不死人の検屍人 ロザリア・バーネットの検屍録 骸骨城連続殺人事件
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不死人の検屍人 ロザリア・バーネットの検屍録 骸骨城連続殺人事件の総合評価:
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動く死体が実在する世界で、吸血鬼の血を引く家系とされる貴族の嫁取りの中でおきる殺人事件のなぞを追う話です。 死体ハンターのクライヴと、検屍の娘ロザリアが探偵役を担うもので、展開や謎などがしっかりとしたミステリーをしていて楽しめます。 作中の雰囲気としては、ホラーとミステリー要素の混じった映画「スリーピーホロウ」が連想しました。 小説だと怪物のいる世界での殺人事件をあつかった「ドラッケンフェルズ」とかに似た雰囲気もあるかもです。 内容は語りすぎると、ミステリーでネタバレしてしまうということになり、面白さを殺すのでできないです。 カラーの挿し絵も綺麗で、ミステリー要素のあるラノベとして満足感のある一冊です。 探偵役二人のキャラ性もよく、もし続きが出るなら読みたいと思います。 注目をあまりされてなかった作品でしょうから売上的に続きは厳しいかもしれませんが、星海社ですし、続編がでることに期待したいです。 | ||||
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飽きることなく読み進められた。 | ||||
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ガガガ文庫で刊行された「魔法医師の診療記録」シリーズが完結して丸一年。新シリーズはまだかと思って首を長くして待ってたら新作は星海社FICTIONSから。江波光則といいガガガのお気に入り作家は何故かこのレーベルから出す事多いなあ? 物語は主人公のアンデッドハンター・クライブが王都から依頼主の住むエインズワース領に向かう道中、ある田舎町で行方不明になった娘がアンデッドの一種・コープス(ゾンビみたいな怪物)と化したまま川を流れてくるという事件に遭遇する場面から始まる。娘の死は自殺かと思われる中、割って入ってきた奇妙な少女「アンデッドの検屍人」を名乗るロザリアが死体が浮いた状態で流れてきた事や首に残っていた絞殺の跡から他殺と見抜かれる。 翌日エインズワース領入りする事になったクライブはロザリアもまた同じ依頼主に呼ばれた事を知る。依頼主であるエインズワース家の二男・デュークによれば最近になって領内でコープスが続けて発生し、被害者が後を絶たないらしい。早速コープスの活動範囲を探る事になったクライブだったが、時を同じくして「骸骨城」と呼ばれるエインズワース城には長男セシルの嫁取りの為に四人の美しい娘たちとその付き添い人たちが来訪。嫁選びの「お見定めの儀式」が重なる事になるが、その儀式が執り行われる最中で四人の娘たちは次々と殺されコープスと化していく奇怪な事件が立て続けに発生する事に…… まごうことなき「ミステリ」である。 因習に縛られた一族に閉ざされた空間、連続殺人、その謎に挑む主役コンビの二人となればこれはもう完璧に「ミステリ」と言っても良いだろう。が、ミステリではあるんだけど……「手代木正太郎は何を書いても『手代木正太郎風味』になってしまうのだな」というのが読み終わっての第一印象。 まず何より思いっきり登場人物が多い!主人公のクライブ、ロザリアをはじめ依頼主であるエインズワース家の面々、使用人たち、長男セシルの婚約者候補である四人娘にその付添人と登場人物はめちゃんこ多い。登場人物が多過ぎると読み辛いのでは、と思われるかも知れないがそれは書き分けの出来ない下手糞な作家の場合であって手代木正太郎作品に登場するキャラクターには当てはまらない。 個性的というよりも「奇ッ怪」という言葉の方が相応しぐらいに「よくこんな奇天烈キャラばかり思い付くよな」と言いたくなる人物が目白押しなのである。キャラが立ちまくっているのでビジュアル化されているのが主役二人と長男セシルだけであっても「このキャラ誰だっけ?」と迷う事が無いのはありがたい。 特徴的なのは登場人物の奇ッ怪さだけでなく、地の文もまさに「手代木正太郎節」というか講談調なんである。「魔法医師の診療記録」をお読みになった方ならご存知かもしれないが、 逃げなければ!逃げなければ!逃げなければ! ああ、だがどこへ逃げる?どこへだって逃げられないっ!キアランの内にはヴァンパイアの血が流れているのだ!その血からはどうあっても逃げられない! ……こんな感じの講談みたいな独特の調子が地の文に多用されるので手代木正太郎作品はこれが初めてという方は些か面食らうかもしれないが、読み続けているとこの濃すぎる地の文が何と言うか癖になるのである。 ただ、奇怪な登場人物に独特の地の文が「読めば癖になる」とはいえあまりに「濃すぎる味」だと読者を選ぶ事になると作者も考えたのか、一工夫してあるのが前作との大きな違い。その工夫がよく表れているのが主人公クライブの使い方。パートナーのロザリアを含めてどいつもこいつも奇怪な登場人物の中で唯一クライブだけが真人間というか良識と俗っぽさを兼ね備えた「普通の人」なのである。 そして構成を上に紹介させて頂いた濃い地の文とクライブ視点の俗っぽい一人称を交互に入れて進める事で読者はクライブという一般人と変わらない感性を持つ人物の視点に着陸させて読み進める事ができる仕掛けとなっている。こういった読者への配慮が出来る様になったという点に作者の研鑽ぶりが伺えよう。 展開される世界も非常に独特でアンデッドという架空の存在がうろつき回る点を除けば非常にリアリティ重視でイメージ的には19世紀中ごろのイギリスをイメージした様な「鉄道が主要都市を結んでいるが、田舎にまでは敷設されておらず海外で植民地経営を進める位に開けているが貴族性は残っている」という時代背景を取り込んである。そして重要なのはアンデッドという架空の存在を出しながらミステリに関わる部分、特に連続殺人事件のトリックなんかは全て科学的に説明が付く部分かと。 ロザリアの検屍による推理は冒頭の川を流れてきたコープスの死因を突き止めた場面を読んで頂ければお分かりの通り、現代の法医学その物と言って良く、前作が生物学の膨大な知識をベースに描かれた作品だとするなら本作は医学知識をベースに築き上げられた作品。終盤の謎解き部分を中心に聞き慣れない疾患名が登場するので「作者の創作かな?」と思いながら調べてみたら悉く実際に存在する疾患であったのには驚かされた。相変わらず手代木正太郎は膨大な知識で読者を殴り倒すタイプの作家だったのである。 キャラの立ちまくった登場人物に密度の高いストーリー展開、膨大な知識をベースにした作品世界の構成と前作のファンとしては「これが読みたかった」と改めて作者の作り込みまくった作風がお気に入りである事を思い知らせてくれた一冊。これ一作だけで終わってしまっては余りにも勿体ないので早急に第二巻の刊行がなされる事を期待する。 | ||||
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