雨の匂い
- 放火 (195)
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しとしとと降り続く梅雨の雨に、身勝手で利己的な大人たち。癌で入院中の父親と家で寝たきりの祖父の面倒を見る青年の胸の内で、静かに育まれてきた殺意……。そんなお話です。この小説、大人の自分勝手な醜さがとにかく目につきます。それをおどろおどろしく描くのではなく、むしろ少しユーモアすら感じられる会話や場面に仕立ててしまうのが、樋口さんの文体の魅力だと思います。 チャキチャキの江戸っ子で女好きのじいちゃんなんかはまさにいい味出してる名脇役。「理想だ生き甲斐だなんぞとへ理屈を言わねえで、手抜きをやらず、目の前の仕事をきっちり仕上げる。それが人間が生きていくうえでの、基本ってやつだあ」なんて言葉には身につまされるものがあります。 樋口さんの小説の主人公はたいがい(?)定職についておらず、自由人っぷりにちょっと憧れます。俺もこんだけ料理うまくなりたいもんだ。 | ||||
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しなやかなタフさと優しさを持ち合わせた「永遠の38歳」柚木草介シリーズのファンだし、あり得ないほど成熟した10代の青年を主人公とする『風少女』や『八月の舟』などノン・シリーズも好きだ。小気味よい洗練された会話だけで展開を進めていく樋口有介の巧みさは、黒川博行と双璧だと個人的に考えている。 マンネリという批判もあるかもしれないが、『雨の匂い』はそんな感想を持つ方にこそ読んでほしい。お馴染みのワイズ・クラックは、本作でも軽快なリズムを刻んでいるのだが、同時に底の見えない不気味さを醸し出し、主人公に対する共感を阻む。柚木シリーズの魅力は、洒落たやりとりと、明らかになるやりきれない真実との落差の絶妙なバランスにこそあるが、ハードボイルドな台詞は、心理をほのめかしながら隠蔽することで、いくらでも闇を暗示することができる。木野塚佐平シリーズでハードボイルドのパロディをやってのけ、傑作『枯葉色グッドバイ』では柚木が辿ったかもしれない運命を主人公に背負わせた作者は、そのことを熟知している。言葉は軽いだけに、影の黒さが胸に迫る。 こんな作品も書いておられたのか、と樋口氏をもっと好きになった。 | ||||
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最初の場面はそもそも必要だったのか?それだけが何度読み返しても全く理解できなかった。 あの女性は誰だったのか??それが解らず、最後に解るのかと思いきや突然終わってしまい、正直戸惑った。 それ以外はとても淡々と物事が進み、表の顔と、どんどん狂っていく裏の顔が平然と使い分けできる主人公にうすら寒いものを感じ、読みごたえを感じた。 そして相変わらずの会話のセンスの良さ。 独自の世界があり、とっても好きだ。 | ||||
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樋口 有介氏の中ではトップ3の内の3番目という感じです ただ、近作を未読なので全作の中で……というのではありません 家事等の描写が冗長と感じられた方もいらっしゃるようで 判るような気もしますが…… 実は本筋より、その部分の方が楽しめました 普通、どんな実験作でも、どこかテイストに共通部分があるんですが 樋口 有介氏は徹底的に理解不能の作を書かれる場合もあって 不思議で面白い作家さんだなあと思います | ||||
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新宿、大久保かいわいを舞台にした物語。 祖父の老人介護と末期がんの父、 そんな2人と生活を共にしている主人公は、 それなりに淡々と日々を過ごしていた。 ちょっと変わった人たちの中で、 まともな男の子、 と言われていた。 ある日ゴミ屋敷ではボヤ騒ぎが起き、 チョット恋をした女の子は自殺騒ぎ、 男作って出て行った母は殺される。 淡々とした日常の歯車がくるっている。 しかし、彼は、 いつもの彼であった。 ラストがなんとも悲しく、 救いがないような気がして寂しい。 どんでん返しがあるけれど、 ちょっと尻切れトンボのような気がする。 その分が物足りなかったかな。 ただ、この作者を好きなのは、 主人公の男のクールさ。 冷たいとか、 そういうんじゃない。 なんだか落ち着いている、というのは、 なんか憧れるんだよね。 | ||||
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