夜明けのメイジー
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初版刊行(参考)
種別
長編
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あらすじ
評判
夜明けのメイジーの評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 B ランク
夜明けのメイジーの総合評価:
9.20/10点 レビュー 5件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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邦訳は本書のみ。素晴らしい小説なのに、実に惜しい。
他のレヴューに僅かしか触れられていないことを述べる。
それは、この作品の主人公が下層階級出身であることだ。
馬車を引いて野菜を売る商人の娘として生まれた主人公は、
聡明さと幸運(勤め先の開明的レディの引き立て)により
大学教育を受け、(従軍看護師を経て)私立探偵として開業する。
一見どうということもないようにも見えるが、
もし舞台が19世紀イギリスであったなら、およそ現実味がなかったに違いない。
本作の時代背景となっている社会変化の一端を、主人公のかつての奉公人仲間で
軍需工場に勤めるイーニッドはこう語る。
「そしてこの戦争で何もかも変わりつつあるわ。気がついた?
戦時中でもあたしみたいなのが高い賃金をもらえるようになったんだから。
裕福な連中も変わらざるをえなくなる、そうじゃない?」
つまり本作は、史上初めての「総力戦」によって女性の「立身出世」が可能になったことを
巧みに示してもいるのである。
しかし、階級社会が揺らぎつつあるということは、下層階級の者にとっても
単純によいことばかりというわけではない。おなじみの故郷喪失はここにも現れる。
主人公と父親との情愛深いやりとりは、本書でもっともハートウォーミングな部分であるが、
父は娘が自分の住む世界とは違う場所へ行こうとしていることに不安を隠しきれない。
「フランキーも疲れていた。メイジーのことを心配するのに疲れ、娘がいまより上の地位の人たちの
社会に入っていき、もどってこないのではないかと心配するのに疲れていた。
自分が娘にふさわしいほど立派でないと感じるのにも疲れていた」(190)
評者としては、ミステリとしてよりも、20世紀初頭のイギリス社会を描く作品として、
そして主人公とその周りの人々との暖かい関係を繊細に描く小説として、多くの人に薦めたい。