公園には誰もいない・密室の惨劇
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種別
長編
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あらすじ
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評判
公園には誰もいない・密室の惨劇の評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 - ランク
公園には誰もいない・密室の惨劇の総合評価:
8.00/10点 レビュー 2件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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中西三保子という元女優に失踪した娘・伶子の捜索を依頼される。<公園には誰もいない>というのは、伶子自作の歌のタイトルだった。レコードも発売され、好評で、これから、というときだった。伶子には理江という妹がおり、父親は癌で入院中だった。伶子は母親似の派手好きでわがままな性格で、当時流行だったフーテンたちとつき合い、ジャズ喫茶などに出入りしていた。<彼らはこの穴倉に似た密室にもぐり、外部から閉ざされることによって、初めて彼ら自身を解放しているように見え>た。“自由”は“現実” の中にではなく、“空想”の中にしか存在しなかったのだろう。67年当時の日本の若者の生態も描かれる。
特徴的なのは、前作で見え隠れしていたレトリックの妙が冴えてきていること。<派手な色彩のスポーツ・カーが捨てられた女のように並んでいた>。<老いた犬はそんな風景どこ吹く風の、相変わらず色即是空といった様子でねそべっている>。<人生を投げてしまった者が残り滓を吐きだすような声>。<「もう五、六回失恋してるわ」清子は、小銭しか入っていない財布を落としたように言った>。<いったん疑われたら、アリバイなどはクリスマス・ケーキのように崩れやすいものだ>。それから、会話の妙。<低劣な人間は低劣なことしか考えない>。<その代わり、低劣な人間は低劣な奴のやりそうなことがすぐ分る>。そうなんだ。私立探偵とは実にダーティな仕事である。このことを真木は自覚している。<私の冷たさは今に始まったことではない>。<私もまた、嘘に慣れている男だった>。さらには、哲学的考察。<虫が鳴いていた。><彼らは間もなく死ぬことを知っているのだろうか。><しかし虫たちと人間とどこが違うのか。><わたしは鳴かないでウィスキーを飲む。誰もいない部屋で。侘しい習慣にすぎない>。<―そう不愛想なつらをするなよ。わたしは、氷が溶けて水っぽくなったウィスキーに向かって呟いた>。<目下のところ、わたしが愛しているのはこのよたよたの車だけだ。>等々。侘しいながらも、どこかユーモアの匂いがする。匂いといえば、探偵の記憶が<ニンニクの口臭>で甦るシーンは鮮やかだった。
まるで、「ブギウギ」で、羽鳥善一が期待したジャズのリズムを習得した福来スズ子のように実にリズミカルになってきた。ますます原尞の沢崎シリーズに似て来たとも言える。シリーズ最終作『炎の終り』が楽しみだ。