国境の女
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エリート商社マンの夫が駐在中のアメリカ、サンディエゴで刺殺されたと聞いて愕然とする妻、奈緒子。夫の上司や部下の助けを借りて渡米、現地警察で説明を聞くうちにだんだんと事情がわかってきます。夫はもしかして、国境を越えたメキシコの町で女性を囲っていたかもしれない・・そしてその女性も殺されていました。奈緒子はサンディエゴの日系人社会をたどって事件の真相に近づこうとしますが・・。 一連の事件には、人間のエゴや妬み、嫉妬、そして愛憎が深く関わっていました。恋愛を中心に据えた話で、200ページにも満たず長編というには短いです。日本の四万温泉も舞台になっていて、テレビの2時間ドラマに向いていそうで、そういう意味では小粒な作品です。 また、昭和57年(1982年)作なので人物の考え方や行動にやや古さを感じます。奈緒子がお見合いをして、ぴんときたわけでもないのに漠然と結婚し、当たり前のように夫の両親と同居するあたりも時代を表しているかと思います。 奈緒子にせよ、親友の総子とその兄にせよ、いいようにいえば奥ゆかしく控えめで、悪く言えばなかなか行動に出ずじれったい。一連の事件も、奈緒子の不幸も、結局自分の意思をはっきりさせず、動くのが遅すぎたからではないのか?すべてはどうしょうもない運命でこのようになってしまった的なむなしさが感じられますが、ネタばれになるのであまり書けませんが、やり方によっては、そもそも最初からこんなことにならなかったのでは・・と思ってしまいました。 どの事件も計画的な犯行ではなかったため、最後まで犯人がわからずなかなか考えさせられました。大作ではありませんがミステリとしてもすぐれていると思います。後味は悲しいですが、一読の価値ある作品と思います。 | ||||
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女性の心理を肌理細やかに描く作風に定評がある夏樹静子氏の長編秀作ミステリーです。本書は舞台が群馬県の四万温泉が少しと米国サンディエゴの地を中心に展開されるのですが、夏樹静子氏が題名を「国境の女」と名付けたのに対して、もし西村京太郎氏だったら「群馬・四万温泉の死」とでも付けたかも知れないなとふと思いましたね。 商社員である夫・明月達夫が単身赴任先の米国サンディエゴの地でまもなく日本に帰国する予定だったのにその直前に急逝したとの知らせが妻の奈緒子に届く。現地に着くと夫は動物園で何者かに刺殺された事を知らされ衝撃を受けた奈緒子は事件の謎を追って街を捜し歩くのだった。 本書にはシンプルだけど中々に難しくて且つ荒唐無稽でないリアリティーのある殺人ミステリーの謎解きが描かれていて面白かったのですが、唯一つだけ難点を挙げるとこの難題が犯人の緻密な計算に因るではなく偶然のアドリブのお陰で出来上がった事ですね。しかしこれはやっぱり真実の事件ではなく作り物であると理解しながらも、私にはメキシコ人女性を殺す行為が許せない本当に無益な殺生に思えて真剣に腹が立つのですね。思えば事件の関係者はどいつもこいつも利己的なろくでなしばかりで人の道に外れた奴らばかりだと心の底から呆れますね。それに比べてヒロインの奈緒子は何て心の優しいお人好しなのだろうなと思いますよね。自分に多少の後ろめたさがあろうとも、こんな仕打ちを受けて怒らずに平静を保ち相手の気持ちを慮るなんて私にはまるっきりの不可能事でとても考えられない天使みたいな心根だと思いますね。それからまあ本書で捜査を務めるサンディエゴ警察署のマーヴィン・ピッツ刑事課長が捜査を終えて日本人に対してどういう感情を持ったか?それとも悪人は万国共通だからと特に何も感じなかったのか?そちらが多少心配な気持ちになりましたね。そしてヒロインの奈緒子はもちろん控え目な性格が災いして本心を打ち明けられなかった為に一生悔いの残る人生を歩んで来た訳ですが、それでも最後にきっと内心で自らの不幸中の幸いを悟ったに違いないだろうと思いますよね。最後に彼女はサンディエゴの地で一生独身のままで余生を送りそうな女性ユキコ・ウィーラーと全く同様に憧れの人・小磯良司の面影を胸に抱きながら独り身でひっそりと生涯を終えるのかも知れないなと思いますね。 | ||||
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