江戸川乱歩短編集
評判
江戸川乱歩短編集の評価:
4.37/5点 レビュー 19件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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4.37/5点 レビュー 19件。 B ランク
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一度ならず読んできた短編であるが、この岩波文庫という器は実にゼロ年代の
乱歩にぴったり合っている感じだ。大変面白く読んだ。千葉俊二氏による書誌的
にも充実した解説(谷崎の研究者として高名な方だそうだ)も、とてもよい。
大震災後の帝都東京という場所と、バブル以降の長い沈滞期にある日本が非常に
近いところで共振している。「暇をもてあまして、人生に心底から退屈しきった
主人公」たち。「どんな遊びも、どんな職業も、何をやってみても、一向この世
が面白くない」という、八方塞がりの倦怠感。これらはまさに現代=ゼロ年代を
表す記号でもある。
もちろん、描写の一つひとつの古めかしさや、乱歩独特の「ですます」文体の
野暮ったさはある。しかし、そういうヴェールを自分の読みでデジタル処理して
見直すと、現れるのは恐ろしく同時代的な物語である。
「ネット裏の散歩者」「フィギュアと旅する男」「携帯地獄」などと、ベタな
翻案をするだけでもその凄さは伝わってくる。
オールドファンにもこの新しい革袋はオススメ。若い小説読者で、乱歩なんて
「二十面相」と「少年探偵団」でしょ、と思っている人にこそ読んで欲しい。
「人間椅子」の奇妙な味にしびれます。