アポロ18号の殺人
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アポロ18号の殺人の総合評価:
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twitterのレビューで「アンディ・ウィアーが好きな人におすすめ」と書いてあったので読んだがそんなことはなかった。ミステリのようでもありサスペンスのようでもあるが、その二つが合わさったわけでもない。視点も内容もふらふらしていて着地点の見えない小説だった。 元宇宙飛行士の作者は宇宙開発への思い入れが過剰であり、専門的なシーンになると知っていることを詰め込みがちになってバランスが悪くなっている。どれだけ科学的なシーンを読み飛ばそうと面白さが揺るがない「プロジェクト・ヘイル・メアリー」を見習ってもらいたい。また、アポロ18号という現実では行われなかったミッションを利用する着眼点は素晴らしいと思うものの、ただ月へ行っただけに終わっていて、それ以上のものが伝わってこない。米ソの宇宙開発が続いていた世界を描き出したドラマ「フォー・オール・マンカインド」のほうがよほど面白かった。 全体的には辛口の感想となるが、作者はこれがデビュー作なので、もっと編集者がばんばん口を出していたらと思うとなんとも惜しい。 | ||||
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冷戦下の1973年の世界を舞台に、米ソの宇宙での覇権争いをテーマとした、国際謀略ものっぽい歴史改変的SF小説。 現実には17号までで終了しているアポロ計画の18号のミッションと、それが引き起こす危機が描かれる。 著者が元宇宙飛行士というだけのことはあり、宇宙計画関連の細部の描写は100点。 対してストーリーの方は、エンタメとして見た場合30点。 以下その主な理由。 現代や近未来でも十分成立するストーリーなので、わざわざ時代を1973年に設定する必然性がない。 一部をのぞいて、劇中の世界の歴史が現実の歴史から全く変わらないので、歴史改変ものの醍醐味がない。 一応、序盤に主人公らしき人物は登場するのだけど、中盤以降はその他大勢のひとりになってしまう。当然たいした活躍もしない。 アメリカ側の男性キャラが全員「気のいいナイスガイ」という設定で、描き分けができていない。 タイトルにある殺人は確かに(地上で)行われるのだが、それがアポロ18号のミッションの成否には全く関わってこない。 事件の犯人が中盤であっさり確定してしまうので犯人捜しの要素がなく、その後の犯人追跡のサスペンスもない。 断片的に語られる犯人の犯行の動機が、殺人という大罪を犯すには説得力がなくあまりに子供っぽいので、さすがに本当の目的が他にあるのだろうと思っていたら、そのまま話が終わってしまった。 リアリティに徹するのはもちろん結構。しかし、それにこだわり過ぎているため、宇宙空間で起こる出来事がいちいち地味。 衛星軌道上でのアクシデントはスリリングで、これからどうなってしまうのかと期待したが、そこがピークだった。 今回のアポロ18号のミッションは、冷戦を背景にした軍事的側面が大きいのだが、ソ連の財産を破壊したり、ソ連が先に見つけたものを横取りしようとしたりと、はっきり言ってアメリカの方が悪い。 つまり、どちらかというとアメリカ側の謀略の話なのに、こちらが正義であるかのように描かれている。 文章力にも難がある。 著者には登場人物の視点の固定という意識が全くないらしく、数行ごとに視点がコロコロ変わるので非常に読みづらい。 宇宙にいる宇宙船クルー数人と地球の管制センターの数人が、同じ空間にいるかのように書かれている所などは特に閉口した。 さらに、これのせいで一人一人の心情描写がこま切れになるので、特定の人物への感情移入がしづらくなってしまっている。 アポロ計画全体の緻密な描写、特に感動的に描かれるロケット打ち上げの場面からは、著者の並々ならぬ宇宙事業への思い入れが感じられる。 おそらく本作執筆の出発点はそこで、国際謀略もの的な要素は後付けなのだろう。 トム・クランシーの愛読者であることをうかがわせるストーリーではあるけれど、作品の完成度としては、彼の足元にかろうじて引っ掛かっている程度。 満足度は低めだった。 | ||||
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元宇宙飛行士による"IF小説(オルタネート・ヒストリー)"、「アポロ18号の殺人 上・下 "The Apollo Murders"」(クリス・ハドフィールド 早川書房)を読み終えました。 アポロ17号による月飛行を終えた米国が、1973年4月に<アポロ18号を月へ向かって打ち上げていたら>というもう一つの改変された歴史を紐解くサイエンス・フィクション。タイトルに「殺人」とあるようにそこにはいくつかの殺人事件が引き起こされ、解き明かされ、スリラーとしても納得の行く出来栄えに仕上がっています。主人公は、海軍少佐であり隻眼の元テストパイロット、カズ。そして、アポロ18号に乗り込む3人の宇宙飛行士+α(笑)。 物語はその打ち上げ準備から、打ち上げ、いくつかの謀略に基づく殺人があって、月に降り立つまで、そして地球への帰還へとたどり着くタイムラインに沿って、緻密に、元宇宙飛行士による膨大な知識と知見に裏付けられたインテリジェンスによって描き尽くされているように思えます。(まあ、私の能力と知識ではそれらを逐一検証できるわけではありません(笑))また、私は、サイエンス・フィクションの善き読者ではなく、スリラーの読み手ですので、そのSF的な本書の位置づけについては巻末の中村融さんの解説に詳述されています。 特に、上巻のいくつかの(ストーリー・テリングに於ける)「反転」に驚かされながら、米国対ソ連のしのぎを削る宇宙戦争に上質のサスペンスを感じ取りつつ、結果、優れた国際謀略小説の典型を読むことになったと言っていいでしょう。その上質なエンターテインメントを生み出している要因として、膨大な知識の中から何を残し、何を捨て去るのか、その知識の「捨て去りぶり」にも作家としての潔さを感じ取ることができました。この夏、読むべき一冊だと思います。 | ||||
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