妊娠カレンダー

【この小説が収録されている参考書籍】

【この小説が載っている参考書籍】

評判

妊娠カレンダーの評価:

3.79/5点 レビュー 56件。 D ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点3.79pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全114件 61〜80 4/6ページ
No.54
(3pt)

箸休め

なんて気持ちで読みはじめたら、どっぷりはまって一気に最後まで読んでしまった。
妊娠カレンダー (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 妊娠カレンダー (文春文庫)より
4167557010
No.53
(3pt)

箸休め

なんて気持ちで読みはじめたら、どっぷりはまって一気に最後まで読んでしまった。
妊娠カレンダー Amazon書評・レビュー: 妊娠カレンダーより
4163124209
No.52
(4pt)

不思議な世界

少し恐くて、少し不気味で、でもエレガント。人の心の奥深くを描き、でも優しい描写と言葉で語られていて、好きです。続きを考えるのも楽しいです。
妊娠カレンダー (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 妊娠カレンダー (文春文庫)より
4167557010
No.51
(4pt)

不思議な世界

少し恐くて、少し不気味で、でもエレガント。人の心の奥深くを描き、でも優しい描写と言葉で語られていて、好きです。続きを考えるのも楽しいです。
妊娠カレンダー Amazon書評・レビュー: 妊娠カレンダーより
4163124209
No.50
(5pt)

小川洋子という謎

芥川賞受賞作「妊娠カレンダー」と、ほかの二編「ドミトリイ」「夕暮れの給食室と雨のプール」からなる初期短編集である。
 いや、びっくりした。
 小川洋子といえば、映画にもなって話題を呼んだ読売文学賞受賞作『博士の愛した数式』の作者であり、芥川賞選考委員も勤めて、今の日本ではメジャーな作家の一人だろう。それなのにまるで何も読んだことがなかった。たしか芥川賞受賞の時に名前を知ったのだから、もう20年も放っておいたことになる。「妊娠カレンダー」にも興味を持ったのに、題のせいもあってか何となく近づきがたかったかもしれない。それがちょっとしたきっかけがあって、ようやくその「妊娠カレンダー」を含むこの短編賞を読んでみた。そしてびっくりしたのだった。こういう才能がある人だったのか。
 単に才能があると驚いたのではない。その才能のタイプ、資質ということになろうか。表題作以外の二編もとても魅力的で、これらの三編にこの作家のすべてが含まれているという気がした。この作家がわかったと思わせるものがそこにはあった。魅力から言ってもなかなかこれだけのセットはないと思うが、たまたまというわけではあるまい。ごく初期の三編でもあり、作家自身が魅力的なのだ。
 まずもって文章の隅々まで繊細な意識が通っているのに感心した。それを、たとえば『作家の値打ち』の福田和也は、作者の「企み」とか「悪意」とか呼ぶ。といって普通の意味の悪意とは違う、要するに読者を振り回す仕掛けがあるということなのだろうが、そこにはある種の必然、作家の内面から来る要請のようなものがあるのを感じる。
 描かれているのは微妙な不思議な世界だ。それはおそらく現実の素材の枠内にあるのだが、それでいて手の込んだ仕掛けの数々によって奇妙に現実離れしていて、はたしてリアルな物語なのかそうでないのかの境界線の近くを漂うかのようである。その極端な例が、ミステリーか、はたまたホラーかすらと思える「ドミトリイ」だろう。このサスペンス性はすごい。
 そしてそれには理由がある。どの作品でも作者は、一見秩序立った日常に潜む裂け目を紡ぎだそうとしているように見えるのである。その意味では実存的なテーマといえるかもしれない。支えとなっているはずの日常に、ふと垣間見える不安、寄る辺なさ、孤独。「妊娠カレンダー」では、語り手の姉の妊娠が、姉自身だけでなく語り手にとっても、そうしたものとの対峙を強いることになる。
 その姉の精神のしょうがいや、次の「ドミトリイ」における「先生」の身体的しょうがいは、それを暗示するモチーフといえるだろうか。いや、そこまでではなくても、たとえば「夕暮れの給食室と雨のプール」に登場する男が回想する「給食を食べられない」状態など、精神的肉体的苦痛がそれを表現してもいるだろう。そうした場では、必然のようにして、生きることの傷みのようなものが、そこはかとない哀れみと共感とをもって提示されて魅力的である。
 一方その対極にあるのが、ここでは「ドミトリイ」に登場するが、秩序があるゆえに「美しい」数学の世界である。おそらく作家個人も数学が好きなのだろうが、それは『博士の愛した数式』でも重要なモチーフのようだし、そこにおける人物のしょうがいにしても、この短編におけるのと同じ意味を持つに違いない(未読なので違ったらすみません)。おそらくそれらはこの作家の本質的なものに関わっている。
 なお「ドミトリイ」については、振り回されることへの不満や、あるいは不全感を覚える読者があるかもしれない。しかしこれをやはり先に述べた「裂け目」の物語と捉えるなら、それはそれで一個の必然ではないかと私自身は考えている。
 やり残した宿題をするような感覚でこの本を読み出したのだが、これだけ感心するとほかも読みたくなる。ここで作家の核心のようなものとして強く感じたことを確かめるためにも、ほかの作品も読もうと思う。

妊娠カレンダー Amazon書評・レビュー: 妊娠カレンダーより
4163124209
No.49
(5pt)

小川洋子という謎

芥川賞受賞作「妊娠カレンダー」と、ほかの二編「ドミトリイ」「夕暮れの給食室と雨のプール」からなる初期短編集である。
 いや、びっくりした。
 小川洋子といえば、映画にもなって話題を呼んだ読売文学賞受賞作『博士の愛した数式』の作者であり、芥川賞選考委員も勤めて、今の日本ではメジャーな作家の一人だろう。それなのにまるで何も読んだことがなかった。たしか芥川賞受賞の時に名前を知ったのだから、もう20年も放っておいたことになる。「妊娠カレンダー」にも興味を持ったのに、題のせいもあってか何となく近づきがたかったかもしれない。それがちょっとしたきっかけがあって、ようやくその「妊娠カレンダー」を含むこの短編賞を読んでみた。そしてびっくりしたのだった。こういう才能がある人だったのか。
 単に才能があると驚いたのではない。その才能のタイプ、資質ということになろうか。表題作以外の二編もとても魅力的で、これらの三編にこの作家のすべてが含まれているという気がした。この作家がわかったと思わせるものがそこにはあった。魅力から言ってもなかなかこれだけのセットはないと思うが、たまたまというわけではあるまい。ごく初期の三編でもあり、作家自身が魅力的なのだ。
 まずもって文章の隅々まで繊細な意識が通っているのに感心した。それを、たとえば『作家の値打ち』の福田和也は、作者の「企み」とか「悪意」とか呼ぶ。といって普通の意味の悪意とは違う、要するに読者を振り回す仕掛けがあるということなのだろうが、そこにはある種の必然、作家の内面から来る要請のようなものがあるのを感じる。
 描かれているのは微妙な不思議な世界だ。それはおそらく現実の素材の枠内にあるのだが、それでいて手の込んだ仕掛けの数々によって奇妙に現実離れしていて、はたしてリアルな物語なのかそうでないのかの境界線の近くを漂うかのようである。その極端な例が、ミステリーか、はたまたホラーかすらと思える「ドミトリイ」だろう。このサスペンス性はすごい。
 そしてそれには理由がある。どの作品でも作者は、一見秩序立った日常に潜む裂け目を紡ぎだそうとしているように見えるのである。その意味では実存的なテーマといえるかもしれない。支えとなっているはずの日常に、ふと垣間見える不安、寄る辺なさ、孤独。「妊娠カレンダー」では、語り手の姉の妊娠が、姉自身だけでなく語り手にとっても、そうしたものとの対峙を強いることになる。
 その姉の精神のしょうがいや、次の「ドミトリイ」における「先生」の身体的しょうがいは、それを暗示するモチーフといえるだろうか。いや、そこまでではなくても、たとえば「夕暮れの給食室と雨のプール」に登場する男が回想する「給食を食べられない」状態など、精神的肉体的苦痛がそれを表現してもいるだろう。そうした場では、必然のようにして、生きることの傷みのようなものが、そこはかとない哀れみと共感とをもって提示されて魅力的である。
 一方その対極にあるのが、ここでは「ドミトリイ」に登場するが、秩序があるゆえに「美しい」数学の世界である。おそらく作家個人も数学が好きなのだろうが、それは『博士の愛した数式』でも重要なモチーフのようだし、そこにおける人物のしょうがいにしても、この短編におけるのと同じ意味を持つに違いない(未読なので違ったらすみません)。おそらくそれらはこの作家の本質的なものに関わっている。
 なお「ドミトリイ」については、振り回されることへの不満や、あるいは不全感を覚える読者があるかもしれない。しかしこれをやはり先に述べた「裂け目」の物語と捉えるなら、それはそれで一個の必然ではないかと私自身は考えている。
 やり残した宿題をするような感覚でこの本を読み出したのだが、これだけ感心するとほかも読みたくなる。ここで作家の核心のようなものとして強く感じたことを確かめるためにも、ほかの作品も読もうと思う。

妊娠カレンダー (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 妊娠カレンダー (文春文庫)より
4167557010
No.48
(5pt)

同性の姉妹に対するゆがんだ思いを書き切る

「ニ・ン・シ・ン」した姉に、有毒で「危険な輸入食品!」と確信するグレープフルーツでジャムを作って食べさせる妹の内心を、日記風に描いた芥川賞受賞作がとにかくすごい。小川さんの屈折した陰の部分がよく表れた傑作。

 他二話でも、たとえば「夕暮れの給食室」に偏執せずにいられない奇妙な人々などが登場していて、小川文学の原点を知るための格好の作品集。




妊娠カレンダー Amazon書評・レビュー: 妊娠カレンダーより
4163124209
No.47
(5pt)

同性の姉妹に対するゆがんだ思いを書き切る

「ニ・ン・シ・ン」した姉に、有毒で「危険な輸入食品!」と確信するグレープフルーツでジャムを作って食べさせる妹の内心を、日記風に描いた芥川賞受賞作がとにかくすごい。小川さんの屈折した陰の部分がよく表れた傑作。

 他二話でも、たとえば「夕暮れの給食室」に偏執せずにいられない奇妙な人々などが登場していて、小川文学の原点を知るための格好の作品集。




妊娠カレンダー (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 妊娠カレンダー (文春文庫)より
4167557010
No.46
(4pt)

著者の芥川賞受賞作はこれでよかったか?

著者の芥川賞受賞作「妊娠カレンダー」と、「ドミトリー」「夕暮れの給食室と雨のプール」の3篇収録。前2者が日常世界の中で進行する歪みを描いた作品で、「夕暮れ〜」は過去の追憶。

前2者は身体感覚の描写がさすがだが、それを中心に組み立てて著者の身体フェチの極点とも言える作品。

しかし、「妊娠〜」は著者の作品の中で突出した傑作だとは思わない。平均的な水準の作品だ。著者の創作キャリアの早期の段階で将来傑作を連発する筆力を評価したにしても、デビュー作の「揚羽蝶が壊れる時」の方が作品の出来としては優れていると思うのだが。

3作とも、主人公の作為(ジャムを作ること、あるいは話を聴くこと)対する反作用が描かれておらず、私は宙ぶらりんの状態で放り出されるような読後感を持った。
妊娠カレンダー Amazon書評・レビュー: 妊娠カレンダーより
4163124209
No.45
(4pt)

著者の芥川賞受賞作はこれでよかったか?

著者の芥川賞受賞作「妊娠カレンダー」と、「ドミトリー」「夕暮れの給食室と雨のプール」の3篇収録。前2者が日常世界の中で進行する歪みを描いた作品で、「夕暮れ〜」は過去の追憶。

前2者は身体感覚の描写がさすがだが、それを中心に組み立てて著者の身体フェチの極点とも言える作品。

しかし、「妊娠〜」は著者の作品の中で突出した傑作だとは思わない。平均的な水準の作品だ。著者の創作キャリアの早期の段階で将来傑作を連発する筆力を評価したにしても、デビュー作の「揚羽蝶が壊れる時」の方が作品の出来としては優れていると思うのだが。

3作とも、主人公の作為(ジャムを作ること、あるいは話を聴くこと)対する反作用が描かれておらず、私は宙ぶらりんの状態で放り出されるような読後感を持った。
妊娠カレンダー (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 妊娠カレンダー (文春文庫)より
4167557010
No.44
(1pt)

テーマに目新しさが無い、わざわざ小説にするまでもない

表題作の「妊娠カレンダー」についてです。妊娠が単純に「オメデトー」じゃないことは、自分が妊娠したり近しい人が妊娠したりすればすぐわかることです。ねじれた気持ちがでてくるのはあたりまえのこと。だから内容的には平凡でつまらなかった。ねじれた気持ちの行き先など描写があれば別ですが、しりきれとんぼに感じました。内容に発見がなければ、では表現のしかたで楽しませてくれたらいいのだけれども、でてくる登場人物が、みな不愉快な人たちで、その人たちをまた不愉快に描写するのだから、面白くはありませんでした。平凡なできごとでも、深く研究すれば、人生の機微なりなにかしらの発見があるものですが、どぎつい登場人物とできごとを組み合わせても、新しい発見は生まれません。タイトルが内容をあらわしていないのも、よくありません。妊娠の経過は道具でしかありませんでした。
妊娠カレンダー Amazon書評・レビュー: 妊娠カレンダーより
4163124209
No.43
(1pt)

テーマに目新しさが無い、わざわざ小説にするまでもない

表題作の「妊娠カレンダー」についてです。妊娠が単純に「オメデトー」じゃないことは、自分が妊娠したり近しい人が妊娠したりすればすぐわかることです。ねじれた気持ちがでてくるのはあたりまえのこと。だから内容的には平凡でつまらなかった。ねじれた気持ちの行き先など描写があれば別ですが、しりきれとんぼに感じました。内容に発見がなければ、では表現のしかたで楽しませてくれたらいいのだけれども、でてくる登場人物が、みな不愉快な人たちで、その人たちをまた不愉快に描写するのだから、面白くはありませんでした。平凡なできごとでも、深く研究すれば、人生の機微なりなにかしらの発見があるものですが、どぎつい登場人物とできごとを組み合わせても、新しい発見は生まれません。タイトルが内容をあらわしていないのも、よくありません。妊娠の経過は道具でしかありませんでした。
妊娠カレンダー (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 妊娠カレンダー (文春文庫)より
4167557010
No.42
(2pt)

芥川賞ってこんなもの!?

「妊娠カレンダー」は、何がどうなるんだろう、と謎に思いながら読み進めていたら、いきなりThe End.なにこれ?これで純文学とは言え、小説として成り立っているのかしら、起承転結ってもんがるでしょう?と完全消化不良。その後に続く「ドミトリィ」と「夕暮れの給食室と・・・」も、基本的に同じスタンスで、がっかりでした。主人公は割りと普通に暮らしている普通人。その周囲にいる”不思議ちゃん”とのやり取りが納められている。パターン化していて、発展も箸休めもなかった。この本から得られたものは、息を止めて神経を研ぎ澄ましたときに、感性で捉えられる一瞬の描写。「あ、そういう感じあるかも・・・」と思わせられるところが何箇所かありました。言葉の使い方は優秀かもしれません。
妊娠カレンダー Amazon書評・レビュー: 妊娠カレンダーより
4163124209
No.41
(2pt)

芥川賞ってこんなもの!?

「妊娠カレンダー」は、何がどうなるんだろう、と謎に思いながら読み進めていたら、いきなりThe End.なにこれ?これで純文学とは言え、小説として成り立っているのかしら、起承転結ってもんがるでしょう?と完全消化不良。その後に続く「ドミトリィ」と「夕暮れの給食室と・・・」も、基本的に同じスタンスで、がっかりでした。主人公は割りと普通に暮らしている普通人。その周囲にいる”不思議ちゃん”とのやり取りが納められている。パターン化していて、発展も箸休めもなかった。この本から得られたものは、息を止めて神経を研ぎ澄ましたときに、感性で捉えられる一瞬の描写。「あ、そういう感じあるかも・・・」と思わせられるところが何箇所かありました。言葉の使い方は優秀かもしれません。
妊娠カレンダー (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 妊娠カレンダー (文春文庫)より
4167557010
No.40
(3pt)

妊娠中に。。。

友人に薦められ、妊娠中に読みました。芥川賞受賞作品だとは知らず、小川さんの作品も『博士の愛した数学』くらいしか知らなかったのですが、純粋に楽しめたと思います。淡々と綴られる日常の空気感は女性らしく柔らかで、それでいて、人のふとした冷たさを感じる冷静な作家さんだと思います。妊娠中の姉も、同居する夫も妹も、人としてクールなところがありますが、中でも“妹”の存在がなんとなくおそろしかった。肉親とはいえ同性である姉妹に平気に“毒盛り”をできる、それは妹という存在であるのかもしれないと、そう感じたのでした。
妊娠カレンダー Amazon書評・レビュー: 妊娠カレンダーより
4163124209
No.39
(3pt)

妊娠中に。。。

友人に薦められ、妊娠中に読みました。芥川賞受賞作品だとは知らず、小川さんの作品も『博士の愛した数学』くらいしか知らなかったのですが、純粋に楽しめたと思います。淡々と綴られる日常の空気感は女性らしく柔らかで、それでいて、人のふとした冷たさを感じる冷静な作家さんだと思います。妊娠中の姉も、同居する夫も妹も、人としてクールなところがありますが、中でも“妹”の存在がなんとなくおそろしかった。肉親とはいえ同性である姉妹に平気に“毒盛り”をできる、それは妹という存在であるのかもしれないと、そう感じたのでした。
妊娠カレンダー (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 妊娠カレンダー (文春文庫)より
4167557010
No.38
(4pt)

くつくつ、とジャムを煮込むさるきちも。

妊娠した姉のために くつくつ とグレープフルーツを煮込み ジャムを作っている、わたし。 姉はその鍋を抱えるようにして スプーンですくって食べ尽くす。 「アメリカ酸のグレープフルーツには 強力な毒薬が使われており 染色体をも破壊する」 ふと目にした広告。 その毒は胎児の染色体も破壊するのかしら だからわたしはせっせと 姉にグレープフルーツを食べさせる。 精神のバランスを欠いている姉と フツーであるようで やはり何かが損なわれている、わたし。 その二人を結びつけているのが 食べモノだ。 小川洋子氏の食べモノの表現は とてもグロテスクで 身体の内部を彷彿させる。 さるきちが口にしたものもね、 ぬめっとした腸や、 柔らかい皮が張った胃や、 きゅっと締まった卵巣といった、 臓器へと変容するのだなあ と、想像することができる。 さらに、 食べ物は 単に身体を形成するだけでなく、 精神にも深く寄与しているのだと、 考えさせられる。 摂食障害で 時に食べモノが敵となり、 食事が苦痛となっている さるきちにとっては、 彼女の作品て、 何かココロにひっかかるモノがあるのよね。 どうして破綻を期したのが 「食」なんだろう… ちょっぴりミステリアスな短編です。 本書には、他にも 「ドミトリイ」「給食室と雨のプール」が おさめられています。
妊娠カレンダー Amazon書評・レビュー: 妊娠カレンダーより
4163124209
No.37
(4pt)

くつくつ、とジャムを煮込むさるきちも。

妊娠した姉のために くつくつ とグレープフルーツを煮込み ジャムを作っている、わたし。 姉はその鍋を抱えるようにして スプーンですくって食べ尽くす。 「アメリカ酸のグレープフルーツには 強力な毒薬が使われており 染色体をも破壊する」 ふと目にした広告。 その毒は胎児の染色体も破壊するのかしら だからわたしはせっせと 姉にグレープフルーツを食べさせる。 精神のバランスを欠いている姉と フツーであるようで やはり何かが損なわれている、わたし。 その二人を結びつけているのが 食べモノだ。 小川洋子氏の食べモノの表現は とてもグロテスクで 身体の内部を彷彿させる。 さるきちが口にしたものもね、 ぬめっとした腸や、 柔らかい皮が張った胃や、 きゅっと締まった卵巣といった、 臓器へと変容するのだなあ と、想像することができる。 さらに、 食べ物は 単に身体を形成するだけでなく、 精神にも深く寄与しているのだと、 考えさせられる。 摂食障害で 時に食べモノが敵となり、 食事が苦痛となっている さるきちにとっては、 彼女の作品て、 何かココロにひっかかるモノがあるのよね。 どうして破綻を期したのが 「食」なんだろう… ちょっぴりミステリアスな短編です。 本書には、他にも 「ドミトリイ」「給食室と雨のプール」が おさめられています。
妊娠カレンダー (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 妊娠カレンダー (文春文庫)より
4167557010
No.36
(5pt)

すでに独自の作風を確立している

芥川賞受賞作となった「妊娠カレンダー」。妊娠をきっかけに、刻一刻と変貌を遂げ、どんどん知らない人になっていく姉に戸惑う妹。やがてアメリカ産グレープフルーツジャムを作り続けることにより、周囲を振り回し続ける姉に密かな抵抗の手段を見い出す。「悪意」と言うよりは、ふとしたきっかけで、暗い考えにとらわれる、そのハードルのあっけなさみたいなものを書こうとしたのだろうか?「夕暮れの給食室と雨のプール」。婚約者との同居生活が始まる前の、細々した生活の準備の様子を書いても書いても、見事に生活臭がしないところがさすが、小川洋子(笑)。こういうノスタルジックな日常からファンタジーに迷いこんでしまう…というのも彼女の基軸の一つ。「博士の〜」や「ミーナ〜」もこの路線かな?しかし、私は作者の真骨頂は「ドミトリイ」だと思う。この頃すでに、短編集「海」の「バタフライ和文タイプ事務所」に匹敵する完成度のものを書いていることに驚かされた。読んでほんわかしたいい気持ちになるのは、「博士〜」や「ミーナ〜」だろうけれど、ザ・小川洋子なのは「バタフライ和文タイプ事務所」や「ドミトリイ」のような作品だと思う。
妊娠カレンダー Amazon書評・レビュー: 妊娠カレンダーより
4163124209
No.35
(5pt)

すでに独自の作風を確立している

芥川賞受賞作となった「妊娠カレンダー」。妊娠をきっかけに、刻一刻と変貌を遂げ、どんどん知らない人になっていく姉に戸惑う妹。やがてアメリカ産グレープフルーツジャムを作り続けることにより、周囲を振り回し続ける姉に密かな抵抗の手段を見い出す。「悪意」と言うよりは、ふとしたきっかけで、暗い考えにとらわれる、そのハードルのあっけなさみたいなものを書こうとしたのだろうか?「夕暮れの給食室と雨のプール」。婚約者との同居生活が始まる前の、細々した生活の準備の様子を書いても書いても、見事に生活臭がしないところがさすが、小川洋子(笑)。こういうノスタルジックな日常からファンタジーに迷いこんでしまう…というのも彼女の基軸の一つ。「博士の〜」や「ミーナ〜」もこの路線かな?しかし、私は作者の真骨頂は「ドミトリイ」だと思う。この頃すでに、短編集「海」の「バタフライ和文タイプ事務所」に匹敵する完成度のものを書いていることに驚かされた。読んでほんわかしたいい気持ちになるのは、「博士〜」や「ミーナ〜」だろうけれど、ザ・小川洋子なのは「バタフライ和文タイプ事務所」や「ドミトリイ」のような作品だと思う。
妊娠カレンダー (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 妊娠カレンダー (文春文庫)より
4167557010