ドラキュラ公 ヴラド・ツェペシュの肖像



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初公開日(参考)1994年04月
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長編小説

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ドラキュラ公―ヴラド・ツェペシュの肖像 (講談社文庫)

1997年10月01日 ドラキュラ公―ヴラド・ツェペシュの肖像 (講談社文庫)

何十万もの人間を生きたまま串刺しにしたとされるワラキア公ヴラド。その残忍さゆえに小説「吸血鬼ドラキュラ」のモデルとなった男の真実の貌とは。強大なオスマン・トルコ帝国を相手に孤独な戦いを挑み、過酷な時代を疾風の如く駆け抜けたもうひとりの、“織田信長”の実像を人気の女性作家が描く異色長編。(「BOOK」データベースより)




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ドラキュラ公 ヴラド・ツェペシュの肖像の総合評価:5.57/10点レビュー 7件。Cランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

ドラキュラ譚の新たな側面

建築探偵桜井京介シリーズで知られる篠田真由美氏による、ヴラド・ツェペシュの生涯を語った歴史小説。

『吸血鬼ドラキュラ』のモデルとして有名な東ヨーロッパのハンガリーの国境に位置するワラキアの公王ヴラド・ツェペシュ。彼の血塗られた人生はしばしば小説やマンガのモチーフとなり、それらは全て忌むべき怪物や残虐王という風に描かれていた。つまりは悪の象徴である。

本書はそのヴラド・ツェペシュがオスマン・トルコの捕虜であった青年期からワラキア国奪還を果たし、王に返り咲き、勇名を馳せるに至る道筋を描いた物語だ。

しかし本書で描かれるヴラドはこの手の歴史小説にありがちな、後世に伝えられている人物像を覆すというものではない。やはり彼に纏わる数々の忌まわしい伝説は事実として述べられる。

祭りを愉しむ人々をいきなり攫って奴隷にし、鞭打って城を建てさせる、生木の杭による串刺し刑、建物に何百人もの人間を閉じ込め、生きたまま建物ごと焼き尽くしたり、云う事を聞かないジプシーの長を斬殺し、その肉を仲間への料理として提供し、食べさせる。またはかつての宿敵の息子を捜し出し、自らの墓穴を掘らせて殺す。トルコの使者が自身の前で脱帽しなかった無礼を咎め、釘で頭蓋に縫いつけ送り返す、等々。

本書では今まで単なる大量虐殺を好んだ狂人という側面で描かれていたヴラドがなぜこのような残虐行為を行ったのかというところを語っているところが他の関連書と一線を画する。

彼には従者だった老人を見せしめのために杭で串刺しにされた過去があったこと。捕虜として各地を転々とし、その都度クーデターや戦争に巻き込まれ、逃走を強いられたこと。そして民と家臣を統率するには恐怖を以ってするのが一番だということ。更に小国ワラキアを強くするためには兵を増やし、強化する必要があったこと。
これらの行動原理に基づき、彼は臣下の者も含め、絶対服従を求めた。

しかしそれでもやはりこれらの行為は過剰だったと思う。人の命を弄ぶかの如き残酷な仕打、処刑の数々をしてもなお、ヴラドが自分を見誤らず、正気を保ち、己の信条を貫けたのはシャムスという従者の存在だ。
アラビア語で太陽を意味する名を与えられた彼はオスマン・トルコの侵略で故郷を奪われ、逃げ延びた1人の青年。死に場所を求め、馴れない剣を振って、兵士になろうと志願したところをヴラドに拾われる。彼は女のような風貌と体格を持ち、戦闘で役に立つわけではないが、ヴラドと同じ心を持つ。つまりヴラドの考えを一番理解できるのが彼なのだ。ヴラドは己の心が暗黒面に落ちぬための楔として太陽たる彼を常に連れゆくのだ。

しかしやはり恐怖は嫌悪を生み、離反の種となる。たった3万に満たない戦力で20万のトルコ軍を追い払った歴史上名高い彼の功績は彼の絶頂期であったがために、それ以後は下るだけだった。盛者必衰の言葉の如く、龍の息子、悪魔の子として恐れられて小国の梟雄にも栄光の黄昏が訪れる。

彼の生涯はずっと強国オスマン・トルコへの復讐一筋だったと云える。
東ヨーロッパの小国ワラキア公の父と共にオスマン・トルコの捕虜となり、戦場に駆り出されて憤死した父と兄の無念。従者であり、眼の前で串刺し刑で殺された老爺。そして保身のために男娼としてトルコの司令官に取り入り、スルタンの側近となった弟ラドゥ。
そしてその道は正に死屍累々が連なる血道だった。その静かなる激情の凄さは織田信長を感じさせると、作者は述べる。両者とも栄光の半ばで命を落としたことは共通している。しかしその生き様は今なお語り継がれている。

ヴラド・ツェペシュがこのような悲劇の梟雄であったのか、はたまた現在流布している拷問と虐殺を好む血まみれの狂王だったのか、真実は定かではない。
作者あとがきによれば、ヴラドを讃えるのはルーマニアに伝わる昔話のみでドイツやロシアの文献ではやはり残虐な側面や裏切り者というレッテルを貼られて伝えられているようだ。これはいかにヴラドをモデルにしたブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』のインパクトが強かったかを知らしめる証左でもある。それ故、吸血王とまで呼ばれ、今に伝わる彼に新たな側面から物語を紡いだ篠田氏の仕事の意義が高く思える。

この中世ヨーロッパのゴシック風の物語を当時の風俗と慣習を丹念に調べ上げ、しかもそれらを一切説明口調でなく物語に溶け込む形で読者に理解させる上手さは田中芳樹氏の作風と異なり、実に自然だ。
どっちが彼女の本道か解らないが、次は著作の多くを占めるミステリを読んでみる事にしよう。

Tetchy
WHOKS60S
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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No.6:
(2pt)

ハンガリー幽閉以前の内容は良かった。

1462年以降(ハンガリー幽閉中)のところからは飛ばし飛ばしで読んでしまうくらい辛かった。まあ、幽閉中のヴラドに関する文献があまりないのは確かだが。それ以前の内容はまあ、面白いと思っていたのに…。
今じゃ色んな人が『Dracula』の二次創作を展開しているが(私もその一人)、本作はドラキュラ伯爵ではなく実在したヴラド三世を扱っているのだから、もう少し彼について調べた上で執筆してほしかった。トランシルヴァニアに行って彼のことを聞くとか、地元では古くよりヴラドと恋人のカタリーナの話は有名だ。
何より本作のヴラド三世が史実だと勘違いされたくない。これは完全に創作である。ヴラド三世のことを調べに調べた私的には、本作は創作として読んでもらいたい。そして『Dracula』作者であるブラム・ストーカーに失礼じゃないか?
因みにだが、ブラム・ストーカーにとって『Dracula』は処女作ではない。
ドラキュラ公―ヴラド・ツェペシュの肖像Amazon書評・レビュー:ドラキュラ公―ヴラド・ツェペシュの肖像より
4062068133
No.5:
(3pt)

微妙かも

とりあえずヴラド三世についてざっくりイメージはつかめたので、全く知らなかった身には有難い。
が、「吸血鬼ドラキュラ」から辿ってきた者としては、「いや史実の人にはこんな長生きするファンいないし……○○殺してまで言うべきことだろうか……」などともやもやしてしまうのも事実です。

それにしても、従者とヴラドがなぜあんなに仲良くなるのかが分かりませんね。
ヴラドはまあいなくても仕方ないかもしれないけど、シャムス……他に友達いないの?
ドラキュラ公―ヴラド・ツェペシュの肖像Amazon書評・レビュー:ドラキュラ公―ヴラド・ツェペシュの肖像より
4062068133
No.4:
(2pt)

買って損した。描き方が女臭くて期待外れ

ヴラド・ツェペシュが前から好きだったので、期待して買って読んでみたら
、正直言ってガッカリ………。全体的な印象として描き方が女臭い。
 いくらフィクションとは言っても史実と実在の人物を題材にしてる以上、あまり素っ頓狂な事は書かない方がいいのでは?もっと主人公のヴラドに焦点を絞って欲しかった。ブラム・ストーカーと謎のルーマニア人青年との遣り取りはまあ御愛嬌として(ラストは頂けないが)、どうでもいい人物に話を振り過ぎ。特にシャムスなんてのは余計。架空の人物を登場させるにしても、もっとマシな人間を作れなかったのか。美少年だが何の能もなく、ただヴラドの側にいるだけ。何だかホモ臭くてこれじゃお稚児だっての。一体何の為にいるんだかさっぱり分からない。
 ヴラドの残酷な面、非情な面をぼかし過ぎ。内政面における過酷で劇薬のような政策、統治者ぶりをもっと克明に描いてほしかったのに、そういう点はほとんど素っ飛ばして、ダラダラと内面の心理描写ばかり書いていて苛々させられた。どうしてもっと開き直って、残酷でダークな面を堂々と描けないのか?
 現代の読者(特に女性読者)に遠慮しているのだろうか?だとしたら余計な配慮だと思う。当時の時代背景やワラキアの置かれた状況や国力を考えればやむを得ない、必要悪だったと思う。世の批難も恐れず果断に実行したからこそ
祖国を守り抜けたのだと思う。ならば読者に迎合せず、「当時はそういう物だったんだ、現代の常識や感覚を安易に当てはめるべきではない。」と言い切ればよかったのである。この作品は「人間の悪」を描き切れておらず、迫力不足で物足りない。どこか言い訳がましい。
 私の知る限り、女性の描く歴史物(小説であれ、漫画であれ、TVドラマであれ)はほとんどがどうにもつまらん。唯一の例外は塩野七生女史ぐらいのもの。
ドラキュラ公―ヴラド・ツェペシュの肖像Amazon書評・レビュー:ドラキュラ公―ヴラド・ツェペシュの肖像より
4062068133
No.3:
(3pt)

やはり後半が惜しい

前半部分はとても素晴らしいと思う。
怪物ドラキュラ作り上げてしまった脚本家と
その間違いを糾弾する若者とのやりとりから始まる
ホラーチックな冒頭。
読者は、脚本家と共に、その若者から
イスラム教圏とキリスト教圏に挟まれた領主の苛酷な運命を聞く。
ドナウの川岸一帯の血みどろの歴史は
ヨーロッパの歴史から抹殺されてきたとしか思えない。
イスラム教徒の暴虐の嵐と、それに応戦した東欧の人々の流血は、
キリスト教の栄光のために「無かったこと」にされてきた。
バチカンにも西欧諸国にも見捨てられながら
戦わなければならなかったヴラドの姿が、描きあげられている。
ところが後半部分、ラスト近くなってくると、
突然、オカルト&ホラー的な話が混じってくる。
これは読んでいて非常に違和感がある。
しかもラストがそのままオカルトファンタジーなもので終わってしまうので、
今まで読んできた苛酷な描写も、
全部ウソだったんだなと思えてしまう。
ちょっと残念。
ドラキュラ公―ヴラド・ツェペシュの肖像Amazon書評・レビュー:ドラキュラ公―ヴラド・ツェペシュの肖像より
4062068133
No.2:
(1pt)

小説ですね

ヴラド公が好きで買ったのですが。これは小説だと割り切って読む事をお勧めします。特に歴史物ですから、他の人物に対して思い入れのある人も多いと思いますが、ヴラド公以外はあまり…です。特に後半は前半と違ってファンタジー色が濃くなってしまいますし、歴史的にも史実と違う部分が多くなってしまってます。元々の設定自身が幻想的ではありますが、何となく後半の魔術的雰囲気への持って行き方が強引で残念です。…ですが、ヴラド公への興味を持つには足がかりとしては読みやすくて良いと思います。
ドラキュラ公―ヴラド・ツェペシュの肖像Amazon書評・レビュー:ドラキュラ公―ヴラド・ツェペシュの肖像より
4062068133



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