ロスト・ケア

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評判

ロスト・ケアの評価:

4.22/5点 レビュー 137件。 S ランク

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平均点4.22pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全27件 21〜27 2/2ページ
No.7
(3pt)

新人賞受賞にはふさわしいレベルの社会派エンターテイメント

フー・ダニットのミステリとしては、読者にだけ分かる形で明らかに犯人らしい人物が登場するため、
作者がこれをどうひっくり返すのかという点に興味が絞られます。
作者が用意しているどんでん返しは、それなりに驚きを伴うものですが、一言で言うとアンフェアです。ネタバレになるので詳しくは書けませんが、外見によるミスディレクションが強すぎます。ネタを明かされても、「それはないでしょう」というのが率直な思いです。

統計的な手法で犯人像に迫っていく過程はオリジナリティはあると思いますが、読み進めるにはやや退屈です。

介護、振り込め詐欺などの社会問題の取り上げ方については、レビュアーの皆さんの意見が分かれているようです。当レビュー子は、このタイプのエンターテイメントをどちからかというと評価しています。たとえ断片的・類型的・表面的であったとしても、社会問題を下敷きにした小説は読み進めやすいというのが、中年サラリーマンとしての感想です。この点で、この作品も一定の評価ができる思います。

文章については厳しい意見もありますが、一文一文が短く、割と読み進めやすいように思いました。ただ、節(誰の目で書いているかの変わり目)の冒頭に、「日付変わって、午前〇時〇分。」といった記述が何度か出てきますが、なんだかテレビの安っぽいドキュメンタリーのナレーションのようで、いかがかと思います。

それから、新約聖書の引用が冒頭(序章の前)から終わり(終章)まで随所に出てきますが、これが果たして効果的かどうか疑問があります。作品に厚みや重みを持たせることには繋がっていないと思いますし、作品中の犯罪のモチーフになっているという訳でもなく、取って付けたような感じです。

また、エンディングがぼやけた感じの記述で、主人公の思いがよく伝わってきません。結局、検事としてこれだけの事件を経験しながら、暗い未来の到来に対する諦観にとどまるということなのでしょうか。

全体として、社会派エンターテイメントとしては、オリジナリティのある、新人賞受賞にふさわしいレベルの作品だと思います。
ロスト・ケア Amazon書評・レビュー: ロスト・ケアより
4334928749
No.6
(3pt)

う〜ん 切実。

ミステリーとしては星3つ
現代日本の抱える問題点、介護のあり方としては星4つ
何も殺人をおかしてまで・・・・?星2つ
USBのデータのみで犯人にたどり着く?

それでも読んだあと、色々と考えさせられる物語でした。
ロスト・ケア Amazon書評・レビュー: ロスト・ケアより
4334928749
No.5
(3pt)

介護問題

ミステリーなんでしょうけど、展開は予想がつきます。「彼」が誰であるか、ちょっとした驚きもありますがミステリーを読み慣れた方には、新鮮さはないと思います。

但し、物語の核になっている介護問題(社会構造・家庭環境)は深く重く避けられないテーマであり、このような小説により改めて、或いは初めて考えさせられる人も多いのでは、と思います。

ミステリーとして期待して読むと、やや物足りなさは感じますが、ミステリーという形で様々な問題を抱えている介護の現状(介護会社やそこの介護士、或いは介護家族)が上手く書かれています。
ロスト・ケア Amazon書評・レビュー: ロスト・ケアより
4334928749
No.4
(3pt)

なるほど

自分も介護真っ只中なのでタイトルが気になって購入しました。
悩まされる問題、いつかは遭遇する問題が取り上げられています。もうちょっと掘り下げても良いかな?と思うところもありますが、それは小説の範囲を出ちゃうのかな?
あー、そういう方法を選んだのね。なるほど。の展開でした。
ロスト・ケア Amazon書評・レビュー: ロスト・ケアより
4334928749
No.3
(3pt)

可もなく不可もなく

あらすじから想像されるとおりの内容です。
手堅く、バランスよく描かれていますが、驚きや新鮮味はありません。

読み始めは介護という二元論では割り切れない題材をうまく問題提起しており、非常に期待できました。
しかし内容が介護の現場に移ったところから、それほど心に響くところはありませんでした。

まず、介護というテーマに興味を持って手にした人からすると、大半が知っていることの羅列になると思います。むしろ他のレビュアーさんもおっしゃるように、本作を読んで危機意識を持ったとすれば遅いぐらいです。おそらく多くの人からすれば、ニュースで何となく見たことのある内容の復習になるでしょう。
ただし登場人物が多く、介護者の日常が駆け足の回想ばかりで語られているので、読者がひとりひとりの辛さに付き添うことはできません。ここら辺はミステリーとしてのリーダビリティやフーダニットを優先したのかもしれませんが、この「終わりのない日常」こそが、犯人の主張を支える大きな根幹となっているので、結果、ラストの応酬では言葉ばかりが上滑りしているように感じられました。
せっかく小説で介護を描いているのに勿体ないです。
これなら参考資料としてもあげられているNHKのドキュメンタリー本を読んだ方が数倍伝わるものがあります。

では、ミステリーとしてはどうかと言うと、犯人の論告求刑から始まり、《彼》という人称で犯行の様子も語られますので、「誰が犯人か」「どのようにして完全犯罪が露見するのか」という二点に当てられると思います。ですが、最終的に明らかになる犯人のある特徴についてはまず読者が気づくことはできませんし、主人公が犯行に気づく過程も、その分野に疎い自分からするといまいちすごさが分かりませんでした(魔法でどーこーしましたというぐらい。すみません……)。

作中で繰り返される「知っていたのに」という台詞は、まさにコムスン事件から六年経った現在、未だに決定的な対策を打ち出せない我々読者の現状と被るものですが、逆に言うと、六年前の事件を豊富な参考資料でまとめあげた本作が、問題提起で終わっているのは少しずるい気がします。
意地悪な言い方をすると、既に誰かが言っていてみんなが知っていることを上手に言い直したものでしかありませんでした。

辛口なレビューになってしまいましたが、読みやすい本ではあるので読んで損ということはないと思います。
ロスト・ケア Amazon書評・レビュー: ロスト・ケアより
4334928749
No.2
(3pt)

今後が楽しみの作家の登場

介護業界の問題をよく調べて書いてあるので、とても勉強になった。
ただ、現在の状況ではなく、設定が過去になっている分、毒は薄められた印象だ。
そのせいか、ミステリーとしてもドキドキ感があまりなく、
宮部みゆきや高村薫のような「面白くて深みがある」世界にはまだ到達していない。
それでも、新しい分野を切り開こうという著者の心意気は価値がある。
今後がとても楽しみな作家の登場だ。
ロスト・ケア Amazon書評・レビュー: ロスト・ケアより
4334928749
No.1
(3pt)

二重構造のミステリー

この小説は、作者自身の介護体験と、
過去に不正問題を起こした実在の介護福祉企業が
モデルになっている。

親の介護、原発、少子化、家族のうつ病、家庭内暴力、
突如起こったかのように見えるこれらの現象は、
見えないところで日々着々と進行し、変貌している。

なんとかしなくてはいけないと思う。
でも、具体的に何をすればいいのかわからない。
ただ「見て見ぬふり」をしている。
作中の人物が"分かっていたはずなのに"とつぶやくたび、
ドキリとしている自分がいる。

この小説の本当の目的は、おそらく
<彼>が誰なのかとか、
彼の目論んでいたこととは何なのかとかいう
いわゆる謎解きとしてのミステリーではない。

読後に感じる漠然とした危機感。
お前のいる場所はしょせん安全地帯なのだと
死刑の日を待つ<彼>に警告されている気がする。

それこそ<彼>が人生をかけて放った一本の矢であり、
作者が放ったメッセージなのではないだろうか。
ロスト・ケア Amazon書評・レビュー: ロスト・ケアより
4334928749