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凄愴圏
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凄愴圏の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.20pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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小・中学校の義務教育を終え、高等学校へ入り、何故、勉強をしなければならないのかと疑問を持った時は、既に終わりである。三崎渉も、その一人だった。日常生活では使いもしない公式を学ぶ数学。何時間勉強しても話すことが出来るようにならない英語。しかし、無意味とも思える勉強に、疑問を持たず、試験で高得点を得ることによって、社会へ繋がるエスカレーターに乗る事が出来る仕組みになっている。それに乗り損なった絶望も、また大である。三崎は、高校を卒業すると、都内の大学を受験して、すべて失敗した。初めの頃こそ、予備校へ通ったが、一度、勉強に疑問を持ってしまったので、その疑問を解消出来なくなっていた。予備校へは行かず、途中の喫茶店で時間を潰すようになった。そこには、三崎のような、勉強に対して無気力になった者たちがたくさんいた。比較的裕福な家庭の子弟が多く、金には、皆、困っていない。社会のエスカレーターシステムから弾き出された者たちが、上りも下りも出来ずに澱んでいた。若いエネルギーを持て余した若者たちが寄り集まれば、ろくな相談はしない。勉強のことなどは、話さない。彼らの興味は、性欲の解消に向けた卑猥な話である。彼らが狙ったのは、地域でも大きな総合病院の院長の長女、香保里だった。彼女は、箱入り娘で、女子大のコーラス部の部長をしている。親から与えられたスポーツカーで通学していた。誰もが、目を見張るような美人だった。彼らというのは、上原をボスにした三人組で、夜、遅くに駅前のロータリーで、帰宅する女の子に声を掛けては女狩りをしていた。前回、三崎も誘われて参加したのだった。しかし、その話を聞いた時、三崎は、その院長令嬢を独り占めしたくなった。そして、上原ら三人に抜け駆けして、まんまと香保里を誘拐してしまう。本作の発端は、こんな形でスタートするが、この後、複数の要素が絡み合う。被誘拐者の香保里は、犯人(三崎)から逃れるのだが、麻酔薬による暴行魔に襲われてしまう。さらに、彼女は、別の者に殺害されてしまう。一方、三崎までが、何者かによって殺害される。警察も、誘拐犯にターゲットを絞って捜査を始めるのだが、捜査を公開出来ない間に、事件は巨大に変遷していってしまうのだ。現状に不満を持った若者一人による少女誘拐事件が、その後に、麻酔薬暴行魔による暴行事件、若い男女二人の殺人事件と凶悪犯罪と拡大していく。 (付)本書は1980年11月に講談社から初出版されたものです。1984年には同社で文庫化され、1990年6月角川文庫、1998年5月中公文庫、2011年6月徳間文庫から再出版されています。2015年4月に角川文庫でkindle化されました。 | ||||
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小・中学校の義務教育を終え、高等学校へ入り、何故、勉強をしなければならないのかと疑問を持った時は、既に終わりである。三崎渉も、その一人だった。日常生活では使いもしない公式を学ぶ数学。何時間勉強しても話すことが出来るようにならない英語。しかし、無意味とも思える勉強に、疑問を持たず、試験で高得点を得ることによって、社会へ繋がるエスカレーターに乗る事が出来る仕組みになっている。それに乗り損なった絶望も、また大である。三崎は、高校を卒業すると、都内の大学を受験して、すべて失敗した。初めの頃こそ、予備校へ通ったが、一度、勉強に疑問を持ってしまったので、その疑問を解消出来なくなっていた。予備校へは行かず、途中の喫茶店で時間を潰すようになった。そこには、三崎のような、勉強に対して無気力になった者たちがたくさんいた。比較的裕福な家庭の子弟が多く、金には、皆、困っていない。社会のエスカレーターシステムから弾き出された者たちが、上りも下りも出来ずに澱んでいた。若いエネルギーを持て余した若者たちが寄り集まれば、ろくな相談はしない。勉強のことなどは、話さない。彼らの興味は、性欲の解消に向けた卑猥な話である。彼らが狙ったのは、地域でも大きな総合病院の院長の長女、香保里だった。彼女は、箱入り娘で、女子大のコーラス部の部長をしている。親から与えられたスポーツカーで通学していた。誰もが、目を見張るような美人だった。彼らというのは、上原をボスにした三人組で、夜、遅くに駅前のロータリーで、帰宅する女の子に声を掛けては女狩りをしていた。前回、三崎も誘われて参加したのだった。しかし、その話を聞いた時、三崎は、その院長令嬢を独り占めしたくなった。そして、上原ら三人に抜け駆けして、まんまと香保里を誘拐してしまう。本作の発端は、こんな形でスタートするが、この後、複数の要素が絡み合う。被誘拐者の香保里は、犯人(三崎)から逃れるのだが、麻酔薬による暴行魔に襲われてしまう。さらに、彼女は、別の者に殺害されてしまう。一方、三崎までが、何者かによって殺害される。警察も、誘拐犯にターゲットを絞って捜査を始めるのだが、捜査を公開出来ない間に、事件は巨大に変遷していってしまうのだ。現状に不満を持った若者一人による少女誘拐事件が、その後に、麻酔薬暴行魔による暴行事件、若い男女二人の殺人事件と凶悪犯罪と拡大していく。 (付)本書は1980年11月に講談社から初出版されたものです。1984年には同社で文庫化され、1990年6月角川文庫、1998年5月中公文庫、2011年6月徳間文庫から再出版されています。2015年4月に角川文庫でkindle化されました。 | ||||
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小・中学校の義務教育を終え、高等学校へ入り、何故、勉強をしなければならないのかと疑問を持った時は、既に終わりである。三崎渉も、その一人だった。日常生活では使いもしない公式を学ぶ数学。何時間勉強しても話すことが出来るようにならない英語。しかし、無意味とも思える勉強に、疑問を持たず、試験で高得点を得ることによって、社会へ繋がるエスカレーターに乗る事が出来る仕組みになっている。それに乗り損なった絶望も、また大である。三崎は、高校を卒業すると、都内の大学を受験して、すべて失敗した。初めの頃こそ、予備校へ通ったが、一度、勉強に疑問を持ってしまったので、その疑問を解消出来なくなっていた。予備校へは行かず、途中の喫茶店で時間を潰すようになった。そこには、三崎のような、勉強に対して無気力になった者たちがたくさんいた。比較的裕福な家庭の子弟が多く、金には、皆、困っていない。社会のエスカレーターシステムから弾き出された者たちが、上りも下りも出来ずに澱んでいた。若いエネルギーを持て余した若者たちが寄り集まれば、ろくな相談はしない。勉強のことなどは、話さない。彼らの興味は、性欲の解消に向けた卑猥な話である。彼らが狙ったのは、地域でも大きな総合病院の院長の長女、香保里だった。彼女は、箱入り娘で、女子大のコーラス部の部長をしている。親から与えられたスポーツカーで通学していた。誰もが、目を見張るような美人だった。彼らというのは、上原をボスにした三人組で、夜、遅くに駅前のロータリーで、帰宅する女の子に声を掛けては女狩りをしていた。前回、三崎も誘われて参加したのだった。しかし、その話を聞いた時、三崎は、その院長令嬢を独り占めしたくなった。そして、上原ら三人に抜け駆けして、まんまと香保里を誘拐してしまう。本作の発端は、こんな形でスタートするが、この後、複数の要素が絡み合う。被誘拐者の香保里は、犯人(三崎)から逃れるのだが、麻酔薬による暴行魔に襲われてしまう。さらに、彼女は、別の者に殺害されてしまう。一方、三崎までが、何者かによって殺害される。警察も、誘拐犯にターゲットを絞って捜査を始めるのだが、捜査を公開出来ない間に、事件は巨大に変遷していってしまうのだ。現状に不満を持った若者一人による少女誘拐事件が、その後に、麻酔薬暴行魔による暴行事件、若い男女二人の殺人事件と凶悪犯罪と拡大していく。 (付)本書は1980年11月に講談社から初出版されたものです。1984年には同社で文庫化され、1990年6月角川文庫、1998年5月中公文庫、2011年6月徳間文庫から再出版されています。2015年4月に角川文庫でkindle化されました。 | ||||
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屈折した青年の、屈折した行為 様々な現代の挫折と言えば、聞こえがいいが。 内容的には、もっと違う角度より描くことが可能。 | ||||
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推理小説としては読者を飽きさせずひきつけさせる本ではあるが、森村誠一を読んでいてよく思うのだが、ちょっと残酷で救いがないのではと思わずにいられない。 | ||||
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