■スポンサードリンク
人間処刑台
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
人間処刑台の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.60pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
なぜ、角川ホラー文庫から出版したのか意味不明な格闘小説。ホラー要素は一切ありません。 格闘シーン以外は面白く、流麗な文章で紡がれるストーリーはスリリングかつ魅力的です。 ラストも予定調和的ではありますが、綺麗に終わります。 ただ、肝心の格闘の描写がクソ以下。あまりの幼稚さに格闘シーンが来るたびに脱力してしまいました。 世界中の格闘家と格闘物の作家に土下座して回ってほしいレベルです。 巻頭のバトルを一部引用します。 ーーーーーーーーーー そして、次の瞬間、男はさらに身を低くして僕の腰を目がけて突入して来た。 猛牛の突進をかわす闘牛士のように、反射的に僕は左足を引き、右足を軸に体を半身にした。目標物を失った男の巨体が微かに流れた。 その瞬間、僕は褐色の腕によってガードされた男の右のこめかみに──そのガードのわずかな隙間を狙って、左の拳を強く叩き入れた。 ばちん。 ーーーーーーーーーー ・・・・・・もうね、何処から突っ込んだら良いのやら。 半身を引かれただけでタックルをミスって身体を泳がすマヌケな対戦相手も大概ですが、左足を引いてタックルを躱したのなら、目の前にあるのは相手の左半身ですよね?そこから相手の右のこめかみにパンチを打ち込む?主人公はダルシムですか。 「右」と「左」の誤植ではありません。この後、わざわざもう一度「右のこめかみ」と表記しています。 あと、主人公はボクサーあがりということですが、グラブを付けていない裸拳を頭骨に打ち込むボクサーはいません。拳の骨が折れるからです。その程度の常識もないのに格闘小説に手を出すなんて・・・・・・眩暈がします。 おまけに「ばちん」って、女のビンタか。 この「ばちん」はこの後も繰り返し出てきます。一撃で意識を飛ばすテンプルへの肘打ちも「ばちん」。肋を数本へし折って肺に突き刺す必殺の右フックも「ばちん」。それはひょっとしてギャグでやっているのか? あと、ノールールデスマッチを舐めすぎです。 目潰し、金的アリ。気絶している対戦相手にトドメをさして殺すのも珍しくないという設定なのに、目玉に指を突っ込むことも、指や鼻を食いちぎることもなく、淡々と殴ったり蹴ったりするだけ。おまけに試合は普通にロープが張られた四角いリングで行われ、やばくなったらリング外にエスケープして負け逃げできるグダグダな激甘仕様。 デスマッチではリングを金網で囲み、脱出不能にするぐらいのことは、『空手バカ一代』の頃からの常識です。どれだけ物を知らないのでしょうか。 さらに、著者の無知ぶりはアンダーグラウンド世界の描写にまでおよびます。 試合は全世界数百万人にネット配信され、膨大な賭けの対象になっているという設定ですが、主人公チームの選手がアンダーグラウンドの試合にびびってメインイベントの試合前に逃亡したところ「それじゃあ、契約書通りの違約金を支払ってもらいます」で不問になります。 いやいやいやいや、そんなんで済むわけないでしょ。そんな事態になったら、試合を仕切っている黒社会の連中が一斉に殺気立って「ならば、逃亡した選手の代わりにエージェントである貴女がリングに上がってもらう。賭けは成立しないが、視聴者にはアンタの虐殺レイプショーでガマンしていただこう」ぐらいの事態になるのが当然じゃないですかね。 むしろ、その展開の方が、主人公がエージェントの女性(主人公の恋人でもある)を救うために逃亡した選手に代わって無敵のアンダーグラウンドチャンピオンに生命を賭けて挑む動機が鮮明になると思います。実際のところ小説の中では「じゃ、僕が代理で出場しまーす。チャンピオンとはいっぺん闘ってみたかったんですよ」みたいなノリで出場していましたが。 後書きを読むと著者がボクシングの試合を生で観て、感動して書いた作品だとか。どうやら格闘技に関する知識は本当にそれだけのようです。 格闘小説を書くのなら、最低でも各種格闘技の試合映像を観た上で、『餓狼伝』、『グラップラー刃牙』、『修羅の門』ぐらいは読み、プロテクター付きでいいから実際に格闘家とスパーリングするぐらいの取材をしないのでしょうか。 ひょっとして、著者は格闘技ではなく、小説の執筆そのものを舐めているのではないかと疑いたくなる一冊でした。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!