民宿雪国

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民宿雪国の評価:

3.60/5点 レビュー 45件。 D ランク

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平均点3.60pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全24件 21〜24 2/2ページ
No.4
(5pt)

『映画化不可能』

年末に北陸へ向かう『しらさぎ』の車中で、
この本を手にとった。
北へ向かう特急列車ですら、
小説の極北へと向かう、
この物語のスピードに追いつかない。

『民宿雪国』の血塗られた凄惨な逸話が、
車窓に広がる白銀の雪景色の静寂(しじま)に溶けこむ。

絵画をモチーフにしながら、
小説家の筆捌きに脳内に絢爛たる名画が生まれゆく。

樋口 毅宏の書く物語が
過酷すぎる人生を反映し、
劇的なピカレスクであればあるほど、
より鮮やかに読者の「人生の平穏」を際立たせ、
そして「読書の悦楽」を煽る。

「人生は短い、一日は長い」――。
故に人は本を読むのだ。

ベストセラーは瞬く間に「映画化決定」と銘打つが、
しかし、あえてこの本に一言を添えるなら
「映画化不可能」――。
樋口作品の全てに、この称号こそ相応しいのかもしれない。
著者は無類のシネマディクトではあるが、
映画を発想、引用のベースにしながら、
映画を超えていく絶対小説世界を屹立している。

民宿雪国 Amazon書評・レビュー: 民宿雪国より
4396633521
No.3
(5pt)

2010年代の冒頭をかざる代表作

読んで大変衝撃を受けた。なにが衝撃なのかといえば、とても説明しづらいのだけど、そのすべて、構成、文体、テーマ、どれをとっても型破り。従来の小説の枠をことごとく壊していて、同時にきちんとエンタメになっているのがすごいと思う。水道橋博士や白石一文さんたちがTwitterで盛り上がってるのを見て読んでみましたが、対照的に書評家の方々は沈黙してますね。これを評価できる言葉を期待したいところです。
民宿雪国 Amazon書評・レビュー: 民宿雪国より
4396633521
No.2
(5pt)

なんというお話でしょう

序章からなぜかサスペンスとしてトップギアで完オチするという、恐るべきトリッキーさ。
だが、本当に恐ろしいのは、昭和から2012年まで連綿とつながる騙し絵のような不思議な時代感覚と共に、一件味気ない仔細な設定から、ポップなピースまで、一人の男の人生を立体的かつトリッキーにあぶりだしたその先にいる、丹生雄武郎という一人の人間に潜む心の闇の奇々怪々さです。
その虚無的な人格を背景につむぎだされる、(明らかに事実と食い違うのに)真実らしい感情が入り混じった虚偽に魅了され、物語全篇通して、引き込まれてしまいました。
やはり今回読んでも痛感したのは、樋口毅宏さんの文章の美しさ。こんなに酷いことをこれでもかと書いているのに、その文章の清廉なこと。感情をそっとほだすような、繊細な言葉選びがずるすぎます。
民宿雪国 Amazon書評・レビュー: 民宿雪国より
4396633521
No.1
(5pt)

「記憶の内戦」に突如あらわれたゲリラ

氾濫する想念を圧力釜で一気に蒸し上げ怒濤の終末になだれ込んでいくような前2作とは趣が異なり、複数に解釈可能な事柄が散っては戻ってくる。この作家の一番の魅力である「強度」の他に、その散っては戻る運動からうまれる「空間」が獲得されている。
 作品内世界の充実もさることながら、意図せず読者の無意識に働きかけるような力も持っていて、それは文学的想像力と歴史叙述との緊密な交渉の結果うまれるものだろう。
 戦争をめぐる記憶の内戦に突如あらわれたゲリラのようだ。歴史修正主義をめぐる論争に興味のある方にはぜひ一読をお薦めしたい。同著者の『日本のセックス』(双葉社)もお薦め。

民宿雪国 Amazon書評・レビュー: 民宿雪国より
4396633521