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国境の女
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国境の女の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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女性の心理を肌理細やかに描く作風に定評がある夏樹静子氏の長編秀作ミステリーです。本書は舞台が群馬県の四万温泉が少しと米国サンディエゴの地を中心に展開されるのですが、夏樹静子氏が題名を「国境の女」と名付けたのに対して、もし西村京太郎氏だったら「群馬・四万温泉の死」とでも付けたかも知れないなとふと思いましたね。 商社員である夫・明月達夫が単身赴任先の米国サンディエゴの地でまもなく日本に帰国する予定だったのにその直前に急逝したとの知らせが妻の奈緒子に届く。現地に着くと夫は動物園で何者かに刺殺された事を知らされ衝撃を受けた奈緒子は事件の謎を追って街を捜し歩くのだった。 本書にはシンプルだけど中々に難しくて且つ荒唐無稽でないリアリティーのある殺人ミステリーの謎解きが描かれていて面白かったのですが、唯一つだけ難点を挙げるとこの難題が犯人の緻密な計算に因るではなく偶然のアドリブのお陰で出来上がった事ですね。しかしこれはやっぱり真実の事件ではなく作り物であると理解しながらも、私にはメキシコ人女性を殺す行為が許せない本当に無益な殺生に思えて真剣に腹が立つのですね。思えば事件の関係者はどいつもこいつも利己的なろくでなしばかりで人の道に外れた奴らばかりだと心の底から呆れますね。それに比べてヒロインの奈緒子は何て心の優しいお人好しなのだろうなと思いますよね。自分に多少の後ろめたさがあろうとも、こんな仕打ちを受けて怒らずに平静を保ち相手の気持ちを慮るなんて私にはまるっきりの不可能事でとても考えられない天使みたいな心根だと思いますね。それからまあ本書で捜査を務めるサンディエゴ警察署のマーヴィン・ピッツ刑事課長が捜査を終えて日本人に対してどういう感情を持ったか?それとも悪人は万国共通だからと特に何も感じなかったのか?そちらが多少心配な気持ちになりましたね。そしてヒロインの奈緒子はもちろん控え目な性格が災いして本心を打ち明けられなかった為に一生悔いの残る人生を歩んで来た訳ですが、それでも最後にきっと内心で自らの不幸中の幸いを悟ったに違いないだろうと思いますよね。最後に彼女はサンディエゴの地で一生独身のままで余生を送りそうな女性ユキコ・ウィーラーと全く同様に憧れの人・小磯良司の面影を胸に抱きながら独り身でひっそりと生涯を終えるのかも知れないなと思いますね。 | ||||
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