雨の匂い

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種別
長編
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あらすじ

2007年10月01日 雨の匂い (中公文庫)

癌で入院中の父親と寝たきりの祖父、二人の介護とアルバイトで日々をすごす大学生の柊一。塗装工だった祖父の代理で、ある家の塀塗りを引き受けるが、同じ頃、謎めいた少女・李沙と出会って関係を深めていく。やがて町内で放火事件が発生し…。降りしきる雨の中で育まれていくのは愛か、殺意か。著者真骨頂の切ないミステリー。(「BOOK」データベースより)

評判

雨の匂いの評価:

0.00/10点 レビュー 0件。 C ランク

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雨の匂いの総合評価:

7.57/10点 レビュー 14件。

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No.14
(5pt)

「静かなる狂気」系というジャンルができそうな

しとしとと降り続く梅雨の雨に、身勝手で利己的な大人たち。癌で入院中の父親と家で寝たきりの祖父の面倒を見る青年の胸の内で、静かに育まれてきた殺意……。そんなお話です。この小説、大人の自分勝手な醜さがとにかく目につきます。それをおどろおどろしく描くのではなく、むしろ少しユーモアすら感じられる会話や場面に仕立ててしまうのが、樋口さんの文体の魅力だと思います。

チャキチャキの江戸っ子で女好きのじいちゃんなんかはまさにいい味出してる名脇役。「理想だ生き甲斐だなんぞとへ理屈を言わねえで、手抜きをやらず、目の前の仕事をきっちり仕上げる。それが人間が生きていくうえでの、基本ってやつだあ」なんて言葉には身につまされるものがあります。

樋口さんの小説の主人公はたいがい(?)定職についておらず、自由人っぷりにちょっと憧れます。俺もこんだけ料理うまくなりたいもんだ。
雨の匂い (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 雨の匂い (中公文庫)より
4122049245
No.13
(5pt)

「静かなる狂気」系というジャンルができそうな

しとしとと降り続く梅雨の雨に、身勝手で利己的な大人たち。癌で入院中の父親と家で寝たきりの祖父の面倒を見る青年の胸の内で、静かに育まれてきた殺意……。そんなお話です。この小説、大人の自分勝手な醜さがとにかく目につきます。それをおどろおどろしく描くのではなく、むしろ少しユーモアすら感じられる会話や場面に仕立ててしまうのが、樋口さんの文体の魅力だと思います。

チャキチャキの江戸っ子で女好きのじいちゃんなんかはまさにいい味出してる名脇役。「理想だ生き甲斐だなんぞとへ理屈を言わねえで、手抜きをやらず、目の前の仕事をきっちり仕上げる。それが人間が生きていくうえでの、基本ってやつだあ」なんて言葉には身につまされるものがあります。

樋口さんの小説の主人公はたいがい(?)定職についておらず、自由人っぷりにちょっと憧れます。俺もこんだけ料理うまくなりたいもんだ。
雨の匂い Amazon書評・レビュー: 雨の匂いより
4120034208
No.12
(4pt)

ワイズ・クラックが生み出した戦慄

しなやかなタフさと優しさを持ち合わせた「永遠の38歳」柚木草介シリーズのファンだし、あり得ないほど成熟した10代の青年を主人公とする『風少女』や『八月の舟』などノン・シリーズも好きだ。小気味よい洗練された会話だけで展開を進めていく樋口有介の巧みさは、黒川博行と双璧だと個人的に考えている。

マンネリという批判もあるかもしれないが、『雨の匂い』はそんな感想を持つ方にこそ読んでほしい。お馴染みのワイズ・クラックは、本作でも軽快なリズムを刻んでいるのだが、同時に底の見えない不気味さを醸し出し、主人公に対する共感を阻む。柚木シリーズの魅力は、洒落たやりとりと、明らかになるやりきれない真実との落差の絶妙なバランスにこそあるが、ハードボイルドな台詞は、心理をほのめかしながら隠蔽することで、いくらでも闇を暗示することができる。木野塚佐平シリーズでハードボイルドのパロディをやってのけ、傑作『枯葉色グッドバイ』では柚木が辿ったかもしれない運命を主人公に背負わせた作者は、そのことを熟知している。言葉は軽いだけに、影の黒さが胸に迫る。

こんな作品も書いておられたのか、と樋口氏をもっと好きになった。
雨の匂い (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 雨の匂い (中公文庫)より
4122049245
No.11
(4pt)

ワイズ・クラックが生み出した戦慄

しなやかなタフさと優しさを持ち合わせた「永遠の38歳」柚木草介シリーズのファンだし、あり得ないほど成熟した10代の青年を主人公とする『風少女』や『八月の舟』などノン・シリーズも好きだ。小気味よい洗練された会話だけで展開を進めていく樋口有介の巧みさは、黒川博行と双璧だと個人的に考えている。

マンネリという批判もあるかもしれないが、『雨の匂い』はそんな感想を持つ方にこそ読んでほしい。お馴染みのワイズ・クラックは、本作でも軽快なリズムを刻んでいるのだが、同時に底の見えない不気味さを醸し出し、主人公に対する共感を阻む。柚木シリーズの魅力は、洒落たやりとりと、明らかになるやりきれない真実との落差の絶妙なバランスにこそあるが、ハードボイルドな台詞は、心理をほのめかしながら隠蔽することで、いくらでも闇を暗示することができる。木野塚佐平シリーズでハードボイルドのパロディをやってのけ、傑作『枯葉色グッドバイ』では柚木が辿ったかもしれない運命を主人公に背負わせた作者は、そのことを熟知している。言葉は軽いだけに、影の黒さが胸に迫る。

こんな作品も書いておられたのか、と樋口氏をもっと好きになった。
雨の匂い Amazon書評・レビュー: 雨の匂いより
4120034208
No.10
(4pt)

冒頭以外はとてもよいと思う

最初の場面はそもそも必要だったのか?それだけが何度読み返しても全く理解できなかった。あの女性は誰だったのか??それが解らず、最後に解るのかと思いきや突然終わってしまい、正直戸惑った。
それ以外はとても淡々と物事が進み、表の顔と、どんどん狂っていく裏の顔が平然と使い分けできる主人公にうすら寒いものを感じ、読みごたえを感じた。そして相変わらずの会話のセンスの良さ。独自の世界があり、とっても好きだ。
雨の匂い (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 雨の匂い (中公文庫)より
4122049245

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