武州壬生を訪れた十兵衛は、旧知の町奉行が理不尽な「敵討ち」により落命したと知る。

働くばかりが能でなし、たまには羽も伸ばしたい。

祝儀の席の席順をめぐる百姓同士の諍いがついに決闘にまで発展して大騒動になったところへやってきたのは…。

関東取締役出役―関八州の悪党者を取り締まる通称“八州廻り”の桑山十兵衛は男やもめ。

お役目とはいえ、今日も“八州廻り”の桑山十兵衛は関八州を駆け巡る。尽きることのない悪党、難事件…。

関東一帯で次々と発生する事件を、時に叡知で、時には豪剣の冴えで解決し、悪党どもには「強面」の印象が強い我らが桑山十兵衛も、小石川同心町の自宅に戻れば一介の御家人。

水戸・徳川家と会津・松平家の間になにやら秘密があるらしい。桑山十兵衛にその秘密を探れとの密命が下った。

関東取締出役、通称八州廻りの桑山十兵衛は悪党どもを追いかける毎日だ。

悪は必ずしも悪ならず。松戸と下総の二つの一家惨殺事件。

訴訟の相談を受ける公事宿・恵比寿屋の主人・喜兵衛のもとに越後から若者が訪ねてくる。

“いま宗桂先生”と評判の天才少年棋士の父親は、甲州浪人の武田新之丞。

九つの子が川縁で見つけた生首を描いた絵があまりにも見事なので多色刷りの瓦版にすると、「気味が悪い」と江戸中で大騒ぎに。

備中池田家を出奔した日笠源之進は、江戸への道中、道場破りで小遣いを得ることに味をしめる。

薬師様の門前で、町娘の尻をさわったとして番屋に連れ込まれた田舎侍。

相模屋の店先で雪駄(せった)が一足盗まれた。上野山下の助五郎親分は、懸命に追い、下手人・仙八を挙げた。

江戸の町で女が次々と殺された。

胸を匕首で刺された骸が発見された。

小間物問屋「遠野屋」の若おかみ・おりんの溺死体が見つかった。

立花平七郎は懇意の酒屋での聞き酒会の最中、巾着切りの少年を捕らえた。

大店の娘にしびれ薬を飲ませ、貞操を奪った「いが茄子男」を見つけ出せ――御奉行からの密命を受けた岡っ引半次は、岡山松平様お付きの足軽が犯人らしいとの情報から参勤交代に加わって、東海道を抜け備前岡山まで殿の荷を担ぐことに。

『半七捕物帳』は、著者綺堂が江戸末期の切絵図をはじめ、古今東西にわたる広汎な史料を渉猟する中から生まれた。

著者綺堂が、長く病に臥せっていたとき『江戸名所図絵』を通読、これが『半七捕物帳』を書くきっかけになったという。

周囲から「善人長屋」と呼ばれる千七長屋。差配も店子も表向きは堅気のお人好し揃いだが、実は裏稼業を営む悪党だらけ。

歌舞伎を好んだ著者綺堂は、江戸の風土と季節感を巧みに描きながら、随所に江戸っ子のしゃれた会話をもりこんでいる。