デスパーク
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医療の発達による長命化などにより、人口過剰問題が深刻になった未来。子供を減らさず人口を削減するため、政府はすべての子供が17歳になった時、強制的に人生を選択させることにした。選択肢は5つ。 1.ワーカー(労働者) 普通に仕事に就き、働いて寿命を全うする。生存期間の制限がないかわり、ひたすら働いて "時間" を稼ぐ人生となる。 2.アンディ(心をアンドロイドに移し、人間の体は放棄) 人間のように飲み食いする必要がなく、「少量のパワーとたまの維持費」で定められた80年を生きる。病気になることがないので、80年の生存は保証される。 3.ヘドニスト(快楽主義者) 労働の義務から解放され、与えられた多額の手当で42歳(17歳+25年)まで遊んで暮らす。普通に生きればあったはずの「時間」で潤沢なサービスを贖って短く生きる。 4.コミューン:分裂者(一つの体を5人の心で共有) 1日24時間から睡眠の4時間を除き、当局に選定された5人の人格が4時間づつ占有することで1人の体をシェアする。17歳の現在から一人づつの寿命25年ごとに体をリサイクルすることで142歳まで生きる。その間の食・住は保証される。 5.以上のどの選択肢も選ばず、17歳で人生を終える。 この世界のクレジット(裕福の基準)は "時間" なのだが、直接にやりとりすることは禁じられ、例外的にデスパークと言われる施設でゲームを行い、その報酬として時間を得ることは認められている。勝者は敗者の "時間" を奪い、敗者はその時点で死ぬことになる。 主人公はある理由でデスパークを訪れた分裂者。分裂者なのでマイク・アレックス・ベンの3人の男性人格とケイト・シエラの2人の女性人格がマイクの体を共有している。ある日、ケイト(の人格)は見知らぬアンディの女性から奇妙な申し出を受ける。彼女はある理由から必ずケイトが勝つよう手配するのでゲームを受けてほしいと言うのだ。報酬は破格の20年。 ためらいながらも申し出を受け、首尾よく20年のクレジットを得たケイトだが、その日からコミューンには異常な事態が立て続けに起こり・・・・。 ここまで書いただけでもかなり複雑な、大量の設定がされていることがわかる。これは設定をきちんとかみ砕き、ストーリーに入り込むまでかなりかかると覚悟して読み始めたのだが、物語の進行に沿ってムリなく理解が進むよう丁寧に作られていて、意外にすんなりと物語に没入できた。 主人公はスポーツマン(と言うよりエクササイズマニア)のマイク、ナイーブなアレックス、ゲームおたくなベン、理知的なケイトに享楽的で破滅的なシエラとわかりやすいキャラクター付けをされ、事件の謎を追うにも4時間毎に "落ちて" しまう縛りがあるのでバトンを渡すごとに語り口が変わる面白さがある。劇中で挿入されるゲームもいかにもなアーケード風から脱出ゲーム、「囚人のジレンマ」を生かしたものなどバラエティが豊富で飽きない。 「信頼できない語り手」を生かしたラストのどんでん返しも見事で、ミステリとしても読みごたえがあります。 | ||||
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