可燃物
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あらすじ
余計なことは喋らない。上司から疎まれる。部下にもよい上司とは思われていない。しかし、捜査能力は卓越している。葛警部だけに見えている世界がある。群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズ始動。群馬県警利根警察署に入った遭難の一報。現場となったスキー場に捜査員が赴くと、そこには頸動脈を刺され失血死した男性の遺体があった。犯人は一緒に遭難していた男とほぼ特定できるが、凶器が見つからない。その場所は崖の下で、しかも二人の回りの雪は踏み荒らされていず、凶器を処分することは不可能だった。犯人は何を使って〝刺殺〟したのか?(「崖の下」)榛名山麓の〈きすげ回廊〉で右上腕が発見されたことを皮切りに明らかになったばらばら遺体遺棄事件。単に遺体を隠すためなら、遊歩道から見える位置に右上腕を捨てるはずはない。なぜ、犯人は死体を切り刻んだのか? (「命の恩」)太田市の住宅街で連続放火事件が発生した。県警葛班が捜査に当てられるが、容疑者を絞り込めないうちに、犯行がぴたりと止まってしまう。犯行の動機は何か? なぜ放火は止まったのか? 犯人の姿が像を結ばず捜査は行き詰まるかに見えたが……(「可燃物」)連続放火事件の“見えざる共通項”を探り出す表題作を始め、葛警部の鮮やかな推理が光る5編。(「BOOK」データベースより)
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評判
可燃物の評価:
6.75/10点 レビュー 4件。 B ランク
可燃物の総合評価:
7.62/10点 レビュー 82件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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事件や謎よりも、人の思考や感情の細やかな動きを描く筆致が本当に見事。ちょっとした仕草や言葉の裏にある“意図”をここまで丁寧に描ける作家は、やはり米沢穂信しかいないと思います。特に表題作「可燃物」では、善意や正しさが時に人を追い詰めてしまう構造が、静かな炎のように胸を焦がしました。
どの話にも「人間らしさ」が詰まっていて、読後は悲しさよりも温かさが残ります。米沢作品に通底する“他者への観察と理解のまなざし”が、これまで以上に深まっている印象でした。
文章は洗練されていながらも決して難解ではなく、日常の中に潜むドラマを静かに掘り下げていく心地よさがあります。ミステリ好きにも、文学好きにもおすすめできる一冊です。
読むたびに心のどこかが熱くなる。
まさにタイトル通り、人間の感情を燃やす“可燃物”のような短編集でした。星5です。