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プラチナデータ



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【この小説が収録されている参考書籍】
プラチナデータ
プラチナデータ (幻冬舎文庫)

プラチナデータの評価: 6.79/10点 レビュー 14件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.79pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全8件 1~8 1/1ページ
No.8:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

管理社会のシステムが生んだ歪み

映画化もされた東野圭吾氏の近未来警察小説とでも云おうか、国民のDNA情報から犯人を割り出すDNAプロファイリングの罠にはまった技術者の物語だ。

幼き頃のある悲劇的な経験から人をデータとしてしか捉えられなくなった主人公神楽龍平は自ら構築したDNA捜査システムで自身を犯人と指摘され、逃亡者となる。

彼の同行者となるのがスズランなる謎めいた少女。彼は二重人格者である神楽のもう1つの人格リュウが現れた時に姿を現し、彼の絵のモデルとなっていた少女だが、彼女は神楽がリュウである彼を愛し、一緒になりたいと願う。しかしその存在は神出鬼没で読者は彼女が実在するのか幻想の賜物なのか、判断がつかないまま物語を読み進めることになる。

本書で取り上げられているDNA捜査システムとは端的に云えば日本国民全てのDNA情報をデータとして取り込むことで犯罪者を特定するシステムだ。それは現場に残された容疑者の遺留物からDNA情報を採取し、進呈的特徴や癖、習慣などを割り出すのみならず、容疑者に近い親族の情報を割り出して人物を特定し、さらにその情報を基に容疑者の顔を画像として作成するほど高度なシステムだ。

但し膨大なDNA情報から容疑者を絞り込むには途轍もなく高速化された演算能力を持つコンピューターが必要である。本書ではサヴァン症候群患者である蓼科早樹という天才的数学者によって開発された画期的なプログラムでそれを可能としたのだ。

このDNA捜査システムを読んで想起したのは住基ネットである。これは単に住所、氏名、年齢といった本人を取り巻く外的情報でしかないが、これもまた警察と政府によって仕組まれた国民管理構想の一端のように思えてならない。従ってもしDNA情報まで保存・管理・検索できるスーパーコンピューターが開発されれば本書のような捜査システムが構築されるのは時間の問題なのかもしれない。

情報を操る者は情報に操られるというのが高度情報化社会での皮肉な現象だが、今回の主人公神楽もまた高度なDNA情報を利用したファイリングシステムを構築していながら、自分自身が容疑者として検出される実に皮肉な運命が待ち受けていた。
かつて高名な陶芸家だった父親が、陶芸ロボットによる贋作が出回った時代に、自らの作品には機械などが再現できない創作者の思いや魂が込められていると断言しながらも、贋作であることを見破れずに自ら命を絶ったことで父もまたデータの1つに過ぎず、つまりデータは間違えない、そしてデータ化されるDNA、遺伝子は嘘つかないと絶対視してきた男がそのデータによって裏切られ、窮地に陥る。

エンタテインメントの手法としては古くからハリウッド映画でも題材にされてきたテーマだろう。しかしこれを絵空事と思っていいものだろうか?
上に書いたように、既に我々の情報は公共機関によって管理されている。それが機械のミスで、いや故意に人為的に操作されて自分がある日突然犯罪者に仕立て上げられる可能性もあるのだ。このデータは嘘をつかない、機械はミスをしないと信じる盲信性こそが現代社会に生きる我々の最大の敵ではないだろうか。

題名となっているプラチナデータは物語終盤になって登場する。

完璧な正義など存在はせず、大なり小なりの悪が存在しながら社会は機能している。
東野氏は自身の公式ガイドブックの諸作の自己解説でところどころで上のようなことを述べている。従って東野作品は個人の力ではどうしようもないことに対して非常に自覚的である。
それが故に彼の作品は勧善懲悪的に悪が必ず罰せられる結末を迎える作品は少なく、どこか割り切れなさと現実の厳しさというほろ苦さを読後に残す。

果たしてこれは来るべき未来に対する東野氏からの警鐘なのだろうか。裁かれるべき者が、巨悪がさらに大手を振って世間に幅を利かせる世の中になっていく。
ここで書かれた未来はなんとも暗鬱だ。


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Tetchy
WHOKS60S
No.7:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

プラチナデータの感想

なかなか!

はあひい
S8NNOKSV
No.6:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

プラチナデータの感想

設定はやや異なりますが、映画「マイノリティーリポート」を彷彿させる展開でした。
プラチナデータの秘密をめぐる展開ですが、やや映画化を意識した展開で、小説で見るよりは映像化に適しているストーリーかと思います。(映画はまだ見てませんが)
ただ、やはり一定レベル以上の作品になっているところはさすがだと思いました。

フレディ
3M4Y9ZHL
No.5:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

プラチナデータの感想

読みやすかった

呑んだくれ
P3S7II56
No.4:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

プラチナデータの感想

傑作と駄作、それ以外の標準的作品。東野作品は数が多いだけにどれに当たるかが問題。こちらはあまり期待せず読んだのですが、思ったより面白かったですね。傑作とは言え無いですが、自分的には及第点。違いを楽しみに映画も見てみようと思います。

その後映画鑑賞。設定が変わったり端折ったりしてましたが、完全に小説の方が良かったです。

なおひろ
R1UV05YV
No.3:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

プラチナデータの感想

タイトルの意味を考えると、作中にもあった「人間誰しも平等ではない」ってな感じの事が作品テーマなのかなとも思えるのですが、
読んだ感じでは、最先端技術に頼り切りの現代社会へのアンチテーゼな気がしました。
タイトルとテーマが合っていないのではという違和感を感じずにおれません。
そして、どちらが主眼だったとしても、何れにしても主張として「弱い」気がしましたね。

題材は面白いと思います。
先見の明のある作者の事ですから、DNA登録なんてリアリティがありますし、まるでノンフィクションであるかのように読めます。
読み始めは、先が知りたくてページをめくる手が止まらないのです。
しかし読了後に読み応えは余り感じないという・・・
この作者の作品によくある傾向なのですが、外れじゃない、でも当たりじゃないっていう一冊。
導入部で読者をグッと引き付けるのですが、謎解きの部分が物足りない・・・って感じです。


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梁山泊
MTNH2G0O
No.2:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

近い未来の話し

読んでて全く違和感がなかった。
東野圭吾は未来が見えているのかと思うような作品でした。
映画を見ましたが、ハショリ過ぎてて小説読んでない人にはわかるのかなっ?って感じでした。
それでもまぁ面白かったです(笑)

マグル
ZH9M7YFR
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

プラチナデータの感想

気になったタイトルの意味が分かってスッキリした。

magnum
3BLY1DHH

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