フーコーの振り子
評判
フーコーの振り子の評価:
3.62/5点 レビュー 34件。 C ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全66件 21〜40 2/4ページ
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フーコーの振り子の評価:
3.62/5点 レビュー 34件。 C ランク
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・・・ 「わたしは、わが類人猿の祖先に一途な誇りを抱いている。自分がかっては樹上に棲むすばらしい毛むくじゃらなやつであり、わたしの肉体は、とてつもない時間をかけて、クラゲ、ゴカイ、ナメクジ、魚、恐竜、猿人類を経て受け継がれてきたものだと考えるとうれしくなる。祖先としては、エデンの園のつまらないカップルのほうがいいなんて、だれが願うだろう。」・・・
このリチャード・フォーティの言葉が評者の心の琴線に触れれたからいまだによく覚えているのです。
テンプル騎士団がテーマの卒業論文を書いているカゾボンは、ベルボに頼まれてアルデンティ大佐の書いた原稿の話を聴くところに同席することになった。
アルデンティ大佐の原稿には、竜騎兵のインゴルフという男が19世紀末に、プロヴァンの穀物倉庫の地下深くから見つけ出した小箱の中から出てきたという暗号のような紙片に書かれている文字を大佐が翻訳した文章をカゾボン、ベルボ、ディオタッレーヴィが聞くことになる。
ベルボはその原稿に興味を持ちながらも、大佐のテンプル騎士団についての原稿に興味を示さないふりをして本の出版を受け合うことはしなかった。
話を聞いた3人は、大佐の持ち込んだ、このテンプル騎士団の話に興味をそそられてしまったので調べ始めたことが事の発端である。
本書『フーコーの振り子』は、旧約聖書より古い時代のユダヤ民族の宗教まで遡ったり、世界中の原始宗教やカルト教団などにも触れながら「なぜテンプル騎士団が断罪されたのか?」「断罪を逃れていた騎士団の秘密=現在までその秘密組織が暗躍しているのか?」「地下電流とエッフェル塔?」「フコーの振り子が昔の地図でその場所を示す?」「地下鉄が造られ真の目的は?」「地下電流とナチス・ヒットラーとの因縁?」「薔薇十字団という秘密結社とフリーメーソンの関係は?」「サン・ジェルマン伯爵の不死伝と説錬金術の研究?」「ベーコン派と敵対する組織?」・・・エトセトラ&エトセトラと、この世界を支配する秘密組織がどこに存在するのか解き明かすことで紆余曲折(荒唐無稽とも思われるような挿話が多いが・・・)しながら、主人公のカゾボン、ベルボ、ディオタッレーヴィ(ディオッタレーヴィは、謎解きにとり憑かれたのか体調を崩し入院して亡くなってしまう)3人がその謎の究明に囚われてしまい、上巻初めでパリからカボゾンへ電話してきて会話の途中で何者かに襲われ失踪したベルボの運命は・・・?
そしてアルデンティ大佐が殺され刑事が現場へきた時には、その死体が消えてしまっていた謎などと物語は混沌として読者を翻弄してゆく。
この3人が憑かれたように謎を解き明かそうとしてゆく過程を読ませようと、著者のエーコは容赦なく読者に強いるのである。
が、読みだした本は最後まで読む主義だから頑張って読み進むことにしたのです。
とにかく西欧(西欧以外もあり)の歴史、宗教史、哲学史、科学史、それに、科学者、哲学者、政治家、宗教家、などの知識がないと読み進むことに戸惑いを感じてしまうのは評者だけだろうか。
フランシス・ベーコンがシェークスピアのゴーストライターだった(このようなシェイクスピア別人説は存在したが・・・)とか、ドンキホーテの作者は、セルバンテスではなくベーコンだった、などと読むと著者のエーコは、歴史の虚実を混交しながら読者を翻弄することを目的にして本書を書き上げているように思えてきてしまったのである。
本書『フーコーの振り子』では、評者だけの感じたことかもしれないが、訳者の訳語にも違和感を覚えてしまったのです。
たとえば鍵言葉という訳語のルビにキーワードとしてある必要があるのだろうか?これはキーワードと書けばよいと思います。
「ホメオパチーの療法」なんてことを知っていないのは評者が無知だからなだろうか?
本書のなかには、横文字(特に英語)がたびたびでてきますが、翻訳なしでは読者に親切ではないように思います。
その他、「生命の樹」(見開きページにある図)、「薔薇十字団」、「トーラー」、「ミシュナー」、「ヘーレム 」、「ゲマトリア」、「ノタリコン」、「カバラ 」(カバラについて評者は上巻のレビューで既に書いたが・・・)「イマーム」等々多くのことを知らなければページを繰っても本当に理解(読書を楽しむことも)できないのではないだろうか。
評者は、気楽に本書を読み流そうと思ったものの、やはり知らない人名などが出てくる度に、ウィキペディアのお世話になりながら本書を読みすすむことになってしまったのです。
上・下巻で1100ページを超える長編だからページ数に限りがあるかも知れないが、脚注を巻末に付記してほしかった。
ネタバレになるが、狂信的なカルト集団の秘密について暗号のような紙片に書かれている文字を、「これは洗濯屋さんの配達伝票みたいなものだからよ」と、カゾボンの妻リアが、この紙片が昔の花屋さんのメモだと、暗号でもなんでもないと謎解きしてから、この物語はカゾボンがパリで異常な体験(これが上巻の幕開きのところです)へと誘い、そのあとミラノに戻り、そしてベルボの故郷の家を訪れたところでながながと情景描写と心情描写しながら余韻を残して「了」の文字で終える。
神の創造した世界に住む人間の祖先が、「エデンの園のつまらないカップルのほうがいいなんて」微塵も願っていない評者にとって、本書のテーマについてゆくには相当の忍耐が必要になってきてしまったのですが、記号学の権威エーコならではのジグソーパズルを解くような長編『フーコーの振り子』の下巻を、なんとか頑張って読み終えました。