浦川や正棠たちの企てを打ち破り、無事高岡藩主の座に就いた正紀。

正国、倒れる──。

四代将軍家綱の法要の折に、二人組の侍に襲われていた身なりのいい武家の男児を助けた北町奉行所与力の山野辺に頼まれて、高岡藩上屋敷で男児を預かることになった正紀。

先代藩主正森の頃から三十年にわたって仇を追っているという高岡藩の下士と出会った正紀。

亀之助の一件を機に、加賀百万石の前田家と縁を結んだ尾張一門。反定信派の勢いが増すなか、公儀は『造酒額厳守』の触を出す。

一俵でも禄高が減れば旗本に格下げになる、ぎりぎり一万石の大名、下総高岡藩井上家に婿入りすることになった竹腰正紀はまだ十七歳の若者だ。

野分により設立間もない人足寄場が壊滅的な被害を受けた。

正国のお国入りは無事済んだものの、今度は八月の参府の費用捻出に頭を抱える正紀たち。

洪水で崩れた深川洲崎の石垣普請の入札にまつわる普請奉行と岩槻屋の不正を暴いたものの、御手伝普請のための費用がいまだ足りぬ正紀たちは、窮地に追い込まれる。

正国の奏者番辞任で反定信の旗幟を鮮明にし、同じく反定信派の大奥御年寄滝川と急接近した尾張一門。

正紀の近習植村の嫁取り、待望の世継ぎ誕生と、慶事が続いた高岡藩井上家。

銚子の〆粕を巡る騒動の末、わずかばかりの利益を得た高岡藩。

藩と領民が力を合わせ「国替え」という最大の難事を乗り越えた高岡藩井上家。

凶作のため高岡藩の米収穫高も例年の七割しかなく、藩財政がさらに困窮することが予想された。

高岡河岸の発展、〆粕や下り塩の販売など藩主正紀の指揮のもと、藩士たちの不断の努力によって、徐々に回復してきた高岡藩井上家の財政状況。

造酒額厳守の触が出されているなか、天領の村から手に入れた二升の酒によって窮地に立たされてしまった高岡藩井上家。

廻船問屋戸川屋から借金百二十七両の返済を求める書状が届いた。戸川屋のひとり娘は、元国家老園田頼母の妻女だ。

海賊船は正紀らの活躍で退治したが、一味の幹部と悪徳商人は捕縛の手を逃れ、米俵四千俵とともに行方をくらましていた。

江戸の米価高騰を解消すべく、老中・松平定信が廻米の触を出した。だが、不作、凶作のなか余分な米など誰も持ってはいない。

反・松平定信ということで急接近した尾張徳川家一門と将軍付御年寄・滝川。

浄心寺改築で己の懐を肥やし、なおかつ正紀、正広を世子の座から追い落とそうと、正棠一派が悪巧みを進めていた。

浜松藩井上家本家が、菩提寺である浄心寺改築のため、分家である高岡藩井上家、下妻藩井上家にそれぞれ金二百両の供出を言い渡した。

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高岡藩では、河岸のさらなる発展のため納屋の普請を検討したが、先立つものがない。

順調に進む菩提寺改築の一方で、あちらこちらで一揆、 打ち壊しの話を聞くようになった。

正紀と京のあいだに子が生まれ、正紀の親友、山野辺には許嫁ができた。

藩主井上正国の奏者番就任を祝って、狩野派の掛軸が贈られてきた。ところが、目利きの和によれば、掛軸は真っ赤な偽物。

定信が発布した棄捐令(徳政令)に歓喜の声を上げる旗本、御家人だったが、その喜びも長くは続かなかった。

金貸の鉞ばばあお絹は孫娘お鈴と二人暮らし。お絹から金を借りた絵描きの与三次の身投げをお鈴が止めて……。

旗本家の次男、大曽根三樹之助は家を飛び出し大繁盛の「夢の湯」に居候している。

金貸の鉞ばばあお絹から金を借りた商家の主が首を括って死んだ。孫娘のお鈴は、残された妻子のため、真相を……。

血と汗を流して江戸への廻米を果たしたものの、米価高騰は続いている。

武士が民の頂に君臨せねばならぬという松平定信の施政に疑問を抱きつつも協力してきた尾張徳川家一門だが、尊号事件を契機に定信政権との訣別を決める。

茶人として名高い天新堂の隠居の万庵が左近のもとを訪れた。

上州の水呑百姓の家に生まれた藤吉は、下男奉公先で米作りや馬の世話、雑用など何でもこなす毎日を送っていた。

将軍御目見の旗本・香坂家へ婿入りし、新御番衆として、江戸城へ出仕する身分となった藤吉。

旗本の小出家で、上役の悪辣な妨害にも負けず職務と武芸に励む川端藤吉。

大身旗本への奉公替えで更なる出世を果たした川端藤吉。俸禄も上がり、前途洋々かと思われた。

家禄三百五十石の旗本家の次男だった角次郎は米屋の大黒屋に婿入りした。

百姓から憧れの武士へと出世した藤吉に、中小姓として俸禄と姓が与えられた。ある日、奉公先である永穂家の家宝が盗まれる。

旗本家次男の五月女角次郎は、縁あって舂米屋の大黒屋に入り婿した。

御留守居役を勤める五千石の旗本・坂東の側室綾乃は、坂東に酷い仕打ちを受けていたが、雪の降るある夜、意を決して家を飛び出した。

武家社会の中で江戸の裏長屋暮らしだった少年・弐吉は、直参の侍の狼藉がもとで両親を亡くし、札差・笠倉屋で小僧奉公をすることに。

旗本家の次男・角次郎は、縁あって舂米屋に入り婿した。

父の跡を継ぎ、南町奉行所定町廻り同心となった朝比奈凜之助。

同日に起こった三つの難事件。若い男女の駆け落ち、問屋の強盗事件、付け火と焼死体。

ニヒルな同心木暮信次郎。元刺客の商人遠野屋清之介。

浅草で指折りの豪商・分銅屋が、今をときめくお側御用取次・田沼意次と繋がりがあることを知られれば、ますます賊徒に目を付けられる。

本所来栖道場の師範代・豊之助は懸命にオンボロ道場の立て直しをはかるが、弟子は遅々として集まらない。

幾人もの侍に追われていたところを豊之助が救った常太郎と名のる若侍は、いかにもいわくありげな様子。

無宿者と寂れた旅籠。

元の主を殺した咎で斬首を待つばかりの男は無実ではないのか?北町奉行所見習い同心・鈴原淳之助は疑問を抱き、密かに探索をつづけてきた。

南町奉行所定廻り同心だった菊薗平次郎は隠居し、蕎麦売りを始めた。出汁に拘り、界隈では知られる評判の屋台店となる。

幕政改革に邁進しようとする八代将軍・徳川吉宗の先兵として奔走する惣目付の水城聡四郎。

十一代、家斉の治世。 将軍のみが入ることが許される 「御用の間」の書棚に、 家斉は奇妙な書を発見する。