わたしを離さないで

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評判

わたしを離さないでの評価:

4.11/5点 レビュー 714件。 B ランク

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平均点4.11pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1,119件 1,041〜1,060 53/56ページ
No.79
(4pt)

心が痛くて腫れ上がってる感じ・・

この本を読んだ夜、一睡もできなかった。トミーが最後にキャッシーに手をふった光景に脳みそが振り回されて心が痛くて腫れ上がってしまった感じだ。人としての尊厳を(だけは)与えられず最後は物を与える「物体」として葬られていく過酷な運命をすみやかに受け入れるために仕組まれた(?)ヘールシャムでの教育。いじめられっこだったトミーを救ったありのままでいいと教えたルーシー先生の言葉。そのトミーが自分の無残な最期を最愛の人に見せたくないためにとった態度、プライドと思いやりは人としてこそのものだし、崇高ささえ感じられる。彼らのような存在は決して作り出してはならない。科学の進歩が生み出す酷さ・・少しでも現実になる可能性があるのなら、それを打ち砕く警鐘となる一作になってほしい、ならなければいけないと思う。思わずのめりこんでしまった秀作である。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.78
(4pt)

色々考えさせられる


邦訳が書店に並んでいて、著者の名前が日本人ぽいので興味を引かれ原書で読んでみた。

内容については全く予備知識なく、タイトルから恋愛小説と想像していたところ、全く予想外のシチュエーションにとまどった。そして読み終わったあともこの小説のテーマは何だったのだろうと消化しきれない思いが残っている。

主人公のキャシーの職業は一種のセラピストかなと思われるシーンから物語は始まる。その後舞台は、キャシーが幼年時代から生活したヘイルシャムという名の養育施設に移り、一見普通の施設に見えるヘイルシャムにおけるキャシー、親友のルース、トミーの日常生活が描かれるが、キャシーが感じていた違和感の原因を探るうちに、施設の真の意味が次第に明らかになってくる。

一種のミステリー仕立てでもあるので、余り詳しくは書けないが、主人公達が薄々感じている施設の意味と、自分達の存在意義を発見する過程や、その中で描かれる友情と愛情と亀裂が実に見事に描かれており、テーマは重いが最後まで飽きるところは全くない。

でも読み終わるとやはりテーマの重さがずっしりと圧し掛かる感じがする。ただ、主人公達の運命の受け入れ方を見ると、著者には社会的正義を訴えたいという意図があるようにも思えず、著者にとってこの小説のテーマは何なのだろうと消化しきれない思いが残った。

小説としては非常によくできていて最後まで一気に読ませるので、手に取って損のない作品だと思いう。英文は平易で難しい単語も少ないので、原書に挑戦したい人にもお勧めできる。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.77
(4pt)

色々考えさせられる


邦訳が書店に並んでいて、著者の名前が日本人ぽいので興味を引かれ原書で読んでみた。

内容については全く予備知識なく、タイトルから恋愛小説と想像していたところ、全く予想外のシチュエーションにとまどった。そして読み終わったあともこの小説のテーマは何だったのだろうと消化しきれない思いが残っている。

主人公のキャシーの職業は一種のセラピストかなと思われるシーンから物語は始まる。その後舞台は、キャシーが幼年時代から生活したヘイルシャムという名の養育施設に移り、一見普通の施設に見えるヘイルシャムにおけるキャシー、親友のルース、トミーの日常生活が描かれるが、キャシーが感じていた違和感の原因を探るうちに、施設の真の意味が次第に明らかになってくる。

一種のミステリー仕立てでもあるので、余り詳しくは書けないが、主人公達が薄々感じている施設の意味と、自分達の存在意義を発見する過程や、その中で描かれる友情と愛情と亀裂が実に見事に描かれており、テーマは重いが最後まで飽きるところは全くない。

でも読み終わるとやはりテーマの重さがずっしりと圧し掛かる感じがする。ただ、主人公達の運命の受け入れ方を見ると、著者には社会的正義を訴えたいという意図があるようにも思えず、著者にとってこの小説のテーマは何なのだろうと消化しきれない思いが残った。

小説としては非常によくできていて最後まで一気に読ませるので、手に取って損のない作品だと思いう。英文は平易で難しい単語も少ないので、原書に挑戦したい人にもお勧めできる。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.76
(5pt)

不思議な読書の時間、読後の余韻も未体験なものでした

架空な20世紀後半のイギリスを舞台にした物語です。
「介護人」という仕事を10年も続けた女性の独白という形で物語は進みます。
舞台は幼少女期を過ごした「ヘールシャム」という施設を中心に展開していきます。若い男女がおりなす青春物語の一方、その上に不気味な影を落とす「ヘールシャム」という存在。
「ヘールシャム」が、そして彼女らの存在を生んだ闇、それが少しずつ見えてきます。
「使命」を受け入れながら、わずかな希望の「うわさ」にさえ、期待を見つけようとする「生」への思い。
「生命の倫理」なんていう言葉がチンケな言葉にしか思えなくなるような闇を背負いながら、他人の「生」への「使命」と受け入れなければならない存在のもろさ。
どんな犠牲を払ってでも生き延びたいはずの「命」とはを、一方的な使命を背負わされて誕生した「存在」というパラレルワールドから見つめる、とても未体験な小説でした。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.75
(5pt)

不思議な読書の時間、読後の余韻も未体験なものでした

架空な20世紀後半のイギリスを舞台にした物語です。
「介護人」という仕事を10年も続けた女性の独白という形で物語は進みます。
舞台は幼少女期を過ごした「ヘールシャム」という施設を中心に展開していきます。若い男女がおりなす青春物語の一方、その上に不気味な影を落とす「ヘールシャム」という存在。
「ヘールシャム」が、そして彼女らの存在を生んだ闇、それが少しずつ見えてきます。
「使命」を受け入れながら、わずかな希望の「うわさ」にさえ、期待を見つけようとする「生」への思い。
「生命の倫理」なんていう言葉がチンケな言葉にしか思えなくなるような闇を背負いながら、他人の「生」への「使命」と受け入れなければならない存在のもろさ。
どんな犠牲を払ってでも生き延びたいはずの「命」とはを、一方的な使命を背負わされて誕生した「存在」というパラレルワールドから見つめる、とても未体験な小説でした。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.74
(4pt)

この緻密な箱庭のような世界

「日の名残り」を読まれたことのある方は、ほぼ同じテイストをイメージしていただいて間違いないと思います。
ある限定された特殊な社会で暮らす主人公が、幼年期、思春期、青年期に渡るエピソードを、繊細な描写と美しい文章で語ってゆく物語です。「日の名残り」では大英帝国の執事、今回は女性と主人公は違いますが、あたかも作者に主人公が憑依したかのような、リアルに語りきる作者の力量には、同じように舌を巻かされました。

ストーリーの後半でサプライズがあるところも同じです。似たような設定の話は世に多いようですが、カズオ・イシグロの場合、主人公たちは能動的に自らの住む世界を変えようとはしません。そうした類の活劇ドラマに展開させず、あくまで限定された特殊な社会の中で、静かな日常のドラマを繋いで行くことによって、独自の大きな物語世界を作り上げています。その意味では、この特殊な設定はカズオ・イシグロ的世界を構築するためのまさに「設定」に過ぎず、作品のテーマではないとさえ思えました。
カズオ・イシグロの作り上げるこの緻密な箱庭のような世界は、一見特殊なようでいて、逆にわれわれ一般人の平凡な人生のメタファーなのかもしれません。平凡で限定されているからこそ、いとおしい。執事や「提供者」の人生を借りて、それを作者は繰り返し表現している気がするのです。

繊細で、叙情にあふれる丁寧な文体。あまりに謙虚な語り口に、「日の名残り」の執事口調を思わせる、一種のあざとさを感じるところもありますが、それを補って余りある清冽な描写が胸を打ちます。特に最後のシーンは美しく、この一ページのためにこの長い物語が語られたのだ、と思えるほどでした。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.73
(4pt)

この緻密な箱庭のような世界

「日の名残り」を読まれたことのある方は、ほぼ同じテイストをイメージしていただいて間違いないと思います。
ある限定された特殊な社会で暮らす主人公が、幼年期、思春期、青年期に渡るエピソードを、繊細な描写と美しい文章で語ってゆく物語です。「日の名残り」では大英帝国の執事、今回は女性と主人公は違いますが、あたかも作者に主人公が憑依したかのような、リアルに語りきる作者の力量には、同じように舌を巻かされました。

ストーリーの後半でサプライズがあるところも同じです。似たような設定の話は世に多いようですが、カズオ・イシグロの場合、主人公たちは能動的に自らの住む世界を変えようとはしません。そうした類の活劇ドラマに展開させず、あくまで限定された特殊な社会の中で、静かな日常のドラマを繋いで行くことによって、独自の大きな物語世界を作り上げています。その意味では、この特殊な設定はカズオ・イシグロ的世界を構築するためのまさに「設定」に過ぎず、作品のテーマではないとさえ思えました。
カズオ・イシグロの作り上げるこの緻密な箱庭のような世界は、一見特殊なようでいて、逆にわれわれ一般人の平凡な人生のメタファーなのかもしれません。平凡で限定されているからこそ、いとおしい。執事や「提供者」の人生を借りて、それを作者は繰り返し表現している気がするのです。

繊細で、叙情にあふれる丁寧な文体。あまりに謙虚な語り口に、「日の名残り」の執事口調を思わせる、一種のあざとさを感じるところもありますが、それを補って余りある清冽な描写が胸を打ちます。特に最後のシーンは美しく、この一ページのためにこの長い物語が語られたのだ、と思えるほどでした。

わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.72
(4pt)

どのように考えればよいのだろう


全く予備知識なくタイトルから恋愛小説の一種と思い読み始めたが、全く予想外のシチュエーションにとまどった。そして読み終わったあともこの小説のテーマは何だったのだろうと消化しきれない思いが残っている。

主人公のキャシーの職業は一種のセラピストかなと思われるシーンから物語は始まる。その後舞台は、キャシーが幼年時代から生活したヘイルシャムという名の養育施設に移り、一見普通の施設に見えるヘイルシャムにおけるキャシー、親友のルース、トミーの日常生活が描かれるが、キャシーが感じていた違和感の原因を探るうちに、施設の真の意味が次第に明らかになってくる。

一種のミステリー仕立てでもあるので、余り詳しくは書けないが、主人公達が薄々感じている施設の意味と、自分達の存在意義を発見する過程や、その中で描かれる友情と愛情と亀裂が実に見事に描かれており、テーマは重いが最後まで飽きるところは全くない。

でも読み終わるとやはりテーマの重さがずっしりと圧し掛かる感じがする一方で、社会的正義を訴えたいという目的で描かれたとも思えないため、消化しきれない思いが残っており、作者に作品の意図を是非一度聞いてみたいと思った。

小説としては非常によくできていて最後まで一気に読ませるので、手に取って損のない作品だと思います。英語の勉強も兼ねて原書で読みましたが、文章は平易で難しい単語も少ないので、英文に挑戦したい人にもお勧めです。


わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.71
(4pt)

どのように考えればよいのだろう


全く予備知識なくタイトルから恋愛小説の一種と思い読み始めたが、全く予想外のシチュエーションにとまどった。そして読み終わったあともこの小説のテーマは何だったのだろうと消化しきれない思いが残っている。

主人公のキャシーの職業は一種のセラピストかなと思われるシーンから物語は始まる。その後舞台は、キャシーが幼年時代から生活したヘイルシャムという名の養育施設に移り、一見普通の施設に見えるヘイルシャムにおけるキャシー、親友のルース、トミーの日常生活が描かれるが、キャシーが感じていた違和感の原因を探るうちに、施設の真の意味が次第に明らかになってくる。

一種のミステリー仕立てでもあるので、余り詳しくは書けないが、主人公達が薄々感じている施設の意味と、自分達の存在意義を発見する過程や、その中で描かれる友情と愛情と亀裂が実に見事に描かれており、テーマは重いが最後まで飽きるところは全くない。

でも読み終わるとやはりテーマの重さがずっしりと圧し掛かる感じがする一方で、社会的正義を訴えたいという目的で描かれたとも思えないため、消化しきれない思いが残っており、作者に作品の意図を是非一度聞いてみたいと思った。

小説としては非常によくできていて最後まで一気に読ませるので、手に取って損のない作品だと思います。英語の勉強も兼ねて原書で読みましたが、文章は平易で難しい単語も少ないので、英文に挑戦したい人にもお勧めです。


わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.70
(5pt)

え? でもやっぱりイシグロ。

イシグロさんがこのような世界を描き出してくれるとは思いもよりませんでした。不思議な設定は過去にもなかったわけではありませんが、この形は彼にとって新たな挑戦であることに間違いはありません。しかし、中身はやっぱりイシグロそのもの。嬉しくなってしまいました。静謐で少し余計に丁寧な語り口。そのヒトとして持つべきささやかながら頑なこだわりが、全編を通じてバックミュージックのように流れ続けています。ファンにはたまらない1編になっているのは間違いありません。ヒトとしての生を受けることの出来なかった一人の女の子が(SF的な未来社会の設定です)、素直に「人」としての人生を、静かに、そして逞しく生きて行こうとします。イシグロの語りから紡ぎ出される彼女の人生に、その言い知れぬ切なさに、私の心も激しく揺さぶられてしまいました。翻訳版が出たようで、NHKの「週刊ブックレビュー」で紹介されるみたいです(それで、ふと思い出すようにこのレビューを書いているわけですが)。でも、イシグロの作品って、日本語で読んで意味あるんですかね(翻訳者さん、すみません)。彼の誰のものでもない、私達の宝物のような「英文」は、この作品の中でも健在です。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.69
(5pt)

え? でもやっぱりイシグロ。

イシグロさんがこのような世界を描き出してくれるとは思いもよりませんでした。不思議な設定は過去にもなかったわけではありませんが、この形は彼にとって新たな挑戦であることに間違いはありません。しかし、中身はやっぱりイシグロそのもの。嬉しくなってしまいました。静謐で少し余計に丁寧な語り口。そのヒトとして持つべきささやかながら頑なこだわりが、全編を通じてバックミュージックのように流れ続けています。ファンにはたまらない1編になっているのは間違いありません。ヒトとしての生を受けることの出来なかった一人の女の子が(SF的な未来社会の設定です)、素直に「人」としての人生を、静かに、そして逞しく生きて行こうとします。イシグロの語りから紡ぎ出される彼女の人生に、その言い知れぬ切なさに、私の心も激しく揺さぶられてしまいました。翻訳版が出たようで、NHKの「週刊ブックレビュー」で紹介されるみたいです(それで、ふと思い出すようにこのレビューを書いているわけですが)。でも、イシグロの作品って、日本語で読んで意味あるんですかね(翻訳者さん、すみません)。彼の誰のものでもない、私達の宝物のような「英文」は、この作品の中でも健在です。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.68
(4pt)

科学と生命倫理について考えさせられました

優秀な介護人キャシーによる回想形式で、静かに静かに物語が進んでいきます。
初めはヘールシャムがごく一般的な学校かと思っていましたが、それが施設―毎週健康診断がある、生徒たちが特殊な「使命」を全うするために生きているなど、特殊な施設であることが徐々にわかってきます。

誰かを救うために生まれてきた人たち。自分の職業や生き方を選ぶこともできず、ただ自らの運命を受け入れて生きている彼らの人生は痛ましくもあり、哀しくもあり、たくましくもあります。

クローン問題、臓器移植問題など世間でいろいろ取り沙汰されていますが、実際にこういうことが起きるかもしれないと思うと、改めて生命倫理について考えさせられました。

唯一気になったのは、トミーのしゃべり方が全然若者らしくなかったことです。施設時代はもちろん、大人になってからも、ほぼ自分と同年齢の彼のしゃべり方がどうもおじさんっぽくて、そこだけ浮いているような感じがしました。これだけ科学が進んだ時代の話ですから、できればもう少し現代の青年らしく訳していただきたかったです。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.67
(4pt)

科学と生命倫理について考えさせられました

優秀な介護人キャシーによる回想形式で、静かに静かに物語が進んでいきます。
初めはヘールシャムがごく一般的な学校かと思っていましたが、それが施設―毎週健康診断がある、生徒たちが特殊な「使命」を全うするために生きているなど、特殊な施設であることが徐々にわかってきます。

誰かを救うために生まれてきた人たち。自分の職業や生き方を選ぶこともできず、ただ自らの運命を受け入れて生きている彼らの人生は痛ましくもあり、哀しくもあり、たくましくもあります。

クローン問題、臓器移植問題など世間でいろいろ取り沙汰されていますが、実際にこういうことが起きるかもしれないと思うと、改めて生命倫理について考えさせられました。

唯一気になったのは、トミーのしゃべり方が全然若者らしくなかったことです。施設時代はもちろん、大人になってからも、ほぼ自分と同年齢の彼のしゃべり方がどうもおじさんっぽくて、そこだけ浮いているような感じがしました。これだけ科学が進んだ時代の話ですから、できればもう少し現代の青年らしく訳していただきたかったです。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.66
(5pt)

それでも…

親友ルースという「魅力的であるけれど嫌らしい女」を描きだしてゆく適度な距離感に、読みながら少々驚いた。親友トミーに向ける視線にも似たものを感じたけれど、作者が男だったことを忘れるくらいに自然で、語り手キャシーに寄りそうように読んでゆけた。
正直、なぜ彼ら彼女らは逃げないのか、運命をすんなり受け入れてしまうのか、また世間一般にまじわって暮らしているはずなのに、なぜ終盤になるまで「そのこと」を知りえなかったのか、自分で調べることができたのではないかと、さまざまな疑問をうっすら感じるのだけれども、おそらく作者は、そんなこと描くつもりがなかったのだろう。
作者の現時点での代表作であろう「日の名残り」でも感じたけれど、この作者には、みずからへの運命への受容性に、その特徴があると思う。ある運命を受けいれ、そこに繊細な感受性をもって柔らかな世界をひろげてみせる。
主人公たちは、ヘールシャムの幸せな幼年期の記憶をまとっている。過酷な運命にさらされることになっても、またヘールシャムの「驚くべき真実」とやらがわかっても、なお、幸せな記憶は、主人公たちからは消えない。幼年期特有のいじめもあり苦悩苦痛もあり、ヘールシャムは楽園ではなかったけれど、そこでの憶い出が、主人公たちを支えている。
読了後、「それでも、キャシーたちは幸せだったかもしれない」と感じた。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.65
(5pt)

とても良かった(^^)

最初から最後までとても静かな作品で、盛り上がるわけでもなく淡々と語り口調で終わっていくが、それが何でかとても心地よく、暗い話であるにもかかわらず読後に気分が滅入ることがなかった。あるとても悲劇的な使命をもった人間達の話だが、悲劇的な部分があまり強調されず、それが運命なのだと受け入れる部分に焦点があっていたからだろうか。翻訳の仕方も上手く、すんなりと本の世界に入っていくことができた。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.64
(5pt)

耳に残る声 目の裏に残る風景

この小説は,女性の一人語りでつづられています。
子供時代のいかにもイギリス的な共同生活。(そういえば,子供の頃大好きだったおちゃめなふたごシリーズであこがれていたなぁ,こんな寮生活。)
その後のコテージでの日々。(背伸びしたい年頃だよねと自分を振り返りながら思う。)
登場人物たちの成長が丁寧に丁寧に著されます。思い切り,はまり込んで読んだために,読後2日たっても,Never let me go の歌声とキャシーの姿が残ってしまってしょうがありません。ねたばれになるので,詳細は書きませんが,設定自体は国内外で新しいものではありません。でもこのような静謐さでそのテーマをあつかえたということに,驚きました。
どうしても原文が気になるので,アマゾンさん,Never let me go一丁。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.63
(5pt)

それでも…

親友ルースという「魅力的であるけれど嫌らしい女」を描きだしてゆく適度な距離感に、読みながら少々驚いた。親友トミーに向ける視線にも似たものを感じたけれど、作者が男だったことを忘れるくらいに自然で、語り手キャシーに寄りそうように読んでゆけた。
正直、なぜ彼ら彼女らは逃げないのか、運命をすんなり受け入れてしまうのか、また世間一般にまじわって暮らしているはずなのに、なぜ終盤になるまで「そのこと」を知りえなかったのか、自分で調べることができたのではないかと、さまざまな疑問をうっすら感じるのだけれども、おそらく作者は、そんなこと描くつもりがなかったのだろう。
作者の現時点での代表作であろう「日の名残り」でも感じたけれど、この作者には、みずからへの運命への受容性に、その特徴があると思う。ある運命を受けいれ、そこに繊細な感受性をもって柔らかな世界をひろげてみせる。
主人公たちは、ヘールシャムの幸せな幼年期の記憶をまとっている。過酷な運命にさらされることになっても、またヘールシャムの「驚くべき真実」とやらがわかっても、なお、幸せな記憶は、主人公たちからは消えない。幼年期特有のいじめもあり苦悩苦痛もあり、ヘールシャムは楽園ではなかったけれど、そこでの憶い出が、主人公たちを支えている。
読了後、「それでも、キャシーたちは幸せだったかもしれない」と感じた。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.62
(5pt)

とても良かった(^^)

最初から最後までとても静かな作品で、盛り上がるわけでもなく淡々と語り口調で終わっていくが、それが何でかとても心地よく、暗い話であるにもかかわらず読後に気分が滅入ることがなかった。あるとても悲劇的な使命をもった人間達の話だが、悲劇的な部分があまり強調されず、それが運命なのだと受け入れる部分に焦点があっていたからだろうか。翻訳の仕方も上手く、すんなりと本の世界に入っていくことができた。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.61
(5pt)

耳に残る声 目の裏に残る風景

この小説は,女性の一人語りでつづられています。
子供時代のいかにもイギリス的な共同生活。(そういえば,子供の頃大好きだったおちゃめなふたごシリーズであこがれていたなぁ,こんな寮生活。)
その後のコテージでの日々。(背伸びしたい年頃だよねと自分を振り返りながら思う。)
登場人物たちの成長が丁寧に丁寧に著されます。思い切り,はまり込んで読んだために,読後2日たっても,Never let me go の歌声とキャシーの姿が残ってしまってしょうがありません。ねたばれになるので,詳細は書きませんが,設定自体は国内外で新しいものではありません。でもこのような静謐さでそのテーマをあつかえたということに,驚きました。
どうしても原文が気になるので,アマゾンさん,Never let me go一丁。

わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.60
(5pt)

家畜のように

ある特殊な役割を持った人々の成長と愛情の物語。ある意味では、家畜のような存在の人々。教育もうけ、知性もあり、芸術性もあり、愛情もあり。自分の運命をやがてしっていく。それなのに、しずかに、淡々と受け入れる様が物悲しい。延期する手段もあるが、でも、それは、延期にしか過ぎず、中止ではない。静かに、悲しい話なのであるが、淀む事なく話はすすんでいく。愛する人を亡くした後の、主人公の女性の最後の静謐な”境地”を読んで、私も泣いた。
 同じような設定を、マイケルクライトンの”クロモゾーム6”で読んだが、あまりに読後感が違う。いつか、本当に、こんな時代もくるのだろうか?
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517