黄金の街
評判
黄金の街の評価:
3.67/5点 レビュー 3件。 D ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1〜2 1/1ページ
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黄金の街の評価:
3.67/5点 レビュー 3件。 D ランク
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確かに、派手でびっくりするような展開は無いにせよ、この「丹念な筆致」がこの物語を第一級の作品にしていることは間違いない。この丹念さは、実は作者が実際にニューヨークの街を歩き、様々な人や警官にリサーチしながら、その生の声や実際にあった出来事を積み重ね、それをフィクションの中に丁寧に生かした結果なのだそうだ。だから、この物語では一つの物事に対する人間の反応や対応の仕方が一筋縄ではなくて非常に面白い。一筋縄ではない、というのは、時として予想を裏切り、普通ならしないであろうと思われるような行動や言動をついついしてしまう、といった部分だ。
例えば主人公の一人、犯罪現場に居合わせ、同じくチンピラに恐喝を受けた青年エリックだ。素直に犯人の情報を警察に与えればそれで済むものを、警官の態度が強硬すぎたために彼は頑なに協力を拒む。そして協力を拒んだばかりに彼は犯人と目されてしまう。殺された青年の父ウィリアムは、悲しみの為に常軌を逸した行動に出るが、常軌を逸し過ぎて、本来なら被害者でもあるのに非常に不快な印象をみせてしまう。事件を追う警官のマッティを苛立たせる警察の官僚主義は信じられないほど対応が鈍重すぎて、その有り得なさが逆にリアルに感じさせる。殺人を犯した少年トリスタンは、初めての殺人に委縮しない。むしろ人として自信が付いてしまう。そして彼は極悪人でもなんでなく、血の繋がらない兄弟をこまめに世話するといった面を見せる。それぞれの登場人物のバックストーリーの書き込みは膨大で、肉付けも非常に充実していて、生きているように生々しい。これがこの物語の魅力だ。
そういった作品の魅力と併せ、作者であるリチャード・プライスがハリウッドでも名うてのシナリオライターであることも特筆すべきだろう。特にマーティン・スコセッシとの親和性が高い。スコセッシの「ハスラー2」、オムニバス「ニューヨーク・ストーリー」のスコセッシのパート、スコセッシ製作の「恋に落ちたら…」の脚本、スコセッシが監督したマイケル・ジャクソンのPV「BAD」の脚本、ロバート・デ・ニーロ主演「ナイト・アンド・ザ・シティ」の脚本も手掛けているのだ。さらに自身の著作もほとんど映画化されており、「ワンダラーズ(フィリップ・カウフマン監督)」「ブラッドブラザーズ(ロバート・マリガン監督)」「シー・オブ・ラブ(ハロルド・ベッカー監督)」「クロッカーズ(スパイク・リー監督)」「フリーダムランド(ジョー・ロス監督)」とそうそうたるものである。リチャード・プライスの書くものが映画的であるのと同時に、映画化したくなるような魅力ある作品であるということなのだろう。そういった部分で、この『黄金の街』も映画的であるということもでき、映画好きの方にお勧めしてみたいとちょっと思ってしまった。