インヴィンシブル(砂漠の惑星)
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あらすじ
《レギスIIIへの着陸完了。サブ=デルタ92型砂漠惑星。われわれは第二手順に則ってエヴァナ大陸の赤道地帯へ上陸する》この通信から40時間後、まったく意味をなさない奇妙な音声を伝えてきたのを最後に消息を絶ったコンドル号を捜索するため、二等巡洋艦インヴィンシブル号は琴座の惑星レギスIIIに降り立った。そこは見わたす限りの広大な大地に生命の気配のない、赤茶けた灰色の空間であった。やがて、偵察のために投入された撮影衛星が人工的な構造物をとらえ、探索隊が写真が示す地点へと向かう。たどり着いたのは、奇怪な形状を有し廃墟と化した《都市》であった。《都市》の内部へと足を踏み入れ、調査を進める探索隊であったが、そこにコンドル号発見の知らせがもたらされる。急ぎ現地に向かった一行が目にしたのは、あたり一面に物と人骨が散乱し、砂漠にめり込んでそそり立つ、変わりはてたコンドル号の姿であった。謎に満ちたこの惑星でいったい何が起こったのか⁉――『エデン』『ソラリス』からつらなるファースト・コンタクト三部作の傑作のポーランド語原典からの新訳。(「BOOK」データベースより)
外部リンク
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評判
インヴィンシブル(砂漠の惑星)の評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 A ランク
インヴィンシブル(砂漠の惑星)の総合評価:
9.50/10点 レビュー 24件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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現在ではほとんどあり得ないことと思うけど、もしヴァン・ヴォクトの「宇宙船ビーグル号の航海」を読んだ直後に本書を読んだら、ほとんど違和感なしに自然にストレートSFを精緻化したものと受け取るだろう。巨大な宇宙船による恒星間航行、専門職に分かれた大勢の乗組員、異質な惑星、異様な脅威に立ち向かう地球文明。なんとも血湧き肉躍る(古典的)設定ではないか。
今ではこれは素朴すぎる読み方として「レム専門」評論家諸氏から大ブーイングを受けることだろうが、むしろそういう受け取り方を「取り戻す」ことこそが本作にとって重要だと思う。
テクノロジーの描写はさすがに現在から見ると時代遅れになってしまってる部分も多々あるが(コンピュータの記憶媒体が磁気テープだとか、巨大宇宙船の惑星への直接着陸とか)、防御バリヤとか多種類の使役ロボットとか死亡直後の死体の脳から視知覚記憶を取り出す技術とか万能ロボット戦車「キュクロプス」とか、ワクワクさせるSF的な技術の描写には事欠かない。中んずく「キュクロプス」と「虫」との死闘の描写は本書のクライマックスであり物凄い迫力だ。多分レム自身もこの部分は相当楽しみながら書いたのではないか。その無生物同士の苛烈な戦いに人間は傍観者でしかあり得ないというサタイアを読み込むのは後知恵に過ぎない、と思ってしまおう。
また本書では映像伝達技術の描写に異様に注力している。現在で言うドローンを駆使した映像中継など、映像の迫真性の説得力をいやましている。これはひょっとすると映画化を狙った作品だったのではないか。もしくは「映画にできるもんならしてみろ!」という挑戦的な意図を持ってのことかもしれないが。
全くの私見、それも年季の入った(時代遅れの)元SFファンの憶測だが、レムのいわゆる「ファーストコンタクト三部作」は1956年のアメリカのSF映画「禁断の惑星」のインパクトから発想を得たのではないか。レム自身の発言録には全くないし、レムが「禁断の惑星」を観たという積極的な証拠もないが、時代的に整合性はある。本作との関係で見れば、異星での事件もしくは事故に巻き込まれたらしい僚艦の捜索と調査に赴くという大まかな設定などそのままではないか。また「敵」となる脅威は、「禁断の惑星」では本来は形を持たない「イドの怪物」であり、本書ではレギス第3惑星の文明の残滓らしい進化と闘争の果ての産物(という仮説)のマクロな姿形を持たない微小な集合知性の「虫」だ。
とにかく本書は口うるさい評論家先生連がなんと言おうとも肩の凝らない娯楽ストレートSFとして読んでしまって全然構わない。またそう読まれ読み継がれした方が本書にとって幸福だ。
欲を言えば(国書刊行会では望むだけ無駄だけど)今時のかっこいいイラストを何枚か挿入しても良かったと思う。それこそしかつめらしくなる前の(青背ではない)ハヤカワSF文庫みたいな。