折れた竜骨

【この小説が収録されている参考書籍】

評判

折れた竜骨の評価:

3.87/5点 レビュー 97件。 S ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点3.87pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全101件 61〜80 4/6ページ
No.41
(5pt)

夢とロマンのミステリー

推理小説としては夢とロマンがあり物語に引き込まれました。下巻まで読むと、最後の謎解きでちょっとしたどんでん返しがあって「そうだったの?」って感じになります。読後感もすっきりしてて、主人公を応援したい気持ちが高まった所で終わります。お薦めです。
折れた竜骨 上 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 折れた竜骨 上 (創元推理文庫)より
4488451071
No.40
(3pt)

ロジカル・ミステリとは程遠い、安手の冒険ファンタジー

安手の冒険ファンタジーといった内容の作品で、西澤保彦氏「念力密室!」、山口雅也氏「生ける屍の死」等の「SF的設定+ロジック」ミステリを愛好する私にとっては期待ハズレの出来。<魔術>や<不死人間>(呪われたデーン人)が跳梁跋扈する12世紀のイギリスのソロン諸島を舞台に、ソロン領主殺害事件の犯人捜し及びその<不死人間>軍団との死闘を領主の娘の一人称で描いた作品だが、如何せん、ミステリ的要素が弱過ぎる。

この種の作品では、"ルール作り"が重要で、本作の場合は、<魔術>や<不死人間>には何が出来て、何が出来ないとか、出来る時は何が条件なのか、といった明確が定義が必要なのだが、それが極めて曖昧模糊としていて、ロジカル・ミステリが成立する余地がない。また、定義の曖昧さは求心力の弱さを導き、読者が惹き付けられる強力な要素(謎)を欠き、それが解けた時の快感も味わえない。

この流れで、最後の容疑者を一同に集めて犯人指名をするお馴染みのシーンでも推理の粗雑さが目立つ。<消える魔術>を使える人物は"常に"(犯行後でも)消えていなければならないとか、<不死人間>を蹴散らした人物は「***」人でなければならないとか、手前勝手な理屈が多過ぎる。そして、明かされる殺害犯の正体は、何の事はない、冒頭から一番怪しかった人物で、工夫のカケラも感じられない(それに、この設定は倉知淳氏「星降り山荘の殺人」等、多くの作例があるのではないか)。

作者が冒険ファンタジーではなく、ミステリを意図していたとしたら、<魔術>や<不死人間>は単なる"お飾り"で、ロジカル・ミステリを構成する上での適切な"縛り"になっていない。<魔術>や<不死人間>が出来る事が作者の言う通りなら、物理的に犯人足り得る人物は唯一人なのだから。読了後、消化不良感しか覚えなかった。
折れた竜骨 上 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 折れた竜骨 上 (創元推理文庫)より
4488451071
No.39
(5pt)

とても面白かった

まず中世ヨーロッパの世界観が、そこらの資料調査ゼロのゲームッぽいラノベもんと
一線を画して本格的なところが気にいった。
雰囲気がでている。
これってかなり難しいと思う。普通、こういう雰囲気はでない。
魔術といいつつ、その扱いが魔法陣を描いたり、光の矢を放ったりするものでなく、
よい意味でマニアックなところが気にいった。
不死の女騎士はめちゃくちゃかっこ良かったし、
主人公は好感がもてる上に、きちんと中世っぽい思考をしていて凝っていたし、
巨人はまあ、詰め込みすぎな気もしたが、絵的に華を添えたし、
ニコラとファルクの関係もよかった。
ラストあたりで、きちんと収束するんだか不安だった謎がどんどん開示されるのも良かったし、
まあ犯人はベタではあるが、ニコラとの「暗黙の上での生死の受け渡し」は震えるほど良かった。

まあ、あまり作家名はだしたくないが、ファンタジーミステリー両方において、この種の世界観を量産している作家のものよりも、
遥かに高品質で、練られていると思った。また「ボトルネック」や「氷菓」や「儚い羊」その他著者の作品に比べても、
完成度、読みごたえはトップクラスなんじゃないかと思ったり。

中盤、冗長と感じるところもあったし、
孤島のホテルの殺人事件七人のなかに犯人がいる、ひとりひとり検証していくぞみたいな、王道筋運びにするのは、
せっかくのバトルっぽい舞台設定がもったいないんじゃ? 
と思ったし、
暗殺騎士ってのは、誰かの依頼で領主を殺したわけで、じゃあ、誰が暗殺騎士に領主の暗殺を依頼したの?
デーン人? デーン人妖怪そのものだったけどそんな人間みたいなことするの? と思ったし、
エンマと塔の囚人の関係もよくわからなかった。、
主であるエンマの元に戻るってんなら、何十年も牢にいないで、無罪放免されてエンマを探しにいけばいいんじゃないの? 
と思ったり。
呪われたデーン人が、ゾンビ的な怪物なのに対し、エンマや囚人はきちんとコミュニケーションができる「人間」であるのも
少し違和感があった。
デーン人頭が働いて、人間コミュニケーションできるなら、きちんと作戦たててくれば十人ぐらいでソロン獲れるんじゃ
と思ったし。
っていうかうまくやれば巨人使いと、透明蜀台だけでソロン獲れるよね。
そんなヤベー魔術がゴロゴロ転がっている世界でいいのか。

作中ラスボスの扱いであったはずの、仇である暗殺騎士だって、もう死んでいていないかもね、
とニコラの憶測台詞だけで処理しちゃうのも、どうなの、と思った。

でもそれら疑問部分は、無理に処理しようとすれば更に冗長にご都合主義を連発せねば
ならないのは明らかで、少なくとも、突っ込みいれておかしくならないファンタジーなんて存在しないので、
これでいいんだと思いました。
傑作!
折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア) Amazon書評・レビュー: 折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)より
4488017657
No.38
(2pt)

違和感

・読んでいて非常に違和感をおぼえた。
・ファンタジー世界でミステリ、魔法でミステリ。それはいい。
・しかし主人公のヒロイン(読者とほぼ同じ視線)は、この世界のルールに無知なところからスタートする。
・この世界のルールは、探偵役の騎士ファルクから、主に口頭で説明を受けるのみだ。
・つまりヒロイン(読者)は、ファルクが、本当は探偵役ではなかったとしても(嘘をついていても)、隠されたルールがあったとしても、わからないし確かめる術はない。
・推理の依って立つルールが信じられるかも不明なまま読み進めなければならないのは、ミステリとして欠陥ではないかと考える。
・この点、例えば超能力ミステリを多数出されている西澤保彦先生は、作中、主人公=一人称視点にルールを説明させることで、読者に対して「ひとまず信じて良い情報」を明確に提示する等で解決を図っている。
・結論として、ファンタジーとしての雰囲気と、特殊ルール下のミステリ、との二兎を追い、基本的な部分が疎かになっていると感じた。
折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア) Amazon書評・レビュー: 折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)より
4488017657
No.37
(3pt)

意外な結末にドキリ。しかし見所はそこだけ

米澤穂信さんの本は、大体すべて読んでいます。

異色のファンタジーミステリーということで、大いに期待していた今作。
魔術の存在がはなから肯定されているのも意外でしたが、独自のルールがしっかり
描写されているので、結末を読んでも「卑怯」だとは思いませんでした。

ラストの展開は素晴らしかったのですが、欲をいえばそこまでの間に、もっとスリリングさ
が欲しかった。スタートから中盤まで、やや退屈だったという印象が拭えません。
これなら単巻でまとめた方が良かったのではないでしょうか。

とはいえ、個人的にいま一番お気に入りの作家です。チャレンジブルな作品だと割り切れば、
良作だと思います。これからも良質の作品を世に送り出して欲しいと切に願います。
折れた竜骨 上 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 折れた竜骨 上 (創元推理文庫)より
4488451071
No.36
(5pt)

楽しい!

ファンタジーでミステリー!
とても読みやすくて、すらすらすら~と読破!
折れた竜骨 下 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 折れた竜骨 下 (創元推理文庫)より
448845108X
No.35
(3pt)

いい作品ではあるが

中世イギリスを舞台にしたファンタジーとして期待して読んだ。解説には傑作と高く評価されているが、ファンタジーのレベルからすると標準的な作品ではないか。日本でこのような良質な作品が書かれるようになったという点では、評価の高さも納得できるが。ビジョルドの諸作品の愛好者としては格差を感じないではいられなかった。
折れた竜骨 下 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 折れた竜骨 下 (創元推理文庫)より
448845108X
No.34
(3pt)

日本のファンタジーのレベル

中世イギリスを舞台にしたファンタジーとして期待して読んだ。解説には傑作と高く評価されているが、ファンタジーのレベルからすると標準的な作品ではないか。日本でこのような良質な作品が書かれるようになったという点では、評価の高さも納得できるが。ビジョルドの諸作品の愛好者としては格差を感じないではいられなかった。
折れた竜骨 上 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 折れた竜骨 上 (創元推理文庫)より
4488451071
No.33
(5pt)

弟子と師匠の強い絆

下巻になると、戦闘シーンや謎の巨人も現れ、さながらアクション映画のよう。
師匠と弟子の強い絆はこの物語のキーかもしれません。
タイトルの折れた竜骨に繋がる主人公と弟子の会話がとても素敵で映画化も可能な作品だと思います。
折れた竜骨 下 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 折れた竜骨 下 (創元推理文庫)より
448845108X
No.32
(5pt)

ファンタジーとミステリーの融合

米澤氏の作品を初めて読みました。
最初は登場人物と歴史的背景等を説明しながらのストーリー展開、多少もたつき感はあります。
後半に入るにつれスピード感も増して読みごたえあり。
領主が何者かに殺害され、その調査に当たったのが東方から来た謎の騎士。
北欧の島の歴史と魔術と謎を上手く取り入れた作品です。
解説にもありましたが珍しい設定の作品です。
折れた竜骨 上 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 折れた竜骨 上 (創元推理文庫)より
4488451071
No.31
(4pt)

すんなりと読めました

各キャラクターも個性的で面白く読ませてもらいました。
ただ少し淡々とストーリーが展開するのでもう少しひねりが欲しいですね。
事件の犯人も途中で何となく感じられてしまうのが少し残念。
折れた竜骨 下 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 折れた竜骨 下 (創元推理文庫)より
448845108X
No.30
(4pt)

異世界を舞台にしたロジックパズルもの

過去のヨーロッパを舞台にしているので
「異世界」ではないが、魔法が重要なアイテムに
なっているので、まあ架空の舞台を想定しています。

現実的にはありえない設定を「公理系」として
真理をどう合理的に導出しえるか?あるいは解釈しえるか?
というところが肝になっている点は「七回死んだ男」と同様の
架空世界設定でのロジックパズルものといえる。

いくつもの仮説を提示しては破棄していくところも面白みの
一つで、この点ではバークリの「毒入りチョコレート」や
デクスタのモース警部ものなどを彷彿とさせる。

なにより、剣関係が得意分野だったとはいえ、ちゃんとした勉強と
洗練された文章で構築されていてとても読みやすい。
伊坂某よりこの人に直木賞あげないとウソでしょう。

日本では費用やキャスディングの面で無理だと思うので、
ハリウッドで映画化すれば、面白いものになるのでは?
(なんだかなりそうな気がする)
折れた竜骨 上 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 折れた竜骨 上 (創元推理文庫)より
4488451071
No.29
(5pt)

空気がすばらしい

米澤氏の作品はこれがはじめてだったのですがとてもよかったです。
私は推理とかファンタジーとかSFとか好きなのですがまさにど真ん中って感じでした。

特によかったのは、中世ヨーロッパ(?)の舞台の空気が伝わってくるような気がしたところです。
あと私が好きなのは登場人物の個性。それぞれ特徴的で丁寧に描かれている。
主人公をはじめ魅力的なキャラが多く嫌みなキャラがいない。
それと戦闘シーンなどは緊張感が伝わってきていいです。
上下巻あるがもう少し長く読みたかった。続編かスピンオフ的な作品が見て見たい。

まぁあえて言うなら題名はどうなのかなっと思わせます。最後までほとんど関係ないんじゃないだろうか?
もっと、こう、ぴったりの名前なかったのかな?でもたいした問題ではない。
折れた竜骨 上 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 折れた竜骨 上 (創元推理文庫)より
4488451071
No.28
(2pt)

汚い本は読む気になれない

表紙のカバーは綺麗でしたが、本自体はよほど汚い手で読まれたのか、何人もがお見まわしたかのような汚い本でした。「可」とすべきだと思いました。状態の良い古本を選んだつもりでしたが、読む気になれずまだそのままにしてあります。
折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア) Amazon書評・レビュー: 折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)より
4488017657
No.27
(5pt)

呪われたデーン人との戦いと謎解きの解答編

父親を殺した犯人を気丈に探そうとする領主の娘アミーナや師匠に忠実なニコラに共感し気づいたら夢中で読んでいました。
呪われたデーン人との戦いの場面も迫力があり、映画「パイレーツ・オブ・カリビアン〜呪われた海賊たち〜」がお好きな方は、同映画を思い出さずにはいられないでしょう。

肝心のミステリ部分はというと、上巻から下巻にかけて、事件が発生した小ソロン島という密室のような環境と、誰かどのような特性を持っている人物かという条件が読み手に与えられています。終盤はその条件を元に犯人を追っていきます。
なのでミステリに魔法が出てくるなんてズルいんじゃないの?と最初は思っていても、「Aさんはαができるけどβができない。」という条件を人物に付していることが解答編で理解できると思います。この条件を総合して犯人を明かすわけです。
そもそも架空の世界が舞台なので凝ったトリックは出てきませんが、ロジックを楽しむのにはよい本でした。是非犯人探しを楽しんでみてください。
折れた竜骨 下 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 折れた竜骨 下 (創元推理文庫)より
448845108X
No.26
(4pt)

謎解きとファンタジーとアクションが合わさった小説

ファンタジーをあまり読まないので、「魔法」とか「呪い」とかに拒絶反応を示してしまい、下巻までたどり着けるか不安でしたが、読んでみると違和感なく読み進めることができました。
あと、色んな要素を詰め込みすぎなんじゃ…。ということもありません。

上巻は舞台設定、登場人物説明、事件の発生という流れでした。なのでこれは面白い!!!という感じではないです。なので☆4つです。でも上巻で設定や登場人物の説明が丁寧だったおかげで下巻は夢中で読んでしまいました。下巻のレビューは☆5つをつけました。
上巻から下巻の最初にかけては「問題編」下巻の中盤は「戦い編」終盤は「解答編」という流れです。

呪われたデーン人がどのように事件に関わってくるのか、気になる終わり方でワクワクします。
折れた竜骨 上 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 折れた竜骨 上 (創元推理文庫)より
4488451071
No.25
(3pt)

冒険ファンタジー的

推理小説と考えて購入しました。
魔法使い、騎士団、呪い・・・ファンタジーの世界ですが、テンポが良いので読みやすいです。
折れた竜骨 下 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 折れた竜骨 下 (創元推理文庫)より
448845108X
No.24
(5pt)

論理が見事

上巻は多数の登場人物の紹介や物語世界の説明のため、もたついた感じがします。しかし、物語は後半になるにつれて、勢いを増し、一気に読み終えてしまいました。
物語世界の独自設定は、謎解きの際に設定の一部が使われるくらいでしたが、物語世界独自の倫理観、価値観や論理で謎解きをしてくれるとより完成度が増したと思います。
一方本書をミステリとして一段高いところに上げているなと思うのは、なぜこの人が犯人ではないのかという点と、なぜこの人が「犯人でなければいけないのか」という点を論理的に示していることです。ともすると、「こうすればこの人に犯行が可能」という可能性だけを示して本格ミステリとしてしまう中で、エラリー・クイーンの国名シリーズのように、これ以外の解決は無いという点まで踏み込んで論理を構成しようという志は尊敬に値するものだと思います。
ミステリ好きなら読んでも損はしないと思います。
折れた竜骨 上 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 折れた竜骨 上 (創元推理文庫)より
4488451071
No.23
(5pt)

ミステリの軸は外さず,その枠を超える濃厚な物語

10年11月の単行本の文庫化で,『第64回日本推理作家協会賞』の受賞作品になります.
なお,文庫化にあたり上下巻に分冊,この上巻では第一章から三章が収められています.

冒頭,見開きで並ぶ登場人物の数の多さに,いささか身構える部分もあったのですが,
始まるとその杞憂はすぐに消え,ヒロイン視点で語られる世界は堅苦しさもありません.

また,早々に事件が起き,しばらく推理パート的な,やや地味な流れが続くものの,
何気ないと思っていた節々から拾い上げ,それらを後々の展開に絡ませる話の運び方,
理詰めというのか,これだからこう,もしくはそうではないというやり取りが心地よく,
淀みなく進む推理や会話,そしてそれらが広がる様子に,じわじわ引き込まれていきます.

懸念された,剣と魔術の世界にミステリの組み合わせも,取っ掛かりにわずかに介入,
以降も,その雰囲気は漂わせながらも,存在を強く前に出すといったことはあまりなく,
アンフェアや賑やかしに用いられることもないため,ミステリの『軸』は外していません.

終盤には,主要人物の内側へ迫り,それまでの流れに間を置く絶妙なタイミングも合わせ,
物語の深さがぐっと増しており,ミステリの『枠』を超えたおもしろさが広がっていきます.

ただ,最後は気を引く終わり方で下巻へと続くわけですが,上下巻で500ページと少し,
ページ数もそうですが,こういう『濃厚』な物語は途切れずに読ませてほしかったです.
折れた竜骨 上 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 折れた竜骨 上 (創元推理文庫)より
4488451071
No.22
(5pt)

丁寧にたたまれる謎,広がっていく物語

上下巻に分冊されたうちの下巻にあたり,こちらは第四章からのはじまりとなります.

序盤は,上巻から続く静かな流れ…かと思いきや,そこから一転しての急展開となり,
推理を横に置いての緊張と興奮には,物語としての楽しさを改めて味あわせてくれます.
これ以降は,また落ち着いていき,新たな問題を加えつつ,犯人捜しに傾向していきます.

また終盤,言い方こそ違えど,繰り広げられるそれはまさにミステリの王道とも言え,
剣と魔術の世界においても,そのスタイルで押し進めるのはなかなかおもしろいところ.
さらにその直前,いわゆる探偵役の男が漏らした一言は,何気ない言葉ではあるのですが,
なぜか強く響き,ドキリとさせられるもので,否が応でも結末への期待が高まっていきます.

そして,情報が丁寧に拾われ収束する様子,一つずつ明かされる疑問,差し込む違和感,
興奮した戦いですら伏線の一つであったことへの驚き,二転三転していく終盤のやり取り,
作中の『理性と論理は魔術を打ち破る』の言葉通り,特殊な世界や題材を扱っていながらも,
どれも,ミステリとして何らぶれることはなく,納得いく『解決』がそこに待ち控えています.

しかし,この作品をただの犯人捜しで終わらせていないのは,物語としての深さであり,
真実にたどり着いたと男と,彼の意思を正面から受け止め,重い決断を下す少年の関係は,
解かれた謎にもう一ひねりを加えるとともに,言葉にはしがたい切なさと暖かさを感じます.

広がる冬の大海が悲しげに映る幕引きも,その先につながる世界,そして未来をうかがわせ,
小さな世界に留まり続けるヒロインとの対比,さらには彼女の強さが,とても印象に残ります.
折れた竜骨 下 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 折れた竜骨 下 (創元推理文庫)より
448845108X