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死定席
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【この小説が収録されている参考書籍】
死定席の評価:
| 書評･レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.57pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評･レビュー一覧です
※以下のAmazon書評･レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1～7 1/1ページ
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| 本作品は1979年6月に角川書店から出版されました。タイトルはもちろん指定席から作られた造語です。主人公、弦間康夫は社会に三種の人間しかいないと思っていた。指定席と一般席に座る人間、それと、その席にも座れずあぶれてしまい、人生の長いレールに乗り損ない社会の底辺で暮らす者。 弦間は、生まれながら親の権力で、何も苦労する事なく人生の指定席に座り、人生を優雅に過ごす者達に妬みの心境を持っていた。いつかは自分も人生の指定席に座りたいと思い願望を抱きつつ、その機会を狙っていた。 三沢佐枝子は、弦間に騙されていた。東京ロイヤルホテルの同僚として働いているうちに交際が始まり、すぐに同棲する間柄になる。佐枝子は弦間が、日本社会で優雅に暮らす指定席に座るためアメリカへ遊学したいという希望を叶えるため、必死に働き弦間の旅費からアメリカで二年間にわたる滞在費用まで身を削る働きで捻出した。二年後に帰国した弦間は、佐枝子の姿を見て誰だか分からないほどやつれているほど、献身的に弦間を支えたのだった。 しかし、弦間はアメリカへ渡ったものの定職にも付けず、米国富裕層の有閑マダムの性奴として金品を受け取るアルバイトで暮らしていた。佐枝子が必死になって働いたお金で米国に滞在した弦間は初めから、佐枝子を金の出る女くらいにしか思っていなかったのだから悪い奴だ。 弦間が帰国の飛行機で後町那美と同乗する。その時、弦間は、人生の指定席に座るための女だと直感する。那美の身元を調べると、墨倉財閥の会長でありグループ200社を束ねる墨倉高道の妾腹の娘であることが分かった。指定席どころか特等席ではないかと弦間は驚愕する。 だが困った問題は、佐枝子の存在である。その時、佐枝子は弦間の子を身ごもっていた。弦間は、自分が生まれ育った神奈川県相模市の奥にある竜栖沼が一度沈んだ人間は再び浮かび上がらないことを、子供の頃から知っていた。そこで何の躊躇いもなく、ドライブを口実に佐枝子を誘い出し、お腹の子と一緒に沼の底に沈めてしまうのだ。こんな残虐なことが出来るものだろうか。森村氏も人間として最低の男を描いている。 弦間は、更に那美にも自分の種を植え付ける。墨倉高道には男子の子ばかりで娘がいなく、妾腹の子とはいえ那美を溺愛していた。そんなことから弦間は高道の知遇を受け、グループ内の秘密調査エージェントの社長としての待遇を与えられる。 弦間は、内部で高道に反感を持つ者を炙り出しては、高道から信任を得て着々とグループ上層部へと上がっていく。もう少しで頂点に立てる。そして、ついに墨倉グループの功労社員を表彰するイベントが都内の1200席を埋める高級ホテルで行なわれるのだが、弦間は、受賞者として出席したのだ。まさに指定席いや特等席に座った瞬間だった。しかし、森村氏は、そう易々と弦間を指定席いや特等席に座らせることはしなかった。 最後の最後になって森村氏は弦間に鉄槌を落とす。森村氏の父は常に頭上から物が落ちてくるのを警戒していたという。そのことから、この話を書いたと言っている。1975年1月出版の「偽造の太陽」も同様の結末だ。悪事によって野望を描いた人間としても最低な男が、ラストで一瞬にして消える。溜飲が下がる思い。壮絶なラストシーンは圧巻。 | ||||
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| 本作品は1979年6月に角川書店から出版されました。タイトルはもちろん指定席から作られた造語です。主人公、弦間康夫は社会に三種の人間しかいないと思っていた。指定席と一般席に座る人間、それと、その席にも座れずあぶれてしまい、人生の長いレールに乗り損ない社会の底辺で暮らす者。 弦間は、生まれながら親の権力で、何も苦労する事なく人生の指定席に座り、人生を優雅に過ごす者達に妬みの心境を持っていた。いつかは自分も人生の指定席に座りたいと思い願望を抱きつつ、その機会を狙っていた。 三沢佐枝子は、弦間に騙されていた。東京ロイヤルホテルの同僚として働いているうちに交際が始まり、すぐに同棲する間柄になる。佐枝子は弦間が、日本社会で優雅に暮らす指定席に座るためアメリカへ遊学したいという希望を叶えるため、必死に働き弦間の旅費からアメリカで二年間にわたる滞在費用まで身を削る働きで捻出した。二年後に帰国した弦間は、佐枝子の姿を見て誰だか分からないほどやつれているほど、献身的に弦間を支えたのだった。 しかし、弦間はアメリカへ渡ったものの定職にも付けず、米国富裕層の有閑マダムの性奴として金品を受け取るアルバイトで暮らしていた。佐枝子が必死になって働いたお金で米国に滞在した弦間は初めから、佐枝子を金の出る女くらいにしか思っていなかったのだから悪い奴だ。 弦間が帰国の飛行機で後町那美と同乗する。その時、弦間は、人生の指定席に座るための女だと直感する。那美の身元を調べると、墨倉財閥の会長でありグループ200社を束ねる墨倉高道の妾腹の娘であることが分かった。指定席どころか特等席ではないかと弦間は驚愕する。 だが困った問題は、佐枝子の存在である。その時、佐枝子は弦間の子を身ごもっていた。弦間は、自分が生まれ育った神奈川県相模市の奥にある竜栖沼が一度沈んだ人間は再び浮かび上がらないことを、子供の頃から知っていた。そこで何の躊躇いもなく、ドライブを口実に佐枝子を誘い出し、お腹の子と一緒に沼の底に沈めてしまうのだ。こんな残虐なことが出来るものだろうか。森村氏も人間として最低の男を描いている。 弦間は、更に那美にも自分の種を植え付ける。墨倉高道には男子の子ばかりで娘がいなく、妾腹の子とはいえ那美を溺愛していた。そんなことから弦間は高道の知遇を受け、グループ内の秘密調査エージェントの社長としての待遇を与えられる。 弦間は、内部で高道に反感を持つ者を炙り出しては、高道から信任を得て着々とグループ上層部へと上がっていく。もう少しで頂点に立てる。そして、ついに墨倉グループの功労社員を表彰するイベントが都内の1200席を埋める高級ホテルで行なわれるのだが、弦間は、受賞者として出席したのだ。まさに指定席いや特等席に座った瞬間だった。しかし、森村氏は、そう易々と弦間を指定席いや特等席に座らせることはしなかった。 最後の最後になって森村氏は弦間に鉄槌を落とす。森村氏の父は常に頭上から物が落ちてくるのを警戒していたという。そのことから、この話を書いたと言っている。1975年1月出版の「偽造の太陽」も同様の結末だ。悪事によって野望を描いた人間としても最低な男が、ラストで一瞬にして消える。溜飲が下がる思い。壮絶なラストシーンは圧巻。 | ||||
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| 本作品は1979年6月に角川書店から出版されました。タイトルはもちろん指定席から作られた造語です。主人公、弦間康夫は社会に三種の人間しかいないと思っていた。指定席と一般席に座る人間、それと、その席にも座れずあぶれてしまい、人生の長いレールに乗り損ない社会の底辺で暮らす者。 弦間は、生まれながら親の権力で、何も苦労する事なく人生の指定席に座り、人生を優雅に過ごす者達に妬みの心境を持っていた。いつかは自分も人生の指定席に座りたいと思い願望を抱きつつ、その機会を狙っていた。 三沢佐枝子は、弦間に騙されていた。東京ロイヤルホテルの同僚として働いているうちに交際が始まり、すぐに同棲する間柄になる。佐枝子は弦間が、日本社会で優雅に暮らす指定席に座るためアメリカへ遊学したいという希望を叶えるため、必死に働き弦間の旅費からアメリカで二年間にわたる滞在費用まで身を削る働きで捻出した。二年後に帰国した弦間は、佐枝子の姿を見て誰だか分からないほどやつれているほど、献身的に弦間を支えたのだった。 しかし、弦間はアメリカへ渡ったものの定職にも付けず、米国富裕層の有閑マダムの性奴として金品を受け取るアルバイトで暮らしていた。佐枝子が必死になって働いたお金で米国に滞在した弦間は初めから、佐枝子を金の出る女くらいにしか思っていなかったのだから悪い奴だ。 弦間が帰国の飛行機で後町那美と同乗する。その時、弦間は、人生の指定席に座るための女だと直感する。那美の身元を調べると、墨倉財閥の会長でありグループ200社を束ねる墨倉高道の妾腹の娘であることが分かった。指定席どころか特等席ではないかと弦間は驚愕する。 だが困った問題は、佐枝子の存在である。その時、佐枝子は弦間の子を身ごもっていた。弦間は、自分が生まれ育った神奈川県相模市の奥にある竜栖沼が一度沈んだ人間は再び浮かび上がらないことを、子供の頃から知っていた。そこで何の躊躇いもなく、ドライブを口実に佐枝子を誘い出し、お腹の子と一緒に沼の底に沈めてしまうのだ。こんな残虐なことが出来るものだろうか。森村氏も人間として最低の男を描いている。 弦間は、更に那美にも自分の種を植え付ける。墨倉高道には男子の子ばかりで娘がいなく、妾腹の子とはいえ那美を溺愛していた。そんなことから弦間は高道の知遇を受け、グループ内の秘密調査エージェントの社長としての待遇を与えられる。 弦間は、内部で高道に反感を持つ者を炙り出しては、高道から信任を得て着々とグループ上層部へと上がっていく。もう少しで頂点に立てる。そして、ついに墨倉グループの功労社員を表彰するイベントが都内の1200席を埋める高級ホテルで行なわれるのだが、弦間は、受賞者として出席したのだ。まさに指定席いや特等席に座った瞬間だった。しかし、森村氏は、そう易々と弦間を指定席いや特等席に座らせることはしなかった。 最後の最後になって森村氏は弦間に鉄槌を落とす。森村氏の父は常に頭上から物が落ちてくるのを警戒していたという。そのことから、この話を書いたと言っている。1975年1月出版の「偽造の太陽」も同様の結末だ。悪事によって野望を描いた人間としても最低な男が、ラストで一瞬にして消える。溜飲が下がる思い。壮絶なラストシーンは圧巻。 | ||||
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| 前半部分は、吸い込まれるように読んでて面白かったのですが、後半部分に入ってから、なんか、まどろっこしくて、最後は、なんか、あたしが、思ってたのと違ってて、あっけなくて期待ハズレでした。 | ||||
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| 本書は半分は企業小説の様相を帯びているが、 その展開がスリリングで、大変面白い。 それにしても、この男は筋金入りの悪人だ。 悪人の中には、誰が見てもそれと分かる悪人と、そうは見えない悪人がいる。 この男は、明らかに後者だ。 多くの女性に貢がせ、利己的な目的の踏み台にし、用が済めばポイだ。 当然、こんな事を繰り返していると、ロクな結果を生まない。 結末はダイナミックだ。 男は社会の指定席に座りたかった。 しかし、本書のタイトルは指定席ではなく「死定席」となっている。 その理由は、読了すれば分かるが、 展開が面白いので、長編ながら一気に読んでしまった。 | ||||
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| タイトルが駄洒落と、揶揄される方もいるかも知れないが、内容は実に濃い。 氏が「悪漢小説」と銘打っているように、小物悪人が繰り広げる腐った人格の全貌を描いた異色の傑作！ 突然出会った金持ちの令嬢に魅了され、それまで付き合っていた女性を殺してしまう。しかも殺された女性は妊娠していた。湖から引き上げられた死体を見て、「この犯人は許せない」とつぶやいた刑事の言葉が、犯人である主人公自体を許せないと、聞こえてならない。 犯罪を繰り返しながら、主人公は幸せの絶頂に辿り着くが、その結末は・・・。 決してハッピーエンドを書かない森村氏らしいエンディングで、氏のファンの方はあまりおどろかなかっただろうが、現在で問題となっている若年層の犯罪やストーカーなど、心の中を垣間見ている錯覚を覚える問題作。 私は高校時代にこの小説と出会い、友人にも読むことを勧めたが、「途中で読むのが嫌になった」と、つき返された。それだけこの作品の描写が写実的ということだ。 興味半分で読んでしまうと、氏の意図から外れてしまうので、ここは自らの心をタフにして、立ち向かう気持ちで読んで頂きたいものだ。 | ||||
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