ペンギン・ハイウェイ
評判
ペンギン・ハイウェイの評価:
4.10/5点 レビュー 225件。 A ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全444件 301〜320 16/23ページ
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ペンギン・ハイウェイの評価:
4.10/5点 レビュー 225件。 A ランク
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幸せな読書体験をしつつも、なんかずるいよなぁと思ったものだ。私は歴史もたいしてない新しい街に育っていたからである。千年単位の歴史が積み重なっている京都ならそりゃあこんなこともあるでしょうよ、いいですね(ヤッカミ)。
が、それは間違いだった。別にどんな街にだって世界にだって、非日常に跳躍できるのである、森見氏のように類まれな想像力を、たぶん子供のころはみんなそのかけらをもっていたはずのものを、ずっと忘れられないでいられるのなら。
本作の舞台の街は「レゴブロックで作ったような」かわいい家が並ぶ都市郊外の住宅街だ。大きなショッピングセンターがあり、図書館があり、歯科医院があり、給水塔のある丘があり、学校の隣には水路がある。
うん、こんな街なら知っている。でも、こんな新しい小奇麗なところに、なにか冒険や不思議なこととか成立するの?
しかし主人公にしてこの物語の語り手・小学四年生のアオヤマ君たちの手にかかると、この平凡な街がワンダーランドになるのである。水路の水源探しはプロジェクト・アマゾンだし、探検隊を組織し街の秘密地図をつくっているし、古い毛布は基地に変わり、歯科医院には宇宙船の発着場を重ね合わせ、クラスのいじめっ子グループですら「スズキ君帝国」として観察対象になる。
世界が面白くないのは、私がつまらないのは、周りのせいではない。自分の認識と想像力ひとつで変わるのである。
思えば子供のころは、確かに世界はそのようではなかったか?
アオヤマ君はお父さんとドライブするときその道路がやがて至るかもしれない世界の果てを思い、妹は台風の夜にいつかは母親が自分より先に死んでしまう事実を怖れ泣く。ウチダ君は死について考察を深め、認識によって分裂するパラレルワールドの仮説をたてる。あれ、これ、自分も子供のころ似たようなこと考えてなかったっけ。
ただ、これは小説であるからして、アオヤマ君たちは本物の未知に出会う。ペンギンや<海>だ。知識が足りないからの未知ではなく、人知を超えた未知である。そしてアオヤマ君たちの素晴らしさは、そのとき人外の不思議に呑まれることなく、冷静かつ客観的な観察と考察にて向き合うところである。そんなアオヤマ君たちでなければ、ペンギンや<海>だってその前には出現しなかったろう。
この<日常にある未知>と<SF的創造性のある不可思議>の小説の中のバランスが素晴らしく巧みである。実際に小説では「プロジェクト・アマゾン」や「スズキ君帝国観察記」などと「ペンギン・ハイウェイ」「<海>の調査」は並行して進捗する。面白い。やがて大きな事件が起こり、今までの事象が有機的に絡み合い収束し結末を迎える。抒情と余韻を残す素敵な結末である。