黄金の街
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点6.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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マンハッタンのロウアー・イースト・サイドで拳銃強盗殺人が発生し、犯人は逃走。捜査にあたった市警の刑事は、被害者と一緒にいたバーのマネジャーが犯人ではないかと疑うが、確実だと思っていた目撃者の証言が曖昧なことが分かり、釈放せざるを得なくなる。その後、捜査は一向に進展せず、事件関係者はみんな泥沼に入り込んだような状況になっていく・・・。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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なにか雑然としすぎ。表題が、エデンの東のような意味をさすのか、私にはわからない。単なる犯罪小説。 | ||||
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ニューヨークの街で深夜、一人の青年が射殺される。彼の死をきっかけに、様々な人間たちの人生に波紋が投げかけられてゆく…。リチャード・プライスの描くクライム・ノヴェル『黄金の街』で描かれるのは、チンケなチンピラによる、単純な物取りの殺人だけだ。異様な連続殺人や巨大な陰謀がそこで描かれるわけでは決してない。しかしたった一人の死は、それはありふれたちっぽけな死にすぎないのだろうか。たった一人だろうが何だろうが、死というものは、しかもそれが殺人であるならば、決して軽いものである筈が無い。この物語は、決して奇を衒うことなく、一つの殺人事件が、その被害者や加害者に関わる大勢の人間たちのその後の人生を、どのように変え、そして彼らがどのように動いてゆくのか、を丹念な筆致で描いた作品だ。 確かに、派手でびっくりするような展開は無いにせよ、この「丹念な筆致」がこの物語を第一級の作品にしていることは間違いない。この丹念さは、実は作者が実際にニューヨークの街を歩き、様々な人や警官にリサーチしながら、その生の声や実際にあった出来事を積み重ね、それをフィクションの中に丁寧に生かした結果なのだそうだ。だから、この物語では一つの物事に対する人間の反応や対応の仕方が一筋縄ではなくて非常に面白い。一筋縄ではない、というのは、時として予想を裏切り、普通ならしないであろうと思われるような行動や言動をついついしてしまう、といった部分だ。 例えば主人公の一人、犯罪現場に居合わせ、同じくチンピラに恐喝を受けた青年エリックだ。素直に犯人の情報を警察に与えればそれで済むものを、警官の態度が強硬すぎたために彼は頑なに協力を拒む。そして協力を拒んだばかりに彼は犯人と目されてしまう。殺された青年の父ウィリアムは、悲しみの為に常軌を逸した行動に出るが、常軌を逸し過ぎて、本来なら被害者でもあるのに非常に不快な印象をみせてしまう。事件を追う警官のマッティを苛立たせる警察の官僚主義は信じられないほど対応が鈍重すぎて、その有り得なさが逆にリアルに感じさせる。殺人を犯した少年トリスタンは、初めての殺人に委縮しない。むしろ人として自信が付いてしまう。そして彼は極悪人でもなんでなく、血の繋がらない兄弟をこまめに世話するといった面を見せる。それぞれの登場人物のバックストーリーの書き込みは膨大で、肉付けも非常に充実していて、生きているように生々しい。これがこの物語の魅力だ。 そういった作品の魅力と併せ、作者であるリチャード・プライスがハリウッドでも名うてのシナリオライターであることも特筆すべきだろう。特にマーティン・スコセッシとの親和性が高い。スコセッシの「ハスラー2」、オムニバス「ニューヨーク・ストーリー」のスコセッシのパート、スコセッシ製作の「恋に落ちたら…」の脚本、スコセッシが監督したマイケル・ジャクソンのPV「BAD」の脚本、ロバート・デ・ニーロ主演「ナイト・アンド・ザ・シティ」の脚本も手掛けているのだ。さらに自身の著作もほとんど映画化されており、「ワンダラーズ(フィリップ・カウフマン監督)」「ブラッドブラザーズ(ロバート・マリガン監督)」「シー・オブ・ラブ(ハロルド・ベッカー監督)」「クロッカーズ(スパイク・リー監督)」「フリーダムランド(ジョー・ロス監督)」とそうそうたるものである。リチャード・プライスの書くものが映画的であるのと同時に、映画化したくなるような魅力ある作品であるということなのだろう。そういった部分で、この『黄金の街』も映画的であるということもでき、映画好きの方にお勧めしてみたいとちょっと思ってしまった。 | ||||
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ニューヨークのロウアー・イースト・サイドで殺人が発生、容疑者が検挙されるが・・・というお話。 粗筋だけ読むと典型的なサスペンスかクライム・ノヴェルのように思えますが、この小説では様々な人種が混淆する都市の現在を主役にしているように受け取れました。容疑者として疑われるバーテンダー、息子を殺された父親、真犯人らしい少年、捜査にあたる刑事、それら主要登場人物に絡む様々な人種の脇役たちの人生の交差から今現在のニューヨークの一地区の状況が浮かび上がってくるという感じの小説に思えました。 なので、サスペンス風の作品ですが、謎解きとかハードなアクションを期待すると裏切られるかもしれませんが、都市を主人公とした文芸小説として読めばそれなりに面白く読めるという作品に思えましたがどうでしょうか。 特に様々な場面で登場人物たちがその特定の場所でそこ独特な臭気を感じる描写が多く、そのむせ返るような五感を刺激する部分にこの著者の都市の描き方或いは都市のプレゼンスを見るように感じ興味深かったです。 スラスラと読める軽めの筆致の作品ではありますが、結構読み応えのある小説。同じ著者の他のものも読んでみたいと思います。 | ||||
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