虐殺の少年たち
- 少年犯罪 (41)
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I ragazzi del massacro(1968年) 小説として粗削りのようにも見える反面、テーマ追及のために敢えて粗削りに見せているのか、なんとも断言しづらいものの、技巧という言葉など跳ね飛ばしてしまうほどの迫力に満ちた傑作と評したい。ほかにスタイルの似ている作家を思いつかない、唯一無二、孤高の1作です。 矯正施設の夜間授業中に、凄まじいまでの暴行で殺害された女教師。その場にいた11人の不良少年たちの誰が主犯か?ドゥーカ刑事は、過酷な尋問にも口を割らない少年たちの態度に潜む恐怖に気づき、背後に大人の主犯の匂いを嗅ぎつけます。不良たちと言えども自分の生徒として心を砕き、そのあげくに理不尽な暴力により人間としての尊厳もろとも奪われた一個の命。その残影を胸に、あのとき現場で何が起きたのか追及せずにはいられないドゥーカ刑事の孤軍奮闘。 ほかに目撃者も物的手がかりもない現場の特殊性から、少年たちに口を割らせるしか方法がありません。まだあまり悪に染まっていない少年ひとりを拘置所から出して世話をし、徐々に警戒心を解いて自発的に話をさせる作戦も、少年が逃亡して絶体絶命のピンチに陥ってしまう。 普通、少年犯罪ものは、悪い中にも善性の片鱗を見つけ、改心あるいはその萌芽を感じさせて終わるものが殆どですが、本作で作者はそうした甘っちょろいヒューマニズムに基づいた社会の仕組みに対する不信を吐き捨てているのが逆に新鮮であり、社会の建前とは裏腹の非情な現実を提示しています。 元医師ドゥーカ刑事は、医師経験に基づく人間心理の洞察力から”警察的解決”を超えて真相に拘り、ときには超法規的手段も厭わない。容疑者や重要参考人などに対する尋問でも、必要とあれば脅迫も辞さない。法律の許す境界線を綱渡りしながら、得られた結果(真犯人)に対してどうあるべきか、法律の定めた対応は有効なのか、最後まで思い悩む一匹狼の孤独な姿が浮かび上がるのです。 脇役たちですが、ドゥーカに寄り添って ときには突き放し ときには支える不思議な女性リヴィアは、1作め「傷ついたヴィーナス」で顔に多数の傷跡が残る怪我をしたらしいのですが未読ですし、2作めの「裏切者」には登場しないので、ドゥーカとの関係とか怪我の詳しい経緯はわかりません。また、「裏切者」にも登場したドゥーカの妹ロレンツァの娘(幼児)サラは、3作めの本編で急な熱病で死んでしまいます。 なお、訳者あとがきではシリーズ第2作め「裏切者」が未訳のように記載されていますが、早川ミステリ全集12(1972年)に翻訳掲載されています。 | ||||
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