(短編集)

江戸川乱歩短編集

【この小説が収録されている参考書籍】

【この小説が載っている参考書籍】

評判

江戸川乱歩短編集の評価:

4.37/5点 レビュー 19件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.37pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全21件 21〜21 2/2ページ
No.1
(5pt)

「フィギュアと旅する男」ってもう現実だよ。

岩波文庫緑帯で読む乱歩。いかにも似合いそうな予感がして、本書を手に取った。

一度ならず読んできた短編であるが、この岩波文庫という器は実にゼロ年代の
乱歩にぴったり合っている感じだ。大変面白く読んだ。千葉俊二氏による書誌的
にも充実した解説(谷崎の研究者として高名な方だそうだ)も、とてもよい。

大震災後の帝都東京という場所と、バブル以降の長い沈滞期にある日本が非常に
近いところで共振している。「暇をもてあまして、人生に心底から退屈しきった
主人公」たち。「どんな遊びも、どんな職業も、何をやってみても、一向この世
が面白くない」という、八方塞がりの倦怠感。これらはまさに現代=ゼロ年代を
表す記号でもある。

もちろん、描写の一つひとつの古めかしさや、乱歩独特の「ですます」文体の
野暮ったさはある。しかし、そういうヴェールを自分の読みでデジタル処理して
見直すと、現れるのは恐ろしく同時代的な物語である。

「ネット裏の散歩者」「フィギュアと旅する男」「携帯地獄」などと、ベタな
翻案をするだけでもその凄さは伝わってくる。

オールドファンにもこの新しい革袋はオススメ。若い小説読者で、乱歩なんて
「二十面相」と「少年探偵団」でしょ、と思っている人にこそ読んで欲しい。
「人間椅子」の奇妙な味にしびれます。
江戸川乱歩短篇集 (岩波文庫) Amazon書評・レビュー: 江戸川乱歩短篇集 (岩波文庫)より
4003118111