれよりも、少しだけ早く死んだ。というだけだ。死の不安を感じながら、すでにこの世にいない伊藤計劃の紡いだ物語/今語りを楽しむ恍惚。これは「小説」ではない。という事実が、ここ数年で、ニュースのヘッドラインとして、次々とリスト化されるだろう。ノストラダムスの予言詩よりも、洗練された巧緻な言語として。私たちも、準備をはじめなければならない。「自らの意志」と、どう折り合いをつけながら、社会を、環境を、生きていくのか。と。
■伊藤計劃。素晴らしい物語を、今、ここに、残してくれて、ありがとう。今、必要なのは、あなたのように世界に問いかけるカウボーイだ。
ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)より
415208992X
No.258
(5pt)

とにかく読んで欲しい

他に言うことはありません。とにかく読んでください。話はそれからです。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.257
(5pt)

とにかく読んで欲しい

他に言うことはありません。とにかく読んでください。話はそれからです。
ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)より
415208992X
No.256
(5pt)

文明の進歩で人間はやる気が無くなる

物語の本筋はSFミステリーだが、世界観がとにかく凄い。
すべての人間が健康管理され、寿命以外では死ななくなった世界。
そんな世界では、みんなが親切になり怒ることもなくなる。
自分の意思とは一体何なのか。
私も心理学の本を何冊も読んだけど、この作者も結構詳しい。
すでに起こり得る現実だと思う。

糖尿病は進化の過程で生まれた
糖尿病は寒冷期に人類が獲得した貴重な形質のひとつ。
糖分を含んだ水分は氷点がゼロ以下になる。
たとえ肝臓がいかれても、死亡するのは十数年経ってからだ。
それまでに子孫を残せれば遺伝的にはよい。糖尿病は進化の一部だ。
進化とはつぎはぎで、前向きな言葉ではない。
すべての生き物は膨大なその場しのぎの集合体である。
深い話だ。
私はメーカーで働いているが、続く製品には何か変な特徴がある。
どの製品にも設計ミスが出る。これを例に考えを見直そうと思った。

善悪の善とは
家族、幸せ、平和が続くこと。内容は何でもいい。
何かが続いていくようにする。その何かを信じることが善。
私も思い当たることがある。続ける自体が目的になってること。
続けることが善だから、善か悪の議論に意味は無い。
もしやめさせるなら、悪人になるべきなのかな。
ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)より
415208992X
No.255
(5pt)

文明の進歩で人間はやる気が無くなる

物語の本筋はSFミステリーだが、世界観がとにかく凄い。
すべての人間が健康管理され、寿命以外では死ななくなった世界。
そんな世界では、みんなが親切になり怒ることもなくなる。
自分の意思とは一体何なのか。
私も心理学の本を何冊も読んだけど、この作者も結構詳しい。
すでに起こり得る現実だと思う。

糖尿病は進化の過程で生まれた
糖尿病は寒冷期に人類が獲得した貴重な形質のひとつ。
糖分を含んだ水分は氷点がゼロ以下になる。
たとえ肝臓がいかれても、死亡するのは十数年経ってからだ。
それまでに子孫を残せれば遺伝的にはよい。糖尿病は進化の一部だ。
進化とはつぎはぎで、前向きな言葉ではない。
すべての生き物は膨大なその場しのぎの集合体である。
深い話だ。
私はメーカーで働いているが、続く製品には何か変な特徴がある。
どの製品にも設計ミスが出る。これを例に考えを見直そうと思った。

善悪の善とは
家族、幸せ、平和が続くこと。内容は何でもいい。
何かが続いていくようにする。その何かを信じることが善。
私も思い当たることがある。続ける自体が目的になってること。
続けることが善だから、善か悪の議論に意味は無い。
もしやめさせるなら、悪人になるべきなのかな。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
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