(短編集)

風ヶ丘五十円玉祭りの謎

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評判

風ヶ丘五十円玉祭りの謎の評価:

3.97/5点 レビュー 29件。 B ランク

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平均点3.97pt

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全41件 41〜41 3/3ページ
No.1
(3pt)

どの話も小さくまとまっていて、熱量に乏しい。

既刊の長編二作は私の嗜好に見事に合致しており、なかなか面白く読むことができた。
なので、短篇集である本作にも期待していたのだけれど、残念ながらその期待は裏切られてしまった。
凡作だな、というのが正直な感想である。。
詰めのロジックを得意とする作者の持ち味が完全に死んでおり、偏見が入っているかもしれないが、悪い意味でアマチュアの匂いさえ漂う。
大学のサークル仲間の内でなら受けそう、みたいな。

収録されているのは五編+おまけ。

『もう一色選べる丼』
学食の裏手に食べかけの丼ぶりを放置した犯人を探す話。
読み進めながら「他の可能性も存在するだろう」「いや、その考え方はおかしい」と突っ込みたくなる箇所が多く目についた。
特に犯人の行動が最も不自然である。そんな面倒なことをしなくても、○○の○○○○だけ処理すればいいだけの話ではないか。
探偵役自身が「大雑把な推理」と述べているように、穴だらけで雑な推理なのは著者も自覚していたのかもしれないが、だったら書くなと言いたい。

『風ヶ丘五十円玉祭りの謎』
夏祭りの出店でお客が受け取るお釣りが五十円玉ばかりの謎を解く話。
用意された謎は悪くないはずなのだが、最後まで読み終わってもどうにも違和感が拭いきれない。
それは何故だろうと考えてみたが、おそらく次の二点が引っかかるのだと思われる。
1.探偵役が披露した推理=仮説Aは、探偵役が入手している限りの情報から想像できる最も蓋然性が高い結論というだけであり、仮説Bや仮説Cが否定されたわけではないということ。
2.日常の謎における動機論は半無限的な解釈が考えられるので、その中から最も面白くて意外性のある解釈をどのように捻り出すか、どのように辿り着くかという伸び・飛びのロジックが重要になるので、可能性を収束させる詰めのロジックを持ち味とする著者の場合だと、探偵役の推理に今ひとつ説得力が欠ける。
後期クイーン問題が云々、などというつもりはない。しかし、やはり何か落ち着かないというか、アンバランスな感じは否めない。
安楽椅子探偵モノに仕上げておけば、ミステリという形式の遊戯性が強調されて、まだしも違和感は減じていかも。

『針宮理恵子のサードインパクト』
とあるキャラクターの補完的なエピソード。
申しわけ程度の小さな謎と小さな解決があるが、まあそれだけか、という感じである。
「普通そんな行為をするかな」という疑問が、ここでも脳裏に浮かんだ。
こういう青春要素を全面に押し出した話をこの著者が書く必要があるとは思えない。
もっと上手い書き手なら他にいっぱいいるだろう。

『天使たちの残暑見舞い』
抱き合う二人の少女が教室から消失した謎を解く話。
私が通っていた学校ではこういう経験をしてこなかったので、どうにもコメントできない。

『その花瓶にご注意を』
花瓶を割った犯人を見つけ出す話。
フーダニットなのだけれど、容疑者は一人しかいない、と言いきってもいいだろう。
なので、どのようにして犯行を立証するかというのが眼目になるのだが、探偵役の論理の積み重ねに膝を打つようなものはなく、後半のロジックにはやや飛躍があり、真相を空中から取り出している感じがして、納得感は薄い。
というか、視点人物が明らかに確証がないまま行動に移って、犯人のとある行為の証拠を発見しているので、読者であるこちらとしてはちょっと置いていかれた気分になった。
この話だけは日常の謎から逸脱しているかもしれない。

『世界一居心地の悪いサウナ』
おまけ。

全体的に雑な箇所が目につく短篇集。
著者の「まあ、こんなもんでいいだろう」という気持ちが透けて見えるようである。
そういう微温的な熱量しか感じなかった。
そもそもクイーン的というよりはホームズ的な雰囲気の推理が目立つうえ、日常の謎は個人的にあまり趣味ではないので、どうしても評価は低くなってしまう。
キャラクター小説として読むには、人物の魅力や台詞のセンスが米澤穂信などと比べると一段も二段も落ちるので、キャラ萌えとしても微妙である。
やはりこの著者は殺人事件を扱ったほうが持ち味をよりよく発揮できると思うので、若さに甘えず自らハードルを高く設定して、しっかりと腰を据えて次作に取り組んでいただきたい。
風ヶ丘五十円玉祭りの謎 Amazon書評・レビュー: 風ヶ丘五十円玉祭りの謎より
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