一線の湖
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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メフィスト賞受賞の『線は、僕を描く』の続編。前作は必読。本作は完全に非ミステリの青春小説です。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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中学入試に出題される可能性があると思い、購入しました。 前作を読んでいないので分からないかもと思いつつ手にしたところ、ストーリーのおもしろさと躍動感に引き込まれて一気読みでした。子供たちとの関わりからの気づきがよかったです。 「小説の向こうに絵が見える!」の触れ込みは伊達ではなかったです。 | ||||
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娘が絶賛するので、勧められるままに読んでみましたが、読むうちにあちこちにはっと気づかされるフレーズを見つけ、気がつくと付箋を貼りながら読んでいました。前作「線は僕を描く」を読んでも感じたのですが、芸術や生き方について様々な深い洞察を発見できる作品だと思います。特に芸術と言うものについて、その本質を巧みに表現している物語です。芸術は技術が全てではなく、それを表現しようとする創作者の心で感じたもの、それを全力で相手の心に伝えようとするもの、それが芸術であると感じることができました。そう言ってしまえば、当たりの話なのですが、この物語の中でそれを見つけていくと心にじわっとしみてきます。 そして、人生がある意味、自分の生き方を表現する芸術であると考えたときに、この物語の中のメッセージは、人の理想の生き方を伝えているような気がします。本当の自分と言うものの大切さ、自分の心が本当に動くものを自分でしっかりと持つ大切さを感じました。それらがあって初めて自分の人生を動かしていくことができると。 この物語の中の主人公の不安や焦りは私たちが生活する中で感じるものだと思います。でもそんな不安や焦りを感じながらでも自分の心を本当に動かす自分を超えたもっと大きな存在を探しながら前に進んでいくことでいつか答えにたどり着ける。そんな希望や祈りのようなものを感じることができたよい物語でした。 | ||||
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メフィスト賞を受賞した前作が気に入ったので、続編も読んでみた。やはり水墨画の話である。 前作ではそこそこ活躍した大学生の霜介(そうすけ)。大学3年生になり、揮毫会に参加することになる。 しかし、本番で緊張して大失敗してしまい、湖山会(霜介が属している会派)のイメージを傷つけてしまう。だが、湖山先生が絶妙の指墨画を描き、その失敗を救ってくれた。 その後、湖山先生の弟子である西濱さんに頼まれて、霜介の母が勤めていた轟(とどろき)清水小学校に行った。小学校1年生に水墨画を体験してもらうのだ。人数が多かったので、ちゃんと指導できたのは1人だけだった。 それでも、霜介は小学校での2回目の指導を引き受けた。シイタケを題材にして指墨画を教えたが、うまくいったかどうかは分からない。母の同僚だった椎葉先生と母についての思い出話をすることができ、一緒に墓参りもした。 そして、小学校での3回目になる授業。その前に、プロの水墨画家である千瑛(ちあき)が霜介の筆を借りて水墨画を描き、そのときに筆は壊れてしまった。湖山先生はそのことを知り、新しい筆をくれたが、それはまともに使われたとは思えないボロい筆だった。穂先がねじ曲がって四方八方によれて跳ね返っている。毛も痩せている。この筆を使って授業をした。 その後、この学校の子どもたちの前で揮毫会をすることになった。二度目の揮毫会の結果はどうなるだろうか。 さらに先に進むと、水墨画をやめるのか、続けるのかという重大な決断をする局面にもなる。水墨画だけではないが、創作で心を表現する、オリジナリティーを出すというのはなんと難しいことかと思う。自然と対峙し、自分の感じたものを表現する必要があるのだ。技に走るのはむしろ容易いことである。 前作では出なかった感動の涙がこぼれた。この作品にはそれだけの力がある。 | ||||
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心待ちにしていた続編でした。 どんな線を描いて生きてきたんやろと過去を振り返り、もう長くはないけれど、まだ描けるかもしれない。主人公に、師匠に登場人物誰に心を寄せても気持ちの良い読了感とともに柔らかに心を解してくれます。 | ||||
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砥上さんの小説は、巧みです。この本を読んで心躍るように頁をめくるのは、”小学校における水墨画 授業と揮毫会” と ”先生の引退式としての揮毫会” でしょう。そこで描かれている水墨画家が繰り出す 技の数々は、スピード感や躍動感と相まって、水墨画が目の前で描かれていくような錯覚を生みます。 私たちが反応的に感動するのは、この「動」です。ですが、この小説の醍醐味は、むしろ主人公の内省 の描写にあります。ひとつ例を出すと、小学生に水墨画を教えることで、「心を遊ばせて、楽しむこ と」の大切さに気付くことが挙げられます。 この小説で作者が本当に伝えたいことをたった一つに絞るなら、次の言葉がすべてです。 完璧なものに用はない 「 ”拙” が ”巧” に劣るわけではない」とも表現しています。生き生きとした場面の描写と、自分の 内面と向き合う探究が交互に現れ、そして線は引かれていきます。 砥上さんの小説の巧みさを讃えましたが、拙なるものの表現が超越している小説でした。 | ||||
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